厄災少女のアカデミア   作:のんびり者

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AIに壁打ちしながら小説書くの中々に楽しい





雄英体育祭前半

 

 

 USJ襲撃から二日後。

 

 雄英高校の職員寮、リリィの部屋。

 

 リリィはベッドの上で膝を抱え、銀色の髪を垂らして俯いていた。

 

 目の下に薄い隈ができ、赤い瞳はいつもより暗く沈んでいる。

 

 ミッドナイトがベッドの横に座り、優しいけれどしっかりとした声で言った。

 

「リリィ。暴走したことは、ちゃんと反省しなさい。あなたが守ろうとした気持ちは嬉しいけど……周りのみんなを巻き込むような力の使い方は、絶対にダメ」

 

 ワンダーは部屋の隅に立ち、静かに続けた。

 

『リリィお前は災いを呼んだ。敵を倒すためとはいえ、無差別に災いを振りまいたことは事実だ。次は……自分の意志で止められるようになれ』

 

「……ごめんなさい」

 

 リリィの声はとても小さかった。私、またみんなを怖がらせてしまった……。

 

 守りたかったのに、結局化け物みたいになって……。

 

 胸が苦しくて、涙がこみ上げてきた。

 

 その日の午後、1年A組の教室。事件の影響で授業は自習になっていたが、クラスメートたちはリリィの机を取り囲んでいた。

 

 質問の嵐だった。

 

「リリィちゃん、あの災いって本当に自分の意志で起こせるの……?」

 

「ヴィランが一瞬で半壊したよね……どういう仕組み?」

 

「脳無を倒したのってリリィちゃんなの……!?」

 

 リリィは肩を縮めて黙っていた。

 

 代わりにワンダーが一歩前に出て、低く落ち着いた声で答えた。

 

『リリィに害意を向けた者へ、世界そのものが災いを降らせる。強ければ強いほど、災いは大きくなる』

 

 緑谷出久はノートに必死に書き込みながら目を輝かせ。切島は「すげえ……!」と興奮し、爆豪は腕を組んだまま「チッ、化け物かよ」と吐き捨てた。

 

 リリィはそんな中、そっと梅雨の席に近づいた。

 

 指先が震えていた。

 

(もし梅雨ちゃんに怖がられたら……どうしよう……私、梅雨ちゃんの友達でいたいのに……)

 

「……梅雨ちゃん」

 

 小さな声で呼びかけると、梅雨はすぐに振り返った。

 

「リリィちゃん」

 

 梅雨の表情はいつも通りゆったりとしていて、怖がっている様子は一切なかった。

 

 彼女はリリィの白い手をそっと握ってきた。

 

「助けてくれてありがとう。ヴィランに触られそうになって、本当に怖かったの。リリィちゃんが来てくれなかったら、私はもう……」

 

 梅雨は少し目を細めて微笑んだ。

 

「でも、無事だったわよ。リリィちゃんが守ってくれたら。……大丈夫? リリィちゃんの方が、すごく疲れてるみたいだけど」

 

 その言葉に、リリィの目からぽろりと涙が零れた。

 

「……怖く、なかったの? 私、すごく暴走して……災いをいっぱい呼んで……」

 

「ううん。怖くなかったわ。だってリリィちゃんは、私を守ってくれたんだもの」

 

 梅雨はリリィを抱き寄せ、背中を優しく撫でた。

 

 その温かさが、リリィの凍えた心をゆっくりと溶かしていった。

 

「……ありがとう、梅雨ちゃん」

 

 数日後。

 

 相澤先生が全身包帯でぐるぐる巻きになり、首にサポーターを付けた状態で教室に入ってきた。

 

 生徒たちは一瞬静まり返り、すぐにどっと笑いが起きた。

 

 相澤先生はいつもの無表情で言った。

 

「笑うな。……さて、そろそろ次のイベントの話だ。雄英体育祭だ」

 

 教室が一気に沸いた。

 

 リリィは自分の席で小さく拳を握り銀色の髪が少し揺れる。

 

(今度こそ……暴走させない。私、ちゃんとコントロールして、みんなと一緒に頑張る。災いじゃなくて、ヒーローとして……)

 

 ワンダーが静かにリリィの頭に手を置き、低く囁いた。

 

『リリィ・ワンダー。お前の決意は正しい。私はお前が望む通りに在る』

 

 リリィは小さく頷き、赤い瞳に強い光を宿した。

 

 体育祭まであと二週間。小さな守護者は、もう一度、自分の力と向き合うことになる。

 

 雄英高校地下特別訓練場では、リリィの個性把握訓練が再開されていた。

 

 今回把握テストではワンダーの能力に対して行われ一つの能力が判明した

 

 ワンダーは静かに歩き出し、訓練場の強化ガラスをすり抜けて向こう側へ移動した。

 

 そのまま壁の中に侵入し、直線で数十メートル先へ抜ける。

 

 さらに、柱に映った自分の影を利用して反射移動を行い、写真立ての中に映った二次元の風景へ滑り込み、そこから実世界の別の場所へ飛び出す。

 

 自由自在な三次元・二次元移動。

 

 ワンダーは低く説明した。

 

『私は反射するもの、映るもの、すり抜けられるものをすべて通り道にできる。街中なら、窓ガラス、鏡、水溜まり、監視カメラのレンズ……どこにでも移動できる』

 

 モニタールームでその光景を見ていたミッドナイトと相澤先生は、言葉を失った。

 

「……戦慄するわね」

 

 ミッドナイトが青ざめた顔で呟いた。

 

 相澤先生も珍しく声を低くした。

 

「一個の個性として強力すぎる。追跡不可能、奇襲不可能、逃走も自由……これがリリィと共に動くとなると、ほぼ無敵に近い」

 

 二週間後──

 

 雄英体育祭当日。

 

 観客で埋め尽くされたスタジアム。

 

 1年A組の生徒たちがスタートラインに並ぶ中、リリィは一番後ろの方で小さく深呼吸をしていた。

 

「今度こそ……暴走させない。私は、ちゃんと自分の力で走る」

 

 障害物競走が開始された。

 

 スタート直後、他の生徒たちが障害物を越えていく中、リリィは上空を飛ぶドローンのカメラレンズに視線を向けた。

 

 ワンダーが即座に反応する。

 

『行け、リリィ』

 

 ワンダーはドローンのレンズ(反射面)を利用して高速移動を開始した。

 

 リリィを抱えたまま、カメラの映像空間を「歩く」ように次々と反射を繰り返す。

 

 会場内の大型スクリーンに、衝撃的な映像が映し出された。

 

 ドローンのカメラ映像の中で、小さな銀髪の少女と黒いシルエットが、画面の中を優雅に歩いている。

 

 現実の空を、映像空間を利用して飛び跳ねるように移動していく。

 

「なっ……!?」

 

「リリィが画面の中を歩いてる……!?」

 

 観客席がどよめき、解説のアナウンスも興奮で裏返った。

 

 リリィは風を切りながら、障害物をほぼ無視して前へ前へと進んだ。

 

 ワンダーの移動能力は完璧だった。

 

 ロボット障害物の上空、鉄の壁の反射、観客席の窓ガラス……ありとあらゆる反射面を巧みに使い、驚異的なスピードで駆け抜ける。

 

 結果──

 

 リリィは4位でゴールした。

 

 ゴールラインを越えた瞬間、彼女はワンダーの腕の中で小さく息を吐き、銀色の髪を風に揺らした。

 

「やった! 私、4位になれたよ」

 

 スタジアムに拍手と驚きの声が広がる中、

 

 リリィは控えめに、けれど確かに嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

 ワンダーが静かに頭を撫でた。

 

『よくやった、リリィ。お前は少しずつ、自分の力で立っている』

 

 

 

 ────

 

 

 

 障害物競走が終了し、スタジアムは熱狂に包まれていた。

 

 リリィが4位でゴールした直後、大型スクリーンに次の種目「騎馬戦」のルールが表示された。

 

「騎馬戦ではそれぞれチームを組んでもらうわ! さっさと決めないとあぶれちゃうわよ!」

 

 ミッドナイトの言葉を聞きリリィはすぐに行動を起こす。

 

「あの……一緒にやりませんか?」

 

「あ〜……ごめん他に組む人がいて」

 

「あの……」

 

「すまない」

 

「あの……」

 

「ごめんね!」

 

「……グス」

 

 リリィが半泣きになっている所に、梅雨が近づいてきて優しく声をかけた。

 

「リリィちゃん。一緒にやらない?」

 

 リリィの赤い瞳がぱっと輝いた。

 

「……本当に? 私と一緒に?」

 

「えぇ。一緒にやりましょう」

 

 梅雨のゆったりとした笑顔に、リリィは胸がいっぱいになった。

 

(梅雨ちゃんが……私を誘ってくれた)

 

 結果、リリィは峯田実・障子目蔵・蛙吹梅雨のチームに入ることのなり。ワンダーは相澤先生の指示で「場外待機」となり、騎馬には入らないことになった。

 

 騎馬戦開始前、障子が六本の腕を広げて言った。

 

「リリィは一番安全な位置に。俺の複製腕の中に三人とも入ってくれ」

 

 障子の複製した大きな腕が三人をすっぽりと包み込むように形作られた。

 

 リリィは真ん中に、梅雨と峯田が左右に収まり、隙間から外を見られる形になった。

 

「おぉ!! これ最強じゃね!?」

 

 峯田が興奮して叫び、梅雨は「ふふ、落ち着いてね」と微笑んだ。

 

 リリィは小さな体を障子の腕の中に預けながら、嬉しそうに呟いた。

 

「……みんなと一緒。嬉しい……」

 

 騎馬戦開始! 

 

 スタートと同時に、他の強豪チームが一斉に動き出した。

 

 しかし、リリィのチームに近づいた瞬間──

 

「うわっ!? なんだこれ……!」

 

 攻撃してきたチームの足元が突然崩れ、バランスを失う者。

 

 微かな窪みに足を取られる者。

 

 視界に埃が吹き込み目を擦る者。

 

 小さな災いが次々と彼らを襲い、まともに動けなくなっていく。

 

 他のチームはそれを見て、明らかに距離を取るようになった。

 

「近づくな……あのチームの近くはヤバい!」

 

「個性の影響か!?」

 

 その隙を逃さず、リリィのチームが動いた。

 

 峯田が隙間から個性を連発して敵の足を止め、梅雨が長い舌を伸ばして素早く鉢巻を狙う。障子の複製腕が防御を固め、リリィは最小限の集中で災いをコントロールした。

 

「落ち着いて、ただ私の鉢巻を取ろうとしているだけ……」

 

 リリィが静かに念じると、災いはちょうど必要な分だけ敵を阻害した。

 

 梅雨の舌が鮮やかに敵チームの鉢巻を奪い取る。

 

「取ったわよ!」

 

 最終結果──

 

 リリィのチームは第4位で騎馬戦を終えた。

 

 ゴールした瞬間、障子の腕の中からリリィが顔を出した。

 

 銀色の髪が少し乱れ、頰がわずかに赤くなっている。

 

「……4位……また4位だね。でも、みんなと一緒で……楽しかった」

 

 梅雨がリリィの頭を優しく撫でながら言った。

 

「リリィちゃん、よく頑張ったわ。災いをちゃんと抑えてくれてありがとう」

 

 峯田が興奮気味に叫んだ。

 

「すげー! リリィの災い、味方だと最強じゃん!」

 

 障子も静かに頷いた。

 

「連携が良かった。お疲れ様、リリィ」

 

 場外で待機していたワンダーがゆっくりと近づいてきて、リリィを抱き上げた。

 

『よくやった、リリィ。お前はもう、災いを恐れるだけの存在ではない』

 

 リリィはワンダーの胸に顔を埋めながら、小さく微笑んだ。

 

「……うん。私、みんなと一緒なら、もっと頑張れる」

 

 スタジアムではまだ拍手が続いていた。

 

 しかし観客や他の生徒たちの間には、明らかに「リリィ・ワンダー」という存在への警戒の感情が混じり始めていた。

 

 騎馬戦終了後、リリィは梅雨の手をそっと握った。

 

「梅雨ちゃん……一緒に戦えて、嬉しかった」

 

「私もよ、リリィちゃん」

 

 ────

 

 騎馬戦終了後、スタジアムは最高潮の盛り上がりを見せていた。

 

「次の種目が気になるがそろそろ昼休の時間だァァ! 次の種目の為に全員英気を養えよォォ!」

 

 プレゼント・マイクのアナウンスとともに生徒の皆は休息に入っていく。

 

 しかし──そのお昼休憩は、峯田実の策略によって予想外の展開を迎えることになった。

 

 お昼休憩 女子更衣室

 

「えええええ!? チアリーダー!?」

 

「峯田のやつ……絶対に嘘だよ!」

 

「ですが……本当だったらと思うと」

 

「むぐぐぐ……」

 

 女子更衣室は大騒ぎだった。

 

 峯田が「午後の部の前にレクリエーションでチアリーダーの格好をすると」と偽の連絡を入れ、1年A組女子全員にチアリーダー衣装を着るよう仕向けたのだ。

 

 短めのスカートに、胸元が少し開いたトップス、

 

 リボンやポンポン付きの可愛らしいデザイン。

 

 八百万百は顔を真っ赤にし、お茶子は「うわぁ……恥ずかしいよぉ……」と縮こまり、葉隠透は「やったー! かわいいー!」と逆に大喜びしていた。

 

 その中で──

 

 リリィは、皆と同じチアリーダー衣装を着せてもらい、鏡の前に立ってじっと自分の姿を見つめていた。

 

 銀色の長い髪に、白い肌に映えるカラフルな衣装。

 

 少し大きめの袖がふわっと揺れる。

 

「……みんなと同じ服……」

 

 リリィの赤い瞳が、うるうると輝いた。小さな両手でスカートの端をそっと握り、

 

「……かわいい……私、みんなと同じものが着れて……嬉しい……」

 

 その瞬間、更衣室の空気が一気に和らいだ。

 

 蛙吹梅雨が後ろから優しく抱きつき。

 

「リリィちゃん、すごく似合ってるわよ。まるで本物のチアガールね」

 

 お茶子も頰を赤らめながら笑った。

 

「ほんとに! リリィちゃんが一番かわいいよ~!」

 

 八百万百も恥ずかしさを堪えながら微笑んだ。

 

「ふふ……リリィちゃんが喜んでくれてよかったですわ。この恥ずかしい格好も、少しマシに思えてきた気がしますわ」

 

 葉隠透がポンポンを振りながら飛び跳ねた。

 

「みんなかわいいー! 特にリリィちゃんは天使!」

 

 リリィは皆に囲まれ、照れくさそうにしながらも、

 

 心から嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

 

(私……今、普通の女の子みたい)

 

 その光景を見ていたミッドナイトが、控え室の入り口でそっと微笑んだ。

 

「ふふ……峯田くんもたまにはいい仕事をするわね」

 

 ワンダーは更衣室の外で静かに佇み、低く呟いた。

 

『……リリィ。お前はもう、災いだけではない』

 

 お昼休憩の短い時間、1年A組の女子たちは、恥ずかしさと笑顔が入り混じった不思議な一体感に包まれていた。

 

 特にリリィの純粋な喜びが、

 

 その場の全員の心を優しく温かくした。

 

 ——そして午後の部がいよいよ始まろうとしていた。

 






読んでくださりありがとう


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