異世界迷宮に行く筈が~銀河英雄伝説~(中編化)   作:高島智明

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第4話 内乱勃発

「皇帝は後継者を定めずに死んだ」

帝国側から聞こえて来た情報に接して、急遽召集された最高評議会の席上で、人的資源委員長は発言した。

「かなり高い確率で権力闘争が起こる。場合によっては内乱も」

 

情報交通委員長が疑義を呈した。

「貴方は前回、出兵に反対なさったのではないのですか」

ホワン・ルイは怯(ひる)まない。

「帝国は変わるかも知れない。内乱の勝者次第で。例えば…」

ここで、ひと息入れて続ける。

「帝国軍のローエングラム元帥府は、今や有力な軍閥だが、それを構成しているのは下級貴族や平民出身者から抜擢された士官たちだ。

増して、兵士の大部分は平民だ。

この軍閥が、何処に自分たちの基盤を置いているかは明白だ」

 

ここで、もうひと息入れて話題を転換させる。

「尤(もっと)も、ローエングラム元帥程の天才ならば気付いているだろう。

内乱の勝利に専念したければ、我々からの介入を無視出来ないと。

しかも、現状の同盟は帝国領侵攻に失敗して弱体化している訳では無いからな」

 

ここで議長が問い掛けた。

「ローエングラム元帥が何をするというのだね」

「例えば…わが軍は、鋼鉄の1枚岩だと言えるかね。国防委員長」

「残念ながら「腐敗した政権に代わって」軍部による統治を目論む不平派が居ないとも限らないな」

「これで、これから捕虜交換を向こう側から申し込んでくれば、危うかったかも知れないな。

だがしかし、捕虜に成っていた帰還兵たちは既にフェザーン回廊を同盟領に向かって帰還しつつある。

如何にローエングラム元帥が天才でも、既に帰還兵の中に工作員を仕込んでいる、というのは早業に過ぎるだろう。

まあ、用心に越したことは無い。

内乱というものは、発生すれば、鎮圧するのに大兵力を必要とするし、傷も残る。

けれども、未然に防げば、MPの1個中隊でことはすむ」

それから話題は、帝国の内乱に干渉するかどうかに戻った………。

 

……。

 

…かつての帝国軍の要所、現在は同盟の国防の要であるイゼルローン要塞。

この防衛の総指揮を執るのはイゼルローン要塞司令官・兼・イゼルローン駐留機動艦隊司令官であり「交換出来る多数の捕虜を確保出来たのは”彼”に因るイゼルローン要塞陥落だった」とう言う理由を付けて昇進させられたヤン・ウェンリー大将だった。

 

そのヤンの元に、同盟首都からの秘密通信が届いた。

 

かくて、帝国のローエングラム元帥への密使が派遣されるのである………。

 

……。

 

…遂に、帝国では内乱が勃発した。

 

「では行くぞ。賊軍の立て篭もるガイエスブルクへ」

帝国軍のローエングラム元帥は、同盟軍が出兵してこなかった為、これを撃退するという功績も立てられ無かった。

その為、宇宙艦隊「副」司令長官のまま「副」が取れずにいた。

だがしかし、司令長官ミュッケンベルガー元帥が政争に巻き込まれるのを嫌って身を引いた為、独自の武力の後ろ盾を求める国務尚書に因って司令長官と成り、爵位も伯爵から侯爵に進んだ。

 

そして、国務尚書から帝国宰相となったリヒテンラーデ”公爵”とローエングラム侯爵に因って、幼君である新皇帝が擁立された。

 

これに激怒したのが、新体制に乗り損なった門閥貴族たちである。

彼らは、皇帝の血筋を引く自らの娘を擁立し損なったブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイム侯爵を盟主と副盟主として結束したのである。

 

そして、遂に権力闘争は内乱へとエスカレーションした。

門閥貴族たちは貴族の私兵と正規軍から引き抜いた大兵力を持って、ガイエスブルク要塞を本拠地に挙兵した。

これに対し、ローエングラム元帥は宰相の後ろ盾の元、帝都を制圧し「帝国軍最高司令官」の称号と軍事独裁権を得た。

そして”賊軍”と名付けた内乱の敵に対して、帝都を発進したのである。

 

その艦隊には、何と同盟軍のイゼルローン駐留機動艦隊が合流していた。

貴族連合側は、

「我らを”賊軍”などと貶(おとし)めながら、叛乱軍を引き入れた。金髪の小僧こそ反逆者だ!」

などと喚いたが、ラインハルト・フォン・ローエングラムは冷笑して黙殺した。

俺は、やがてイゼルローンに帰還して来たヤンから、シトレ本部長の傍らで内乱の顛末についての報告を聞くことに成る。

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