ああ、ここにきてからどれくらいたったんだろう
何だったか覚えてないけど、俺は確か、何かのキャラクターに憧れて、そのあとはぼーっとしていたらトラックに轢かれて・・・
・・・ダメだな、どうやっても思い出せない。思い出そうとすると記憶がとてもツギハギで、内容が支離滅裂になってしまう
でもこれはきっと、俗に言う転生というものなのだろうな。なんとなくそんな気がする
都合のいい考え方かもしれないけど、きっと俺は、まだ生きていたかった、そういう未練が残っていたと思うんだ
だから、そんな大事な命をそう易々と手放す訳には行かないな
それ相応の生涯を全うしてみせるさ
場所は連邦生徒会本部の会長室
なぜだかわからないけど、連邦生徒会長に呼ばれてしまったんだ、何か悪いことでもしたっけ
「連邦生徒会長、今日はどう言ったご要件で?まさか俺がなにかしたとか?俺、ここ最近は特に大きな騒動は起こしてない・・・というか、起こしたこともないんだけどね?」
「はぁ・・・あなたがそれ言いますか?アンリさん、あなたはかの有名な七囚人を手中におさめているのですよ?それだけでも、随分とんでもない事じゃないですか・・・」
「はは、それはごめんね?でも可哀想な生徒たちを見たら放っておけないんだ」
「はぁ・・・どこまでお人好しなんですか・・・」
ここに居るのは俺、アンリと、連邦生徒会長の2人だけ
俺の服装は黒を基調としたシンプルなブーツ、対して、連邦生徒会長は白を基調とした連邦生徒会の制服
こう見ると正反対だけど、ちゃんと仲良しだよ
「それで、話って言うのは?」
「そうでしたね、では、本題に入るとしましょうか」
そして、そのあと
連邦生徒会長の口から告げられた言葉は、実に聞き捨てならない言葉だった
「私は近いうちに・・・ここ、キヴォトスから消えます」
「へぇ・・・」
「は???」
「唐突にすみません、でもこれにはキヴォトス海溝くらい深いわけがあって」
「・・・」
「近いうちに、キヴォトスに先生という大人が来るのです」
「ふーん、先生か・・・しかも、大人、俺と同じだね?」
「えぇ、そうです。これからのキヴォトスは、その大人、先生に任せます」
「えぇ・・・それはさすがに可哀想すぎじゃない?先生が」
「それは百も承知です。ですが、しっかりこちらからも手厚いサポートがあるのです」
「へぇ・・・一応聞いとくけど、そのサポートって言うのには俺も入ってる感じかな?」
「はい、もちろんです」
「はは、まあそうだよね、でもサポートって言ったって、何をすればいいんだい?」
「それは単純です、ただ先生がちゃんとした道を辿って行けるようにサポートしたらいいのですよ。いわゆる案内人です」
「案内人かぁ・・・でも俺、忙しくてたまにしか現れないけどいいのかな?」
「えぇ、それはそれでレアキャラみたいで面白いじゃないですか」
「人をレアキャラ呼ばわりしないで?」
まあでも、新しい大人の人が増えるってだけで、とても面白いことになりそうだね?
「あと、アンリさんにはこれをあげます」
「ん?・・・これは」
ピピピ・・・
連邦生徒会長を見届けろ、期限は連邦生徒会長がいなくなるまで
「なんだこれ」
「それはこれから貴方に指令という名の指示を出してくる端末機器。これから居なくなる私の声を、言葉を代行してくれるものだと思っていてください」
「はぁ・・・」
無機質な音と共に奇妙な程に的確な指示を出してくるな・・・言っちゃ酷いけどなんだか気持ちが悪い
「あと、これはその端末機器に呼応して武器を呼び出す『杖』です。きっと、これから先生を助け出す時が来た時にとても役立つでしょう」
それは、杖と呼ぶにはあまりにも小さすぎる。もはやちょっと太い鉛筆と言っても過言ではないだろう
「これは、自分の意思では武器を呼び出せないのか?」
「えぇ、戦闘態勢に入ると、その杖からランダムで武器が選ばれます。端末がその場に適応した物を出してくるので心配する必要はないでしょう」
「はぁ」
「それに、アンリさんはとても戦闘に秀でていますしね?」
「ちょっと過信しすぎじゃないかな?」
「それで、伝えたいことは十分かい?」
「はい」
一通り話し終えたあと、俺は改めて思うんだ。これはとても責任重大で、とても難しいことなんじゃないかなって、でも、連邦生徒会長はそれだけ俺のことを信頼してくれているんだなって感じたんだ
「会長」
「はい?なんでしょう?」
「一旦仕事は中断して、こっちに来てくれないか?」
「いいですよ・・・って、また絵本の読み聞かせでもしようとしてるんですか?」
「うん、もちろん」
「はぁ・・・あのですね、第一、私は子供じゃないんですよ?その本にだって3~7歳ってかいてあるじゃないですか」
「はは、別にこれはその年の子供だけが読むためにあるんじゃないんだ、誰だって呼んでいいのさ。例え、子供っぽかったとしてもね?」
「・・・でも、アンリさんはいつも最後まで読まないじゃないですか」
「今回は少し違うよ、さ、隣においで」
「むぅ、しょうがないですね・・・」
「ほんとに最後まで読むんですね・・・」
「うん、だから言っただろ?今日は少し違うって」
「はぁ・・・でも何で最後まで読んだんですか?」
「物語の結末は、やはり結末だからなのか、とても面白くて、だけど終わったあとには切ない悲しさに襲われるんだ、会長だってそうじゃないか?」
「まぁ、確かにそうかもしれませんね」
「だからいつも最後は取っておくんだ。物語が終わる、終わったあとの悲しさを知りたくないから、それに、まだワクワクした気持ちでいたいしね」
「でも今日は最後まで読んだじゃないですか」
「うん。だって連邦生徒会長はそろそろいなくなってしまうからね。結局最後は受け入れないといけないんだ」
いつだって最後は来る、だから恐れてはいけない
「・・・そうですか。あ、もしかして、私がいなくなって寂しいんですか!?」
「あぁ、もちろん」
「っ・・・つ、つくづく気持ちの悪いおじさんですね」
「はは、でも俺に比べて会長は、いつも花畑で一際目立つきれいな花のような存在だね?」
「///!?は!?な、何言ってんですか///」
「はは、やっぱり面白いね、連邦生徒会長は」
「あー!何笑ってるんですかぁ!」
「ふふっ、あはははは!」
「うううぅぅ!」
ああ、どうしてだろうか、なんでこんなにも、心臓がズキンとするのだろうか。
別れというものは、どうしてここまで心が痛くなるのだろうか
「もう行ってしまうのかい?会長」
「ええ」
あれから数日後、連邦生徒会長から居なくなるとの報告を受けた
「アンリさんといた時間、何もかもが楽しかった、本当はまだ居たかった、けど、キヴォトスの未来のために私は行くしかないんです。どうか、これから来る先生を、そしてこれからのキヴォトスを」
「よろしくお願いします」
「ああ、もちろん、後は任せてくれ」
そうして俺は、キヴォトスの代行者になった
次はいつ更新するかわかりません