転生者は割と詰んでる世界を全力で楽しむようです。 作:柊 詩音
更新頻度は遅くなりますが、最後まで走り抜きます。
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
俺の人生はつまらないモノだった。
ごく普通の会社員をやりはじめて2年。
信号無視をした車から子供を庇い、20歳でこの世を去った。
消えいく意識の中俺の心には、“命の恩人”という肩書きを手に入れた喜びが満ち溢れていた。
目が覚めると鬱蒼とした森の中にいた。
回らない頭でなんとか情報を得ようと、一番大きな木を登っていく。
頭上、空を見上げてその色に驚愕する。
一面が緑色に染まった空。
辺りを見渡すととても大きな山、時々ピカピカ光っている電気のようなものでできたドーム状の壁、そして
「なんだあれ…?」
水面に浮かぶ黒く大きな首長竜。
所々影になっているのか、モヤのようなものがかかっていて首までしか全貌を掴むことはできない。
すると黒い首長竜がゆっくりとこちらを振り向いてきたので急いで下に降りる。
ここまでの情報を整理して一つの結論をだした。
俺は、知る人ぞ知る“彼方の光”という作品に転生してしまった。
この世界を一言で言えば既に詰んでる世界。
G
だがそのエネルギーは世界中の動物を化け物に変え、人類に牙を剥いてきた。
そして、原作主人公達の活躍により地球は一時の平和を取り戻した。
そこに宇宙からGエネルギーを狙う存在が次々に押し寄せてきて、原作主人公達は終わりなき戦いに身を投じることになる。
これがざっくりとしたストーリーの説明だ。
こんな面白い状況他にあるか?!
灰色だった俺の人生が1発で塗り替えられるような感覚。
馬鹿みたいなスペックのロボットを作って、この世界を全力で楽しもう!
そうと決まったら、いつまでもこんな所で立ち尽くすわけにはいかない。
ここに化け物共がいないということから今いる場所を安地である富士の樹海と仮定、でっかい山は仮定から富士山、そしてあのドームはGバリアのある東京だろう。
今目指すべき場所は富士山の麓にあるG研究所。
公式ファンブックの中でも取り扱っていた日本にただ一つしかないGエネルギーの源泉がある場所だ。
富士山の麓まではこれたけど、肝心なのはここからだ。
その研究施設を探さなくてはならない。
……いや、考えても見てほしい。
公式ファンブックの中でちょっと触れられただけの施設に地図なんて大層なものがあると思うか?
と言うわけで今は富士山の麓をぐるっと一周するように探索する。
探し当てるまで暇だからこれからの目的を整理しよう。
まず前提として、ラスボスである外宇宙からの侵略者をどうにかしないといけない。
作中でラスボスは倒されたが、他の外宇宙の侵略者にこの世界の宇宙を観測されてしまい狙われ続けてしまうと言うことになった。
必要なのは、この宇宙の存在を観測されないこと。
この世には観測されるまでは存在が確定しないと言う理論が存在する。
聞き齧り程度だし、人に説明できるほどの理解もないがこの理論を使えばこの世界の結末を大きく変えられる可能性がある。
Gエネルギーは人類に進化をもたらす可能性のエネルギー。
その特性は変幻自在、熱エネルギーなどの変換に始まり物質として存在を確立することもできる。
つまり、Gエネルギーをこの宇宙を隠せるほどの幕のようなものに変化させて外から観測されないようにすれば良い…筈。
ぶっ飛んだ考えだけど、この世界は異能バトルモノの皮を被ったスーパーロボット作品。
最終的にはノリと勢いと力
その時、俺が外宇宙の奴らと喧嘩して注意を引きつければいい。
俺は暴れられるし、クソデカバリアの形成まで時間を稼げる。
…ふっ完璧な作戦だな。
しばらく探索していると一つの施設が目に入る。
「“富士Gエネルギー研究所”、ここだな」
一見するとただのプレハブ小屋のような見た目。
立ち入り禁止の看板はとうに朽ち果てボロボロの状態。
ドアノブに手をかけるとすんなりと回る。
「……なんか、呼ばれてるみたいだ」
自らここへ来たというのに、“誰かに行動を決められている”という感覚が拭えない。
扉を開け中に入ると埃被った資料の山。
逆に言えばそれしか見当たらない。
源泉に繋がると思われる扉の一つすらその部屋にはなかった。
「ハズレか?」
足元に落ちている資料を拾う。
そこにはGエネルギーの研究に関わる数値等が記載されていた。
が、核心をついたものではない。
源泉についてではないか…
あたりに散らばってる資料を超えて壁に手をかける。
一通り触ってみたが隠しスイッチのようなものは見当たらない。
流石にそんな古典的な展開は無いということか。
その時、視界の隅で淡く光る物を見た。
「……下?」
部屋の角、その下に一見しただけでは認識できないように細工が施されたスイッチを見つけた。
「トリックアートってことか」
迷うことなくそのスイッチを押す、重厚な音を立て壁が開く。
そこには遥か下へ続く階段、そして暗闇の中に輝く緑の光。
やっぱり導かれている。
「ここが、Gエネルギーの源泉…」
『来たのね』
突如階段の奥から響く女性のような声。
「Gエネルギーの総体って認識で合ってるか?」
『…あなた何者?今までの人間とは何か違う』
エネルギー本体といえど困惑するんだな。
もっと全能感増し増しだと思ってたが。
「Gエネルギーの総体さんにお願いがあるんだ」
『私の声を受け取れるだけでもおかしいのに、言葉のキャッチボールもできないのね』
「平和を勝ち取るためにロボットを作りたいんだ」
結果から先に言う。
これが常識ってやつだ。
『……はい???』
総体は困惑した。
「ロボットを!作りたいんだ!!」
『それは聞きました。聞いた上で困惑してるんです。』
なら何がわからないんだろう。
ちゃんと結果から話してるのに
『貴方は加減というのを知らないんですか?過程も話せってことなんですけど。』
あ、そう言うこと?
「この世界は外宇宙の存在に侵略されかける。それをなんとかするためのロボットが欲しいんだ」
『初めからそう言いなさい。…いや、だとしても意味わかりませんけど』
「総体は異能について知ってるのか?」
『人類の進化による副作用効果のことですか?それはもう私が呼び覚ましてますから』
「それの天井が手も足も出ないレベルの強さだ」
人類の生息圏を拡大するために結成された組織解放軍
そして、その中の最上位異能持ちSランク解放者
この天井組は普通にぶっ壊れ性能なことが多い。
作中時代で言うと“超再生”“収束”“未来予知”“因果律操作”そして“超強化”。
一番イカれてる時代じゃねえか。
『おかしいですね。今回は歴代でも大当たりだと思うのですが』
なんでガチャ思考なんだよ。
「単純に物量が違う、それにデカさも。象がアリに勝てるか?どれだけの毒を有していようとも戦いの土俵に立ててないんだよ」
『進化すれば勝てますよ?』
この脳筋が。
なんでもかんでもGエネルギーで進化し続けられれば苦労しないんだ。
「ともかく同じ土俵に立つためにデカブツが必要って話」
『それなら固定砲台とかでも良いのでは?戦闘機とか』
かーっ…!これだから浪漫のかけらもねえエネルギーさんはよぉ!
「あらゆる局面に対応できるのが強みだ。遠距離攻撃を無効化する奴も出てくるかもしれない」
『…人間。浪漫が無いのはいけないことですか?』
こいつ、直接思考が読めるのか!?
ま、まずい…
『多分それやりたいだけですよね?まあ、思考を読むのも楽じゃ無いのでもうやりませんが』
「ともかく近接戦闘のことを考えて、ロボットが必要だ。…なんならそれを証明できる手段もある」
ここが原作と同じ時代ならば、主人公の覚醒を見せれば良い。
それで有用性がわかるだろう。
てか、俺が見たい。
『それはすぐ見れるものなんですか?』
「俺の考えがあってれば、そろそろ総体の声に気づく者が現れるはずだ。そいつが作り出すロボットで世界は一応平和になる」
『なら良く無いですか?』
「それだと半永久的に戦い続けなきゃいけなくなる」
『進化には必要ですよ』
なめてんのか。
「流石に不老不死になってまで戦うのは、あまりにも人の心が無さすぎるだろ」
『人じゃありませんから。…?』
「どうかしたか?」
総体の様子が変わった。
『貴方が言ってたその人間が来たようですね』
つまり…
「時は満ちた」
『何がですか』
今すぐ覚醒シーンを見に行くぞ総体。
『人間、貴方の名前は』
「俺は、…俺?」
名前…名前か。
なら、この世界を全力で楽しみ尽くす
「神楽…神楽遊喜
意識が朦朧とする、流れる血が止まらない。
地面が振動するたびに何かが口の中に溢れそうになる。
先輩は逃した…あの先輩の事だ、きっと助けた子も無傷でギルドに届けてくれるだろう。
ズシン…ズシンとまるで人を煽るようにゆっくり近づいてくる。
あぁ…俺の人生これで終わりか。
大型肉食恐竜がその大口から黒い粘液を出し、そして。
あたりが眩い光に包まれた。
『ユウキ、あの人間が私にアクセスできた人間ですよ』
総体が指を刺したのは、原作主人公“リョウ・サカキ”君だ。
「良かった。俺の考えがあってた」
と、いってもティラノサウルス型の変異体なんて聞いた事ない。
『来ましたよ。進化の時が』
彼を中心に緑色の光が包み込む。
それはまるで繭のように進化を促している。
その光はひび割れ、その中から黒い巨人が現れた。
……巨人?
「え?」
光の中に彼はいる。
“貴方の望むものは何?
彼は思った。
あの巨大な敵を倒すための手段を。
病室で見た地球を守るロボットのことを。
最強のロボットとは何か。
彼は知っていた。
黒鉄の巨人と赤鬼のことを。
ならば、自分もそれに倣おう。
ならば、その力を模倣しよう。
彼の思いにGエネルギーが応えた。
光り輝く大地から彼を包み込むように物質が形成される。
その脚は太く力強い印象を与え、
その身体は漆黒に染まり、緑色に輝く光のラインが迸る。
その腕には鋭い刃が敵を切り裂かんと爛々と輝く。
そして、その頭には悪魔のような2本の角がある。
その巨人の名は____
「ダイナミック!G!!!!!!!!!!」
今、時代が動いた。
なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?
いや、え!?
『あれが、貴方の言ってたロボットですか?では、お手並み拝見ですね』
「ああ、彼の実力をその眼に焼き付けるんだな」
ここってアーマーじゃなかったっけ?
あのティラノのせいか?
デカブツにはデカブツを叩きつけるってことか。
リョウらしい考えというか。
まあ、俺はわかってますよ感を全面に出していこう。
これが、後方師匠面ってやつだ。
「くらいやがれぇぇぇ!!!!」
轟ッ!と巨人の剛腕が放たれる。
不意の一撃だったそれは、恐竜型変異体の顔面を捉える。
軽く100mは吹き飛んだだろうか、ヨロヨロと立ち上がりその尻尾を振るう。
目の錯覚か、その尻尾は倍の長さを有していた。
「ぐっ!?」
あまりの衝撃で口に鉄の味が広がる。
目の前の敵はまるで勝鬨を上げるように咆哮する。
「ちくしょう…これならどうだ」
ロボットと言えば、この技しかないだろう。
「その大口にぶち込んでやるッ!ダイナミックパァァァァァンチッッッ!!」
右腕をつきだし、発射される。
所謂ロケットパンチ。
その威力は、回避の隙を与えず口内を突き破った。
だが、それを意に介さずこちらへ走り込む。
凶悪に開き切ったその顎に右肩が食いちぎられた。
ちくしょうこれじゃだめだ…。
もっと、もっと強い技を…!
彼は思い出す。
これがGエネルギーできた物体だと。
ならばあれができるはずだ
そしておあつらえ向きに奴とは0距離だ。
「全エネルギーを持ってけ、ダイナミックGィィィ!!!」
瞬間、巨人の体が発光する。
まるで命の炎を燃やし尽くすが如く。
今、決着の一撃が放たれる。
「ダイナミックゥ…ファイッヤァァァァ!!」
腹部のシャッターが開く。
そこから飛び出したのは発射口。
放射された巨大な火炎が敵を包み込む。
「焼き尽くせ!細胞の一つ残らず!!」
全てが終わる頃には灰も残さず、あたりにドロドロに溶けた岩肌があるだけだった。
その巨人は役目を終えたとばかりに光となって消えた。
「はぁ…はぁ…はぁ」
死闘。
初めて身に起きたその戦いはこの先の運命を決めつけるものだったのかもしれない。
『確かに…あれ程の敵ならば必要なのかもしれません。』
「なら」
『はい。作りましょう、私たちのロボットを』
そして、ここにも運命を決めつけられた者がいた。
『案はあるのですか?』
「勿論、本当の戦いはまだまだ先のことだ」
打てる手は先に打っていくしかない。
俺たちが戦う相手はあんなものじゃないのだから。
そして、二人は瞬く間に消えた。
次回もなるべく早めに書き上げます。
やはり、スーパーロボットは良いな!
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