なんか妙に生生しくて雰囲気壊すのでアウトー!!
って事でボツ行き。
こんな話はもう書かないぞ!という戒めも込めて晒します。
※この話は別世界の話だと思って見て下さい。
※本編には影響ありません。
ネオンサインの明かりと、赤提灯の明かりに照らされた道を歩く。
引越し先が決まるまで万事屋に泊まる事になった、バイトからの帰り道。
神楽ちゃんは「家探すの面倒臭いからもうここに住めばいいネ」と家主の判断も仰がずに誘ってくれたけど、やっぱりそうは出来なくて、一時的に間借りさせてもらう事で落ち着いた。
心配そうな新八君の目とか、何か言いたげな銀さんの顔とか色々気になる事はあるけれど、『混ざれない』という思いは消えることなく胸に残っているから。
知り合いを見つけて、思わず足を止めた。止めてしまった。
嫌なものみちゃったなとそう思ってしまった。
相手はこっちに気付いていないようなので、これ幸いとそっと人混みに紛れる。
黒い着流しに身を包んだ、瞳孔が開いた男と、しなを作ってもたれかかる派手な女。
ミツバさんの友人としてそのまま問い詰める事も考えたけれど、二人の関係を明確に聞いていない私は、その権利を有していない。
隊服じゃないって事はプライベートなんだし、
困ったなぁ……。
割り切れない感情は、子供じみた正義感であると理解しているにも関わらず、上手く処理できずにオーバーフローを起こす。
少し気落ちしたまま万事屋の階段を上り、ただいまーと声を掛けるとおかえりと新八君の声がした。
夕食を食べ終え、食器を洗おうとすると、一緒に洗いますと新八君が手伝ってくれる。ふとこの少年なら何を思うのだろうと気になった。
「新八君。男の人って好きな女の人がいても、別の女の人とよろしくやれちゃうものなのかなぁー?」
もう少し明るく言うつもりだったけれど、それは
「何かありました?」
だから新八君はこうやって、本題と違う事を心配をしてしまう。特には何も無いんだけどね、それにはそう答え、回答を促す。
カチャカチャと食器を洗う手を止め、新八君はしばらく考える。
「僕も男ですから、それはまあ綺麗な女の人と一緒にいれば楽しいと思いますよ」
「好きな人が別にいても?」
「人それぞれかも知れませんが……そう思う男の人は多いと思いますよ」
僕は違いますけど、という言葉が後ろについたが、イマイチ納得出来なかった。
感情処理を新八君に手助けして貰いたかっただけなのだと気付き、零れた感情の持って行き場を失った私は、排水口に流れていく泡を見つめる。
最後の茶碗を洗い終わり、キュッと蛇口を締める。
「ありがとう」
手伝ってくれた事に対してか、答えてくれた事に対してか、それを曖昧にしながら礼を言うと、どういたしましてと律儀に返答が返ってきた。
それから新八君を見送ると、万事屋は静かになる。神楽ちゃんはテレビをつけたまま寝てしまった様で、それを抱き上げ押入れに横たえる。
あどけない寝顔、透き通る白い肌、艶やかな髪の毛が綺麗だった。
あと数年経てばとびきりの美人になるに違いない。
そして隣に立つ男の人が現れたら、それはもうとびきり幸せになるんだろう。
柔かい髪を撫でながら遠い未来に思いを寄せる。
一滴の喪失感。置いて行かれる自分が見えた。
特に面白い番組がやってるわけでもないが、音量を小さくしたテレビを見ながら眠気が訪れるのを待つ。
深夜の時間帯、下世話な番組が多くなる。抱きたい女優、抱かれたい男優ランキング。
優しくて綺麗な女優さんや、ウィットに富んだ細マッチョの男優さんがランキングを飾る。
女の人でも抱かれたいと思うことがあるのかと、それを見てふと思う。
新八君は男性のそれを理解できると言った。
私は? 私も女性のそれを理解出来るのだろうか。
周りの男の人や、ランキングに乗った男優さんについて考えてみる……。
スライドの様に切り替わる記憶の中の顔の中に、約一名……該当する人物が浮かんでしまい……考えなきゃ良かったと心底後悔する。
でもそれは、大昔の残骸。幼い頃、ヒーローに憧れて、それのお嫁さんになりたいなんて、小っ恥ずかしい事を考えた記憶の残骸。抱かれたいと言っても、抱きしめる以上の意味をもたなくて、そしてそれの対象は絵に書いた餅の様なものなのだから、ティッシュにくるんで心のゴミ箱にポイッと捨てる。
そして、やはり私には理解ができないという結論に落ち着いた。
ガラガラと扉を開ける音がした、ドタッと倒れる音の後は動く気配がしないので、仕方なく玄関まで不燃ゴミを片付けに行く。
くの字におしりを大きくつきだして器用に眠りこける、マダオ代表格。ブーツも脱がずに
「銀さーん、起きて」
声を掛けるが一向に起きる気配がないので、しょうがなくブーツを外し、ずりずりと引きずって寝室まで運ぶ。
抱き上げた時、濃いお酒の匂いに紛れ、ふわっと香の匂いがした。
一旦畳に寝かしながら布団を引く。
銀さんも……止めようと思った思考のブレーキは壊れてた様で止まらず、その先を考えてしまう。
結野アナを抱きたいと考えるだろうか、愛がなくとも。そして直ぐに、それは抱くだろうという結論に帰着する。
実際香の匂いを嗅いだのだし。それなのに考えるという事は銀さんに、そういう事をして欲しくないと思う子供の自分がいて……何度目かの自己嫌悪。
でも……銀さんには、惚れた腫れたなんてものが似合わなくて、なんだかそれが少し悲しくなった。
着流しを脱がし、せめてもとお湯で温めたタオルで顔と手足を拭き、布団の中に横たえる。
緩やかなくるっとしたパーマ、通った鼻筋、形の良い眉毛、新陳代謝が良いのか綺麗なつるりとした肌、そして時折輝くそのまぶたに隠された瞳。
きっとモテるのになと思いながら、トレードマークのパーマをグシャリとかき回し、電気を消した。