全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~ 作:ケ・セラ・セラ
第二十六話 魔剣鍛冶
「帰ったら郷土料理を食おう、君のおごりで」
――「ナバロンの要塞」――
俺達は村最大の倉庫にいた。ジューニャ印のブランデーを作ってるあそこだ。通称鳥のふん製造所・・・と言うとジューニャがめんどくさいので言わないが。
MMR号を入れ、ダンジョンから出た魔鉄鉱や魔力結晶、その他ドロップアイテムなどを運び込む。もちろん、ロウが運び込んでくれていた鍛冶道具も一緒にだ。
どうだロビン。これだけあればできるか?
「魔鉄鉱と魔力結晶がこんなたくさん・・・は、はい! これだけあるなら何とでもしてみせます!」
良い返事だ。じゃあ頼むぞ。
あ、そう言えば耐熱装備とかあるといいか?
「そんなものまで!? はい、それがあるならとても作業が楽になります!」
OKだ。ひまわりダンジョンまで行ってさっと取ってこよう。黒渦内部ならダンジョン・コアで転移出来る。
ジューニャとエフティはロビンを手伝ってやってくれ。力仕事が必要になることもあるだろう。
「おう、まかせとけ」
「・・・」
おい、ジューニャ。どうした?
「魔力炉の仕事が終わったらワイン飲めなくなるんだよ。だから黄昏れてるんだよこの駄エルフは」
それかよ。
魔力炉扱い嫌がってたくせに。
「それはそれぇ! これはこれでぇす!」
いいから働け! 仕事したら三日間はワイン毎日一瓶飲ませてやる!
「三日だけ・・・?」
やらんのなら一年間強制禁酒だ。
「ぎゃおおおん!」
コアによる転移でひまわりダンジョンまで行って、レンタルの耐熱装備をとってくる。
それをエフティ達に渡した後、領主館に集まってもらっていた隣村の代表たちと会見。
「何とそんな事が・・・」
「それでカエラ卿はどうされるおつもりですか?」
来ているのは平民の村長と領主である騎士が二人ずつ。
騎士二人は身分で言えば俺と同格かつ年上で経験豊富でもあるのだが、『飛竜殺し』の評判と村の規模のせいか、こっちにも丁寧に応対してくれるのがありがたい。
ここで下手にマウント取りにくるような馬鹿なら面倒な事になってた。
やはり金と武力と名声はあればあるだけありがたいな!
金! 武力! 名声! 金! 武力! 名声! って感じでぇ・・・
一通りの情報交換と今後の指針を共有し、俺は代表者たちと別れた。
向かう先は大倉庫。
マット村、いや、この周辺全ての村落一万人の運命を決める作業が行われている場所だ。
扉を開くと金属をハンマーで叩く音が流れ出してくる。
中では超常の光景が繰り広げられていた。
「はいっ!」
「よいしょぉっ!」
「はいっ!」
「よいしょおっ!」
巨大な金床の上で、魔力光を放つ何かの金属らしきものをロビンが叩いている。
その正面で、長柄の鎚を振りかぶってロビンの叩く金属を力一杯叩くエフティ。本来の意味での相槌という奴だ。
横には同じく巨大なふいごを使い、炉に魔力の籠もった空気を吹き込むジューニャ。
炉の中には魔力結晶、燃えるように魔力を放出している。
その中に放り込まれた金属は魔力を吸収して変質を起こす。
魔力とは本来混沌の力。創造神たちが作ったこの世界の法則を崩壊させる力だ。
魔力を多量に含んだ物質は形状、そして性質をも変化させる。
それに変化のきっかけを与えるのが術式印を刻んだ大鎚。
方向性を与えるのが魔剣鍛冶の小槌と意志の力。
恐らく何の変哲もない銑鉄(せんてつ)、原材料であったろうそれは、含まれた魔力とエフティの大鎚、そしてロビンの意志の力によって見る見るうちに浮遊の魔力を持つ魔法装置の部品に姿を変えていく。
「焼き入れ!」
「おう!」
これも魔力結晶の魔力を溶かし込んだ水の魔力濃度をロビンが確かめると、エフティが金箸で掴んだ部品をそこに突っ込む。
もうもうたる蒸気が噴きあがり、魔力の反応が起きる。
「出して!」
「おう!」
ロビンの声に従ってエフティが金箸を上げる。
その先には出来たばかりの魔法装置のパーツ。
「次!」
「そりゃ!」
完成したパーツを台の上に置くと炉の中に金箸を突っ込み、新しい材料を取り出す。
その間にタチバナの指示で力自慢の兵士たちが魔力水の桶を回収し、ジューニャが改めて魔力結晶の魔力を水に吹き込む。
ジューニャの魔力があれば結晶を使わなくてもいいのではと思うのだが、ジューニャの魔力はこいつの「色」がついてしまっているので、ロビンには使いづらいのだそうだ。
なので、色のついていない純粋な魔力である魔力結晶を使う。
金床の上に横たえられた銑鉄に、ロビンが小槌を振り下ろす。
「はいっ!」
「よいしょぉっ!」
「はいっ!」
「よいしょおっ!」
再び始まる鎚のリズム。
俺とフジは声をかけることなく、その場を後にした。
それから半日ほど。
集合した近隣の代表者と会談をこなし、村長とケイトーにこれからの指示を出す。
辺境伯領からはなんと東側の代官であり、辺境伯領全体の実務方トップでもあるミナの叔父さん本人が来ていた。
あのミナ嬢の叔父だけあって、決断の人である。
それとも問題児の兄貴の下で苦労してきたからかなあ。
艱難辛苦汝を珠にすってのは紛れもない事実だよな、と遠い目で共感。
「しかしカエラ卿。貴公の評判は国境を越えて辺境伯領にも届いておりますが、それでも先ほど伺ったお話は・・・」
まあ、にわかに信じられる事ではないよな。
ただ普通の人間ではあの魔力の黒雲を突破出来ないし、それを起こしている原因は今は遥か空の上だ。これしか手はない。
「実際貴方は黒雲の壁――『黒の災禍』でしたか。それを越えてやってこられた。
信じるしかありませんな」
それなりに鍛えてはいるが知性も感じる、文武両道と言った風情のダンディ中年。
おでこが広いのが血の繋がりを感じさせる。
「ははは、一族の特徴でしてな。ミナが随分とお世話になりましたようで。
ともかくもあれが無事で良かった」
ミナさんも随分と心配してましたよ。
この件にケリが付いたら顔を見せて上げてください。
「そうしよう。今までは没交渉だったが、これを機にマット村とは仲良くしたいものだ」
こちらこそ。
握手をしたところで扉にノック。タチバナが入ってきた。
「カエラ様。作業が全て終わったそうです」
そうか。すぐ行く。
ドロシュ卿を伴い、俺は足早に大倉庫に向かった。
MMR号は外見的には変わるところはなかった。
ひしゃげていた上部ハッチが修理されているくらい。
しかし、魔力感知ができる人間には分かる。
死んでいた魔導機動艇に、命が宿っていた。
全身に魔力が満ち、溢れんばかりに脈動している。
「どうでしょう、領主様」
疲労を隠せないながらも、誇らしげな顔で胸を張るロビン。
その後ろのエフティとジューニャも。
三人の顔を順番に見つめて頷く。
お前達、よくやった。
「はい!」
三人が一斉に破顔した。
薄暗がりの村。大倉庫の前に村の主立った面々と各村の代表が集まった。
「おお・・・」
MMR号が倉庫から姿を現しすと歓声が上がった。
それに手を振りつつ側面ハッチから搭乗する。
ふわり、と空中に浮くMMR号。
彼等が手を振り声を上げる中、20m程までゆっくりと上昇した機体は一瞬にして加速し、空の彼方に消えた。
> 金!暴力!セックス!金!暴力!セックス!って感じでぇ・・・
淫夢シリーズの名セリフ(棒)