全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~ 作:ケ・セラ・セラ
ジューニャの一言で食堂の雰囲気が一変した。
ダンジョンが開いただと? 本当か?
「こんな事冗談で言えるわけないでしょ!?」
真剣な表情で返されてしまった。
そうだよな、さすがにそうか。
間違いないんだな?
「間違いありません。
ダンジョン。
この世界では古代遺跡や魔物の住む洞窟ではなく、「神の夢」であるとされている。
天界から漏れた〈百神〉の思念が地上に影響を与えて生まれるのがダンジョン。
神の思念の泡はダンジョン・コアとして地底に現れ、地脈のエネルギーを使ってダンジョンを生み出す。
ダンジョンの中にはモンスターがおり、モンスターを倒すと魔力結晶や様々なドロップアイテムが落ちる。
目の前の先生から教わったことだ。
「どの神のダンジョンでしょうね。
「アンデッドやゴーストが大量に出ますもんねぇ。
私としては
そうだな。場所は? 何の神のダンジョンかは分かるか?
「それはさすがに無理です・・・場所は北の方、多分歩いて一日くらいのところじゃないかなあって」
一日か。"
「だと思いますよぉ」
"
この前退治した巨大ワイバーンなど、現在地上に存在するモンスターはこのあふれ出したモンスターの子孫だそうで、つまり放っておけばこの一帯でモンスターが増える。
そしてこの"
地下のマグマが地表に昇って火山が噴火するように、地下から発生して拡張したダンジョンのエネルギーが、地表に出る時に大規模に周囲に吹き出すのだそうだ。
「急いで戦える人を集めないといけませんねえ」
残念ながら、今村にいる戦える人間はこの場にいる奴だけだな。元門番のロージや兵役経験者を集めた自警団もいるが当てにはならない。
村長、急いで避難準備を呼びかけろ。ケイトー達とも相談するんだ。
「か、かしこまりました」
「準備をして参ります」
「私もなんだよ!」
「みなさん頑張って下さいね!」
何を他人事みたいなツラしてるんだ。お前も来るんだよ。
「えっ」
「えっ」じゃなくてな。お前じゃないとダンジョン見つけられないだろう。
大体お前事あるごとに『
こんな時役に立たずにどうするんだ、えーっ!?
「うぃ、
戦闘に使える呪文の一つも習得してない
解説しておこう。
まず大前提としてこの世界における「魔法」はみんな源流を等しくする。
〈創造の八神〉の一人〈祭壇〉が神の力を人間にも扱える様に簡略化し、弟子である神代の魔術師つまり今天界にいる〈百神〉が使っていたのが〈
人間が使う神授魔法(系統魔法)は〈百神〉がそれを呪文ごとに分割したもの。
エルフ達妖精が使う妖精魔法(精霊魔法)は〈真なる魔術〉が種族ごとに劣化・特化したもの。
前者は呪文を一つずつ覚える方式で、習得は用意だが融通が利かない。
後者は種族ごとにジャンルが限定されるし修行が大変だが、呪文の効果範囲や効果にアドリブを色々利かせられるらしい。
〈百神〉の神殿で教わる神聖魔法というのもあるが、これはぶっちゃけ系統魔法なので、魔術師が使う術と同じだ。《
で、系統魔法の名前通り、人間の使う魔法ってのはやたら種類が多い。
俗に魔法百統と言うくらいだ。
基本となるのが地、水、火、風、光と闇、獣、草、念動、音、幻、創造、物質(変性)、食糧、肉体、精神、知覚、治癒、守りの、ええと18系統か。
それに上級系統と呼ばれるのが天候、運命、霊魂、言霊、名前、使い魔、祝福と呪い、転移、呪文操作、魔力付与の十。基本の系統をある程度広く深く修めないと習得出来ない。
加えて神殿や魔術流派ごと、下手すると個人で独自の系統開発するやつもいるから、実際にはどれだけあるかわかったもんじゃない。
例えばフジの一族は光と闇の術に特化した素質を持って生まれてくるし、
前にワイバーンの防腐処置をしてくれたガーデナー氏は防腐術、つまり食糧系の術の使い手である。
同じ治癒系統でも
そして一系統か二系統しか呪文を覚えない大半の術師に対して、百を超えるような多数の呪文を使いこなす術師を俗に
妖精魔法を使うエルフにはまた別の基準があって、ジューニャは正式に
風ならそよ風を吹かせるだけ、火なら着火するだけ、治癒なら疲労回復だけ。
なんでこんな中途半端なことを・・・
「だって同じ事やってると飽きるし」
マジ使えねえなこいつ。
「わ、私
はいはい凄い凄い。実際魔力量とか術力とか、そう言う辺りは凄いのだ。全く活かせてないだけで。ともかく観念してとっとと来い!
「ぎゃおおおおん!」