全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~   作:ケ・セラ・セラ

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第二十一話 攻略準備

 ダンジョンを仮封印した後、俺達は無事に村に戻った。

 村人たちには取りあえずの安全を伝えつつ、しばらくはいつでも避難出来るようにさせておく。

 流石に疲れたので寝よう。

 明日の朝一番に鳩を放して、王都にいるタチバナに事の次第を伝達だ。

 ロウに頼んでポーションやら何やら揃えてもらい、タチバナか双子に村まで運んで貰う。

 この際三人とも来て貰って、ダンジョン攻略の手助けをして貰った方がいいか。

 そして翌朝。

 

「お願いするのはそうですね、鉤縄(カワナガ)や食糧と水、火口箱、ランプや油、チョークや最低限の薬などはありますが、ポーション以外に何かいるでしょうか?」

 

 忍者の七つ道具って奴だな。まずは戦利品を入れる袋。これは村で調達出来るだろう。魔法の袋があればいいが、さすがに高いだろうな。

 

「あれは最低でも金貨何百枚って値段になるから・・・ロウに預けてあるお金があれば払えなくはないけど、現状では間違ってもお勧め出来ないんだよ」

 

 おっと、財務担当にだめ出しされてしまった。

 こいつ金持ちの娘なのにそう言うところは厳しい。オヤジさんの薫陶だろうか。

 

「贅沢は敵なんだよ! 必要な出費はともかく、切り詰められるところは全力で切り詰めるべきなんだよ!」

 

 んじゃまあ、大きめの麻袋いくつかくらいにしておこう。念のため二重重ねで。

 後はマッピング用の紙と筆記用具と首からかける画板。シル、マッパーは頼む。

 

「了解なんだよ!」

 

 それに忘れちゃいけない、ロープと光源だ。

 

「ロープは鉤縄がありますが?」

 

 何に使うかわからないからな。何かを生け捕りにしたり、帰りのためにロープを固定しておいたり、その場で何か工作したり。

 30mくらいのを一つは用意しておきたい。

 

「なるほどなんだね。でも光源は? ジューニャ先生の光呪文があるし、いらないんじゃないの?」

 

 迷宮では明かりは複数あったほうがいいんだよ。

 魔法の光であっても何かの弾みに消えたり覆われたりするかもしれないし、そうなると致命的だ。

 《加護》で補える俺はまだしも、フジやジューニャはあくまで「夜目が利く」だけだから、完全な暗闇では行動できない。

 後、松明を持っておくとスライムとか、火に弱いモンスターに対して有効な場合がある。松明も丁寧に作った奴だと、間に合わせの奴よりは遥かに長持ちするし使いやすい。

 

 ついでに言えばシルが治療呪文を使えるとは言え、ポーションが沢山あるに越したことはない。お前が重傷負って行動出来なくなったり、一人じゃ回復が追いつかなかったり、備えが必要な場面はいくらでもあるからな。

 贅沢は敵だってのは同感だが、迷宮は命がけだ。

 安全マージンは取っておかないとな。

 

「うんまあそれはわかるんだよ。保険をかけるようなものなんだよ」

 

 そう言う事だ。

 それでタチバナ達だけど、やっぱり三人とも来て貰おう。

 双子のどちらかを外に出しておけば、不慮の事態でダンジョン内部で動けなくなった場合に生還率がぐんと上がる。

 後は基本的なことだが服と靴だな。

 

「服? でございますか?」

 

 ああ言うところに入るには、岩肌を転がっても打ち身すり傷を負わないような頑丈な服が必要だ。革に詰め物をした奴が理想。

 落ちてくる岩とか、怪我を負う要因はモンスターだけじゃないからな。

 靴については迷宮の中で破損したら致命的だ。出来れば予備を持っておきたいくらい。

 

 俺は甲冑の下に着るための鎧下と相応の靴を持ってるし、フジのメイド服やブーツもこれで特別製の忍者装束だからそれでいいが、少なくともシルには必要だ。

 ジューニャは・・・フジのメイド服を着せればいいか。靴は用意する必要があるだろう。

 後は同様に頑丈な手袋、防寒着や防具としての丈夫なマント、方位磁石、かなてこや小さなハンマー、鏡くらいか。

 

「鏡は何に使うんだよ?」

 

 曲がり角から出して、顔を出さずに通路の先を見るときに使う。

 

「でしたらわたくしが持っておりますのでご安心ください」

 

 そう言えばそうか。

 様子を窺う以外に、罠や扉の鍵を解除するときに使うからな。

 正面から覗き込んだら罠で死んだということもあるのだとか。

 

「いえ、普通に身だしなみを整えるためですが・・・」

 

 ・・・あ、そ。

 閑話休題(それはさておき)

 

 そうだな、大体これくらいで・・・ん? そう言えばジューニャはどこいった?

 参加する(本人の意志関係なく)んだから今のうちに要望を出して欲しいんだが・・・

 

「今礼拝堂で授業してるんだよ」

 

 あ、そうか。今日学校の日だったな。

 疲れてるだろうに意外とマジメだな。ちょっと見直した。

 

「まあ、基本的にはマジメでいい人ですし」

 

 だな。昼になったら戻ってくるはずだから、それからにしよう。

 

 

 

 エルフが納屋の天井から吊されている。

 両手両足をひとまとめにして、エビぞりで下向きに。

 

「カエラくんたすけてぇ!」

「黙るんだよ犯罪者」

 

 手に持った棒でぺしぺしとそれを叩くのはシル。

 目にたぎるのが怒りではなく憎しみなのは、ボンレスハムめいて亀甲縄の食い込んだ某所の肉がブラブラと豊かに揺れているせいだろう。

 閑話休題(それはさておき)

 

「お待ちしておりました、カエラ様」

 

 慇懃に頭を下げるフジ。その顔には表情が浮かんでいない。これ相当怒っている奴だ。

 ・・・で? 何だこれは? まあ大体察しは付くが。

 

「ジューニャ様は昼になってもお戻りになりませんでした」

 

 うん、そのためにお前に確認しに行って貰ったんだからな。

 

「ところが礼拝堂に行っても既にお帰りになったと言われまして。

 話を聞くと、村で酒蔵の管理をしている男性と一緒に帰ったのを見ていた方がおられました」

 

 この時点で続きを聞きたくなくなったが、しょうがない続けてくれ。

 

「お察し致します。その方はジューニャ様がお酒好きだと言う事をどこからか聞きつけ、こっそり酒蔵で酒を飲ませてやると誘ったと。

 で、酒蔵に連れ込んでお酒を飲ませていたのですが、余りにペースが早いもので止めようとしたら《念動》の呪文で宙づりにされてしまったそうです。

 私が探し当てたときにはワインの大樽が一つ空になり、いい気分で高いびきのジューニャ様と、宙づりにされて泣いてる酒蔵の責任者がいらしたというわけで」

「うっ・・・」

 

 冷たい視線が集中し、ジューニャが冷や汗とごまかし笑いを浮かべる。

 一応聞いておくぞ。なんでこんな真似をした?

 

「だって・・・だってワイン一杯しか飲ませて貰えないんだもの! 私頑張ったのに! ダンジョン封印したのに! どうして? どうしてお酒は飲むと無くなるの!?」

 

 きみはじつにばかだな。

 俺達三人が一斉に溜息をついた。

 そう言えばこの駄エルフに酒を飲ませた馬鹿はどうした?

 

「村長様に引き渡しました。そちらの処分はお任せしていいかと思います」

 

 だな。昔からの村の人間なんだろうし。スケベ根性起こしでもしたか。

 

「まあ美人は美人ですからねえ・・・」

 

 ちらりとガワは美人な駄エルフに顔を向ける俺達。

 

「ひどい! カエラくん今駄エルフって言った!」

「黙るんだよ駄目エルフ! むしろ駄肉エルフ!」

「痛い! シルちゃんつつかないで! 痛いから!」

 

 そこ、うるさいぞ。もっとやれ。

 

「あいあいさー! なんだよ!」

「やめてぇぇぇ!?」




>カワナガ
洋TRPGでは、何故か鉤縄のことをこう呼ぶ。

>なぜだ! なぜおかしは食べるとなくなるのだ!
のび太の名言中の名言。なおバイバインで宇宙滅亡フラグ。

>きみはじつにばかだな。
ドラえもんの寸鉄人を刺す名言。
これがドラえもんだからいいが、しずかちゃんに言われたら「生きる望みをたたれた!」って泣きわめいてると思うw
のび太ってドラえもんの暴言に関しては割とタフよね。
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