全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 エルフは脱がす

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 フジも、シルも、タチバナもレイも固まっている。

 特に普段動じないタチバナが思考停止してるのは実にレアだ。絵にして飾っておきたいくらい。

 

「あ、あの、もう一度お願い出来ますか? 何をすればいいんですか?」

 

 だから脱げ。全部だ。靴も靴下も下着も。

 

「・・・」

 

 聞き違いではないと知って、ジューニャも固まった。

 いいから脱げ。

 そこでタチバナが再起動した。

 

「お、お待ち下さいカエラ様。お考えがおありとは思いますが、だとしても説明無しに服を脱げと言うのは・・・」

 

 説明、いるか?

 言わなくてもわかるかと思ってたんだが。

 

「何となく察しは付きますが、だとしてもこれは説明無しでは許されませんよ」

 

 軽く俺を睨むタチバナ。

 ちらりと見るとフジとシルは今更ながらに答えに思い当たったようである。

 この二人なら言わなくてもわかると思ったが、ちょっと無理だったか。

 あー、つまりだな。フジ。

 

「はい」

 

 伸ばした手にフジが手渡したのは例の揮発性の高い、ニンジャ特製油。

 ではまずジューニャ。これを飲め。

 

「は・・・い? うぷっ! なんですかこれ、油じゃないですか!」

 

 そうだよ? そして次だ。脱げ。

 

「だから何で脱がなくちゃならないんですか!」

 

 お前の《加護》を使うからに決まってるだろ。お前は絞り器にかけられるひまわりの種だ! 馬鹿魔力の奔流の中で搾油されるがいい!

 

「えっと・・・ひょっとして油を大量に出して迷宮暴走(ダンジョン・スタンピード)で溢れてきたモンスターを焼くつもりですか?

 さすがにちょっと足りないと思いますけど・・・」

 

 構わん。というか、ちょっとだけなのか。

 それはいいからさっさと脱げ! そして油を出せ!

 

「で、でも・・・」

 

 顔を真っ赤にするジューニャ。

 ええい、時間が惜しい! フジ、タチバナ、こいつを身ぐるみ剥げ!

 

「は、はい」

「レイ、あなたは後ろを向いていなさい!」

「はいっ!」

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 きっかり一分後、生まれたままの姿になったジューニャがそこにいた。

 改めて見ても女神のように美しい裸身だが、今それを鑑賞する余裕はない。

 とにかく命令だ! 全力で油の汗をかけ!

 

「はい~~~~っ!」

 

 ジューニャが泣きながら集中すると、全身から文字通り滝のように汗が流れ落ちた。

 見る見るうちに足元に生まれる油の水たまり。

 よし、並行して《そよ風》の呪文で山に向けて風を吹かせろ!

 この平原一杯にな!

 

「は、はい・・・?」

 

 ジューニャが念じると風が吹いた。「そよ風」とはいうものの、洗濯物がひるがえる程度の風速はある。

 それを確認して俺は西川正宗を鞘ごと抜き、先端を油溜まりに突っ込んだ。

 瞬間、油が沸騰する。

 正確には霧となって空中に巻き上がる。

 

「これは・・・?!」

 

 驚いてるな。さすがにフジたちもこれは予測出来なかったか。

 高周波ミスト。

 高速震動で液体を霧状にする技術。

 元から揮発性が高かったこともあり、剣を伝った震動は容易く油を霧状に変える。

 そうしている間にも油の汗は噴水のようにわき出て、流れ落ちる端から霧に変わり、風で流されていく。

 まだ行けるか?

 

「全然行けます!」

 

 平原一杯に平均的に広がるように風は調節出来るか?

 

「できます!」

 

 最早ヤケクソの境地か、十数キロ四方の風を操れると鼻息も荒く断言するエルフ。

 こいつマジで凄い術師だな!

 

 そうしてひたすら油の霧を平原に振りまくこと三十分。

 やがて僅かな震動を足の裏に感じた。

 それに続いて地響きを耳に。

 

「来ましたよ、若様」

「来ましたよ、カエラくん」

 

 タチバナとジューニャが同時に口にした。

 やや間を置いて俺にもそれが見える様になった。

 未明の薄明かりの中、油の霧の向こうに見える無数の影。

 よし、ここまでだ! 汗をカットして100m後退!

 

「え、今ここで着火しないんですか?」

 

 一緒に吹っ飛びたいなら止めんが?

 さらばジューニャ、お前の勇敢な行為を俺達は永遠に忘れない。

 墓石には最高級のブランデーを一瓶ぶっかけてやろう。

 

「後退します! お墓じゃなくて生きてる私に飲ませて下さい!」

 

 涙目ですがりついてくるジューニャ。それ位言わんでもわかれよ。

 では後退!

 

 

 

 油でテカるエルフを俵のように担いで後退した後、レイが火矢を用意。

 俺も普通に弓くらいは扱える。

 その間にも地響きは大きくなり、今や文字通り大地を揺るがすほどになっていた。

 数百メートル先に迫る魔物の大群。

 人喰い鬼オーガー。巨大猪ヒュージボア。大蜥蜴ジャイアントリザード。岩の巨人ロックトロール。凶狼ダイアーウルフ。鉄の牛カトブレパス。大地虫モールワーム。一つ目巨人サイクロプス。三つ首合成獣キメラ。

 数千匹、ひょっとしたら数万匹のそれらが土煙を上げて迫ってくる。

 だがもう遅い。

 一時間、いや、30分早ければ手の打ちようなく俺達は全滅していたかもしれない。

 だがもう完璧に準備は整っている。

 後は火矢を一本、撃てばいい。

 俺の手元から、燃える矢が放たれた。

 フジ!

 

「はいっ! 皆様、伏せて下さい!」

「へ?」

 

 まぬけな声を出すジューニャ。

 だから! 鈍くさいのか俊敏なのかわからん奴だなお前は!

 

「きゃあっ!?」

 

 素っ裸でぽかんとしているエルフを押し倒して覆い被さる。

 畳のドームが俺達を覆い、全員が地面に伏せた。

 ほぼ同時に俺の放った火矢が油の霧に接触し、着火。

 天地の砕ける音が轟いた。

 




>きさまは電子レンジに入れられたダイナマイトだ!!メガ粒子の閉鎖空間の中で分解されるがいい!!
色々ブッ飛んでることで有名な、ボンボン版Vガンダムのウッソの迷言。
ギンザエフという名前のどう見てもハガー市長@ファイナルファイトなコロニー格闘王が出て来て、アウト判定食らって抹消された事でも有名。
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