全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~   作:ケ・セラ・セラ

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第四話 お客様は神様です

 それからお茶と菓子も出して貰って、和気藹々とした雰囲気の中で話が進む。

 で、こっちに来たのはやっぱりダンジョンの探索か? それとも俺が忘れられずに会いに来たか。

 そう言ったら無言で殴られた。

 

「んな訳あるか、バカーヴェッ!」

 

 フジたちは一斉に白い目。

 

「デリカシーが足りないのではありませんか、カエラ様」

「いや、これは分かってて言ってるんだよ。カエラちゃんは意地が悪いから」

「そうですねえ、いじわるですよね、カエラくんは」

「分かる。こいつ性根がひん曲がってるよな」

 

 俺の悪口で意気投合するエフティ含めた女四人。

 久方ぶりに会った親友への軽いジョークじゃないか。

 一方でハーラおばさんは何故かにっこにこである。

 

「ほらほら、照れ隠しで人を殴っちゃいけないよ。それに結構力入れてたでしょ。領主様が怪我したらどうするの」

「別に、手加減したし。それにこのくらいで怪我するわけねーし。こいつツルツルするからな」

「ツルツル?」

 

 ふてくされてそっぽを向くエフティ。ホントに昔のままだなあ。

 おばちゃんはハテナ顔。

 《波の加護》を用いた反発力防御だ。多分バネ足と同じクーロン力かなんか(適当)。

 こいつで人間離れしたこいつのパンチを素肌で弾いたりそらしたりすることが可能になる。限界はあるがな。

 

 そもそもこいつに友達がいなかったのも、その馬鹿力のせいだ。

 エフティは意外と自制の利く奴だが、それでも五歳児じゃ限界がある。

 ちょっとかんしゃく起こしただけで人を殺しかねない、人間の姿をしたヒグマが相手じゃ誰だって付き合いきれないし、まっとうな感性を持つ子供が他人に大怪我を負わせたらそりゃトラウマにもなる。

 

 そういう意味でお相手役に俺が選ばれたのは幸運だった。

 丁度《波の加護》の活用法を模索し始めたばかりで、最初に見つけ出したのが生体活性波動とこの「弾く」波動だったからだ。

 それによる防御法を編み出したタイミングで呼び出されたのだから神がかってる。

 エフティはまともに殴っても怪我もしなければ怒りもしない俺に驚き、それ以来俺とだけは安心して話すようになった。

 だから俺はこいつに殴られても痛いとは言わない。

 俺はこいつに何をされても平気な、対等の友達でなくちゃならないのだ。

 まあそんなこと、誰にも言うつもりはないが。

 それはそれとして話を戻すが、やっぱりダンジョンか? こっちに来たのは。

 

「あ、ああ。最近護衛の仕事も減ってきてたしな。いっちょダンジョンで一稼ぎしてみようかと思ってさ。・・・何かえらい儲かるようなこと聞いたけどマジか?」

 

 おう、マジマジ。

 駆け出しが入る分には普通のダンジョンだけど、お前やお前のとこの団員が入るなら結構稼げるはずだ。

 ただし、貸し出してる耐火装備や火炎武器のレンタルを受ければな。

 説明してやるとエフティがじとっとした目でこっちを見てくる。

 

「おい、タチの悪い商人や依頼料値切ろうとする依頼人みたいな顔してんぞテメエ」

 

 領主なんてやってたらこうもなるさ。

 

「・・・いくらだ?」

 

 入場料が本来ならダンジョンで得た収益の1割なところ、火炎武器と耐火装備ワンセットごとに+1割でございます。まあ、何てお買い得!

 

「たけーな! まけろよ!」

 

 せやかて工藤、戻ってこない事も考えたらこんなもんやろ。

 貸して戻ってこなかったら俺が回収しに行かなきゃならないんだぞ。

 言っておくが火炎槍なら一突きすれば倒せるし、着火して倒したら爆発するぞあいつら。

 

「・・・爆発?」

 

 そ。体の中に特殊な油があって、表皮を破って着火すると爆発する。倒す分には楽なんだが水をかけても消えない炎がしばらく燃え続けるから、《火球(ファイアーボール)》の魔法より厄介だぞ。

 《消火(イクスティンギッシュ)》の魔法を込めた消火剤も売ってるが、こっちもそこそこいい値段はするからな。

 

「ぬぬぬぬぬ」

 

 まあ、大型クロスボウ(アーバレスト)と火矢のセットもある。こっちは1セットごとに入場料+5%だが、耐火装備が無いから近寄られるとしゃれにならないぞ。耐火装備単体なら+5%だ。

 まあ着火で倒さなかったら普通にオーガーやトロールと戦うことになるし。お前なら多分倒せるだろうが、《剣士級(第三級)》の連中には辛いだろうな。

 

「うーん。トロールって四メートルくらいあるんだっけ?」

 

 ああ。ここに出るのはロック・トロールっていって岩肌と同一化する種類で・・・

 

 

 

 話し込んでるといつの間にか昼近くだった。

 もちろん手続きはとっくに終わり、だれた傭兵どもは道ばたに座り込んで昼間から酒盛り始めてる。

 あー、悪い。ちょっと盛上がりすぎたかな。

 

「いや、オレも悪かったからさ・・・それにああ言うテキトーな連中だからな、元々」

 

 溜息をつくエフティ。

 

「ったく! このバカども!」

 

 あ、怒ったハーラさんに蹴り飛ばされてら。出来上がってた連中が、またしても蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 まあ、いい時間だしメシにしようか。

 取りあえず団の連中も連れて領主館に来いよ。おごってやる。

 

「そ、そうか? わりぃな」

 

 そう言いつつ嬉しそうなエフティである。

 その笑顔、プライスレス。

 

 

 

 領主館の大食堂に料理と酒が並べられる。

 よおし、この飯と酒はお前らにくれてやる! 好きにしろっ!

 

「さっすがー! カエラ様は話が分かるっ!」

「領主様バンザイ! マット村バンザイ!」

 

 さっきまで俺に殺気ぶつけていた連中が、おごりとなったらこれだ。

 ノリのいい奴らである。まあ傭兵なんてこんなもんだろうが。

 

「ふぐぐぐぐぐ」

 

 なお昼間からワインやブランデーをがぶ飲みする傭兵たちを血涙を流しながら見ているジューニャ。

 そっとしておこう・・・

 

「おい、あのねーちゃんほっといていいのか?」

 

 飲んだら大体やらかすからな。自業自得だ。

 

「ああそういう・・・」

 

 納得するあたり、こいつも似たような奴らはさんざん見てきてるんだろう。

 逆にあいつら酒飲ませて大丈夫か?

 

「オレとハーラさんがいりゃ大丈夫だ。迷惑はかけねえよ」

 

 そうか。

 まあダンジョンまで馬車で半日はかかるからな。

 どのみちアタックは明日以降になるし、酒も抜けるか。

 

「そういうこったな」

 

 お前らは今晩向こうに泊まってアタックは明日の朝だな? 俺も行くからちょっと待っててくれ。

 

「えっ?」

 

 何驚いてるんだよ。子供の頃に約束したろ。一緒にダンジョン攻略しようぜってな。

 

「・・・!」

 

 どうした、忘れてたのか?

 

「ば、馬鹿っ! 忘れてたわけねえだろ! お前が覚えてたんでびっくりしただけだ!」

 

 そうかい。

 俺は肩をすくめて食事を続ける。

 エフティが向こうを向いて肩を震わせてるのと、声が湿ってるのは見ないふりをした。




>よおし、この女はお前らにくれてやるっ!
>さっすがーっ! オズ様は話が分かる!
タクティクスオウガのトラウマシーンの一つ。
なのだが、コラやネタとしても大人気。
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