全てを押し流すトンチキスキル ~奴隷しか抱けない男は女を所有する~ 作:ケ・セラ・セラ
で、協力と言って何をするんです?
「うむ、ロビン嬢を連れてある美術品のオークションに乗り込んで欲しい。
残党の中心人物が出席するとの情報があるんだ。
実務はこちらでするから、君たちは囮になってくれればいい。
どうかな?」
どうだ、ロビン? ある程度の危険はあるが、守ってやれると思う。
「・・・わかりました。これが終われば、工房のみんなは安心なんですよね?」
手が震えている。当然だな。傭兵育ちとは言え、今まで戦ったこともない普通の娘さんだ。
ジョンおじさんもそれは気付いているだろう、大きく頷いて安心させるように笑みを浮かべた。
「当然だ。それとうちの人員を工房にすぐ向かわせよう。この件が解決するまで、ずっと君の家族には護衛がつく」
「ありがとうございます」
こちらも何とか笑みを浮かべて頭を下げるロビン。
そう言えば下世話な話ですが、この件で報酬を貰ってもいいですか。
「うん? いや、もちろんいくらかは出すつもりだったが・・・」
いえ、お金はロビンにやって下さい。
俺の方は、ちょっと内務省の人員をお借りしたくて。
「ふむ?」
あるでしょ、噂を流して世論をコントロールする部署とか。
市井に流布している、俺が手当たり次第に女に手を出す好色漢だという噂、もみ消して貰えませんか。
名誉毀損もはなはだしい!
「・・・」
「・・・」
「・・・」
そう言うと何故か部屋が沈黙に包まれた。
「・・・まあ、カエラがそう言うならやってはみよう」
「ですが閣下。内務省の総力を上げても不可能な案件では?」
なんでや! タルカスさんに食ってかかる俺。
「なんでって言っても・・・ねえ?なんだよ」
「少なくとも傍から見たらそのものですからねえ・・・」
「実際好き者だろお前」
女どもの溜息。ぬぬぬぬぬ。
何だフジ、何か言いたそうだな。
「いえ、カエラ様が良く口にしておられる言葉を思い出しまして」
・・・どんな言葉だ?
「『汝自身を知れ』でございます」
うるせえよ!
それはそれとして、オークションに行くための準備を整える。
ロビンはもちろん、俺も礼服なんか持ってきてないのでその辺は内務省で用意して貰う。
タチバナにはちょっと
なお、「灰色の幽霊」通りの屋敷はとある貴族の別邸だったが、今は使われておらず、たまに手入れの人員が派遣される以外は無人との事。関係ないお屋敷を利用しただけかな。
ガニア工房や男達の入っていった宿屋にも内務省の人員が到着し、ヒョウが彼等と入れ替わりでニシカワの屋敷に戻った。男達の似顔絵はレイが描いて既に渡してある。
フジに手伝って貰って着替えながらそんな話を聞き、大臣室に戻る。
「おー。やっぱりカエラちゃんはかっこいいんだよ」
「男ぶりが上がりましたね」
「まあその、似合ってるんじゃねえか?(赤面)」
うーん、エフティの反応がかわいい。
ロビンは?
「もうすぐ来るはずだ・・・おお、来た来た」
ドアを開けて入ってきたのはロビンだった。
髪をなでつけ、化粧でそばかすを消し、品のいいジャケットとパンツを身につけている。
元が結構美形なので、町を歩けば十人に七人は振り返るだろう。女性なら十人に九人だ。
・・・って、何で男装やねん?
「え? 当然では・・・あ、ひょっとして女装してもらう必要があったんですか?」
おばちゃんの局員が首をかしげると、ロビンが目に見えてがっくりした。
物凄く自然に男性扱いされてるな・・・
説明されると目を丸くしてたんで本気で勘違いしてたんだろう。
まあ俺も股間見るまで男だと思ってたし人の事は言えないが。
「おおおおお」
しばらくして二人が戻ってくると、ロビンは今度こそ立派な淑女になっていた。
足りない髪はウィッグで補い、紅もつけて上品なお出かけ服に宝石もつけている。
「その・・・私には似合わないです」
本人が恥ずかしがっているのが更にポイント高い。
「そんな事無いですよ。お似合いです」
「そうなんだよ! 胸が足りないけど、そこはすぐに成長するんだよ! 私たちは育ち盛りなんだから! ね、カエラちゃん!」
ロビンを擁護する振りをしてここぞとばかりに将来性をアピールするシル。
そうだな、常に未来に希望はある(棒)。
ともかくこれで準備は出来たか。
「全員で行ってはさすがに目立ち過ぎる。カエラとロビン嬢、お付きにフジくんとこちらから一人人員を派遣するから、他の君たちは近くで待機していてくれ」
「ちぇっ、しょうがねえな」
まあ我慢してくれ。見た目子供のシルやエルフのジューニャは目立つし、会場は剣とか持って入れないから、革鎧に剣のエフティは入場ではねられるだろうし。
そう考えると本当に目立つ一行だな。
「気付くのが遅すぎませんか」
慣れてしまうとな・・・。あ、シル。取りあえず心話の術を頼むわ。
「了解なんだよ」
辻馬車を拾ってオークション会場に。
執事風の男が俺達を出迎えた。
「お待ちしておりました。内務省のイヴァン・ケンドルです」
金髪碧眼でイケメンのにいちゃんである。
立ち居振る舞いも隙が無くて、こう言う場所にいて違和感がない。
ご苦労さん。これからの手はずは?
「オークション開始までしばらくあるので、その間は控え室でお待ち頂いて、しかる後オークション会場に入って頂きます。この場での捕縛は基本無しの方向ですし、うまく行けばカエラ卿に動いて頂く必要もございませんので、ご自分とロビン嬢の安全だけをお考え下さい」
了解だ。
さて、レディ・ロビン。
エスコートをさせてもらえるかな?
「ははははははははい」
ガッチガチやな。
まあハイソな世界に縁のない人がいきなり連れてこられたらこうもなるか。
かくいう俺も伯爵とは言え質実剛健を旨とするサムライの家系だから、そこまで慣れてる訳ではないんだがな。
ともかくお手をどうぞ。力を抜いて、俺についてきてくれればいいから。
「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
それ結婚の時に言う奴! さてはまだテンパリまくってるなお前!?