クルミ「―今日はやけにテンション高いな」
るーあ「その言い方だといつも低いみたいじゃん!?」
クルミ「まぁ事実だろ。……それにしても、この先の展開考えると今が一番平和かもな」
るーあ「クルミちゃんネタバレはやめようね~?」
第零話「新規アルバイトォォ!?」
静かな街並み、朝焼けの空が街を包み込んでいる。ここは、開店前の喫茶リコリコ。開店準備を進めている千束、たきな、クルミ、ミカこと店長、ミズキ。ここに新しいアルバイトがやってくるなんて思いもしなかった。
…カランカラン…「あーお客さんまだ開店前なんで少し待ってもらえます?」
「アルバイト募集を見て応募した、るーあですが。。。」
「・・・」
「たきな。アルバイトなんて募集してたっけ?」
「少なくとも直近で応募はしていないはずです。」
「そうだよね!そうだよね!っていうことは…」
「DAからの潜入調査!?!?!?」
「それはないと思います。」
「朝から騒がしいな」
「あ、先生!いいところに?」
「なんか『るーあ』って人がアルバイト募集見てきたとか言っているんだけど-」
「あぁ。るーあか。」
「え?何? 知ってんの??」
「私が呼んだからな」
「え!先生が呼んだんですか!」
「・・・なら司令がどうこうではないかぁ」チラ…
「???...なんでしょうか?」
「いや!なんでもない、なんでもない」
「今日からお世話になります!よろしくお願いします!」
「よろしくね!るーあ」
「宜しくお願いします」
「あぁ。頼むぞ」
「おぉい酒はまだかぁ」
(なんか違う人混ざってない?)
「それじゃあ早速!るーあちゃんには、私と一緒にホールの仕事から覚えてもらおうかな!」
千束が、るーあの背中をバンバンと景気よく叩く。その勢いに少しよろけながらも、るーあは「はい、頑張ります!」と元気よく返事をした。
「るーあさん。まずは制服に着替えてきてください。サイズは……多分、これで合うはずです」
たきなが差し出したのは、お馴染みの和モダンな制服。それを受け取っていると、カウンターの奥からクルミがノートパソコンを抱えたまま顔を出した。
「ふん……見たところ、変な癖はなさそうだがな。ま、ミカが呼んだってんなら、それなりの理由があるんだろ」
「おいクルミ、あんまり新人を怖がらせるな。……すまないなるーあ、うちは少しばかり『賑やか』だが、慣れれば悪いところじゃない」
ミカが穏やかに笑いながらフォローを入れる。その足元では、ミズキが「あー、また若い女の子が増えたわねぇ……私の婚期が遠のく気がする……」と、まだ朝だというのにカウンターに突っ伏していた。
―数分後
着替えを終えたるーあがフロアに戻ってくると、千束が目を輝かせて拍手した。
「おぉ?!似合ってる似合ってる!これでもうリコリコの一員だね!」
「ありがとうございます。……あの、まずは何をすればいいでしょうか?」
「よし、じゃあ最初のお仕事!……の前に、ちょっと銃弾避けてくれる?」
「……それ、喫茶店に必要なんですか?」
るーあが困惑しながら尋ねると、たきなが真顔で答える。
「護身用です。この店では、コーヒーを淹れる技術と同じくらい、回避能力が求められますから」
「えっ……?」
るーあが固まっていると、千束が「あはは!たきな、冗談がキツいよ?!」と笑い飛ばす。
しかし、その手にはちゃっかりとモデルガンが握られていた。
「大丈夫だよ、るーあちゃん!命までは取られないから!……たぶん!」
(……私、本当に普通のアルバイトに応募したんだよね……?)
朝焼けが完全に消え、明るくなった街に、開店を告げる看板が掲げられた。るーあの、平穏(?)なアルバイト生活が今、幕を開ける――。
「じゃあ、行くよー」
―パァン!
るーあ「うわっ!マジで――」
(スッ)
一瞬。
“避けた”というより――
“当たる前からそこにいなかった”ような動き。
たきな「……?」
るーあ「当たるから!!ってば!!」
「思いのほかやるじゃ~ん」
「本当にアルバイトですか?普通なら当たってもおかしくないのに」
「んあぁぁぁ! 朝っぱらから何しとるんじゃぁ! っていうか酒はまだかぁぁ...」
「ミズキさんは何を言ってッ いるんですか!それよりいつまで避ければいいんですかー!」(シュッ)
「千束、そろそろいいんじゃないですか」
「たきながそういうなら...まぁまぁ...」
「なんでちょっと不満な感じなんですかー!!!」
「あはは!だって、るーあちゃんがあまりに綺麗に避けるから、ついつい楽しくなっちゃって!」
千束はモデルガンをホルスターに収めると、満足げに腰に手を当てた。
るーあ「……はぁ、疲れたぁ」
「……問題なし」
るーあ「……え?」
るーあ「……今の、なに……?」
「……でも、驚きました。千束の射撃をこれだけ至近距離で回避し続けるなんて。るーあさん、本当に『一般公募』で来たんですよね?」
たきなが疑いの眼差し(という名の、いつものジト目)を向ける。その視線の鋭さに、るーあは冷や汗を拭いながら、激しく首を振った。
「もちろんです!ただの、どこにでもいる、平和を愛する学生ですよ!……というか、今の面接の一環なんですか!? 死ぬかと思いました!」
「リコリコ流の『適性検査』ってやつかな! 合格だよ、るーあちゃん!」
千束が親指を立ててウィンクする。その横では、ようやく這い出してきたミズキが、空になった酒瓶を振り回しながらカウンターに突っ伏していた。
「……あーもう、朝からうるさいわねぇ……。あんた、そんなに動けるなら、後で私の肩も揉みなさいよね……。あ、あと二日酔いに効くお水……」
「ミズキさん、それは自分でやってください。るーあさんはこれから開店準備の手伝いです」
たきながピシャリと言い放つと、ミカが奥から「よし、それぐらいにしておけ」と声をかけた。
「るーあ、災難だったな。だが、この二人と上手くやっていくには、それくらいの『身のこなし』が必要になる。……さて、開店の時間だ。まずはテーブルのセッティングから頼めるか?」
「……はい! わかりました!」
るーあは(この店、やっぱり何かがおかしい……)と内心で確信しながらも、手渡されたダスターを手に、慌ただしく動き出した。
「おっ、いい返事! じゃあ、るーあちゃん! 今日から喫茶リコリコ、盛り上げていこーね!」
千束の屈託のない笑顔と、たきなのテキパキとした指示。
カオスな朝の喧騒を突き抜けて、喫茶リコリコの「新しい日常」が本格的に始まった。
追記ログ:いやーリコリコ流、『適性検査』の洗礼はどうなるかと思ったよ~