サキ「どう見ても怪しいだろ...」
るーあ「怪しくないですー。フツーですー」
「いやー。私はただのアルバイト。決して変なことは一つもしてないよ(汗)」
るーあは、引きつった笑顔のまま、猛烈な勢いでテーブルを拭き始めた。摩擦でテーブルが発火しそうな勢いだ。
「それじゃあ、さっきの『指令』っていうのは?」
「あー。それは気のせい、気のせい! 最近の若者言葉だよ!『マジ指令(まじしれい)』って言って、……ほら、『マジ受ける』みたいな意味!」
「……聞いたことないけど」
サキとマイがジト目で詰め寄る。その背後では、空気を読まない千束が「えー! るーあちゃん、さっき楠木さんの悪口ですごい顔してたじゃん!」と追い打ちをかけてくる。
「(千束さぁぁぁん!!)」
なんとかその場は「個性的すぎる喫茶店」という力技で押し切ったが、サキたちの疑念は晴れていなかった。
「……ねぇ、るーあ。今日、一緒に帰ろうよ。寄りたいところあるし」
「えっ、あ、う、うん。いいよ……」
放課後。るーあはサキたちと下校することになったが、DAの端末からは非情な通知が鳴り響く。
『4050番。墨田区付近で不審なドローンを確認。近隣のセカンドリコリスは直ちに追跡を開始せよ』
(今!? なんで今なの!?)
「るーあ、どうしたの? スマホ、ずっと鳴ってるよ?」
「あはは! これ、……たまご○○的な? 餌あげないと死んじゃうやつだから、ちょっと失礼!」
るーあは路地の影に飛び込み、サキたちに背を向けて端末を操作する。だが、サキたちはこっそりとその後を追っていた。
「(……ドローンの反応、この先か。サキたちを撒かないと……!)」
るーあが驚異的なスピードで角を曲がると、サキたちが小走りで追いかけてくる。
「ちょっと、るーあ! 速すぎだってば!」
「待ってよ、どこ行くの!?」
るーあは建物の隙間を縫い、フェンスを飛び越え、最短ルートでドローンの予想地点へ急ぐ。後ろを振り返る余裕はない。
(ごめん二人とも! 今日の私は『平凡な女子高生』じゃなくて、『セカンドリコリス』なんだ!)
だが、るーあが辿り着いた公園の広場で目にしたのは、低空飛行する奇妙なドローン……ではなく、それを「網鉄砲」で捕まえようとして四苦八苦しているミズキの姿だった。
「ちょっとぉ! こいつ、私の新作の美顔器を盗んでいったのよぉぉ!!」
「……ミズキさん? これが『不審なドローン』の正体……?」
「あ、るーあ! ちょうどいいところに! ほら、あんたの射撃で落としなさいよ!」
その瞬間、背後からサキたちの絶叫が響いた。
「るーあ……!? あんた、今……網鉄砲持ったお姉さんと何を……!?」
るーあは、手元にあるDAの端末と、目の前のカオスな光景、そして呆然と立ち尽くす友人たちを交互に見た。
るーあ(……終わった。私の学園生活、これにて強制終了……!!)
「いやぁ……これは、その……高度な鬼ごっこ、的な……?」
夕暮れの公園で、るーあの必死すぎる言い訳が空虚に響き渡った。
追記ログ:まだ大丈夫、まだ動ける