リコリス新人アルバイト『るーあ』の観測日記   作:田上るーあ

13 / 43
るーあ「...」
クルミ「なーに暗い顔してんだよ」
るーあ「べ、別に~...」


第十二話「もう隠しきれない!? 友情と弾丸の境界線」

「さっきのあれは、なにかな……?」

 

サキの笑顔が怖い。マイの目が笑っていない。夕暮れの公園、逃げ場のない砂場の前で、るーあは完全に包囲されていた。

 

「え、えーっと……。あれはね、その、最近流行りの『エクストリーム・美容・キャッチ』っていうスポーツで……ね、ミズキさん!?」

 

「え? ああ、そうそう! 逃げる美顔器を網で捕まえることで、女子力が爆上がりするっていう最新のトレーニングよぉ!」

 

ミズキが網鉄砲を担ぎながら無理のあるフォローを入れるが、サキたちは一歩も引かない。

 

「るーあ。あんた、さっきフェンスをバク宙で飛び越えてたよね? 運動神経壊滅的なはずのるーあが」

「それに、その持ってる変な端末……さっきからピコピコ『ターゲット捕捉』とか不穏な文字が見えるんだけど?」

 

 

 

 

 

るーあ(終わった……。これ以上嘘をついたら、友情どころか人間不信にさせてしまう……!)

 

冷や汗が滝のように流れ、るーあが観念して口を開こうとしたその時。

 

 

 

ドォォォォン!!

 

 

 

近くのビル建設現場から、凄まじい爆発音が響いた。

 

「きゃあぁぁっ! なに、今の!?」

「火事!? テロ!?」

 

パニックになる友人たち。るーあの端末が激しく振動する。

『緊急通報:墨田区建設現場にて武装集団による立てこもり発生。付近のリコリスは直ちに現場を封鎖せよ』

 

「……っ!」

 

るーあの顔から「平凡な女子高生」の仮面が剥がれ落ちた。

 

 

 

 

 

「サキ、マイ! 二人とも、今すぐここから離れて、駅の方まで走って! 振り返っちゃダメ!」

 

「えっ、るーあ!? 何言ってるの、あんたも一緒に――」

 

 

 

「いいから!!」

 

 

 

るーあの鋭い一喝に、二人が息を呑む。その瞳は、昼間のドジな友人ではなく、幾多の死線を越えてきた「狙撃手」のそれだった。

 

「ミズキさん、二人を誘導してください。……私は、あそこを黙らせてきます」

 

「……わかったわ。あんた、無茶しなさいよ!」

 

ミズキがサキたちの腕を引いて走り出す。サキは去り際、遠ざかるるーあの背中を見て、小さく呟いた。

 

「……るーあ、あんた。本当は何者なの……?」

 

 

 

 

 

建設現場の屋上。るーあは、瓦礫の陰に身を潜め、ライフルを組み立てる。

スコープの向こう側には、人質を取って気勢を上げる武装集団。

 

「……風速3.2メートル。湿度、やや高め。……距離、420。……。……あーあ。これで本当に、普通の高校生には戻れないかもなぁ」

 

引き金にかかった指に、微かに力がこもる。

 

「でも。……あいつらの平和な明日を守るのが、私の『バイト代』に見合う仕事ですから」

 

パァン――!

 

 

 

 

静寂を切り裂く一発の銃声。

それは、るーあが選んだ「友情」と「弾丸」の、決別の音だったのかもしれない。




追記ログ:ま~じでこれってもうバレてるよね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。