「え〜三門ヴォーパルソードの選手がジャンプボールの際にボールの最高到達点に達する前にボールに触れた為にボーダー側のボールから再開します」
三門ヴォーパルソードとボーダーの親善試合、それを見に来ている者はボーダー隊員が主だ。
生身の運動能力が高く運動神経抜群のボーダー隊員達が大戦相手の選手に選ばれ、試合を観戦しているのはバスケは学校の授業でやった事がある!と言うレベルであり審判が何故ホイッスルを鳴らしたかについて試合を見ているボーダー隊員達に説明をする。
「ジャンプボールで最高到達点に達する前に触れるって、そんな事あるの?」
「あるもなにも、現にレイジさんより先にボールに触れてるじゃないっすか」
「いや、そうだけど」
ジャンプボールでボールが最高到達点に達する前に紫原がボールに触れた。
ボーダーの中でも特に体格に恵まれているレイジよりも更に大きい紫原がボールの最高到達点に達する前に触れた事をありえないと小南は言っているが、現にそれが起こっていると烏丸は冷静に指摘する。
「小南先輩、あの紫原って人よりも緑間って人の方がおかしいの気付きませんか?」
「え?……ああ、そういえば速攻でシュートを入れに行ってたわね。まぁ、まぐれよ、まぐれ」
紫原が最高到達点に達する前にボールに触れた事でざわめいているが、それよりも気にしなければならないこと。
ジャンプボールで紫原からボールを受け取った緑間がなんの迷いもなく3Pシュートに入った。緑間は自陣に居たにも関わらず。小南は偶然の一言で片付けるが、烏丸はこの試合はとんでもない事になるなと予測する。
「すまん」
「いえ、結果的にはボーダーのボールになったので……とは言え」
レイジがジャンプボールに負けたことについて歌川に軽く謝罪を入れる。
結果的にはボーダーのボールになったので良しとすると歌川は軽く流すが盤面を冷静に整理する。相手はプロスポーツ選手として契約する予定の面々で、スポーツ選手に置いて最大の武器である大きさを持っている。体格でまともに相手になるのがレイジだけであり、そのレイジですら背丈で勝っているかと聞かれればNOである。
自分のポジションはPG、ボールを上手く捌いて盤面を整える。
ランク戦とバスケは異なるが一部には通じる物がある……とは言え、相手はプロになる予定の選手。運動能力がプロアスリートレベルに設定されているトリオン体だからどういう風に動くかを考える。
「っ!」
ボールを相手陣地にまでドリブルで持ってきてそれぞれがポジションにセットする。
桃井の予想通り、Cはレイジ、PFは村上、SGは柿崎、SFは米屋、そしてPGは歌川。赤司達はマンツーマンディフェンスをしており、歌川と赤司は対峙する。
「そう硬くならず、これは親善試合ですよ」
負けたからといってなにかを失う試合ではない。
自分達と大して年齢が変わらない者達がプロバスケ選手になるのだからとボーダー側は少し緊張をしているなと赤司は見抜いたか。親善試合、相手はプロなのだから負けて当然。もう少し気楽に行った方がいいと赤司は赤司なりのフォローを入れているが、歌川は別のものを感じ取る。
この親善試合は三門ヴォーパルソードの結成にボーダー内部で色々と文句を言われない為でもある。
その為には三門ヴォーパルソードの面々はボーダーの運動神経抜群の隊員達を倒さないといけない。故に赤司は優しい言葉をかけているが、試合は一切手を抜かない。
歌川は当然それを感じ取った。
現在コート内に居る三門ヴォーパルソードの中で体格は平均的な筈で、同じポジション同士でマッチアップをした場合は最も勝てる可能性が高い、そう思っているだろうが赤司の構えや微弱な揺さぶり等を見て通常よりも重圧感、そして三門ヴォーパルソードは自分達としている事は異なるとは言えプロなのだと感じ取る。
「負けてられないな」
だが、それがどうした?と言う話だ。
相手が自分よりも格上だから勝てなかったは勝負の世界は言い訳に過ぎない。そもそもでこの三門ヴォーパルソードとの親善試合の話は断ろうと思えば断る事は出来た。赤司から感じる威圧感は恐ろしいものの歌川はドリブルで颯爽と赤司を突破した
「成る程、かなり速いな」
「なっ!?」
ドライブで歌川は赤司を抜いたが、歌川の手にはボールがなかった。
赤司は抜かれた瞬間、直ぐに手を伸ばしていた。まるで歌川の手の位置が分かっているかの様にボールを弾いた。そしてそのボールは再び緑間の手に渡り
「今度こそ本当に先制点なのだよ」
三門ヴォーパルソード側からボーダー側のコートに向かって3Pシュートを撃った。
ボールってあんなに高く飛ぶの?と言うツッコミを置いていき綺麗なループを描いた3Pシュートはリングに一切触れずゴールに入った。
「っ……これはスゴいわね」
緑間の3Pシュートを見た加古は面白いものが見れたと笑みを浮かべた。
1度目の時は紫原の印象もあった為に薄かったが今度は違う。緑間はなんの迷いもなく自陣から3Pシュートを撃った。そして1ミリの狂いもなくゴールに叩き込んだ。
「実戦で見るのははじめてだけど……やっぱイカれてんな」
「あら、彼等の事を知ってるの?」
「ええ、まぁ、一応は」
ののと橘高は事前に情報を持っているが実際に見るのは初めてでありイカれているとハッキリと言った。
偶然にも近くの席に座っていた加古は声が聞こえたので何かを知っているのかを橘高は一応はと軽く流したが、その情報ですら見ている人にとっては値千金だろう。
「キセキの世代、No.1、SG、緑間……シュート成功率は驚異の100%」
「100%って、1回も外したこと無いの?」
「ええ……それよりも緑間は3Pシュートの射程範囲がおかしいんです……彼のシュート範囲はコートの全てでそのシュートは天に昇る龍を彷彿とさせる事から付いた二つ名は【翔龍】」
「……え、じゃあ」
橘高が軽く緑間について説明をすれば加古と一緒に試合を見ている双葉がまさかと気付く。
「ええ、そうよ。彼にボールを渡してシュートするだけで点は入るわ。彼がスタミナ切れでシュートのフォームが崩れるかボールに触らない限りは彼のシュートは絶対に外れないわ」
「ちょっと待ってください。あの緑間って人、物凄く大きいですよね?」
「ギリギリ2mには行ってねえよ……」
「誰が、止めるんですか?」
ボールに触るかもしくはシュートの構えを乱すのどちらかをしないと絶対にシュートを外さない。
身長がギリギリ2mには届いてないことをののが言えば双葉はもっともらしい疑問、誰があの3Pシュートを止めるのかという最もな疑問をぶつける。
「まだ試合は始まったばっかだ、なによりただの親善試合だ!」
緑間の常識外れの3Pシュートを見せつけられて心が折れるかと思ったが、これは親善試合とレイジが鼓舞して気持ちを切り替えさせる。とは言え緑間が与えた衝撃は凄まじい。またあのシュートが出てくるのか?と。体格的にレイジが相手でもボールに触れる事が出来ない可能性は普通にある。
「……」
ボールは再び歌川にやってきた。
歌川はドリブルをしながら赤司と対峙する。先ほどはしっかりと抜いた筈だったのに赤司は自分の動きがまるで手に取って分かるかの様にボールを弾いた。あれはいったいなんだったんだ?と、確かに自分はしっかりと抜いた手応えはあった筈なのにまるでそこに居るのが分かっていて動いていた。
「へい!」
色々と悩んだが答えは出ない。
赤司と対峙しているだけで掛かってくる重圧感はキツく、パスを米屋に求められた。歌川は米屋にパスを渡し赤司の動きに警戒をする。
「お、中々に良い動きっすね」
「……にゃろう……」
歌川からパスを受け取った後に各々に必要な動きをしている。
それを見抜いた黄瀬はいい動きと素直に褒めているが、米屋は感じ取った。黄瀬は確かに自分を褒めてはいる、褒めてはいるがそれはスポーツの初心者がプロから指導を受けた際にセンスがあるねと言われるのと同じ、実際にセンスがあるのは確かで褒めて伸ばす教育とは異なるが圧倒的な格上が素人に上手いと言っているものだった。
今の自分達のトリオン体はプロのトップアスリートと同じ運動能力だ。
そうなると勝敗を分けるのはバスケというスポーツを何処まで上手く出来るか出来ないかの世界であり、黄瀬の言葉から米屋は少し苛立ちドリブルで黄瀬を抜いては3Pラインの中に入り、直ぐ様シュートの体勢に入ってシュートを撃ったが
「よっと」
「なっ!?」
紫原が米屋の前に立ち塞がり、米屋のシュートをはたき落とした。
紫原の相手はレイジだった筈だが何時の間にかレイジを突破して簡単に米屋のもとに向かった。
「彼、ただ体が大きいだけじゃないわね」
「キセキの世代、No.1、C、紫原……バスケという競技は体格が全てと言わんばかりの日本人離れした規格外の体格やパワーでゴール下を制する……その強さとパワーで対戦相手の心を折る事からつけられた二つ名は【壊心】」
紫原の規格外の守備範囲を加古は直ぐに見抜いた。
紫原は純粋に背が大きいだけじゃない。足は当然長いが、手も長い。日本人離れした規格外の体格であり、守備範囲が規格外である事を橘高から伝えられる。
「……二つ名、あるのね」
「8人全員に二つ名はありますよ」
「じゃあ、黛くんも?」
「はい」
サラリと流しているが二つ名があることを加古が気付いた。
8人の選手全員に二つ名があると橘高は答えれば黛にあるの?と聞くので橘高はあっさりと頷いた。アレだけトンチキな事が出来るメンバーの中でどんなトンチキな異名を持つのか、どんなバスケをするのかが気になる。
ただ、そこからはなんと言おうか、酷かった。運動能力では互角な筈だがバスケというものを知り尽くしているか知り尽くしていないか、それだけの差の筈なのに三門ヴォーパルソードからボーダーはまともに点を取れない。
「こいつら……」
「なに怒ってんの?」
「3Pシュートしか入れてないだろう?」
「なにを言い出すかと思えば、2点と3点、どちらが多く取れるかと聞けば当然だろう」
「今時、どのポジションでも3Pシュートは撃てて当然だろ?」
村上は三門ヴォーパルソードが3Pシュートでのみ点を取っていることに気付く。
確かにバスケの本場のNBAで体格や運動能力に恵まれていようが3Pシュートは撃てなきゃダメという風潮に近い感じはある。だが、試合開始前のアップで精密機械を彷彿とさせるレイアップシュートを何度も行っていた。
3Pシュートは撃てて当然だが絶対に撃たなければならないと言う決まりは無い。たった1Qで三門ヴォーパルソードとボーダーの間にダブルスコアと大きな点差が生まれる。
「相手の得意な物だけれど……」
バスケで物凄く強いと話は聞いているし実際にそれでプロ契約をボーダーがしようとしている。
試合に出ているボーダー隊員達は一部は一般教養的な意味合いでは馬鹿だが所謂スポーツIQ等は非常に優秀で学習能力も高い。キセキの世代達が3Pシュートを重視して撃っていて中からのシュートを全くと言ってしない。そして誰1人まともに外してない。
「ねぇ、俺にかかる負担大きくない?」
「紫原の仕事をしているだけだろうが」
誰1人まともに外していない原因、それは紫原にある。
体格でレイジを余裕で上回っている紫原が単純にレイジをマークしている。もしレイジが目の前で3Pシュートを妨害する為に来たら1発か2発は外しているが、紫原がマークし動きを封じている。俺だけなんでこんな重労働なの?と紫原は文句を言いつつも仕事はキッチリとこなしている。
「虹村さんよぉ、これ俺ら居るか?」
「まぁ、彼奴等だけでどうにかなるだろうが……流石に第2Qからは話が違う。桃井もそれに気付いていて選手交代を要請してる」
素速い試合運びで点を量産していき既にダブルスコアで灰崎は俺達は居るか?と虹村に聞いた。
虹村は5人だけ居ればぶっちゃけどうにかなるとは思っているが、それだけで勝てるほどに甘くはない。素速い試合運びに体のリズムが馴れてきた。向こうは精神的疲労を除けば肉体的な疲労は一切起こらない……筈だった。
「っ……」
「歌川、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
「手が震えてるだろう……やはり彼とマッチアップさせ続けたのはマズかったか」
ベンチに戻った歌川が手を滑らせる。
風間が直ぐに歌川が無事かどうかを確認するが歌川の手が震えていた。忍田本部長は赤司を常に相手にし続けたせいで肉体の疲れでなく精神的な疲れが限界に達していて、体に不調を起こしたのだと見抜いた。
「トリオン体なのに……」
トリオン体である以上は精神的疲労はあっても肉体的疲労は無い。
それを誰よりも知っている那須はトリオン体なのにスタミナ切れを起こした事を驚いて言葉が出ない。
「緑間と赤司が出て……入ってきたのは、虹村と……灰崎じゃないのか?」
「歌川のスタミナが切れたから風間さんに交代で……くっそ……デケえな」
緑間、赤司OUT、虹村、黛in。
ボールを持ってシュートを撃った時点で点を取ることが確定のクソゲーメガネの緑間とマッチアップしていて本来は肉体のスタミナの概念が無い筈のボーダー側のスタミナを奪った赤司が出た。
PGとして登録しているのは歌川以外にも風間であり、風間は灰崎が出てくるかと思えば黛が出てきた。
明らかに8人の選手の中で異質である黛を見て違和感を感じるが、直ぐにそれは消える。なにせ黛を除けば身長190cm後半の人間しかおらずシンプルにデカい。スポーツでは余程変な競技でない限り背が高いは武器になるが、ここまでの大きさが標準装備だとなれば米屋も少しは不満を零したくなる。
「んじゃ、行くぞ」
ボーダー側からボールをスティールした三門ヴォーパルソード。
ボールは虹村の手に渡れば虹村はドリブルで駆け抜けるかと思えば少しゆっくり目に動く。第1Qで60点以上叩き出しただけあってかかなりハイペースと感じたので虹村はペースを下げる。
「赤司が相手じゃないのは悪いですけど、まぁ、そこは気になさらず」
「っ、レイジ!」
「ああ」
「そう来るか……まぁ、素人ならそれもありだな」
体格では基本的に負けていて、唯一勝負が出来そうなのはレイジだけだ。
虹村がボールを持って盤面を理解しようとしている事に気付いた。赤司に代わって虹村が司令塔になったと感じた風間は紫原とマッチアップ、レイジとセットポジションを切り替える。
「肉体的な疲労が無いならそれはありといえばありだが……俺等全員を相手にしようってならちょっとやってやるか……三本だ」
「三本?」
虹村が何かの数を言った瞬間だった。
会場が爆音に包まれた。ズシーン!ズシーン!ズシーン!とありえないぐらいの爆音に包まれており試合を見に来ているボーダー隊員達は生身からトリオン体になったり耳を塞いだりした。
「うるっさ!?なんなのこれ!?」
「ドリブルの弾む音みたいですよ」
「そんなにするもの……っ!」
爆音鳴らして爆速のドリブルで虹村はレイジを抜いた。
爆速のドライブが終わったのだと小南は手に翳していた耳を外すと虹村はレイジを突破してはなんの迷いもなく跳んだ。
「させるか!」
体格では敵わないのは分かっている。でもやらないでいい理由にはならない。
村上が虹村が跳んだよりも後に跳んだ。そして虹村よりも先に村上の方が地面に落ちていると気付いた……そして
「オラァ!」
「っ……分かってた事だけどよ、マジかよ」
虹村はゴールがある高さまでジャンプしていた。
下から上にシュートをするのではない、上から下にボールを叩き込む。NBAのスター選手しかやったことが無いであろうプレイを軽々と成し遂げた。柿崎は虹村がどういうバスケ選手か知っていたが生で見るのは初めてであり、同じ人間でこんなのが居るのかと驚かれている。
「開幕ブッパとか大人げないっすね」
「アホ、これは仕込みだ」
雷轟のドリブルからの流星のダンクとかいうどういう身体能力してんだよなスーパープレイをやった。
もうちょっと手心とか加えた方がいいんじゃないの?と黄瀬は遠回しに言うが、虹村は今からするプレイの為の仕込みだと答えた。
「……生身であそこまで跳べるのか。流石は走り高跳び、幅跳びの世界記録保持者の虹村さんだ」
「そりゃどうも……でも、こっからスゲえのが始まるんでな」
多分あれは簡単に真似する事が出来ない技術だなと村上は素直に虹村を褒めた。
虹村は軽くお褒めの言葉を受け取った後に試合は再開される……そしてあまりにもあっさりとだった。
「っ!」
「くそ……俺等でも勝てるから無意識に無視してたけど、やられた」
風間から黛がボールをスティールし、虹村に一瞬で渡された。
虹村にはとんでもないドリブルと跳躍力があり、その上でスゴい選手が3人も居る……と思えば虹村は変な方向にパスを出したらその先に黛が居た。黛はボールに一瞬だけ触れて紫原にボールを渡し紫原はレイアップシュートを決める。
「普通にレイアップで届くのがスゴいですね……加古さん?」
「……黛くんのデータは?」
「あの人は健康の為にスポーツをやってる人と大して運動能力は変わりません。バスケスキルも地道な反復練習で身につけた物です……ただ1つ、残りの7人とは異なり影が薄いという点を除けば」
「パス回しに特化した選手、一昨年三門第一高校が全国大会で全試合ダブルスコアで勝つことが出来た一番の要因。パス回しに特化した【幻影】の黛が居たから……あのプレイはあまりに異質過ぎるんすよ」
紫原のレイアップシュートはインパクトがあるなと双葉は述べるが、それまでの過程をあまり気にしていなかった。
気付けば紫原にボールが渡っていた。どういうこと?と試合を観察していけば黛がほんの一瞬だけ現れ、ボールのパスの軌道を曲げた。アレが黛くんのバスケなの?と加古は橘高とののに黛のデータを聞けば、加古は満面の笑みを浮かべた。こいつ、面白いと。
「1人は俺で止めれるって事はやりやすくなったんだ」
トップアスリートに相応しい運動能力は黛は持っていない。
健康の為にスポーツをしている、体力作りでスポーツをしている、その程度のスペックだ。運動自慢のボーダー隊員達に負けている。これで試合は少し流れが変わると第二Qになって点を取るがそれを上回る勢いで三門ヴォーパルソードは点を取る。
「あっ!」
黛が目の前に居て、その状態でシュートを撃った。
柿崎は確信した。このシュートは外れてしまうと。それと同時に黛から聞こえるレベルの舌打ちが聞こえた。
「紫原」
「了解」
「……え?」
第2Q終了のホイッスルが鳴り響くと同時に紫原がオウンゴールを決めた。
何事だ?と一同はざわめく。三門ヴォーパルソードは特に何も言わない。なにかがおかしいとスコアボードを見た。
「いや〜最初はオール1にしようとしたけどハンデあるから調整キツかったんすよね。でも、これで並んだっす!」
123−45……数字が1から5まで綺麗に並んでいた。
黄瀬はここまで試合運びをするのは結構キツかったと軽く流す。
「…………ここまで、なのか……」
「スポーツマンシップに欠けてる事をしてる自覚はある。けど、後半戦は一切手を抜かない……そっちには今までのデータを学習する奴が居るが、今まで灰崎を温存してた意味は分かるよな?」
「っ!」
前半戦が終了すればハーフタイムに入る。
15分の休憩時間であり、村上のサイドエフェクトさえあれば欠点を克服出来る……だが、ここまで温存していた灰崎がベンチに居ると虹村は柿崎に告げる。
ハーフタイムが終われば後半戦は開始し、そこからは一切の妥協が無い本気を見せた。
その結果、257ー45というありえない結果を叩き出した……ボーダーの中でも特にスポーツ自慢が集まったがその程度では絶対に勝てない。そのあまりの無礼な態度に日本バスケ協会から嫌われている奇跡の世代だったが1人1人がまさに奇跡と呼ぶに相応しい天才達だった。