「チーム名は三門ヴォーパルソードか……ボーダーズじゃないのがなんとも言えないね」
「いやいや、コレにはちゃんと意味があるんすよ」
ボーダー隊員達をバスケで問答無用で黙らせた翌日に改めて三門ヴォーパルソードについての話をする。
オレ達の実力に関しては申し分はない。欠点らしい欠点を探すのを素人の目じゃ無理だから。マネージャーは桃井だが監督とかそういうのを呼ばなきゃいけないから……まぁ、その辺は迅が裏で根回しする。それが迅の果たさなきゃいけねえ責任だ。
「ヴォーパルソードは鏡の国のアリスに出てくる怪物、ジャバウォックを倒すことが出来る剣です」
「それは知っているとも」
「なら、貴方なら分かるんじゃないんですか?世界という怪物の存在を」
ボーダーが創ったプロバスケチームだから三門ヴォーパルソードじゃなくて三門ボーダーズの方がと言ってくるが虹村はそれを拒む。
ヴォーパルソードは鏡の国のアリスに出てくる怪物を倒す事が出来る剣で根付さんはそれを知っていると言うので虹村は世間や世界を知っている人ならば分かるだろうと言う。
「人種差別をするつもりで言ってないけど……日本の一部のスポーツのプロが戸籍上は日本人だけども日本の血筋じゃない人やハーフが多い。全盛期の旬を過ぎたものの、NBAの最前線で戦ってたとかのプロが居る……コイツは明らかに日本のスポーツが弱いって証拠です。アジア大会で仮に優勝してもEU方面にはボコボコにされる、それが日本の悲しいスポーツ事情です……世界という怪物を倒す、それがヴォーパルソードです」
「それだったら世界との壁を越えるボーダーズでもいい気がするがね」
「コレばっかりは譲れないっすね……まぁ、とにかく三門ヴォーパルソードでお願いしますよ」
「わかったよ……君達の経歴は凄まじいからね。思う存分に資金集めやメディア操作の道具にさせてもらうよ」
「そりゃどうも」
根付さんはボーダーがオーナーのプロバスケチームのチーム名を三門ヴォーパルソードを認めた。
コレばっかりはオレ達も譲るに譲れないものだ……ただ問題はここからだ。
「さて、では次の話をしよう。主に奇跡の世代が原因で三門市ではバスケが不人気のスポーツだ。君達がBリーグで正式に戦える様になるのは来年から。それまでに君達が気にしている点の解消をする」
「黛さんを含めてU−19には入ってます。U−19は外国ですけど、次のW杯は沖縄でそこで優勝して次のオリンピックは東京で金メダルを取ればそりゃもうウハウハですよ」
「君ねぇ、それが出来たら苦労はしないよ!……とにかく、奇跡の世代の悪名もある。昨日の親善試合も3Pシュートばっか狙ってて真面目にしなかったし、本番でそれされたら色々とうるさいのだよ」
「わかってますよ……で、なにをすればいいんすか?」
「まぁ、取りあえずはベタな体力測定から……奇跡の世代は高校では別種目をしていたからね。バスケ選手として必要な運動能力は高いのだと見せつけたまえ」
「了解っす。んじゃ、失礼します」
三門ヴォーパルソードが本格的に始動する前に三門ヴォーパルソードを盛り上げる。
コレがプロのアスリートの基本的な運動能力なのだと世間に知らしめる為に。
「はじめまして。私の名前は桃井さつき!三門ヴォーパルソードのマネージャー兼アナリストです」
「はじめまして、俺の名は虹村、三門ヴォーパルソードのキャプテンだ……この動画は、ボーダー傘下のプロバスケチームである三門ヴォーパルソードの選手達があれこれする動画だ」
「今回は体力測定をします!ボーダーってトリガーを使って生身の肉体から別の体を使うよね?大丈夫?って思うよね。大丈夫!やらせとか一切無しの本気の体力測定だから!と言うわけで、三門ヴォーパルソードの体力測定スタート!」
「はい、カーット!」
そんなこんなで行動は早い。
バスケ選手と言うことなので運動能力がどれだけ凄いの?と言う最もな疑問を答える為に虹村と桃井がカメラの前で軽く自己紹介をする。ボーダーのメディア対策室の人がカットと言ってくる。
「やっぱ赤司使ったうらみちお兄さんごっこの方が」
「おい、ふざけるな。アレはごめんだ」
因みにだが当然と言うべきか、オレ達は全員で参加をしている。
青峰が赤司が居るしうらみちお兄さん風の動画にしたら面白いと言うが赤司の奴はアレは二度としたくないと怒っている……やっぱり青峰はあの一件を許すつもりはないな……一部は青峰の自業自得だが。
「1,2」
そんなこんなでボーダーの体育館に向かえば嵐山隊が居た。
手っ取り早く嵐山隊とコラボさせれば一定数の数字が叩き出せると言う腹だ。まぁ、嵐山隊なら大丈夫だろう。
「お前等、いいのか?……俺達と競い合わせて」
「構いません。嵐山隊は心身共に強い部隊なので」
動画の内容的に生身の肉体で運動をしなきゃいけない。
虹村さんは付き合えるのか?と聞いてくれば嵐山隊の木虎が自分達は生身の肉体もしっかりと鍛えているから余計な心配は無用だと睨んでくる……プロバスケ選手でメディア方面に出るからこりゃ嫉妬してるな。
「さぁ、ボーダーの体育館に来ました。嵐山隊の皆さんと一緒に体力測定をします……と言うことで嵐山さん、この中に入ってるの引いてください」
「お、くじ引きだね……長座体前屈だ!」
「おい、初っ端から撮れ高少ないの引くなよ……」
カメラが再び回りだした。嵐山隊とのコラボ動画だと分かるように嵐山を出す。
そして体力測定でなにをするのかを決めるくじを引かせれば長座体前屈が出てきた……体力測定をしっかりとするのは分かってっけど、一番最初に撮れ高が少ないのを引くなよと灰崎はツッコミを入れる。
「まぁまぁ、ショーゴくんいいじゃないっすか。ボーダー側にも撮れ高を与えないと」
「そうだよ……多分、ボーダー的に皆と五分五分なの長座体前屈ぐらいだよ!」
「むしろそれ以上を叩き出したら俺等ゴム人間っすよ!」
灰崎の文句を黄瀬、桃井がフォローというなの毒舌を入れながら最終的には佐鳥が笑いを持っていく。
相変わらずは上手いなと思いつつもオレは1人で長座体前屈をしておく。え、オレは表に出ないのかって?オレは影が薄くてパス回しに特化した選手だからこういう仕事には出るに出れねえんだよ。
「俺と嵐山以外は男は高校生だ……高校生の長座体前屈で最高得点を取りたいなら64cm以上を出さなきゃいけない」
「私の場合ですと63cmですね」
因みにだが桃井と綾辻はしない。
木虎は女性1人で男性陣に食らいつくどころか上回る運動神経を見せるって腹だろうが、世の中そんなに甘くはない。
「木虎ちゃん、65cm!嵐山さん58cm!」
「スゴいな!木虎!」
「当然です」
「んじゃ、俺から行くね〜」
「あ、78cm」
「なっ!?」
木虎はとても体が柔軟で嵐山も柔軟な所を見せれば紫原が動いた。
紫原の長座体前屈は78cm……上半身と下半身がくっついていると言っても過言じゃない。木虎の最高得点はスゴい!となっているところでの紫原の70cm越え……おっそろしい。因みにだが俺は51cmだ。
「77っす」
「77だ」
「74なのだよ」
「79」
「79」
「73」
「全員が70……」
「スゴいな……流石はプロだ!」
黄瀬、灰崎、緑間、虹村、青峰、赤司の順番で長座体前屈をした。
全員が70cmを越えているのを見て時枝が驚いて言葉を失っている中で嵐山は素直に賞賛をしている。
「撮れ高少ないので次に行きますね。綾辻ちゃん」
「はい……握力です!」
「では早速……あ、カット!」
「え?どうしたんすか?」
長座体前屈が終わったので撮れ高が欲しいとさっさと次に移行する。
次は綾辻にくじを引かせれば握力が出てきて握力計を桃井がカメラに向けたが直ぐにあることに気付いたのでカットとカメラを止める様に言う。
「っておい、これ100kgまでしか計測出来ねえ奴じゃねえか。デジタルのはどうした?」
桃井がカメラを止めてと言っている意味を青峰は直ぐに理解した。
握力計はメーター式の握力計であり、針は握力100kgが限界であるこれじゃダメだと青峰はもっと高性能なのはどうしたと聞くがここには無い。
「いや、100kgで充分じゃ」
「佐鳥、100kgじゃダメなんだ……虹村さんは余裕で握力100kgを越えてるんだ」
「100kg越え!?」
「ほい」
握力100kgまで測定できる握力計があれば充分だと思っている佐鳥。
赤司の奴が虹村が握力100kgを余裕で越えているのを伝えればマジか!?となるので虹村は桃井から握力計を借りれば、握力計の針が振り切った。
「スゴい!これ一番端っこにまで行くの初めてみたよ!」
「そうか?お前と同じ年の頃から出来てたぞ?」
「ゴリラを基準にすんじゃねえよ」
「誰がゴリラだ……俺と紫原は100kg越えでいいか」
「え、紫原先輩も100kg超えてるんですか!?」
「ほい」
佐鳥が握力100kgを見てテンションを上げていれば虹村は紫原も同じ事が出来ると言う。
綾辻が紫原も!?と驚いているので握力のメーターを0に戻してから紫原に渡せば紫原は余裕で握力100kgの針に向かった。
「バスケにそんなに握力居るんですか!?」
「そりゃ居るよ」
「居るに決まってんだろ」
握力100kg越えという別の種目でも目指してんのかと言う圧倒的な筋力を前に綾辻は驚いている。
「口で言うよりは実際に見せた方が早いな……黛さん」
「はいよ」
「ぎゃああああ!?」
「え?え?え?あの、貴方は?」
「気付いていないのか?」
カメラに映るわけにはいかないと1人で黙々と体力測定をしていたんだが虹村が声をかけてきた。
声を出したら佐鳥が悲鳴を上げて、こんな所に人が居たと驚いている。木虎も居たの?と驚いているが、最初から居るわ。
握力が必要な理由に関して教えるために俺は虹村にバスケボールをパスした。
「俺と紫原は常人より手がデケえ。だからボールを片手で鷲掴みしてそのままリバウンドを取れる……試しにやってみろ」
バイスクローと呼ばれる技をサラリと成し遂げる虹村。
木虎にボールを渡して木虎はボールを高く打ち上げて真似をしようとするが普通に失敗に終わる。
「それは虹村さんとむっくんしか出来ない事できーちゃんでもコピー出来ない技術だから……と言うか体が大きいが売りな選手でも難しい技術だから諦めたほうがいいよ」
「……っ!」
決して木虎を見下しているわけじゃない。
桃井はバイスクローは虹村と紫原の生まれながらに備わっている体格から来るものであり、黄瀬や灰崎ですら再現する事は出来ない。努力とかそんなんじゃなくて純粋に無理、体格の違いだと言う。
木虎は格が違うと思い知らされる……ただまぁ、ムキになってバイスクローを覚えようってことはしない。コレばかりは無理だと直ぐに飲み込んでいる。
「虹村と紫原以外は80台か……とんでもない握力だな」
「じゃあ、次行っちゃいましょう!」
「はいはーい!反復横跳び!」
佐鳥がくじの中から反復横跳びを引いた。
今度は反復横跳び……1人1人やっていくが
「90回越えた……」
「割と序盤の方に来てくれて正解だな。シャトルランの後だと詰んでたわ」
青峰の記録は90越えの記録。
1人1人撮影しているが青峰だけは別格の速さを持っている……嵐山と佐鳥は純粋にスゴい、木虎は悔しさで心折れてる、時枝はそれを上手くフォローとなんだかんだでいいチームをしている。
「立ち幅跳びは虹村さんが、ハンドボール投げはみどりんが、シャトルランだとむっくんが頑張ってくれて撮れ高が出来て良かった良かった」
「ぜぇぜぇ……シャトルラン、最高まで行く人初めて見た」
「と言うか桃井先輩、緑間先輩のアレはありなんですか!?」
それぞれがいい感じにいい撮れ高が……読み通りと言うべきか、赤司が撮れ高無いな。
まぁ、それは仕方ないが緑間の3Pシュートでのハンドボール投げがおかしな記録を樹立したりしてて黄瀬と灰崎もそれコピーして似たような記録を叩き出したりで反則だ。
時枝がシャトルランの247,レベル21で走る人を初めて見た発言や緑間のボールの投げ方がイカれてるとか色々と言っている。
「やはりと言うべきか、僕と黛さんはあまり撮れ高はありませんね」
「まぁ、しゃあねえだろ」
「……あ!そういえば黛さん、カメラに入ってない!?」
「いいんだよ、コレで」
「黛さんはメディア出演NGなんすよ……じゃなきゃ、厄介なんで」
そんなこんなで体力測定が終わる。中々に良いものが撮れたが、佐鳥が俺が全くと言って写ってない事に気付く。
灰崎はコレでいいんだと流し、黄瀬はキメ顔で出演NGと流す……
「まぁ、黛さんはホントに撮れ高少ないとかそれ以前に撮ったら色々と厄介だから……編集の人、くれぐれも絶対に絶対に絶対に!黛さんは映像に出さないでくださいよ。じゃなきゃ黛さん、使い物にならなくなりますので」
赤司はともかくオレの撮れ高が無いことに気付いた嵐山隊だったが、桃井は編集の人を含めてオレは出すなと言う。
下手に目立てば選手として使い道が無くなる……分かってることだが腹立つな。