「やぁ、お久しぶりです……日本代表入りおめでとうございます」
「……なんの用事だ?」
「見ただけで邪見に扱うのは止めてって!今回はちゃんとした話があるから持ちかけに来たからさ!」
日本代表に選ばれたから体を鍛え続けていれば実力派エリートを名乗る無職、迅悠一が現れた。
過去に灰崎の一件で色々と世話になったり貸しを作ったりあったが、最終的にはお互いに干渉はし合わないでおこうという判断を下した。それはお互いに承認している事で迅は接触してきた。
「いや、さ……知っての通りだけどボーダーって色々と予算がカツカツなんですよ。色々な所にスポンサーを募っているけど産業スパイとか某国のエージェントとか普通に居るし……唐沢さんも色々と頑張ってるけど資金集めが大変なんですよ」
「それは大人の仕事だろう。ボーダーの大人は優秀な大人だからお前がフォローすれば一番上手く行くだろう」
「ええ……だから黛さん達をスカウトしに来ました」
ボーダーの活動資金を集める為に色々と四方八方で頑張っているボーダーの大人達。
よくある無能な大人じゃなくて本当に有能な大人達の集まりであり、組織を運営していく上で必要な金を集めるにはどうすればいいのかを試行錯誤繰り返し、スカウトに来たと言った。
そういう話になったなら、どういうことになっているか。
不干渉を貫いていてお互いになにも無かったのに、今更な事を言い出したのでポケットに手を突っ込めば迅は慌てた。
「待った!黛さん、違う!違うから!そういう意味合いでのスカウトじゃないから!黛さんにそれをされたらオレ、ホントにヤバくなるから!1回、それされてマジでビビったから!」
なにをするのか未来を見ることが出来る予知能力のサイドエフェクトで未来が視えてしまった迅は慌てる。
言葉足らずだったのならば正しい意味で説明しろよと思いつつも、ポケットに手を入れてポケットの中に入れているある物を付けながら一応は言葉に耳を傾ける。
「黛さん達の狙いは、世界一でしょ?……あんな色々とヤバい連中が居るなら実現は可能だよ。ボーダーはそれに1枚噛ませてほしいんだ」
「……」
「虹村以外が色々と問題があるから、オレ等と手を組めばいいことがあるよ……取りあえずは、ボーダーに来てくれない?」
「ちょっと待て」
「ああ、大丈夫。虹村と赤司にも来てもらうから」
あくまでもオレは最年長であり、色々な権限を握っているわけじゃない。
スマホを取り出してそういう話し合いをするのならばと赤司と虹村に連絡を入れようとすればそれは読めていたと言っていて……赤司と虹村に連絡を入れて待ち合わせ場所をボーダー本部に続く隠しルートにして合流を果たした。
「迅、お前……意図的に不干渉を破るつもりか」
「それはまぁ、仕方ないっていうか……これから迫りくる脅威とかを考えたら、直接的に関与してないとはいえお前等も手伝ってくれたらそれはそれで助かるんだ」
不干渉を破るつもりかと虹村が睨めば、ボーダーに協力してくれと遠回しに言ってくる。
直接的に言ってきた方がまだいいと思いながらもボーダー本部に足を運べば、営業外務担当の唐沢とボーダーのトップである城戸が居た。
「連れてきました!」
「ご苦労……この様な真似をして申し訳ない」
「予知能力者を使ってるからそういうの言いだすとキリがないのでそういう社交辞令的な挨拶は無しで……なにをどうしたんすか?」
迅が爽やかな笑みを浮かべながら連れてきた事を報告をすれば唐沢が軽く謝罪をする。
虹村は予知能力者を使ってるからまどろっこしい話や形式上の挨拶は無しで……なにが目的なのかについて聞いた。
「知っての通り、ボーダーは民間組織だ……常に財政は火の車状態でね。少しでもお金を手に入れる方法を考え……莫大なお金を手に入れる方法が見つかった」
「それが僕達、と言うわけですね」
「ああ……迅くんの予知では君達の次の戦いは全てトリプルスコア以上の大差を付けて勝利する。君達は次に何時現れるか分からないレベルの天才集団だ。中学の頃に色々とやんちゃしていて日本バスケ協会に目を付けられていて派手に動けないが……昨今の子供のスポーツ嫌いは社会問題にもなっている」
「そりゃそうでしょ……スポーツを教える側が下手くそなんすから。運動能力に差がある奴が虐めるだけでなにも面白くないし……シンプルに毎年35℃超えの猛暑がキツい」
「そこで色々と熟考の末にボーダーはプロのバスケチームを設立する事にした、名前は三門ヴォーパルソード……君達をプロバスケチーム、三門ヴォーパルソードの選手としてスカウトをしたい」
やっぱり色々な手を尽くしてくる……ボーダーはしっかりとした大人が居ると同時に汚い大人も居る。
俺達を何かしらの形で取り込めないのかを考えた末に、メディア方面への露出だ資金集めの為の道具だを名目にスカウトにやって来た。
「……迅の予知では俺達は勝てる。大差を付ける勝利をするなら、スカウトの話は確実にやってくるしトライアウトだって受けることが出来るんだ」
「君達の狙いはバチバチとバスケを盛り上げたい……故に1つのチームで固まる事について危惧している。圧倒的な強さを持っている君達が1つのチームになればそれこそNBAのトップスタークラスを集めたチームでなければ試合にならないと……私はラグビーは出来るがバスケは心得は無い。三門ヴォーパルソードは君達の好みに使っていい……でなければ君達いや、桃井皐月が日の目を見る事は無いだろう?」
迅の予知で勝つことが出来ると視えているからそれに便乗して金儲けを企んでいる。
プロのスポーツは裏で莫大な金が動いているからそこは仕方ないで受け入れるが、それでも受けるメリットが無いことを虹村が言おうとすれば桃井の事を話題に出す。
「彼女の異次元のスカウティング能力は凄まじいが、彼女自身は選手ではない……だがもし、彼女が三門ヴォーパルソードのマネージャーに就任し、日本一に辿り着かせれば?」
「……それだけならば今でも可能です」
「ああ、だからもう1つ。君達にも巨万の富が入るようにする……調べたところ、バスケは野球選手程年俸があるわけじゃない。単純にバスケ協会にお金が無いのもあるがプロバスケ選手の年俸に大きな制限を設けている……君達が東京オリンピックやW杯で優勝するのを条件にその制限を取っ払い君達に日本でバスケをしながらもNBAのスター選手レベルの年収を手に入れる事が出来るようになると……バスケに関しては詳しい事はラガーマンである私には分からないからスポーツトレーナー等を雇うが、チームの根本的な方針等は君達が決めていい」
「…………唐沢さん、俺等はバスケに全力でやってます。あわよくばなんて狙いは?」
「無いが……君達だって人間で、正義の心を持っているからね。特に黄瀬くん辺りは意識して協力してくれるし、彼が居てくれたら色々とね」
情とか常識的な観点から力を貸すことになったらそれはそれで仕方ないで飲み込むが、組織のゴタゴタには巻き込まない。
あわよくばの狙いはあるにはあるが、それはそれ、これはこれで割り切っている。
「まぁ、チームのあれこれが選べるならいいっすけど……あくまでもボーダーのプロバスケ選手って事で……あんたらはそれに便乗して1枚噛むって事っすよね?」
「ああ……ただ、1つ問題があってね……知っての通り、バスケやバレーはメジャーなスポーツでありながらも目立っていない。それは日本が野球大国でもあるがそれと同時にもう1つ……」
「圧倒的な強さが、まともにメダルを持って帰って来れない……力を見せつけろ、と言うわけですね」
「ああ、ボーダーのスポーツ自慢達とバスケで勝負をして……圧倒的な力を見せつけてくれ。城戸司令もメディア対策室長の根付さんも君達の強さに疑心暗鬼でね。私としては、彼を除けばどれもアスリートとしては完成された超一流だと思えるのだが」
「唐沢さん、黛さん居ますよ」
「「!?」」
俺を除いたキセキの世代の連中がトップアスリートなのは分かっているが、それでも世界に羽ばたいたら負けるんだろうな空気がある。それを打破する、城戸司令やメディア対策室長の根付が彼等ならばメディアに出して資金集め等に色々と使えると思わせるような何かがあるのだと思わせる。オレを除く面々はトップアスリートと言うに相応しいメンツなのは唐沢さんは感じ取っており……オレの存在について全くと言って気付いていなくて、迅が指摘したら驚いた顔をした。
「君は、居たんだね」
「そりゃ居ますよ……責任者的なのはオレなんですから。断る理由も特に無いし、言っていることを実現する事が出来るならばその話には乗る。特に桃井の事と年俸の制限を無くしてくれるのならば、ありだ」
「それを可能とするかどうかは君達が勝つことだ……ベスト4でメダルにすら掠らない、でもいい試合をしたから悔いはありません。そんな常套句でなくスポーツ強豪国が集うEUや南米諸国を倒して金メダルを持ち帰ってほしい。そうすれば色々な事が出来るからね」
「……まずは君達の実力を見せてほしい。少々姑息には見えるだろうが、生身基準では充分に高い運動能力を持ったトリオン体でスポーツをするのが好きで生身でも運動能力が高い隊員達と試合をしてくれ」
「相手が体力マックスとかマジか……」
「安心してくれ、運動能力に関してはちゃんと調整をしている……君達がそこまで偉そうにしているんだ。ならば誰も彼もを黙らせる圧倒的な力を見せつけて……五月蝿い周りを黙らせるんだ」
「……ふっ、面白い……ですが、スポーツを嫌いになっても知りませんよ?」
唐沢さんが持ちかけた親善試合という名の相手を力で黙らせると言う理不尽を聞いて赤司は面白いとワクワクをしていた。
一応はスポーツが大嫌いになったとしても知らないぞと釘を差し……試合の日程について調整をしてその場を後にした。
「黛さん、どう思う?」
純粋にバスケの試合をするだけじゃねえだろうなと虹村は考えて、聞いた。
「金儲け+情の鎖だろう」
この世界に転生させられた際に貰った転生特典があり、一番上手く扱えるのはそれぞれだ。
灰崎も持っていて問題を起こしたりしていたから取り上げてボーダーに渡しているが、何百という偶然が混じり合わなきゃ完成しない代物で解析不能なブラックボックスなところもあって何処から手を付けたらいいのかが分かっていない。
それを完全に扱うことが出来るオレ達を抱き抱えれば、それこそ迅達が倒れた場合の最後の砦として活躍してくれの情の鎖で動かそうとしている……
「まぁ、いいんじゃねえの?」
「軽いですね」
「……お前等には一生分からねえだろうがな、ああいう格上からよいしょされるのは意外と悪くねえんだよ」
情の鎖で動く時があるのならば、それはそれで構わない。
赤司の奴はオレの判断が軽いと言っているが、ボーダーの出来る大人や実力派エリートを名乗る無職が力を貸してくださいと頭を下げに来ているんだ。赤司と虹村にとってはめんどくさかったりうんざりする見慣れた光景かもしれねえが、オレにとっちゃ優越感に浸れて最高なんだよ。