【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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前半は百鬼夜行の後から、原作に向けての準備回。
本誌最後付近のネタバレ含みますので、お気をつけください。

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです


転生者、原作へ向けての準備を始める

「お前さ、もう少し太った方がいいと思うよ。抱き心地が良くない」

「貴方も、もう少し太った方がいいですね。硬すぎて痛いです」

 

元日の朝から夕方まで同衾した。

お互いの体を抱きしめ合った状態でほぼ同時に目覚め、目が合った直後の開口一番がこれだ。

強い視線がぶつかっても、弾ける前に鎮火した。疲れ切ったアラサー舐めんな。

この歌詞なんだっけ、T.M.Revolutionのクリスマスソングか、なんだったっけ?

 

深々とため息をつきながらベッドから降りる。

 

お互い疲れ切って頭が死んでた。

特に五条、生徒の前ではカッコつけしてたんだろう。ええかっこしいだから。

五条が多少なりとも愚痴れそうなメンツの家入や私などは、事後処理でバタバタしてた。

五条的に弄って楽しい七海は京都から戻ってきていない。

結果的に、ストレス発散もできなかったんだろうな。

 

んで、たまたま昨日私が寮にもどってきて、愚痴りに私の部屋に来たってところかな。

私も余裕がなくて相手にしなかったのは悪かったけど、ベッドで添い寝してくるとか。

事案だよ。

おまわりさんこっちです。

 

まぁ、暖かかったし、良い抱き枕だったってことで、この話は終わり。終了!

 

 

散々な正月だ。ひとまず顔をさっと洗い、意識をはっきりさせる。

正直、まだ寝足りない。あくびを噛み殺しながら冷蔵庫を開ける。

 

見事に何も無い。あるのはミネラルウォーターとゼリー系食品だけ。

あー百鬼夜行前に忙しくなることを見越して、足が速い物は使い切ったんだった。

 

戸棚にストックのカップヌードルがあったはずだ。

戸棚を開けカップヌードルが問題ないことを確認した。

さて、何を食べようかな。

定位置の座布団にだらしなく座って、テレビをつけた五条に視線を流す。

 

「カレーあったらそれちょうだい」

 

何も言わずとも、私の意図がわかったたらしい。

五条の目線はテレビのままで、声だけが私に向けられた。

 

「サイズがノーマルですけどいいですか?」

「あー、2個ある?」

「あります。2個作りますね」

 

いつものように流れる会話だ。何も考えなくても通じるのは楽だ。

沸かしたお湯を注ぎながら、自分でも不思議なくらい自然に口が開いた。

 

「……死体はどうしたんですか?」

「きちんと、弔ったよ」

 

誰とは言わなくても当然話は通じ、静かで凪いだ声が返ってきた。

ということは、夏油の死体は羂索に奪われたな、と原作知識が脳裏をよぎる。

自分の人の心の無さに、げんなりする。

 

 

「……最後にもう一度話をしたかったですね」

「カフェで話したでしょ?」

「...あれは脅迫されただけなんですが」

 

 

カレーを五条に、シーフードを自分の前に置く。

パチンと手を合わせ、いただきます。

あんなことがあったあとでも、カップヌードルは美味しい。

...美味しく食べれる。だから私はまだ大丈夫。

 

「マジで、アイツ何がしたかったんだろうな?」

 

テレビから正月特番のくだらない笑い声と、カップヌードルが啜る音だけが響く中、五条がポツリと呟いた。

視線をあげ五条の青い瞳に視線をしっかりと合わせて

 

「死ぬなら五条さんに、殺されたかったんじゃないですか?」

 

いい機会なので原作を読んでいた時から思っていたことを、はっきりと告げる。

五条の綺麗な六眼が驚いたようにゆらゆら揺れる。

 

「そもそもおかしいんです。新宿と京都に分散せずに高専を叩いたら、

多分、私たち負けてたと思いますよ」

 

ぐるぐると箸でカップヌードルのスープをかき回す。

これくらい私より頭の良い五条はわかってるだろう。

 

「どうしてそんな気になったか、本人も自覚してそう思ってたかまでは分からないですけど。

あんな計算高い人が、こんな負け戦するはずないんですよ。結果からしたらそうとしか…

壮大な自殺に巻き込まれたんですよ、私たち。そう思った方がいいです」

 

一気に話し終え、シーフードカップヌードルの汁を飲み干す。

言外に「オメェは悪くねぇ!」と伝えているが、まぁ、余計なお世話か。

 

「あくまで私の推察です。不快だったらすみません」

 

五条はしばらく呆然と私を見つめた後、テーブルに肘をつき、手のひらに顎をのせた。

 

「潔乃ってさ。普段お人好しなくせに、たまにすごく辛辣で厳しいよね」

「それ、褒めてるのか貶してるのか、わからないんですけど」

 

ハッと私を馬鹿にしたような、表情を浮かべる五条。

 

「両方に決まってるでしょ?」

 

その口調と表情にちょっとホッとした。

いつもの、ぶん殴りたい時の五条だ。

 


 

百鬼夜行の後処理が落ち着き、普段通りの業務が回り始めたのは、2月も過ぎた頃だった。

高専運営系のタスクは相変わらず減らないが、呪霊の繁忙期ではないため、術師への同行任務が少なくて助かっている。

 

このタイミングで、私は以前から進めていた仕事のマニュアルを完成させた。

これで『私がなんらかの理由で業務ができなくなった場合』でも、以前と同じように仕事が回らない事態は避けられるはずだ。

そう、これは渋谷事変を見越して作ったマニュアル。

渋谷事変後は状況や体制が大きく変わるだろうから、このマニュアル通りに進まないことも多いだろうけれど、

前任者がどうやっていたかがわかるだけでも、後任にはきっと助けになるはず。

引き継ぎは本当に大事だ。

 

まぁ、こうしてマニュアルを作成した理由は

渋谷事変で、原作通りだと伊地知潔高( 兄さん)は「宮下第一歩道橋で重面春太に刺され、重体」になるからだ。

ギリギリだったとはいえ、生き残った伊地知潔高( 兄さん)の運の良さと生命力がすごい。

これについては色々考えたけど、チャートを見てどうしても外せないと判断した。

え?嫌だよ、私だって。兄さんの代わりにあんなにブスブス刺されるなんて。

アニメで観たあのシーン、音と映像が相まって、トラウマものだった。

 

でも、冷静に考えると、あそこで刺された方が実は生存率が上がるんだよね。

なぜなら、呪詛師や呪霊、改造人間がたくさんいる上に、七海の「私で最低ライン」な状況もある。

補助監督である私がそのまま渋谷に居続けたら、おそらく生存率は著しく低下するだろう。

だから、あそこで刺されて、早々に渋谷事変から撤退した方が、結果的には良さそうだ。

 

そして私の場合は、重面に刺された時に、裏梅が側にいた。

重面を宝石の呪力で倒す、あるいは反射する→裏梅に殺される

重面の攻撃を避ける、あるいは防御する→重面と裏梅に殺される

逃げる→逃げられるわけもなく殺される

 

まとめると

私は宮下第一歩道橋で、重面春太に無抵抗で刺される

裏梅も側に居るので、強力な宝石は使えない

追加条件として、七海が万が一私のところに来るのが遅れたり、来なかったりしたら死ぬ。

 

フロムゲーの7周目の方がマシだよ、これ。

我ながらガバチャーだし、お祈りポイントすぎる。

スピードラン走者なら、こんなルート組まないよ。

 

反転術式が使えたら良かったんだろうけど、私にそんな才能があるはずもなく、

そもそも呪力量が足りない。

宝石の中から、体力を回復させる効果があるものを持っていくしかないか。

私が刺された瞬間から発動するように仕込んでおこう。

かなりの綱渡りだが、それで助けが来るまで粘るしかない。

 

 

渋谷事変でも、私ができることは少ないけれど、介入したいポイントはある。

それが、七海建人の死亡だ。

というか、私の能力で渋谷で介入できるのは、ここくらいしかない。

 

漏瑚の攻撃で七海は重傷を負っていたが、死んではいなかった。

その状態で真人と会ってしまったのが運の尽きだった。

 

つまり、漏瑚の炎の攻撃と、真人の無為転変を防げれば、七海は死なずに済む。

 

漏瑚の攻撃に関しては、ある程度のダメージを受ける必要がある。

無傷だとバレると連続攻撃で殺されるので、多少のダメージは避けられない。

ただし、死なない程度のダメージに調整すればいい。

無為転変で七海は上半身を吹き飛ばされて死亡したけれど、一部分だけのダメージに抑えられれば、

死んだとしても釘崎野薔薇のように蘇生できるはずだ。

呪術師として未熟な釘崎が左眼球部分だけの欠損で済んでいたのだから、

漏瑚から受けたダメージを減らせていれば、それは可能ではないか?

 

ただ、問題がいくつかあって…

 

漏瑚の両面宿儺の指7本分の炎を防ぐ宝石を作るとなると、

どれだけ呪力を注げばいいのか見当もつかない。

同様に、真人の無為転変を防ぐ宝石も同じ問題だ。

 

「あーわからん!」

 

ぐしゃぐしゃと髪の毛をかきむしる。

特級呪霊たちの情報が全く足りない。

 

けど――

待てよ?

 

ふと、頭の中に一筋の光が走った。

 

縛りを入れればいい。

その条件次第で、呪力の出力を「オート調整」させることが可能になる。

そして縛りに関して、ひとつだけ「うってつけのもの」がある。

 

『私が重面春太によって刺され、重体になる』ことを発動条件にする。

 

私が瀕死の状態になることを「トリガー」として、

宝石の呪力を最大値まで引き出す仕組みにして、そこにオート機能を組み込んでしまえばいい。

 

.......おそらく、これなら行ける。

 

口角が上がるのを感じた。

その条件であれば、むしろ思いきり呪力を乗せまくった宝石の方が効率がいい。

 

そう言えば、この件に関しては、五条に相談しないといけないのか。

勝手に私の呪力が篭った宝石を渡すなと言われてるし。

これに関しては、七海が真人と一度戦った後、領域展開を喰らった後に相談すればいい。

 

七海は結界術が苦手で領域対策が全くないから、真人対策と言えば許可は必ず出る。

五条は一度内側に入れた人間には、案外甘いから。

 

宝石を七海に渡すときは、素直に私の能力を話すか、それとも遅い誕生日プレゼントなど理由をつけて渡すかは、その時に五条に相談しよう。

 

「やっぱ宝石だよね。アレを使うしかないか…」

 

宝石箱を眺めながら呟く。

5歳の頃から始まり、20歳まで貰い続けた合計20個の宝石。

幸い、炎系の力と精神保護の力が強い石がいくつかある。

おそらく、この中から複数使うことになるだろう。

これを使うのは現時点では、流石に五条には隠しておいた方が良さそうだ。

私と七海の関係は悪くないが、たかが一先輩に使うには高価すぎて、何を言われるか分からないし。

ここ数年、石を見ての呪力チェックもされてないから、先に準備を進めておこう。

 

 

 

 

……………ん?

 

あれ?あの人、何しに私の部屋に来てんだ?

私の部屋は溜まり場か?

 

 


 

主人公

 

色気のない目覚めをした。がスッキリした。

渋谷事変をどう乗り切るか考えているが、

あまりにも難易度が高くてげんなりしてる。

常識人と見せかけて、メンタルが呪術師よりになってる。

もう、完全に逸般人。

 

 

五条悟

 

色気のない目覚めをした。がスッキリした。

主人公の辛辣で容赦ない言い方のおかげで、原作よりは気持ちに区切りがついた。

宝石チェックに関しては、主人公を信頼してるので急な依頼品の時以外はやらない。

なんで、主人公の部屋に行くかって?え、なんで?行くのに問題ある?

 

 

七海建人

 

君を生かすために主人公は必死だよ。

 

 

 

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