【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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主人公の高専外でのプライベート。
酒を飲んでただけなのに。

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです


転生者、テキーラショットを楽しむ

私のプライベートスマホが鳴る。

着信相手は五条。

プライベートスマホなので、おそらく仕事の話じゃないんだろうが、

電話に出ないと後がめんどくさい。

 

「はい、伊地知です」

「潔乃?お前今、隠し部屋にいるでしょ?」

「え、はい、そうですが…」

 

なんでわかったんだろう?

1人で考えるには便利なんだよなぁ、この部屋。

 

「仕事用のスマホにかけたんだけど……電源切れてたんだよ。

そういうのってさ、たいてい、その部屋にいる時じゃない?」

 

なるほど、そういうことか。

隠し部屋、つまり趣味部屋の存在がバレてからも、この部屋の利用は禁止されていない。

立地的に便利だし、本当に他人に邪魔されないいい空間だから、

五条に土下座する勢いで頼み込んで、プライベートのスマホはONにしておくのを条件に、この部屋を使い続ける許可を無理やりもらったんだ。

なんらかの理由で、仕事のスマホに電話をかけてOFFだったから、プライベートのスマホに掛け直してきたってとこか。

 

「まぁ、いいや。これから東京戻るから、ピックアップしてよ」

「すみません。これからプライベートの予定がありますので、難しいです」

「え、それって特級の僕より優先されること?」

いつもの私が耐えられない攻撃表示(断れない言い方)をしてくるが、今日は私には、聖なるバリア‐ミラーフォース(断る正当な理由)がある。

 

「今日はもう半休取ってまして、申し訳ないです」

「…………はぁ?」

「五条さんのピックアップにつきましては、私の方で手配しておきますので、

詳細については迎えに行く補助監督とご連絡をお願いいたします。それでは、失礼いたします」

 

一気に言い切り、通話を切ってそのまま電源を落とす。

PCを開き、PC版のLINEから家入と七海に「有給で五条さんの依頼を断ったので、機嫌が悪そうだったらフォローお願いします」とだけ送る。

明日が怖いが、今日だけは絶対に五条のわがままに付き合うわけにはいかない。

時間もそろそろだ。PCを閉じ、出かける準備を始めた。

 


 

 

植栽に囲まれたバーの半個室。その静かな空間で、五条悟と七海建人が向かい合っていた。

五条はノンアルコールのカクテルを手にし、不機嫌そうにストローをいじっている。

 

「あり得なくない? 僕の電話、無理やり切るとかさ」

 

口調は軽いが、語尾のトーンに刺々しさが混じっていた。

七海はロックのグラスを傾けながら、ため息をひとつ。

 

「珍しく彼女が有給を取っているんです。少しは快く休ませてあげたらどうですか?」

 

一応フォローを入れるが、心の中では――

……付き合わされるこっちの身にもなってほしい

と軽く毒づいていた。

 

プライベートで飲みに来ているためか、五条は包帯ではなくサングラスをかけていた。

そのレンズの隙間から見える六眼が、きゅっと不満そうに細められる。

 

「せっかく美味い飯、奢ってやろうと思ったのに」

 

結局は、伊地知に付き合ってもらえなくて拗ねているだけなのだ——

そう、七海は判断した。

 

五条は学生時代から伊地知を下僕のように使いつつも、可愛がっていた。

伊地知も文句を言いつつ、基本的には五条のわがままに応えてきた。

そんな伊地知が、たまにプライベートを優先したくらいで拗ねるなんて、情けない。……と七海は思う。

思うだけで、口には出さない。

 

「また後日、誘えばいいじゃないですか」

 

そう口を開いたその時だった。

扉が開き、ひとりの女性が現れた。

 

ファー付きのノーカラーコートを腕に抱え、ブラウンベージュのリブニットセーターに白のナロースカート。足元はジミーチュウの高いヒール。

これから合コンにでも行くのか、行ってきたのか、明らかな、女性としての戦闘態勢。

 

覚えのある呪力に、七海と五条のグラスを傾ける手が止まった。

 

「は?」

「伊地知さん?」

 

メガネはかけておらず、おそらくウィッグでロングヘアに変わっている。

メイクもナチュラルながら丁寧に整えられていて、普段とは明らかに違う気合いの入りようだった。

 

五条はサングラスを少し上げ、六眼でガン見する。

 

「……マジで潔乃だ……」

 

低く、呆然としたような声で五条が吐き出した。

七海もグラスを置き、低く唸るように言った。

 

「彼女、ああいう服持ってたんですね……」

 

伊地知は、五条と七海に気づかず、まっすぐカウンターへ向かう。

慣れた手つきでコートを椅子の背に掛け、マスターに軽く会釈をした。

 

「マスター、いつもの」

「バラライカだね」

 

マスターはにこやかに応え、慣れた手つきで酒を作り始めた。どうやら顔なじみらしい。

伊地知はグラスを受け取ると、「ありがとう」と笑って口をつけた。

 

その時、カウンターにいたナンパ男が、グラスを片手ににじり寄るような調子で声をかけた。

 

「ねえねえ、お姉さん、ひとり? 一杯どう?」

 

伊地知はちらりとそちらを見て、グラスを傾けながら軽く笑った。

 

「奢ってくれるなら、いただきます」

 

断る気配はない。

むしろ、伊地知はノリノリでグラスを受け取り、ぐいと一口で飲み干す。

カウンターのナンパ男が気をよくしたのか、嬉々として次の酒を注文し始めた。

 

その様子に、五条と七海の視線が同時に鋭くなる。

 

「「……チッ」」

 

ぴたりと息が重なり、ふたりの舌打ちが小さく響く。

その瞬間、わずかに2人の呪力が揺らいだ。

 

伊地知が、その気配にぴくりと眉を動かす。

グラスを持った手を止め、何かを察するように、ゆっくりと首を動かした。

 

カウンターの照明を受けたその視線が、奥まった半個室へとまっすぐに向けられる。

視線の先にいたふたり――五条と七海を認識した瞬間、伊地知の表情が露骨に引きつった。

 

 


 

 

この店の隅っこ、植栽の奥の半個室。そんなとこにピンポイントでいるなんて、どういう確率だよ。

 

視線がぶつかった瞬間、五条がゆっくりとサングラスをずらし、露骨に顔をしかめた。

昔の、ガラの悪い高専時代の空気をまといながら、立ち上がる気配を見せている。

七海もグラスを置き、苦虫を噛み潰したような顔をしている。こちらも今にも立ち上がりそうだ。

 

いやいやいや、来るな! 話せる状況じゃないんだって!

 

私は、ナンパ男の適当なトークを流しつつ、二人に向かって片手を上げて『待て』のサイン。

同時に、目線と口の動きで『あとで説明する、お願いだから今は黙ってて』と伝える。

 

二人とも動きを止めたが、視線の圧が強すぎる。胃が痛い。

 

あー……もう、仕方ない

 

本当はもう少し場を温めてから仕掛けるつもりだった。

だが、あんな怖いのが見てるなら、手短に片をつけたほうがマシだ。

私はナンパ男の方へ向き直ると、にっこりと微笑んだ。

 

「お酒強いんですね。テキーラのショット、どうですか?」

 

男は乗ってきた。調子に乗った顔が一段階ニヤついた。

クソ殴りテェ。

 

ショットグラスが並び始める。

私は何のためらいもなく、1杯をぐい。ライムを齧る。2杯、3杯、テンポよく飲んでいく。

うん、美味い。やっぱテキーラとライムの相性最高!

一切顔色を変えず、淡々と飲み干していく。

 

対するナンパ男も飲んではいるが、5杯を過ぎたあたりで顔が赤くなり始める。

10杯を超えた時点で、呼吸が荒くなってきた。

15杯を超えたあたりで、ナンパ男の目が完全にうつろになっていた。

そして、20杯目のグラスが空になった瞬間――

 

「……っぐ」

 

ナンパ男はガクンと崩れるようにカウンターに突っ伏した。

 

「マスター、救急車お願い」

「すぐ呼ぶよ」

 

手慣れた様子で救急車を依頼するマスターを見ながら、私はひとつため息をついた。

泥酔した男の顔をスマホで連写して、静かにミッションコンプリート。

出されていた、私とナンパ男の“21杯目”のショットを、ひと息に飲み干す。

 

「あー疲れた」

 

ふと顔を上げると、半個室からこちらを凝視している二人と再び目が合う。

……あ、今度は明らかに引いてる。

 

 


 

 

ナンパ男は、その後すぐに到着した救急車に運ばれていった。

なお、意識が飛ぶ直前に出させておいたクレジットカードで、しっかり会計は済ませさせた。

当然、私の分も払ってもらう。奢るって言ってたし、当然。ごちです!

 

タイミングを見計らっていたらしい五条と七海が、同時に立ち上がる。

まるで左右から取り囲むように、私の両隣に当然のように座った。

 

「ったく、どういうことだよ」

左から五条が、低く文句を言い、

 

「事情説明を求めます」

右から七海が、いつも通りのトーンで追撃。

 

距離が近い、狭い、圧が強い!!!

でかい男ふたりに両側から挟まれると、自分が宇宙人(グレイ)みたいな気持ちになるな……

 

その様子を見て、マスターがふっと笑った。

 

「お客さんたち、キヨと知り合いだったんだね」

「この子、ずっと前からうちの常連でさ。……今日のは、私が頼んだんですよ」

 

五条と七海がわずかに眉を動かす。

マスターは続けた。

 

「あのナンパ男、顔はいいけど何人もこの店で女の子食い散らかしててさ。あまりにもマナーが悪くてね。

それで、『恥ずかしくて店に来れなくなるほど、徹底的に酔い潰してやってくれ』って、常連仲間から依頼が来たんだよ」

「それで私に白羽の矢が立ったの」

私は苦笑いしながら、軽く手で自分の顔を指す。

 

「店一番のうわばみなのと、キチンとすればこの通り、そこそこ化けるからね」

 

マスターの言葉に補足するように、少し冗談めかして言ってみせた。

スマホを開いて、さっき撮った泥酔ナンパ男の写メを、常連グループに送信。

すでに通知欄が「www」とスタンプで埋まり始めていた。

ザマァ!

 

「はい、ミッション完了。あとはSNSの魚拓も取っとこ」

片手で画面をスクロールしてたら、隣の視線が気になる。

五条がじっと覗き込んでいた。

 

「お前……こういうの慣れてんの?」

「まさか。今日が初ですよ。偶然に偶然が重なっただけです」

嘘は言ってない。ただ、少し……段取りが良かっただけ。

 

そこへ、マスターがタイミング良く口を挟んだ。

 

「依頼って意味では、今日が初めてだね」

「でも、いつもは自主的に動いてくれてたよ。マナーが悪い人が来たとき、奢らせて、潰して、静かに追い出してくれる。だから、こっちは本当に助かってた」

 

ちょ、ま!

 

余計なことを言わないでマスター!!!

私の伊地知トレースしてない、完全プライベートを晒してんじゃねぇ!

心の中で絶叫しながら、あははっと空笑いをする。

 

「最近は忙しいみたいで、なかなか来てくれないのが残念だけどねぇ」

 

うわぁ、追い打ちきた。

 

左から五条の無言の圧。

右から七海の「どういうことですか」と言わんばかりのまっすぐな視線。

 

圧がすごい。怖い。胃がきゅってなる。

 

「あ、マスター、デュワーズのハイボー」

逃げ道を作るように、私は慌ててオーダーしかけた。

 

 

「お会計、お願いできる? これで」

 

五条が私の言葉を遮り、無言でカードを差し出す。

そして、ガシッと私の肩を押さえてきた。

 

指が食い込んで、地味に痛い。

 

「ひとまず、明日早いので」

七海がすっと立ち上がり、淡々と言う。

 

「今夜の説教は、五条さんにお任せします。では」

 

さらりと去っていく七海。その背中が、清々しいほどの他人事だった。

 

「ちょっと待って七海さん!フォローお願いしたじゃん!!!」

思わず声を上げる。

 

振り返らずに返ってきたのは、冷静すぎる声だった。

 

「自業自得です。今夜は五条さんに譲っただけなので、明日以降、覚悟しておきなさい」

 

「……あ、はい」

 

完全に詰んだ。

 

「帰るぞ」

いつの間にか会計が終わったらしい。

五条が私の手を引きカウンターの椅子から立たせ、くぃっと玄関を指差す。

 

「……はぃ」

 

声が完全に死んでた。

 

 


 

 

腕を引かれタクシーに乗った後も五条は不機嫌だった。

趣味部屋の住所をボソリとタクシーの運転手に伝え、

あぁ、そこで今夜は説教ですか。

私は遠い目をしながら、静かに天井を見上げる。

 

本気で気まずい。気まずさで窒息しそう。

 

マンションに到着しても、状況は変わらない。

タクシーを降りた瞬間、再び腕を掴まれ、そのまま無言で引かれていく。

 

この図、他人が見たら完全に『連れ込まれてる女』だよなぁ……

現実はこれから暴君による説教タイムなんですが。

内心で現実逃避しながら、足だけはちゃんと動いている自分が情けない。

 

エントランスを抜け、エレベーターを上がり、部屋の前にたどり着いた。

 

そこで、五条がくいっと顎をしゃくってきた。

「開けろ」の無言圧。

私はスマホを取り出し、ロックにかざして玄関を解除した。

 

 

部屋に入るなり、背後から低く投げつけられた声。

 

「お前、シャワー浴びてこい。ナンパ男の香水クセェ」

 

有無を言わせぬ口調とともに、背中をぐいっと押され、風呂場の方向へ一直線。

そのまま勢いでバスルームのドアが開き、私はほぼ叩き込まれる形で中に押し込まれた。

 

「ちょ、ちょっと待っ!」

振り返る間もなく、バタンとドアが閉まる。

 

……完全に口調、高専時代に戻ってるんですが。怖。

 

香水の匂いが確かにキツいので、大人しくシャワーに入る。

あれだけ飲んでたナンパ男にベッタリだったわけだし、無理もない。

私も好きな香りじゃないので、さっさと落としたい。

 

若干困惑しながら、洗面所の鏡の前でウィッグを外し、メイクを落とした後に、シャワーを浴びた。

髪の毛はタオルドライでいいだろう。ガシガシ吹いてから、寝巻きのジャージに着替えてリビングに戻ると、

五条が、勝手知ったる顔でくつろいでいた。

私のストックしていたクッキーをもしゃもしゃと食べながら、片手には冷蔵庫から勝手に出したと思われるコーラのペットボトル。

さすがに自由にしすぎだろと思うが、言っても聞かないだろうしため息。

その気配に気づいたのか、五条がちらりとこちらを見て、くいっと顎をしゃくる。

 

「そこ。座れ」のジェスチャー

 

従うしかないので、私はソファーの正面に大人しく腰を下ろした。

 

私がソファに腰を下ろしたのを確認すると、五条はクッキーをひとつ、投げ戻すように皿に置いた。

そして、静かに口を開く。

 

「……まずひとつ」

 

声のトーンは抑えめなのに、圧がすごい。

 

「基本さ、俺、お前のプライベートに口挟みたくないと思ってんの。今までもそうだったろ?」

 

「……はい」

 

「でも、今日のはダメだ。限度超えてる」

 

五条は私を見ずに、低い声のまま続けた。

 

「まず、飲みすぎ。下戸の俺でもわかるレベルだった。

いくらザルで、飲み勝負に勝てるからって、あんなアホみたいな飲み方するな」

 

ようやく、横から視線が飛んでくる。

 

「次に、男煽るような飲み方。二度とすんな」

 

「……」

 

「どんだけ酒に強くても、薬盛られたら終わりだろ。

記憶飛ばされて、その隙に何されたって気づけねぇんだぞ」

 

言葉が鋭くなる。核心を突くように。

 

「お前は、俺の庇護下にあるって、前にも言ったよな?」

「……はい」

「じゃあ聞くけど、その男が「五条悟 (オレ)の お気に入り」って知ってて、お前をターゲットにして近づいてきたら、どうすんの?」

 

その一言に、息が詰まった。

 

「お前がどう思ってようがな。周りから見りゃ、お前は「俺の駒」だ。「下僕」って思ってる奴もいるだろ。

……そう思われてることを、自覚しろ」

「……」

「そう見られてるだけで、敵が寄ってくる可能性があるんだよ。

ていうか実際、高専にいた時はあったろ?わかってんのか?」

「……すみません」

 

思わず、かろうじて絞り出した声は、思ったよりも小さかった。

 

「なんでプライベートになると、そこがすっぽ抜けるかな……お前は」

 

確かに。

高専から出て、気が抜けてた。ここは「私的な場所」だからって、意識がごっそり抜けてた。

そう考えてるのがのが伝わったらしい。

 

「……わかったなら、いい」

 

五条はそう言って、目を伏せる。

深く息を吐き、ほんの少しだけ肩の力が抜けたのが、視界の端で見えた。

 

「それにしてもさ」

 

沈黙を破るように、五条がふっと息をついて口を開いた。

 

「潔乃って、あんな格好するんだね。初めて見たから、ちょっと驚いたよ」

 

ようやく、普段の口調に戻った。

お説教モード終了、らしい。

私は小さく息をついた。心の中でホッとする。

 

「あぁ……あれは、小綺麗な格好が必要な時が時あるじゃないですか?

それ用に、年に一回くらい買う一張羅ですね」

 

「年に一回って……」

五条が肩を揺らして笑った。

 

「ほら、基本仕事ばっかりなので。あんな見目にかまってられないですし」

そう言いながら、自分の今着ているジャージの裾をつまんで見せる。

 

「うん」

五条は頷き、にこりと笑った。

 

「お前はそれでいいんじゃないかな」

 

その笑みに少しだけ気が緩んで、私はぽつりと呟いた。

 

「……それに、慣れないヒールなんて履くと、すぐ靴擦れするんですよ」

 

五条が「うわ、それは痛い」と言わんばかりに顔をしかめる。

 

「明日、高専戻ったら硝子に見てもらいな。とりあえず今日は、自分で消毒しておこうか」

「いや、これくらいは別に……」

「現場行って、靴擦れで走れないってなったらどうすんの?」

 

......ごもっとも。

 

私は反論を飲み込み、大人しく「はい」と頷いて、薬箱を取りに立ち上がる。

 

その背中に、五条の声が軽く飛んできた。

 

「今日、泊まってくわ。シャワー借りるね」

 

そんな風に当然のように泊まっていくから、変な奴らに目をつけられるんだろうなぁ。

……とは思うけど、もう今さらか。

 

すでにこの部屋には、五条用の着替えが何セットも置いてある。

バス用品も、タオルも、五条が勝手に使えるように揃ってる。

置いてあるだけじゃない。ちゃんと使い慣れた位置にあるのがまた腹立つ。

 

いつでも五条悟が泊まっても大丈夫な部屋になってしまっている、というのが現実だ。

 

ちなみに、職員寮の部屋も、仕事部屋も、同じ状況である。

「プライベートには干渉しない」とか言っといて、そこは侵食しすぎなんだよ。

 

「もろもろ勝手に使ってください。私は先に寝ます」

 

そう言って、靴擦れを消毒し、絆創膏を貼った。

髪はまだ少し湿っていたけど、まぁほとんど乾いてるから、よしとする。

 

さっさと歯磨きを済ませて、ブランケットを抱えてソファへ。

五条の体格じゃベッドの方が合ってるし、そういう判断だった。

 

柔らかいクッションに身を沈めると、すぐにまぶたが重くなる。

意識がふっと落ちかけた、そのとき。

 

「おい。なんでソファで寝てんだよ」

 

五条の声が頭の上から落ちてきた。

 

「……五条さんだと、ソファ狭いでしょ……?」

 

ぼんやり返した瞬間、身体がふわっと浮く。

 

「ちょっ、ちょっと!?」

 

文句を言う間もなく、五条に横抱きにされ、そのままベッドにぽーんと投げられた。

 

「いきなり何すんですか!?!?」

「ほら、奥詰めろ。寮のベットより広いとはいえ、狭いだろ」

 

五条は当然のようにベッドに上がってきて、

サングラスと私の伊達メガネをベッドボードに置き、

当然のように隣に寝転がり、

当然のように、私を抱き枕にするポジションを取った。

 

「……」

 

もう、怒る気も起きない。

 

 

百鬼夜行の元日に同衾して以来、五条はこうして、たまに私を抱き枕にする。

 

……まぁ、何か思うことがあったのか、きっかけがあったのか――

本人は絶対に言わない。

 

気づけば時々こうして、背後から、あるいは正面から、横から、当たり前のように腕を回されている。

言っても聞かないし、ひっぺがそうとしても、力負けして結局離れられない。

 

散々、

 

「柔らかさが足りない」とか、

「抱き心地がいまいち」だの、

「もう少し肉をつけろ」とか

 

失礼極まりない文句を並べるくせに。

それでも、結局はこうして抱きついて、子供みたいな寝顔でぐっすり眠る。

 

……なんなんだこいつ。

 

ソフレか?

なんかのはずみで、私にバブみを感じてオギャった?

 

今日はどうやら正面から、らしい。

私を胸元に引き寄せ、髪の毛に顔を埋めてきた。

 

そのまま、ゆっくりと深くなる呼吸。

静かな寝息が、耳元に落ちる。

 

私は小さくため息をついた。

そして、諦め半分、習慣半分で、五条の体に腕を伸ばす。

 

ぬくもりを感じながら、まぶたが自然と落ちていった。

 


 

主人公

 

ペースを守ればザル。とは当人の申告。

そのペース自体が常人からするとだいぶピッチが早いので、基本的に絶対につぶれない。

色々真面目に考えたりした後の酒は完全なストレス発散。

アホを酔いつぶして美味い酒最高!だったのに、五条と七海にバレたせいで、

それを禁止された。まぁ五条の言うとおりなので納得はしてる。

定期的に、抱き枕にされることに困惑中。

ソフレ(添い寝フレンズ)という言葉を知ってるので、それかー?と思ってる。

 

 

五条悟

 

ピックアップをあっさり断られてイラっとしたけど、ここまでは我慢できた。

気安くナンパ男にベタベタされながら飲んでた姿見て、&危いお酒の飲み方してて流石に怒った。

酷い飲み方するのはやめろ!

主人公の見慣れない格好については、似合ってるとは思うけど、普段の方がらしくていいなと思ってる。

ショートスリーパーだが主人公を抱き枕にしてると、深く長く寝れるので気に入った。

ソフレという言葉は知らない。

 

 

七海建人

主人公からフォローの依頼が来てたので、多少はそのつもりだったが

モロに巻き込まれて五条以上に、主人公にイラついてた人。

危ない飲み方に、この後輩を説教せねばと思ったが、五条の方がより怒ってたのでこの場を譲った。

後日、徹底的に五条以上に理詰めで説教する。

私や五条さん、家入さんのいないところでの酒は禁止です!いいですか?

主人公の見慣れない格好については、本当に女性らしくて驚いた。女はこれだから怖い。

 

 

 

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