【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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交流会前夜(ファンパレ)から交流会終了まで

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです


転生者、交流会を運営する

今年の「東京・京都姉妹校交流会」は、東京校で開催される。

 

当然、受け入れ側の準備を担うのは──

私たち、呪術高専の職員だ。

 

・交流戦で使用する、手頃な呪霊の確保と管理

・術師スケジュールの調整

・京都校関係者の宿泊施設手配

・食事や差し入れの準備

・交流戦の監視依頼──冥冥さんに正式依頼して、契約書面も締結済み

・試合エリアの区画整備と結界設定

 

……などなど、挙げればキリがない。

 

しかも、これに加えて通常業務まである。

そう、通常業務も──しっかり、あるのだ。

 

……やっぱり、五条と海外出張行ったの、間違いだったんじゃないか?

タスクの詰まり方が異常なのよ。

ドラクエなら今、HPがオレンジになってる。

もうそろそろ、ベホマどころか教会送りなんじゃないかと思うレベル。

 

最後に自室のベッドでまともに寝たの、いつだっけ?

思い出せない。

戻るのも面倒で、最近は仮眠室のソファや、デスクの上で突っ伏して寝るばっかり。

……人として終わってる気がする。

 

この激務で唯一、良かったことがあるとすれば──

あまりにも忙しすぎて、食欲が復活したこと。

ずっと胃腸を壊してから面倒で、完全栄養食のドリンクやら、ゼリー系のエネルギー食品だけで済ませていたが、

食べないとマジで倒れる。体のほうが悲鳴を上げてきた。

 

ある日、会議中に本気で貧血でふらついて、

「これはマズい」と悟ってからは、無理やりでもおにぎりやサンドイッチなどのまともな食事を摂るようにした。

他の人の発言中で、私が進行中じゃなくて良かった。

 

その結果、多少は食べられる量が復活してきたのだが……

 

それってつまり、もはや『人間』としてじゃなくて、

ただ本能で『生き延びる』ために動いてるってことじゃないか。

 

……やっぱり、労働というか、呪術界はクソ。

 

 

溜まりに溜まった書類をなんとか整理し終えて、今日はなんとか定時で上がれそうだった。

仮眠室じゃなく、自室のベッドでゆっくり寝られる。

そろそろこの疲労をなんとかしないと、交流会当日に影響が出てしまうと思っていたので、この定時退社はありがたい。

ひっそりと、バレないように部屋で酒を飲むのもアリかもしれない。

そんな密かな希望に浸っていた、ちょうどその時だった。

 

仕事用のスマホが鳴った。

 

着信相手:五条悟

 

……やめて。今日はもう、定時も過ぎてるから、勘弁して欲しい。

見なかったことにして、着信を無視する。

一瞬の沈黙。

 

と思ったら、もう一台の仕事用スマホが鳴り出した。

 

……伊地知潔乃は、仕事で疲れて寝てます。留守です。不在です。死んでます。

そう祈ったが、無情にも着信は続く。

 

今度はプライベートスマホが鳴った。

 

……この辺りから「いいから早く出ろよ」という圧が電波に乗って感じ取れるようになる。

 

私は観念して、ゆっくりとスマホの通話ボタンをタップした。

 

「……はい、伊地知です」

 

『あ、潔乃? すぐ来て。位置情報送っとくから』

 

「えっと、一応……もう定時は過ぎてるんですが……」

 

『いろいろ荷物あるから車で来てね』

 

 

さらっと携帯を切られた。

あんの白頭。私を本格的に過労死させる気か????

 

 


 

 

結局、車を回した私は、

そのまま五条に引きずられるように、あちこちのスポーツショップを回ることになった。

 

まずは野球コーナーで──

 

「キャッチャーミットとファーストミットってどう違うの?」

 

と聞かれ、つい反射的に、

 

「ファーストミットの方が、薄くて大きめですね」

 

と答えてしまった自分が悔しい。なんで知ってるんだ、私。

そのあとも、フットサルボールをカゴに入れたタイミングで、

 

「……あの、オリンピンクでもやるんですか?」

 

とツッコミを入れたが五条に軽く流され、今度は大玉買うと言い出した。

は?大玉?意味わからん。

 

「ラグビーって6人でできるっけ?」

「たしか、オリンピックでは7人制だった筈ですが……」

 

なんて会話を延々と続けながら、次から次へとスポーツ用品の買い物につい合わされる。

気づけば車の後部座席は、謎のスポーツセットでパンパンになっていた。

 

そして──その時、ふと気がついた。

あーこれ、交流会の2日目の準備だわ。

 

たしか原作では、五条が「本来なら個人戦になるくじ」を、

『スポーツだらけのくじ』にすり替えて、野球大会にしてた。

 

あれの準備……

まさか五条と伊地知さん(兄さん)がやってたのか。

 

……ってことは、今その役回りが私に来るのも納得。

 

完全に理解した!

 

通販でよくないか?

アマゾンなら余裕で間に合うし、店舗回るより安いし、在庫もあるでしょ?

 

そんな恨み言を胸の中で繰り返しながら、ようやく荷物の積み込みを終える。

 

「はい、じゃ領収書ね」

 

と、五条がさらっと差し出してきた。

 

「経費で落としといてね」

 

……って言われてもね。6桁超えの経費清算とか。

 

実際に交流戦2日目で使った野球用品は通せるだろうけど、他のはね…

ひっそりと混ざってる、バッティングセンターとボウリングの領収書は、何に使ったんですか。

思わず費目を尋ねたら

 

「青春費!」

 

と満面の笑みで言われて、こめかみに青筋が浮かぶ。

 

五条から票を渡されクジを作れとか言ってるのを、生返事で聞き流す。

はいはい、指示通り明日作りますから。交流会の2日目のくじ引きでしょ?

もう何もかもが面倒だ。

私は何も知らない。

突然理不尽なことを五条に押し付けられた哀れな補助監督で行こう。

夜蛾には見抜かれるかもだが。

 

面倒なので野球の経費以外は、一切合切、高専の経理処理に回さず、五条の個人経費処理の方に適当に放り込むことにした。

多少損してもいいだろう。

どうせ本人は金がありすぎて、経費の内訳なんて気にしてない。

私に全部ぶん投げてる方が、悪い。

 

そのうち横領でもしてやろうか!

 

そんな冗談を思いついた瞬間、一気に疲労感が押し寄せてきた。

……とっとと高専に帰ろう。風呂入って寝る。それだけでいい。

そう思ってトランクのドアを閉めた直後──

 

「はいはい、潔乃はこっち」

 

五条に、有無を言わさず助手席へ突っ込まれる。

 

「え、ちょっ……」

返す間もなく、荷物を背中で押し込むように押し当てられ、シートに沈められる。

そのまま五条は運転席へ回り込み、悠々とシートに収まった。

 

「は? いや、私が運転を」

「いやさー、呼び出しといて悪かったけど」

 

エンジンをかけながら、五条は横目でチラリとこちらを見た。

 

「そんな過労死しそうな顔色のやつに運転させられないよね?」

「……そもそも呼び出さないでください」

「猫かぶり、盛大に剥がれてるからねー。ほら、シートベルトして?」

「聞けよ!!」

 

 


 

 

意外なことに、五条は丁寧に車を走らせていた。

そういえば、彼が運転する車に乗るの、これが初めてだ。

免許取ってたことすら知らなかった。

10年以上付き合いがあるけど、知らないこともあるもんだな。

 

何気なく隣に視線を向ける。

 

今はアイマスクを外している。

運転中に職質されたら面倒だからだろう。

珍しく、素顔のまま真面目にハンドルを握る横顔を見て、珍しいものを見たな。

 

「ラーメン食べて帰ろうか」

 

運転席から、五条が何気なく言った

 

「いや、帰って早く寝たいです」

 

即答する。体力も気力も限界に近い。今日はもうこれ以上、何もしたくない。

 

「食事はとった方がいいよ。ここの先に評判のいいラーメン屋があるんだよね。チャーシューがトロトロで──」

「お願いだから聞いて」

 

軽口を返す気力もなく絞り出すように言ったが、

五条はまったくこちらの話を聞いておらず、にこにこと笑ったままだった。

相変わらず私に決定権はないようだ。

 

無理やり連れ込まれたラーメン屋は、悔しいことに、本当に美味しかった。

濃厚な魚介系と豚骨の混ざったスープに、ほどよくちぢれた麺。

トロトロのチャーシューと、香ばしいネギ油の香りが胃を刺激する。

煮卵も味がよく染みててしょっぱさもちょうどいい。染みる。

 

気づけば、夢中で箸を動かしていた。

こんなにちゃんと「食べた」と思えたのは、久しぶりだった。

気づけば、スープまで完飲していた。

 

「女子でここのラーメン、汁まで完飲するとか……潔乃、すごいねぇ」

 

五条にニヤニヤと笑われて、お冷やでもぶっかけてやろうかと思ったが、無限で阻まれるのでやめた。

……むかついたので、無視して勝手に餃子とハイボールを追加で注文した。

が、餃子がテーブルに届くや否や、あっという間に半分以上、奪われた。

 

解せぬ。

 

その後も、五条の運転で高専まで送ってもらい、荷物を運び入れて──解散。

酒も一杯だけとはいえ入っているし、風呂に入ったら、さすがに寝落ちしてしまうだろう。

それでもシャワーを浴びた後、髪をしっかり乾かすだけはなんとかした。

さて、寝ようかそう思ったところで、

テーブルに放り投げたカバンが視界の隅に入る。

 

ため息ひとつ。

 

なんとなく手を伸ばして、中から書類を取り出す。

 

交流会の警備配置案。交流戦のエリア設営図。放たれる呪霊の種類に、進行予定表。

 

ついでにタブレットを手に取り、術師や補助監督たちのカレンダーを表示させた。

それを並べて、頭の中で配置をシミュレーションしてみる。

 

──本当に、これで良かったのだろうか?

 

眠気で思考は曖昧だ。お腹もいっぱいだ。

考えてもまとまらないまま、ただ書類を眺め続けていた。

眠気で思考がまとまらないが、ぼんやりとその書類を眺めてると気がついたら瞼が落ちていた。

あ、この満腹のまま寝ちゃうと、また胃腸の調子悪くなっちゃう

ベッドにも移動しなきゃと思うが、めんどくさい。そのまま床に横になった。

 

 


 

 

疲弊し切った様子が気になって、五条は潔乃の部屋を訪れた。

 

部屋の鍵がかかっていないことは、彼自身がよく知っている。

だから、ノックなどはしない。

たとえタイミング悪く着替え中で裸だったとしても気にしない。

実際、過去に何度か遭遇して怒鳴られたこともあったが、

五条は一度たりとも反省したことはなかった。

いつものように、何の迷いもなくドアノブに手をかけ、そのまま部屋に入る。

 

不用心じゃないか? そう思う人間もいるだろう。

だが、五条にとっては、そういう話ではなかった。

 

潔乃の部屋には、呪力を込めた宝石を使った結界が張られている。

実験も兼ねているそれは、悪意を持った侵入者を感知し侵入を防ぐ。

攻撃力は皆無だが、少なくとも、五条が「問題ない」と判断する程度には機能している。

物理的な安全性は、確保されていた。

心理的な安全性?それは、五条悟の辞書には載っていない。

 

部屋に入った瞬間、五条は小さく吹き出した。

 

「……え、マジで?」

 

思わず声が漏れる。

布団でも、ソファでもない。

潔乃はフローリングの上で寝落ちしていた。

 

あれだけ「帰って早く寝たいです」と言っていたくせにと呆れ顔でつぶやく。

 

どうせ、書類を読んでるうちに限界が来て、そのまま沈没したのだろう。

そんな姿が目に入って、五条はため息をひとつ。

 

「まったく……寝たい寝たいって言ってたやつがこれかよ」

 

そう呆れたように言いながらも、五条の動きは自然だった。

床で眠る潔乃の、薄っぺらい体を軽々と抱き上げて、ベッドへと運ぶ。

あまりに軽くて、ふと眉をひそめる。

 

体重、もうちょっと増やした方がいいな。

またラーメンにでも誘って、しっかり太らせるか。

その方が、抱き枕にしたときの抱き心地も良さそうだし。

そんなふざけた思考を真顔で巡らせながら、メガネを外してやり、掛け布団をそっとかける。

 

彼の視線はちらりとテーブルの上へ移った。

 

書類が散乱している。

交流戦の計画書だ。エリア設営、警備配置、呪霊の放出管理、進行予定表……

裏方のすべてが詰まった、気の遠くなるような業務の山。

 

そのすぐ隣に、タブレットが置かれていた。

ふと気になり手に取ると、ロックがかかっていた。

五条は当然のように、潔乃の右手を取って指紋認証で解除する。

 

「指紋認証って、セキュリティ的に微妙だよね」

 

冗談めかした言葉とは裏腹に、画面を見た瞬間、五条の表情が変わる。

 

表示されていたのは、術師や補助監督たちのカレンダー。

打ち合わせ、配置調整、リスク分散──さらには欠員が出た際のバックアップ体制まで。

 

ありえないほど綿密に、予定が組み上げられていた。

 

交流会なんて、毎年のルーチン業務だ。

確かに面倒ではある。今年は東京校が受け入れ側。作業が多いのは事実だ。

だが、それにしても、これは...

 

「……やりすぎじゃね?」

 

違和感を抱いたのだろう。

眉間に皺が寄り、視線は再び画面へと戻る。

 

あまりにも、緻密すぎる。

 

ふと脳裏に蘇る、数ヶ月前の記憶。

 

英集少年院の件。

あのときも、潔乃は異様なほど『上』の動きを警戒していた。

情報を伏せ、周囲を巻き込みながら、静かに、確実に準備を進めていた。

 

あのときと、同じだ。

 

彼女は、交流会で何かが起きると踏んでいる。

もしかすると、再び虎杖悠仁の命が狙われると想定しているのかもしれない。

 

……とはいえ、今の悠仁は、そう簡単にやられるほど甘くはない。

前回と異なり1人で全部動いてるようなのが多少気になるが、

何かが起きれば、そのときは自分が動けばいい。

 

五条は、そう静かに結論づけた。

 

タブレットを閉じようとした、そのとき。

五条の指が、ふと止まった。

 

ホーム画面に並ぶアプリの中に、ひとつ目についたフォルダがあった。

 

『渋谷@イベント』

 

何気なく開いたその中には、複数の画像ファイルとメモが整然と並んでいた。

 

「『19:00渋谷 東急百貨店、20:14東京メトロ渋谷駅13番出口、

渋谷マークシティレストランアベニュー入口、JR渋谷駅新南口、文化村通り道玄坂2丁目東…』」

 

「...イベントのタイムスケジュールか?」

 

メモを閉じて、画像を確認する。

 

出てきたのは、渋谷駅構内地図。

東急百貨店 渋谷本店の館内図、渋谷ヒカリエ1改札付近、マークシティー、Cタワー……

スワイプするたび、実際の写真が順に現れていく。

 

その一つをタップした瞬間、五条の目がわずかに鋭くなった。

 

表示されたのは、渋谷駅周辺の詳細地図。

 

中心には、東急東横店跡地を起点にした二重の大きな円が描かれていた。

それを囲むように、小さな円もいくつも記されている。

東急百貨店 渋谷本店、渋谷ヒカリエ、マークシティー、Cタワー...

先ほどの画像とリンクする、実際の地点だ。

 

出入り口や路地にはチェックが入り、色付きペンで引かれた太い線が、地図を縦断している。

地下、地上を問わず、網の目のように線が巡らされている。

 

中でも目を引いたのは、地図の中に星マークが打たれた箇所。

そのすべてに、手書きの注記が添えられていた。

 

「東京メトロ渋谷駅 B5F副都心線ホーム」

「渋谷駅構内B2F」

「東京メトロ渋谷駅13番出口付近、宮下第一歩道橋」

 

いずれも、渋谷の中に存在する、ただの地名。

しかし、五条が目を細めたのは、その“文字”だった。

 

いつもの潔乃の筆跡とはまったく違う。

荒く雑な走り書き。

他の書類で見た、几帳面な性格がにじむような文字とは、明らかに異なっていた。

 

五条は、しばらく黙って画面を見つめ続ける。

 

胸の奥でくすぶっていた違和感が、少しずつ、形を取り始めていた。

そして、五条はぽつりと呟いた。

 

「………なんの『イベント』か、今度、確認するか」

 

 


 

 

スマホのアラーム音に気がついて、ぼんやりと目を覚ました。

 

まだ視界はぼやけている。

ベッドの上で、ごそごそと手を伸ばし、定位置にあるスマホを探り当ててアラームを止める。

 

……そこで気づいた。

 

腰に太い腕。

背中には、しっかりと密着している誰かの体温。

呼吸のリズムすら伝わってくるほどの距離感。

あー……この感じ。

 

「……五条さん、また勝手に忍び込んだんですか」

 

言いながら、ため息ひとつ。

驚きも、怒りもない。本当に、もう慣れた。

伊地知潔乃になってから、一度も彼氏もいないというのに。

なぜか男性(五条悟)との添い寝にはすっかり順応しているこの状況。

何かが根本的におかしい気がする。クソが。

 

「様子見に来たらさ、床で寝落ちてたんだよ。

だからベッド運んどいたの。僕に何か言うべきことあるでしょ?」

 

「……あ」

 

昨夜のことがようやく思い出された。

確かに、書類を読みながらそのまま床で意識を手放した記憶がある。

 

「……すみません。ありがとうございます」

 

流石に、申し訳なさのほうが勝った。素直に謝罪とお礼を口にする。

すると、背後からすかさず声が飛んできた。

 

「じゃあ今度、補助監督で任務ついてくる時に、飯は潔乃奢りな?」

 

ふふっと満足げに笑いながら、ようやく五条は私から腕を外して起き上がった。

そのままの流れで、テーブルの上を見やって言う。

 

「それにしても、裏方も大変だねぇ」

 

テーブルには、昨夜出しっぱなしにしていた交流会関連の資料が広がっていた。

 

「……はい。すみません、片づけます」

 

私も起き上がり、資料を手早くまとめながら、心の中で反省する。

特に見られて困るような内容じゃないけど、資料の扱いが雑になっていたのは確かだ。

疲れているときほど、基本的なことがおろそかになる。気をつけよう。

 

「今年は京都校が来ますからね。こちらが受け入れ側ですし、失礼のないように対応しないと。

それに、交流会用の呪霊も複数体放ちますから。油断できません」

 

そう告げると、五条はのんびりと肩をすくめた。

 

「ふーん。生徒はともかく、来るのっておじいちゃんと歌姫でしょ?

だったら適当でいいんじゃない?」

 

「『おじいちゃん』とか言わないでください。楽巌寺学長です。

それに庵さんは先輩です。もう少し敬ってください」

 

「えー、そういうの、めんどくさい〜」

 

その言葉に思わず肩を落とす。

 

こっちは間に挟まれてる身にもなってくださいよ。

 

私は五条さんの下僕だと思われてるせいで、

あの二人から怒られたり、逆に同情されたり。

特に同情の目が……正直、けっこう痛いんです。

特に仲がいい歌姫からの、心底可哀想にって言う視線がね。

 

 

 

あの後五条を部屋から追い出したあと、準備を始めた。

シャワーを浴び、気持ちを切り替え、スーツに着替え、必要な資料とタブレットを鞄に詰め込む。

今日もやることは山積みだ。

 

交流会の運営準備だけでも十分に重い。

配置確認、呪霊の解放タイミング、術師との調整、差し入れの段取り──

あれこれ指示しながら、同時に通常の業務も片づけていかなければならない。

 

そして、何より気がかりなのが、七海に渡す、宝石の最終調整。

これは、絶対にミスできない。

 

だからこそ、日中の業務は可能な限り『効率重視』で残業なんてしない!

そう気合を入れて、寮の自室を出た。

 

 


 

 

交流会1日目団体戦”チキチキ呪霊討伐猛レース”が始まった。

私は通常業務を自分のデスクで行なっている。

うん、名前ダサいね。誰だよこんなのつけたの。ガキ使大好きだけどさ。

そう思いながらも、私は自分のデスクで通常業務をこなしている。

今のうちに必要になる書類をまとめておこう。どうせ後でバタつく。

 

原作の伊地知さん(兄さん)も、交流会にはほとんど参加していなかった。

解説にちょろっと顔出しただけで、あの交流戦ルームにもいなかったし。

 

だから、私もそれに倣って、戦闘エリアからは距離を置いた位置にいる。

 

交流戦の本戦エリアとは、完全に別フロア。

裏方の補助監督や事務方の職員が詰めている、いわば“安全圏”。

 

……の、はずだ。

 

だって、真人は禁庫を狙っているはずだから、私がいるここは通過しない。

できれば、本当は──

他の術師や補助監督も、このエリア周辺にまとめておきたかった。

そうすれば、守れる可能性があったから。

 

でも、それは難しかった。

 

いかにも不自然にならないように配置を誘導したつもりではあるけど……

それでも、全員は救えない。ごめん。

誰にも悟られないように、心の中で謝罪した。

 

学園内に、警報が鳴り響いた。

 

同時に、端末が震える。

夜蛾からの通話だ。すぐに出て状況を把握する。通常業務の時間は終わりだ。

同時に別のスマホを操作して、LINEを飛ばす。

 

『高専内に侵入者が入りました。詳細は不明。補助監督及び、2級以下の術師は交流戦エリア付近に近づかないように』

『準一級以上は警備計画のマニュアルを基本として、各自判断で行動してください』

『夜蛾学長は天元様の元へ向かわれました。学長命令で、これ以降、その周辺への立ち入りは禁止となりました。

万が一、敵の目的が天元様であれば、残穢等によって出入口の特定に繋がる恐れがあります』

 

『冥冥さんの術式を通して高専内の状況を把握できるはずなので、私はこれよりモニタールームに向かいます。以後の連絡や指示はそちらから出します』

 

同じ内容を口頭でいまこの場にいるメンバーに伝え、タブレットとスマホを手に取り、私は控え室を後にした。

 

 


 

 

「続いて、人的被害です」

 

私は手元の資料を見ながら、淡々と読み上げる。

「2級術師が3名、準1級術師1名、補助監督5名、禁庫番2名

高専に待機していた術師で五条さんや夜蛾学長と別行動だった方達ですね」

 

ただ、事実だけを並べる。

 

「家入さんからの報告待ちですが、以前七海さんが遭遇した呪霊の仕業でほぼ間違いないかと」

 

会議室に静かな緊張が走る。

 

騒ぎが収束した直後に開かれたこの会議

進行役は原作と同じく伊地知()

人的損害も含め、状況整理と事後処理の段取りを決めるための場だ。

 

原作と変わらない犠牲者の数。

 

事前にどれだけ準備しても、こうなる。

奇跡的に、私が配置を調整した区域からは、私が調整できなかった禁庫番2人以外の犠牲者が出なかった。

……でも。

 

まさか外任務を終えて帰還していた術師や、

高専待機の予定がなかった補助監督が高専に戻ってきて、犠牲になるなんて。

 

そんなの、どうしようもないじゃないか。

 

思わず、胸の内に湧き上がった徒労感を押し殺す。

表に出すわけにはいかない。

 

「捕らえた呪詛師は何か吐いたか?」

 

いけない。集中が切れていた。

慌てて万年筆でこめかみを押さえながら、返答の言葉を整理する。

 

「口が堅いわけではないのですが、まともじゃない要領を得ない発言が多いです。

ただ件の襲撃に関して、自分は取引の上、命令されてやったに過ぎないとのことで」

 

ページをめくりながら、メモの内容を確認し、続ける。

 

「『あの坊主名前は知らねぇ。男か女かも分かんねぇ白髪オカッパのガキだ』だそうです」

 

あえて、相手の口調を少し真似て伝えたつもりだった。

割と似ていたと思うけど、この場では誰にも伝わらなかったみたいだ。そりゃそうだ。

ざわつき始めた会議室の空気を横目に、私は小さくため息をつく。

 

個人的には、もう交流会は中止すべきだと思ってる。

 

まぁ、会議の流れでそうなりかけたが、止めたのは五条。メンタル強過ぎでしょ。

あの規模の襲撃があってなお、動じない生徒たちと、

それを当然のように任せる五条。

 

私は、正直、もうちょっとだけ休みたいです。

 


 

 

今頃、生徒たちは楽しく野球でもやっているのだろう。

 

うん。いいね、青春だ。

 

……で、私はというと。

 

死亡した十一名分の事務処理に追われていた。

 

労働基準監督署への報告書。

社会保険・雇用保険の喪失手続き。

給与・退職金、未払金の精算処理。

そして、一番気が重いのが、遺族への対応。

 

今回は、全員が呪術師家系の出身だったから、まだ良かった。

一般社会に対する説明が最小限で済むのは、ある意味“楽”だ。

 

……言ってて、ちょっと嫌になるけど。

 

それでも、労災保険の書類に関しては、いくつか“事故調査報告書”を偽装する必要がある。

本当のことなんて書けるわけがない。

高専は一応、都立であり公費で運営されているので、多少の融通は利くが、体裁を整える必要はどうしてもある。

この他にも、交流会で破壊された設備や敷地の補修がある。

どこかの誰かさんが虚式「茈」(むらさき)なんて使ったものだから…

私は今、相当な予算措置と復旧申請書類と向き合っている。

 

仕事量で私の魂が抜けそうになっているうちに、東京・京都姉妹校交流会は終了した。

 

 


 

 

主人公

 

過労死寸前。

やることが、やることが多すぎる!

五条に色々バレかけてることに気づいてない。

落ち着いて2、3日経った頃にストレスで酒が飲みたくて、業務用角瓶5リットルを一晩で開けた。

 

 

五条悟

 

主人公が妙に警戒してることにタブレットを見て気づいた、

悠仁がまた狙われるかと思ったら、それに加えて呪詛師と特級呪霊が襲撃してきて

特級呪物が奪われた。何この状況???となってる。

明らかに主人公が怪しく見えるが、主人公のことは全く疑ってない。

主人公のそれは勘なのか予知能力なのか。そろそろ問い詰めねばと今回の件で思った。

あと渋谷のイベントって何?

 

 

生徒達

 

メンタル強者。野球楽しかった。

 

 




原作、小説、ファンブック、そして、ファンパレの要素まで入れ出したら、調べ物が多くなり過ぎた。

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