【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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死滅回游?
物語は明後日の方角へ

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです


4章 死滅回游〜五条復活まで
転生者、チャートが通用しなくて涙目になる


11月11日

渋谷事変から10日。

東京23区は壊滅、避難指定区域として封鎖され、日本政府は官邸機能を大阪に移譲。

連日流れる報道は、国そのものがじわじわと沈んでいくような不穏さに満ちていた。

 

そんな中、虎杖たちは「コガネ」を使って、天使を探すべく泳者(プレイヤー)一覧を確認していた。

無機質に並ぶ名前の列を追っているだけなのに、妙に息が詰まる。

そこに表示されているのは、今この瞬間も、殺し合いの舞台に放り込まれている“誰か”の名だ。

 

「え、ちょ、これ……」

 

不意に、虎杖の指が止まった。

さっきまで流れていた名前の列の中に、見覚えのある文字が混じっていたからだ。

見間違いだと思いたかった。けれど、二度見しても、その名前はそこにあった。

 

「……どうした?」

 

伏黒が虎杖の視線を追い、そのまま動きを止める。

一覧の中にあったのは、見間違えるはずのない名前だった。

 

《伊地知潔乃》

 

それを見た全員息を呑み、その場の空気が固まった。

一瞬、誰も次の言葉を出せなかった。

 

「伊地知潔乃……って、あの伊地知さんか?」

「潔乃ちゃんも回游に参加してるの?」

 

秤や綺羅羅も、流石に驚きを隠せない。

そんな張り詰めた空気の中、、パンダが思い出すように口を開いた。

 

「確か伊地知は渋谷で呪詛師の襲撃を受けたんだよ。

んで、家入の救護班に保護されたはずなんだけど、1000万体の呪霊のゴタゴタで、そのまま行方不明になってるはずだ」

 

行方不明。

その言葉が、妙に重く響いた。

 

伏黒は黙ったまま、画面の一点を指差す。

 

「……問題はここです。滞留結界が空白になってる」

 

その意味を把握している虎杖が、息を呑む。

 

「……つまり、潔乃ちゃんは一度も結界に入ってないってこと?

それなのに、泳者(プレイヤー)リストに載ってるのは──」

 

瞬時に意味を把握した綺羅羅が続けるが、その先を言いたくなかったのか言葉が鈍る。

 

伏黒が重苦しく言う。

 

「……羂索によってマーキングされてた人の1人ということです。

術式が強制覚醒させられたか、呪物を埋め込まされた。

伊地知さんも、死滅回游の“泳者(プレイヤー)”にされたということです」

 

「でもさ、伊地知さんって……術式はなかったけど、補助監督で、一応“術師”枠だよな?

マーキングされたのって、非術師だけじゃないのか? 羂索、そう言ってたよな……?」

 

虎杖の問いに、伏黒が眉をひそめたまま、小さく首を横に振る。

 

「……それに関しては、正直、分からない」

 

分からない。

その答えに、皆の表情が曇る。

その一言で済ませるしかない状況が、場の空気をさらに重くした。

 

秤が腕を組んだまま、リストから目を離さず呟く。

 

「……厄介だな」

 

低く落ちたその声には、軽口の色がなかった。

静かに重く言葉を重ねる。

 

「仮に伊地知潔乃が受肉体だった場合だ。

“敵”になったら、その時点で、ほぼ詰みだ」

 

言葉の鋭さに、虎杖が顔を上げる。

最悪を煽っているわけでもない。

秤はただ、現実的な戦力分析として言っているのは、虎杖も分かっている。

だからこそ重かった。

 

虎杖は死亡偽装している間、伊地知に世話になっていた。

普段は穏やかで、虎杖たち生徒に優しく、ゲームの時だけ少し気性が荒くなる。

そのくせ毎日のように五条に振り回されていて、気の毒なくらい人のいい苦労人。

そんな伊地知さんは、皆に慕われていた。

だからこそ、受肉体だなんて信じたくなかった。

 

秤は視線をリストに落としたまま、淡々と続けた。

 

「高専の内部構造、結界操作、戦力分布、帳の展開手順……全部知ってる。

しかも、冷静に、それを“回す側”だった人間が敵になるんだ」

 

そして、はっきりと言い切る。

 

「やばくないわけがねぇだろ」

 

沈黙が落ちた。

 

伊地知潔乃は前線で暴れる術師ではない。けれど、だからこそ厄介だ。

現場のどこに何が必要で、誰がどこで詰まれば、全体が機能停止するか知っている。

それを理解しきった人間が、敵に回った時の厄介さを、ここにいる全員がなんとなく想像できてしまった。

 

まるで部屋の温度が数度下がったかのような、ひやりとした空気が漂う。

 

──そんな中、低く、穏やかに口を開いたのは伏黒だった。

 

「……その路線はないと思います」

 

全員の視線が、伏黒に集まる。

伏黒は表情を変えないまま、静かに続けた。

 

「もし本当に“敵”になってたら、とっくに何かしら動きがあっていい。

でも、これだけ日数が経って、何の痕跡もないってことは、

伊地知さんは、“自分の意思”で身を隠してるってことだ」

 

その言葉に、秤が鼻を鳴らす。

希望と言い切るには弱い。だが、少なくとも絶望だけではなくなった。

 

「……ま、そっちの方がしっくりくるか。

あの人は五条さんの懐刀だ。

何か仕込んでる最中だと思って、こっちは安心して動いてりゃいい」

 

虎杖が眉を寄せ、ぽつりと呟く。

 

「……でも、やっぱ心配だなぁ。

伊地知さん、泳者(プレイヤー)になったって言っても、どんな術式もらったのか分からないんだろ?

あの人、戦うタイプじゃなかったし……」

 

その言葉に、空気が少しだけ緩んだ。

が、それを打ち消すように、秤がふっと笑って腕を組んだ。

 

「いや、案外やれるぞ、あの人」

 

虎杖が驚いたように顔を上げる。

 

「えっ?」

 

「五条さんの側にいたのも納得ってくらいには、現場での勘が鋭い。

前に、一度だけ見たことがある」

 

伏黒が表情を引き締め、口を開く。

 

「……どんな時ですか?」

 

秤はリストから目を離さず、静かに語り出した。

 

「トラブルで、準1級の呪霊に襲われた時だ。

俺が呪霊払って戻ってきたら、補助監督の車のそばに別の準1級が湧き出てきやがった。

慌てて戻ったんだけどよ。伊地知さんが五条さんからもらってた宝石の呪具で、その呪霊を祓ってた」

 

思わずどよめきが漏れた。

 

「は? 嘘だろ。準1級を? 補助監督が?」

 

思わずパンダが目を丸くする。

秤は肩をすくめるようにして続けた。

 

「見た目は指輪だったな。小さめの、青い石が埋め込まれていた。

体術的な動きは多少鈍臭かったけど、呪力の流し方は慣れてる感じで、発動も上手かったぜ」

 

綺羅羅が、信じられないといった顔で首を傾げる。

 

「補助監督が、そんなの使いこなせるの?」

「さあな。でも伊地知さんは使いこなしてたぜ?」

 

秤は少しだけ真面目な声になった。

 

「“実戦には出ないけど、いつでも出ていける準備はしてる”って動きだった。

ともかく、判断力が良かった。

補助監督なんて肩書きに甘んじてる奴の反応じゃなかったぜ」

 

それまで黙って聞いていた虎杖が、ふと顔を上げた。

 

「──あ、だからか。」

 

「?」

 

全員の視線が、虎杖に向く。

虎杖は、過去を思い出すように呟いた。

 

「宿儺が、伊地知さんに興味示してたんだよ」

「そう言うことは早くえ」

「俺が死んでるってなってた時だったから話せなかったんだよ」

 

誰もが虎杖を見つめる中、彼は掌を見つめながら静かに続けた。

 

「んーっと、確か……伊地知さんちでゲームしてたんだけどさ。

急に、宿儺の声がしたんだ。掌に浮かんだ“口”から、直接、伊地知さんに、こう言ったんだ」

 

『何故、闘わぬ?』

 

全員が息を呑んだ。

 

「んで伊地知さんは『才能がないから、辞めろと五条さんに言われた』みたいなことを」

 

その場に、しん、と重苦しい沈黙が落ちたようだった。

 

「……宿儺は、鼻で笑ってた。それだけじゃなくて──わざとらしく、溜息をついた後に言ったんだ」

 

『オマエの主人(五条悟)は、見る目がない。所詮、その程度よ』

 

伏黒が、硬く表情を引き締める。

小さく、息を呑んだ。

 

虎杖は、ふと視線を落としながら、ぽつりと呟いた。

 

「……多分だけど、見抜いてたのって“羂索のマーキング”だったんじゃないかな。

それに、今聞いた才能みたいなのも気づいてた。

だから宿儺は、伊地知さんに興味を示してたのかも」

 

一通り話し終えたあと、虎杖が再度口を開いた。

 

「……やっぱ伊地知さんと、連絡を取る方法を考えたい」

 

「そうだな。今の話を聞いてると、やっぱり待ってるより、こちらからもアプローチした方がいい。

高専にいる家入さんや新田さんにも、協力をお願いしよう。

伊地知さんに繋がる痕跡がないか、そっちからも探ってもらう」

 

伏黒がそれに続く。

 

「俺たちは予定通り、“ポイントを集める”のと“天使”を探すのを並行で行う。

伊地知さんのことは信じてる。でも、信じて待つだけじゃなくて、手を伸ばす手段は持っておきたい」

 


 

──なんとか、生き延びた。

 

予定通り、私は七海によって家入のもとに運ばれたらしい。

男性より小柄な女性の身体のせいか、出血量の割合が多く、けっこうギリギリだったとか。

……それでも、なんとか、私は助かった。

 

意識を取り戻したあとは、五条悟の封印の話を聞かされた。

あの時は、驚いたフリするの、体力的にかなりキツかったな…

その後、状況を整理する間もなく、羂索が仕掛けた“1000万体の呪霊”が発生。

 

渋谷料金所の救護エリアも、すぐに大量の呪霊に襲撃され、

家入さんや夜蛾学長と分断されてしまった。

 

どうにか呪霊から逃げ延び、ようやく落ち着いた――そのタイミングで、仕事用スマホに高専からの通達が届く。

 

『四、伊地知潔乃を犯人隠避及び、幇助の疑いで、総監部への出頭を命じる。

出頭しない場合は捕縛対象とする。』

 

数秒、文章の意味が頭に入ってこなかった。

そして、白目をむいた。なんでやねん。

原作にこんなのなかっただろ!?!

想定外其の①

 

この状況で、高専に戻れるわけがない。

高専でゆっくり療養しながら、

伏黒津美紀の身代わりになるまで、表舞台からは消える予定だったのに!

翌朝、貸金庫から宝石を回収。

乗り捨てられた車やバイクを拝借し、そのまま都内を脱出した。

 

目指す先はただひとつ。

京都、五条家。

 

目的は、五条悟の封印を伝え、それを解くための協力体制の構築。

あの家は、良くも悪くも「五条悟のワンマンチーム」だった。

そしてその“五条悟”が「主犯」扱いされ、復活の芽すら摘まれた。

 

そんな筋書き、素直に信じるわけがない。

 

「五条悟の復活に日和る奴いる? いねーよなぁ?」

 

──というわけで、現在、伊地知潔乃は京都の五条家に潜伏しております。

 

もともと、五条から副業として個人的に依頼されていた仕事があったのも功を奏した。

術師としては三流もいいところだが、事務方としての信頼は抜群だった。

だから話が早かった。

 

五条家に借りたノートPCを叩き、念のため仕込んでおいたバックドアから高専のネットワークに侵入する。

……うん、相変わらずザル。

全部終わって無事に戻ったら、まともなインフラ技術者を雇わせてやる。

 

各部署のノートPCや監視カメラにアクセスし、高専内の映像と音声を拾っていく。

学長室のカメラを表示すると、室内はグシャグシャに荒らされていた。

五条悟を唆したとして、捜索を受けたのだろう。

 

夜蛾の秘匿処刑はすでに執行済みだった。

渋谷で言葉を交わした最後のやり取りが脳裏によぎり、思わず鼻の奥がつんとする。

 

スンッと鼻を啜って、無理やり気持ちを切り替える。

死者への追悼は、全部終わってからでいい。

 

保健室にカメラを切り替えると、家入の隈がひどくなっていて、

手助けできない自分が申し訳なくなった。

 

カメラをいくつか切り替えて、他に異常がないかを確認。

高専のドライブに新しい書類が上がっていないか探っていたときだった。

 

「あなた、ハッカーか何かですか?」

「……そのセリフ、五条さんにも言われたことあります」

 

PCをから目を離し、隣に来た男に呆れたように答えた。

 

声をかけてきたのは七海だった。

そう、七海建人。

本来なら渋谷で死ぬはずだった彼は、私の想定通り生き残っていた。

 

顔や首筋に火傷の痕がいくつか残ったのは申し訳ないが、

それでも、五体満足で、生きている。

 

渋谷料金所の一角で目覚めたとき、

隣に七海が横たわっていたのを見て、思わず叫んだ。

家入たちには重症の彼を見て動揺したと思われたようだが、

本当は“生きていた”ことが嬉しくて、堪えきれなかっただけだ。

 

あとで、七海から聞いた状況によると

私が事前に作って渡していた、呪力を込めた宝石は狙い通りに発動していたらしい。

 

漏瑚の攻撃を受けた直後、

事前に渡しておいた宝石が、狙い通りにいい塩梅で呪力を引き出し、七海を守ったらしい。

見た目には派手な火傷も負い、確かに重傷だった。

けれど、“死なない程度の傷”で済んだ。

 

一度家入の治療を受けるため、料金所に向かった七海。

本来の流れであれば、そのまま地上から家入のもとに戻れていたはず。

だが、意識のある七海は「地上は目立つ」と判断し、地下ルートを選んでしまった。

 

……それが、運がすこぶる悪かった。

 

渋谷駅構内には改造人間が大量に溢れていて、

結局、料金所とは逆方向に流されるように逃げたその先で──

 

真人と、遭遇。

 

無為転変を受けた。

 

ただ、七海の証言によると、

“横腹の一部を吹き飛ばされた”程度で済んだらしい。

致命傷一歩手前。

原作だと上半身が吹き飛んでいたので、宝石を渡しておいて良かった。

そして、その直後に新田新が駆けつけた。

 

新田の迅速な処置と回収によって、

七海は家入が控えていた料金所へと運ばれ、なんとか命を繋いだらしい。

 

……いや、マジでこっちもこっちでだいぶ綱渡りだったよね。

 

その後、七海が意識不明のまま“1000万呪霊”が発生。

家入と夜蛾とは分断されてしまい、

私は──184cmの意識不明の男を担ぎながら、呪霊の群れをかいくぐって逃げ回るハメになった。

 

私、偉くない?

マジで。

呪力操作で筋力底上げできてて、本当に良かった。

 

その後、落ち着いたタイミングで七海が意識を取り戻し、

「高専に戻ろう」と話していたその瞬間に、あの出頭命令を叩きつけられた。

 

私は逃亡することを選び、七海にそれを伝えた。

すると彼は「同行します」の一点張り。想定外②

 

「高専戻ってくれた方が都合がいいです」

「命の恩人を見捨てろと?」

「一緒にいるってバレたら、私が“共犯者を引き込んだ”って見なされるからダメです」

「あなたをほっといたら、後で私が五条さんに文句を言われます!」

 

などの一悶着の末、結局、私たちは──共に逃亡することなった。

そして今、五条家に間借りしてる。

 

膝の上にノートPCを置いて、無数のフォルダを順に開いていく。

 

「……高専の状況は?」

 

横から覗き込んでくる七海の声。

姿勢を崩さず、私は淡々と答える。

 

「特に変わりはありません。なんとか生き残った人員で回してるみたいです」

「それは何より。これで今後は、あなたの仕事を他の人に投げられますね」

「冗談抜きで、それが一番ありがたいかもしれません」

 

キーボードを叩きながら、次のフォルダを開く。

 

「……やっぱり、私に出頭命令が出たのって、宝石のことが羂索にバレたからなぁ」

 

羂索についてはもう七海に話をしてある

というか、未来知識に関して激詰されて自白させられた。想定外③

 

 


 

 

「んで、どこまで未来知ってるんですか?」

 

五条家と共闘関係を結び、ようやく少し休める。

ホッとしながら、客間で腰を下ろしたところだった。

あまりにもどストレートさにポカンとなったのを覚えている。

 

七海曰く、私の異様な感の良さには気づいてたけど、

バックルを貰い、それが渋谷でピンポイントで発動した時に確信したとのこと。

ちなみにその数日前には、五条から「渋谷に気をつけろ」と言われてたと聴いて私はさらに混乱した。

 

なんで渋谷のこと知ってるの?

 

思わずチベスナ顔をしてたら

 

「なんの証拠も無しに言い出す人じゃない。

あの人のことですから、伊地知さんの部屋に忍び込んだ時に、PCとか見たんじゃないんですか?」

 

と言われて納得した。

私物のタブレットに、自分が考えるためにまとめた資料なの、置いてたかもしれない。

指紋認証だから私が寝ている隙に解除もできるし、五条は目がいいから私のパスワードを見抜いてたのかもしれない。

「あいつ最低だな」と思わず呟くと、「だから、節度を持った付き合いを、と何度も言ったでしょう?」

七海の説教が始まりそうになり、慌てて話題を変えた。

とにかく、五条も私の未来視に気づいていることをに頭を抱えた。

 

「五条さんが復活してきた時が怖い」

 

私がぽつりと漏らすと、

静かに声が返ってきた。

 

「つまり、五条さんは復活できるんですね」

 

私は七海を見た。七海も、私を見ていた。

 

「………………………………」

 

自白しなさい(ぜんぶ吐け)

 

 

この人、こういう時ほんとに容赦ない。

 

とはいえ、さすがに「前世の記憶があって原作知ってるんです」なんて正直に言えるはずもない。

なので、嘘と本当を上手く散りばめて、以下のように話した。

 

 

「子供の頃、頭を強くぶつけたんです。

それがきっかけで、呪力に目覚めました」(※本当)

 

「その時から、ときどき“夢で未来を見る”ようになって。

それも……漫画みたいなコマ割りで」(※ほぼ嘘。というか、全部“原作記憶”)

 

「当時は“よくわからない変な物語を見た”って程度の認識でしたけど、

ある日、高専という言葉を知った時に……嫌な予感がしたんです」(※ここも演出含みの嘘)

 

「実際、入学したら“夢で見たことのある人”がいて、

それで最初、あなたたちとは距離を置いてました」(※本当……最初は迷ってた)

 

「それでも……“灰原先輩が、漫画の通りに死ぬのは嫌だ”って思って。あの時は、自分なりに準備したんです。

でも、間に合わなかった」(※本当)

 

嘘にほんの少しの本当を混ぜ、本当にほんの少しの嘘を混ぜる。

それが一番、“信じられる嘘”になる。

 

だから私は、こうして七海に話した。

どこまで信じたかは、彼にしか分からないけれど、少なくとも、その顔には失望の色はなかったのでホッとした。

 

「なるほど漫画形式だから、完全に全てが見えているわけではない。

だからこそ、あなたもあの重傷を負ったんですね」

 

……なんかいいように解釈されてる気がしたので、ラッキーと思いつつ、

その場で話せる情報を全部ゲロった。

 

ついでに、宝石の作成者が実は私だってこともゲロった。

 

七海は少し目を細めただけで、

「……やっぱり、あなたでしたか」と一言。

 

……勘のいい男で腹が立つ。なんでそうあっさり受け止めるのか。

 

そして最後に、静かに釘を刺された。

 

「五条さんが復活したら、今回の件は共有させていただきます。

今のうちに良い言い訳を考えておいた方がいいかと」

 

其の後、五条家の人から胃薬を分けてもらったのは、ここだけの話だ。

 

 


 

 

「……総監からの出頭要請は、羂索経由で伝わった“宝石”が原因で間違いないでしょうね」

 

七海の声はいつもの通り静かだったが、その分、内容の重さが際立っていた。

 

口の中が渇く。

予想していた“かもしれない”が、“確定”に変わる瞬間って、こんなに胃が痛くなるんだっけ。

 

「……まぁ、そうでしょうね。バレてますよね、あれは……」

 

答えながら、気づけばノートPCのタッチパッドを指先で無意味になぞっていた。

どこにも逃げ場はないのに、つい何か触れていたくなる。

 

「私を攻撃した真人を取り込んでいるとしたら、その“効力”についても把握しているはずです。

わずかでしたが、石の呪力に混じって、あなたの呪力も確かに感じました」

 

七海の視線はまっすぐだ。責めるでもなく、ただ事実を言っているだけなのに、逃げ道がない。

 

「確か……夏油さんにも宝石を渡してましたよね?

そこからも、繋がったんでしょう」

 

宝石の件が羂索にバレた。あと七海にはバラした。

これも想定外④

 

「……まぁ、これはしょうがないかなぁ」

 

力なく笑って、天井を仰ぐ。

 

「五条さんが戻ったら、スライディング土下座します……」

 

五条は宝石の件は隠せって、ずっと言ってたもんなぁ。

自分で想像した五条の“あの圧のある沈黙”が脳裏に浮かび、重たい溜め息が自然と出る。

すると、七海が何気なく言った。

 

「……あと、羂索に目をつけられた理由。“ソレ”が原因じゃないですか?」

 

その“ソレ”という言葉に、思わず顔を顰める。

 

「……やっぱソレですかね」

 

全力のため息が喉から漏れた。今日いちばん深いやつ。

 

「……羂索の思惑に乗っかるのは癪ですが、

あなたのその“術式”は、相当有用ですからね。

マーキングの対象になるのも、無理はないかと」

 

──そう。

術式、発現しました。潔乃さんにも。

 

想定外⑤です。

 

伊地知潔乃。

マーキングの対象だったとか──知らんがな。

 

術師なのに、マーキングされてんじゃねーよ。

非術師だけじゃないのかよ。話が違うんだが??

 

今になって思い出したが、確かに覚えがある。

呪力が発現した後、兄が非術師と確定したあの公園にいた時。

周囲には家族連れや、犬を連れた散歩中の人たちがいた。

みんな私を“なにごと?”みたいな目で見ていた。

 

……そしてその中のひとり。

 

散歩中の女の人の額に「横一文字」の傷があったんだよなぁぁぁ!!!!

 

たかだかショックを受けたくらいで気を失うなんておかしい。

あの後、私は1週間40度の熱を出して寝込んだ記憶がある。

あの時に私マーキングされてたんじゃね???

 

頭を打った時に呪力は出せるようになった。

でも脳の構造は、術式はあっても発現しない状態になってたのかもしれない。

正確には羂索に聞かないとわからないけど、元々前世の記憶があるイレギュラーだ。

何があってもおかしくない。

 

術式が発現するなら、最初からあれば楽だったのに!!!

結果、死滅回游の泳者(プレイヤー)になって、デスゲーム参加決定。

 

ここまで来ると、もう笑うしかない。

いくつあんだよ。想定外!

 

想定外①総監部への出頭

想定外②生きていた七海の同行

想定外③七海と五条に未来知っていることがバレた

想定外④宝石の件バレ

想定外⑤羂索により術師に、死滅回游の泳者(プレイヤー)

 

想定外要素が多すぎる。

死滅回游で行う予定だった、作戦チャートが、全部ズレた。

一切合切、白紙。つらい。

 

目を伏せてノートPCに視線を戻すが、

今日は新しいログも書き込みも特になし。

めぼしい資料も見当たらない。

 

そっとPCを閉じかけて、高専の様子を最後にもう一度確認しようと思い直す。

 

監視ツールを再起動する。

バックドアを通じて、高専の一部区画の映像が立ち上がった。

 

モニター越しに映る保健室。

いつも通りの空気に見えた。

が、その中央で、家入がスマートフォン片手に、どこか苛立った様子で喋っていた。

 

「……?」

 

サウンドチャンネルをひとつ上げる。

音声が拾われ、室内の声がクリアに聞こえてくる。

 

『伊地知?アレから連絡取れないよ。死滅回游の泳者(プレイヤー)? ……は?』

 

……タイムリー過ぎるにもほどがある。

モニターを前に、私は無言のまま口角を上げた。

 

「ちょうどいいじゃないですか」

 

七海も珍しく笑みを浮かべている。

高専側と一度は接触を図りたいと思っていたところだ。

だが、こちらのスマホや通信端末は、すべて身バレ防止のため七海と一緒に処分済み。

物理的な通信手段が存在しない状態では、応答すらできなかった。

 

静かに指を動かし、家入のPCに遠隔アクセスする。

動作検知に引っかからないよう、最小限の処理でOSを起こし、アクティブウィンドウを奪う。

 

数秒後、家入の目の前でエクセルが自動で立ち上がり、

シートのA1セルに、一行だけ文字が表示された。

 

『捕まりたくないので遠隔で失礼します。伊地知ですが、何かご用ですか?』

 

家入の手が止まり、目がカッと見開かれる。

 

思わずニヤついてしまう。

さらにA2のセルにつづけて文字を表示させる。

 

『だからセキュリティ雑いんですよ、高専は』

 

 


 

 

主人公

 

生き残ったよ!

仮に高専入らなくても、死滅回游に参加することになっていた。

どう足掻いても呪術廻戦の世界から逃げられない運命だった人

色々想定外が重なりすぎてチャートがパーでイライラ。

でも七海を救えた!

心底歓喜した。原作を変えられる!

 

 

 

七海建人

 

生き残ったよ!その2

主人公に助けられて、運命ねじ曲がった人。

生き残りはしたが、顔の一部と首や体に火傷痕が残った。

主人公がいなければ死んでいたことを悟ってるので、火傷くらいなんともない。

五条が戻るまでは、主人公のセコムをやろうと思ってる。

セコムやる必要がないほど、気性が荒く、メンタルも呪術師していることを、まだ知らない。

 

 

 

虎杖・伏黒・パンダ・秤・星

 

えぇぇぇえ!!伊地知さんが泳者(プレイヤー)なんで!!!!

混乱した。伊地知と連絡取りたい。

と思ってたら、あっさり連絡がついた。

 

 

 

家入硝子

 

いきなりPCを乗っ取られてビビった。

やっぱこいつも五条に付き合うだけあって、デリカシーないわとオコ。

戻ってきたら、世界を狙えるストレートで手加減してぶん殴る。

しばらくは、みんなとの中継係

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