オリジナル設定てんこ盛り。
の番外編。
時期的には、転生者、原作開始を確認するのあと、虎杖合流直後の時間軸。
五条が語り部の小話。
・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです(今回は殆ど出ません)
・五条がメインの語り手のお話。
・五条が高専入学前(13歳ごろ)と、虎杖入学直後くらいのお話がメイン。
・激しい妄想と設定とネタまみれです
夕焼けに高専の校舎が染まる頃、僕の教え子たちが任務から帰ってきた。
補助監督として同行してた潔乃と野薔薇が何やら楽しそうに話している。
悠仁は楽しそうにそれに混ざってるし、恵はなんか呆れた顔してるな。
「お疲れサマンサー」
「あ、五条先生!!」
4人に声を掛けると、悠仁が楽しそうに手を振り返し、悠仁・野薔薇・恵の3人が寄ってきた。
後ろで潔乃がニコニコと微笑んでる。
うん、これはきちんと終わったぽいね良かった。
「任務はどうだった?」
「もちろんバッチリっす」
「私達が失敗するわけ無いでしょ?」
悠仁と野薔薇が自信満々
「こいつら先走って大変でした」
と恵。
「伏黒くんも同じように突っ走ってましたがね。まぁ、3人とも怪我はないですし概ね問題ないです」
潔乃が苦笑しながら告げ口をすると、3人が伊地知にそれは言わないでよ!とごねるのを潔乃が笑って黙殺する。
こういうときの潔乃は強いし、厳しいんだよね。ご愁傷さま。
「んー花丸とはいかなかったか。それだったら晩飯奢ったのに」
「「えーーーー!!」」
野薔薇と悠仁が声を揃えて悲鳴を上げる。
恵は素早く潔乃の方を向いて、「伊地知さんフォローお願いします」と低い声で言った。
こいつ切り替え早いな。
それを見て、さすがの潔乃も苦笑する。
「今回の任務ですが、彼らにしては等級が高く呪霊自体強かったのですが、器物破損はほぼ有りません」
潔乃が落ち着いた声で褒めポイントを伝えてくれる。
そして最後にちらっと上目遣いで「ほら、甘やかしてあげてくださいな」って顔してる。
潔乃は結局、生徒達に甘いからなぁ。しょうがないか。
「よっし、それならなんか食べに行こっか。潔乃も行くよ」
「俺、焼き肉行きたい」
「銀座で寿司でしょ」
「俺はうまけりゃなんでも良い」
「私はそうですねーお酒が飲めればそれで」
「潔乃は運転手してもらうから、お酒駄目だよ」
1年生に混ざってちゃっかりと自分の希望を通そうとした潔乃。
「ですよねーせっかくだから飲みたかった」
とボヤきつつ、本当に飲むつもりはなかったようだ。
生徒達を見てニコニコとし、車を回して来ると席を外した。
今回は悠仁が勝って焼き肉になった。
ただし高級焼き肉ではなくて、大衆的な焼肉屋チェーンだ。
エンターテイメント性を求めるならこういうとこだよね。
教え子たちがお肉をバクバク食べてるのを見て、潔乃が羨ましそうにしてる。
こいつ油ものに弱いからなぁ。
お酒飲んでもらう?いや駄目だ。
子供の前でこいつの
だから我慢しろよ?
寮の部屋にこの後、酒持ってってやるからさ。
僕が視線でそう言うと、潔乃もちょっと不服そうながら、分かってますよというような視線で頷いた。
まぁ、他のサイドもいっぱいあるし、と適当に潔乃が食べれそうなものをオーダーする。
それにちょっと嬉しそうにしながら御礼を言ってくる。
こういうところ昔から素直で、嬉しそうだから、つい飯に誘っちゃうんだよね。
生徒と同じで奢りがいのあるやつ。
食べれるメニューが来るまで手持ち無沙汰な潔乃。
普段ならオーダーしたり肉を焼いたりして時間を潰すんだろうけど、恵も悠仁も野薔薇も自分で肉を育てるタイプ。
僕も今日は、生徒の手前、自分で焼いてるし。
オーダー用のタブレットは近い方の僕が操作しちゃうから、暇なんだろうな。座る席間違えたな。
烏龍茶を飲んで暇をつぶしていた潔乃が、こういうチェーン店によくある、占いのおみくじを弄り始めた。
100円を入れると電子で占い結果を出してくれるタイプのそれだ。
「伊地知さんやるの?」
カルビを食べながら虎杖が興味深そうに見てる。
「面白そうなので」
そう言いながら100円を入れると吐き出される用紙。
潔乃がそれを見始めると顔をしかめる。
「……恋の運勢1000%UP中。貴方を熱烈に愛する人が現れます……チッ」
こら子供の前で舌打ちは止めなさい。
三人には聞こえてないみたいだけど、隣の僕には聞こえたからね。
優しい伊地知さんで生徒達には通してるんだろ?
後で説教だ。
「良かったじゃん。彼氏できそうで」
「ぶん殴りますよ」
「無理でしょ。潔乃雑魚だし」
「特級と補助監督なんですから、ちょっとはハンデくださいよ!」
いつものように潔乃をからかう。
打てば響くような反応に口角が上がる。こいつはほんとに分かりやすい。
「伊地知さんには悪いけど、こんなの当たらないでしょう」
恵がバラ肉を網に乗せながら、バッサリ言った。
「ま、こんな場末の焼肉屋の占いマシーンだしね」
野薔薇はもう興味を失ったように、タン塩に箸を伸ばしている。
「良いことだから信じてポジティブになるの悪くないと思うけど」
と悠仁。
悠仁は悠仁で、真剣な顔で言う。こいつらしいな。
うんうん、三者三様で良いね。
「場末の占いマシーンとか、場末の占い師ってたまに本物が有るから馬鹿にできないよ」
煙の向こうで3人が、隣の潔乃がこっちを向いた。
「え、五条先生信じてるんですか?」
「僕、本物のすっごい占い師に会ったことあるからね。路地裏で」
「え、その話初耳です」
潔乃が少し身を乗り出す。僕と付き合いが長い潔乃にも話してなかったっけ?
昔を思い出しながら、僕は口を開いた。
その日は、前日から泊まりがけで東京に来ていた。
高専からの依頼を受けて都内の数カ所で呪霊を祓い、そのまま高専に顔を出して、呪術総監部とのくだらないやり取りをこなした。
そんなに六眼が怖いか。無下限が怖いか。
反吐が出る。
適当に話を合わせ、適当に会話を流し、全部適当に終わらせた。
今ここで無駄に反発しても面倒なことになるだけだ。
向こうもそれを分かっているのだろう——あの五条悟を押さえつけているという、満足そうな気配が、じわじわと室内に漂っていた。
それがまた、余計に反吐が出る。
でもまあ、終わった。
やっと帰れる。
この時間に動けば夕方には京都に着く。
東京駅の近くで何か食べてから新幹線に乗ろう。
何食べっかな。ラーメン? なんかの定食。
この前食った新橋のモツ煮定食はアレ美味かった。アレはまた食いたい!
そんなことを考えながら、補助監督の運転するセダンの後部座席にもたれていた。
車窓に東京の景色が流れていく。
信号待ちで車が緩やかに止まると、歩道を行き交う人たちがよく見えた。
六眼が勝手に動いて、それぞれの呪力の濃淡を映し出す。
今日はもう処理するつもりはない。仕事は終わった。
あー、止め止め。目が疲れた。
スーツの男、若い学生っぽいやつ、修学旅行生か? いや、お上りさんっぽいやつ、あと、ド派手なヤマンバ。
いろんな
ヤマンバなんて目が痛ぇよ。
しかし、ヤマンバって数年前は普通の黒ギャルだったよな?
呪霊より悪目立ちする方向に進化してね?
意味わかんね。
と思いながら目で追っていると、信号が変わって車が動き出した。ヤマンバが視界の外に消える。
そのタイミングで、補助監督の携帯が鳴った。
一音聞いただけで分かった。嫌な奴だ、これ。こういうときの予感は外れない。
補助監督が「少し失礼します」と言いながら路肩に車を寄せた。
電話口から聞こえてくる声のトーンに、俺は窓の外に視線を戻した。
聞こえてくる内容から察するに——追加任務か。
表情には出さずに、ため息をついた。
俺まだ十三なんだけど。
パンピーなら義務教育でバカやってる子供に、仕事詰めすぎじゃねえか?
まあ文句を言ったところでどうにもならないのは分かってる。
まあいいや。
どうせ追加任務が終わってもまた次が来るやつだろこれ。
補助監督と一緒にいる限り、電話は鳴り続ける。
ならば任務を終わらせたあと、一人で東京駅に向かえばいい。
引き止めようとするだろうが、適当に睨みつければ大抵の補助監督はそれで引く
頭の中で算段をつけ終わったころ、補助監督が電話を切って振り返った。
「五条さん、追加の任務が……」
「現地に向かって、んで、そこで降ろして。報告書はメールで上げる」
知ってた、と思いながら、俺は短く答えた。
呪霊の残滓が空気に溶けていくのを六眼で確認する。
強くもない、弱くもない、これ俺が来る必要あったか?
人手不足とは言え、他の2級術師で十分だったろ。
相変わらず人に嫌がらせることだけは得意だよな。
ただ雑に処理しただけの仕事に深々ため息を付いた。
その時だった。
「……助かりました」
か細い声が、路地の奥から届いて、慌てて振り返った。
折りたたみ式の小さなテーブル。
その前に置かれたパイプ椅子に、老人が座っていた。
ちっ
物陰になっていて、気づかなかった。
七十は超えているだろうか。白髪を後ろで束ね、色褪せた作務衣を着ている。
テーブルの上には手垢で黒ずんだタロットカードと、小さな木の看板。
"占い 千円より“
六眼でざっと見た。
呪霊は見えてたみたいだが、窓になれるほどの呪力はねぇな。
術式も当然無し、完全なる
こいつには何も出来ないだろう。少しだけ警戒を解く。
「呪術師の方ですよね。ありがとうございます」
深々と頭を下げる老人。
呪術師を知ってるなら口封じはいらないか。
念の為高専に連絡だけはしておこうと内心考える。
「別に。仕事だから気にすんな」
「お礼に、一枚だけ引かせてもらえますか」
適当に言って立ち去ろうとすると、老人はカードをテーブルに置いた。
占いなんて呪術家系では見慣れたものだ。
術式でガチ予言レベルのもあれば、儀式的に行うだけのものもある。
正直俺は、不確実性が高くて信じていない。
でも任務は終わったし。
帰り際に都内で何か食べて、それからゆっくり京都へ帰る前に、
「まあ、好きにすれば」
折りたたみ椅子を引いて、俺は腰を下ろした。
俺の体重で折りたたみ椅子が嫌な音を立てて、壊れてくれるなよ。と心配になる。
老人は手際よくカードをシャッフルし始めた。
カードを繰る音だけが路地裏に響く。
俺は頬杖をついて、その老人がカードをきり、並べるのを見ていた。
「東京駅へ行くつもりかい」
「…………」
「夕方、人身事故がある。早めに新幹線を取って、京都に帰った方がいい」
呪術師と気づいてはいたようだが、服装は私服。
補助監督とはもう十数分も前に別れた。
五条家の名を出した覚えもなければ、というか
そして、関西訛りなんかは、とっくに矯正してある。
京都にも呪術高専は有るが、ここは東京だ。
東京高専の人間と思うだろ、普通。
京都という言葉が出てきた理由が、まったく分からねぇ。
六眼で、もう一度老人を精査する。
呪力の流れ、術式の気配、呪具の反応。
何もない。
目の前にいるのは、どこからどう見ても、ただの老いた占い師だった。
「信じるも信じないも君次第だけど、早く帰ることをおすすめするよ」
老人は穏やかに答えた。
嘘をついている様子もなければ、意地悪をしている風でもない。
ただ、見えたものを伝えているだけのような顔をしている。
「ふうん。ま、考えとくわ」
踵を返す。
背後で老人が「お気をつけて」と言うのが聞こえた。
念の為、高専に路地裏の占い師について調査依頼の連絡をした後、東京駅に俺は向かった。
適当に都内で食べていくつもりだったのに、気がつくと東京駅の構内を歩いていて、気がつくと駅弁売り場の前に立っていて、気がつくと指定席の切符を買っていた。
疲れてるから早く帰りたいだけだ。
新幹線のグリーン車の座席で弁当を開く。
崎陽軒のシウマイ弁当好きなんだよな。
関西でも売ればいいのに。
梅干しをカリカリ齧りながら思い出す。老人の言葉。
夕方、人身事故がある。
くだらない。あんな術式もクソもない。
カバラやタロットは日本の呪術とはかけ離れていてよくわからん。
そこらのプロがやるならともかく、街角でやってるような占いが当たるとも思えねぇ。
タロットカードごときに振り回されたのかと思うとムカつく。
けど、まぁ、普段見れねぇものを見たのは面白かった。
京都に着いて、タクシーで実家に向かう。
家の迎えを呼んでもよかったが、待つのが面倒くさかった。
シートに深く身を預けながら、愛想の悪い運転手が流しっぱなしにしているラジオを聞く。
流れていたラジオが音楽番組からニュースに切り替わり、アナウンサーの声が流れてきた。
——東海道線内で発生した人身事故の影響により、東海道線が運転を見合わせています。
また、近くを走る山手線、京浜東北線、湘南新宿ライン、東海道新幹線など複数路線で運転を見合わせています。復旧の目処は——
思わず目を見開き、身を乗り出した。
——東京駅は混雑により、ホームには入場規制がされ——
マジかよ。
六眼が捉えられなかった。
術式でも呪力でも窓でもないのに、あの老人はただ、カードを引いて言った。
『東京駅へ行くつもりかい』
呪力じゃない。術式でもない。
それなのに未来が見えるタイプの人間が居ることは、知っていた。
でも、ここまで精度が高い人間と出会ったのは初めてだ。
「……おもしれぇ」
一ヶ月後、また東京に任務が入った。
補助監督の「五条さん、東京駅まで送りま——」という声を適当に遮って、俺はあの路地裏へ一人で向かった。
記憶通りの折りたたみテーブル。色褪せた作務衣。
五条家や高専の調査でも何の問題もない、ただの
「……また来たのかい」
占いジジィは顔も上げずに言った。
「今日は料金をもらうよ。それでも良いかい?」
「いくら」
「三万」
おいおいおい。思わず目を細める。
このボッタクリが。
「……もし嘘だったら」
「占いってのは、当たるも八卦当たらぬも八卦。信じるか信じないかは君次第だよ?」
呪力を込めて睨んだのに、全然効いてない。
この狸ジジィが。おもしれぇじゃん。
財布を出す。三万円を、テーブルに叩きつけた。
嘘だったら、容赦はしねぇ。
そう思っていたのに、——その日の占いは、全部当たった。
それから、東京に来るたびに寄るようになった。
"占い 千円より“と書いてるくせに、俺の場合は値段はランダムだった。
三万円の日もあれば、一万円の日もある。
ある時は百円だった。
どうやら重要度によって値段が変わるらしい。
百円の時は「今夜は傘を持ちなさい」程度のことだった。
——ちゃんと夕立が来た。俺、無下限有るから傘いらねぇんだけど……
いつだったか、俺は言ってみた。
「ジーさんさ、うちに来ない? その才能すげぇって。術師でもここまでの精度の奴いねぇよ?
五条家なら、もっといい環境で——」
老人は笑って首を振った。
「私はここがいい。この街が好きだから」
「あっそ。もったいね」
その日、俺が路地裏に入ると、占い師のジーさんは、いつものようにカードを並べていた。
でも、今日は何かが違う気がした。
六眼には何も映らない。けど、ただ、そう感じた。
「座りなさい」
促されるまま椅子を引く。相変わらずボロっちぃ椅子だ。
俺からボッタクってんだから、新しいの買えよ。
ジーさんは長い時間をかけてカードを切る。その手がどこか、いつもより丁寧に見えた。
「進学するつもりなら」
と、ジーさんはカードを見ながら言った。
「西より東が良い」
「……ふうん」
俺がいわゆる
呪術師の家系は高専に通わない人間も多い。
そんな中、俺は進学を考えている。窮屈な家から逃げ出すためだけど。
まだ誰にも話していないのに、それを見抜く占いの腕に舌を巻く。
マジで五条家来いよジーさん。
「君には東が合っているよ。大切なものが、たくさんできる。
その中でいちばん重要なのは太陽だね。
——君は、太陽を見つける」
は? 太陽?
「だけど、その太陽は沈む。でも、君の
背筋に何かが走るのを感じた。それが何なのかは分からない。
けど、今、俺は重要な事を言われてるのは分かった。
カードを指さしながら占いは続く。
「沈むのを止めるのは、難しいだろうね。
因果を変える事ができるものがあれば……でも今回は間に合わない」
ジーさんの声は穏やかだった。
感情的ではない、でも冷たい訳でもない。
ただ、見えたままを静かに告げているような声だった。
「そして、君は月も見つけるだろう。月は優しく君のそばに寄り添う。でも——気をつけなさい」
ジーさんは少し間を置いた。
「月は常に満月とは限らない。君の行動次第で、月は欠ける。優しいからね。
——そして、その月は新月になって見失うよ」
沈黙が、路地裏に落ちた。
俺は何も言えなかった。
太陽も月も、今の自分には何を指しているのか分からない。
でもジーさんの言葉には、いつも重さがある。百円の傘の話でさえ、重さが違った。
それにしても、普段は分かりやすく言ってくるのに、今日の占いは何だよ。
そう文句を言おうとして顔を上げた所で、
「……君を占うのは、今日が最後になる」
「は」
「信じるも信じないも、君次第さ」
目が合った。
深い、静かな目。
ただの
会うたびに、この目だけは変わらなかった。
「……で、いくら」
「百万」
今度こそ声が出た。
「このボッタクリ!!」
「安いと思うよ、私は」
ジーさんがあっけらかんと笑うもんだから、俺もつられて笑ってしまった。
この業突張りの、守銭奴め!
財布の中身を確かめる。
俺はガキだからカード類はまだ使えない。
くっそ財布の中に入ってる万札がちょうど百万。
このジジィ、見抜いてやがった!マジで腕が良すぎんだろ!!
それでも払った。
一円も惜しくないとは言わないが——払わなければならない気がした。
理由は分からない。勘だ。あの占いは当たる。
ただ、そう感じた。
「——元気でね」
と、ジーさんが言った。
「また来るわ」
と、俺は答えた。
路地を出る時、一度だけ振り返ったら、ジーさんはもうカードを片付け始めていた。
「だから僕は東京高専に入ったってわけ」
話を締めると、教え子たちはへーと監視したように顔を見合わせた。
潔乃は何かを考え込んでいた。箸が止まっている。
「それにしても、太陽と、月って何?先生分かるの?」
悠仁が焼けた肉をひっくり返しながら言った。
「心当たり有るよ。多分これだなーってのは分かる。
今の僕が有るのはそのお陰だよ」
潔乃は口に手を当てたまま、黙り込んでいる。
こいつは何か気づいたかな。
ま、太陽は分かっても、月は自分のこととは思わないでしょ。
傑は僕にいろんなことを教えてくれた。本当にいろんなことを。
離反して高専からいなくなってしまったけど、アイツが言ったことは覚えてる。
『呪術は非術師を守るためにある』
僕の術師としての、
そして、この11年間僕の側にいて、補助監督として気安い後輩として、本人には言ってないけど夢の協力者として、僕に黙って付き合ってくれた潔乃。
こいつらのお陰で楽しい学生生活と、卒業してから今まで楽しく過ごせたからね。
「ほんと百発百中だったよ。僕は占ってもらったことで、外れたことはなかったね」
恵が珍しく身を乗り出して聞いてくる。素直なやつだ。
「つまり、あれから一度も占ってもらえなかったんですか?」
「うん、あの路地裏からいなくなっちゃった」
煙と、肉の焼ける音と、がやがやとした店内の騒音。
あのジーさんのことを、こうして話したのは初めてかもしれない。
「へーもったいないわね」
野薔薇があっさり言って、焼けた肉を皿に取った。
そうだね、もったいなかった。
本当に、もったいなかった。
そのあと追加任務の連絡が来て、結局その日は都内のホテルに泊まった。
翌朝。
朝食を食べたら京都に今日こそ戻ろう。都内にいたら幾つ任務が来るかわかんねぇ。
ホテルの部屋でテレビをつけると、ニュースが流れている。
——昨夜、〇〇区、✕✕にて暴走した乗用車が歩行者をはねる事故が発生しました。歩行者の男性は病院に搬送されましたが、その後——
なんとなくテレビに視線を向け、映し出された場所を見た。
見覚えのある路地だった。
——死亡が確認されました。男性は近隣で長年占い師として——
ブツッとテレビを消した。
ホテルの白い天井を、俺は見上げた。
『今日が最後になる』
分かってたのか、あのジーさん。
六眼でも見えねぇ因果でも見えてたんかな。
「占い師ってのはこれだから嫌なんだよ」
主人公
今回はほぼ蚊帳の外。
五条の太陽と月の話を聞いて、太陽は夏油と気付いたが月は首を傾げてる。
同級生だし家入さんかな?と盛大に勘違い中。
だって、五条だし。という原作知識。
五条のそばにずっといた自覚はあるけど、夏油と別ベクトルで執着されてる自覚はない。
そして、占いの結果が、当たる可能性があることに気づいてない。
焼き肉はあまり量が食べれないんですよ……
この後、五条が部屋に酒持ってきてくれて、五条の顔面を酒の肴(すでに焼き肉で胃がやられてたからつまみは無理だった。なのでせめて顔面を楽しんだ)しながら、おしゃべりしつつ飲んだあと、
仲良く添い寝した。
五条悟
今回メインの語り手。
不思議な占い師との交流。結構ジーさんのことは気に入ってた。
だから残念だった。
そして、言われたいずれ落ちる太陽、と見失うかもしれない月。
太陽に関しては夏油離反後、数年たって気付いた。
月に関しては、ここ百鬼夜行の後、添寝をし始めてからこいつが月だなーと自覚はした。
ただしこの時点では、執着も恋愛感情もない。
ただ、新月になって見失わなくてよかったなと思ってる。
この後、酒を持って主人公の部屋に行って主人公が酒を飲み、自分は甘ったるいコーヒーを飲みながら話に付き合った後、仲良く添い寝した。
植物トリオ
五条先生が占い信じるって珍しい。意外!
でも理由を聞いて納得、へ—そいうことあるんだ。
その謎占い師会ってみたかった。焼き肉美味い。
占い師
謎のジジィ。
五条が話していた、術式じゃないが予知があるタイプの典型的なパターン。
野良に居るヤバいヤツ。
しっかりとした裕福な家庭で生まれ育った。
子供の頃から占いが得意で実は百発百中だったが、その才能に気づいたのは壮年になってから。
色々あって占い師になった。
自分の死期は当然占いで知っていた。
五条からもらった大金は、日当の1万円を引いた後(もらった金額が1万以下の時は全額)、残り全額、通っていた教会に寄付していた。
最後の100万円は自分の葬儀代。
なんとなくで書いた突発ネタ。
結構楽しかった。
占い師はイメージの元ネタオマージュあり。
本編完了しましたが、番外編後日談などどれが読みたいですか?
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本編終了後の後日談
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本編時間中の日常話
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if系(√分岐、原作通り五条死亡など)
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R-18 の下ネタギャグ
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全部