【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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伊地知ポジション成り変わった主人公が、原作沿い(?)で頑張ろうとするネタ。
オリジナル設定てんこ盛り。
の番外編。
季節外れの卒業式ネタ。

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・劇場版懐玉・玉折のEDのちょっとしたネタバレがあります
・激しい妄想と設定とネタまみれです



番外編:転生者、先輩を見送る

春の風に花びらが舞い、校庭は紙吹雪と笑い声でいっぱいだった。

 

「卒業おめでとうございます、五条さん」

「うわ、ちょ、七海!! 目に入るから!!」

 

七海が悪ノリの嫌がらせで、五条に花吹雪をぶつけまくっている。

珍しい。

 

五条もそれに付き合って無限を解いて、笑っていた。

夏油が離反してから、五条の笑い顔は変わったけど──

この笑顔は、夏油がいた頃と同じ笑い方だ。

 

ちょっとほっとしながら、私も遠慮なく。

用意しておいた紙吹雪を、手にいっぱい握って投げつける。

 

最初の一投目は見事にヒット。

五条の顔面だ。

それを見てケラケラ笑っていたら、五条が少しムッとした顔をした。

 

「っと! こら潔乃! 調子のるなっての」

 

五条に片腕で捕まれて抱き寄せられ、ウリウリと握り拳でこめかみをグリッとされる。

それを見て七海は、苦笑まじりの呆れ顔。

でも、楽しそうだ。

 

七海のその笑顔も久しぶりだ。

──灰原がいた時にも、よく見せていた笑い方。

 

みんなが笑うなら、ここは道化役に徹しよう。

たいして痛くもないのに、五条の腕の中で大袈裟に痛がってみせた。

 

「痛い痛いですって、五条さん!」

 

私が悲鳴をあげると、五条がぴたりと動きを止める。

 

「……『五条さん?』」

 

「あ、はい。今日でご卒業なので。

 流石に“先輩”呼びは今後失礼かと思いまして」

 

「別にいいのに。可愛い後輩からそう呼ばれるのくらい」

 

「ケジメですよ、ケジメ」

 

私がそう言うと、五条は微妙に不服そうな顔をした。

 

「伊地知!どきなさい!!くらえ五条!!!」

 

歌姫の声に、私はサッと五条の腕の中から抜け出し、距離を取る。

 

──そして。

 

「なんで私の時だけ術式使うのよ五条!!術式解けぇぇ!!」

 

歌姫が力いっぱい投げた紙吹雪は、五条の“無限”に阻まれていた。

彼の体に触れることなく、見えない壁に当たって、

ハラハラと地面へ落ちていく。

 

「え、歌姫なんか怖いし」

「いいから術式解けよ!」

 

相変わらずの噛み合わなさに、思わず苦笑する。

わざわざ卒業式に来たのに、五条にからかわれて……

まぁ、家入が目的だろうけど。

どちらにしろ、五条のことを嫌いになるわけだ、と内心苦笑する。

 

そこに、さきほどまで夜蛾と話していた家入がやってきた。

五条と歌姫はそのまま取っ組み合いを続けていて、完全に無視。

私は七海と顔を合わせ、ふわっと優しく紙吹雪を投げた。

 

「ご卒業おめでとうございます」

「ありがと」

 

穏やかに笑う家入も、笑い方が変わっていた。

原作で見たような“大人の余裕”が滲む笑みだ。

みんな、少しずつ大人になっていくんだな──と、ふと寂しくなる。

 

「家入さんは、高専寮から大学通うんでしたっけ?」

「うん、そのつもり。職員寮には移るけどね。

試験とかで忙しくなったら、一時的にホテル住まいかな」

「移動が大変そうですね」

「基本電車だけど、補助監督の車が空いてたら乗せてもらうつもり」

 

家入は貴重な反転術式の使い手だから、なるべく高専の敷地内にいたほうが安全なのだろう。

才能がありすぎるのも、大変だと思っていたら──

 

「わっ!!」

「ちょっ!」

「……っ!」

 

いきなり大量の紙吹雪が顔面にぶつかり、家入・七海ともども目を白黒させる。

 

「隙ありだよ。硝子、七海、潔乃」

「なに、私たちは関係ありませんって顔してんの?」

 

ニヤニヤとした五条と歌姫。

なんだよ歌姫、五条のこと嫌いなくせして、こういう時だけ息ぴったりじゃん。

 

家入、七海、私の脳内で、カーンとゴングが鳴ったのが、お互いの表情でわかった。

 

もうお察し。

全力で紙吹雪を叩きつける。

七海は真顔で豪速球、家入も容赦なく顔面を狙って投げている。

歌姫は軽やかにステップを踏み、私はちょろちょろと他のメンツの陰に隠れながら、嫌がらせのように投げる。

皆の狙いはもちろん五条だ。

五条と組んでいたはずの歌姫も、いつの間にか五条を狙ってる。

容赦なさすぎ。

相変わらず五条は、歌姫の時だけ術式を使ってガードしていて、歌姫がキレているのはウケた。

五条、歌姫をおもちゃにしすぎでしょう。だから嫌われるんだよ。

 

「いい加減にしろ!」と夜蛾が怒鳴って止めに入るまで、それは続いた。

 

夜蛾からの指導を仲よく受けたあとは、皆で写真撮影などをして、私もカメラマンをしたり、一緒に写ったりした。

最後に夜蛾が、五条と家入を高専の門の前──卒業式の看板のそばで撮影していた。

 

あぁ、これ劇場版のEDで見たやつ。

妙に大人びた五条と家入の静かな笑みが大人びてて、本来いて欲しかった人が欠けていて

劇場版を見た時、なんとも言えない複雑な気持ちになったのを覚えている。

脳内に、あの青い歌が再生されて少しだけ感傷に浸る。

 

けれど、すぐに切り替える。

五条が卒業したということは、それだけ原作の時間軸に近づいているということなのだから。

 

夏油と灰原は救えなかった。

せめて、七海や五条は救うことができたらと思う。

 

へっぽこ補助監督の私が何言ってんだって感じだけど、やれることはやりたい。

 


 

卒業式が終わった後は、ばら撒いた紙吹雪の片付けだ。

誰がやるかって? そりゃあ在校生の仕事でしょ。

 

ちょっとはしゃぎすぎて撒きすぎたと反省しながら、

箒と塵取りを片手に、花吹雪を片付けていく。

 

「私はゴミを捨ててきますので、伊地知さんは道具の返却をお願いします」

 

七海と別れ、道具を片付ける。

今日の予定はもう終わり。

 

任務もないし、授業もない。

だから午後はお昼を食べたら、夜の五条と家入の“卒業おめでとう追い出しパーティー”の準備の時間まで、

寮の部屋でのんびりしようと思う。

 

「潔乃」

 

そう思って寮に向かう廊下を歩いいたら、五条に声をかけられた。

 

「あれ? 家入さんとサシ飯行くんじゃなかったでしたっけ」

「うん、このあと行く予定だよ。その前にちょっとね」

 

五条がニコニコと私のほうにやってきて──あーもう、笑みが五条“先生”のそれだ。

先ほどまでの子供のような笑みじゃなくて大人の笑みを、少し寂しく思いながら首をかしげる。

 

五条が私の前まで来て、おもむろに制服のボタンを一つ外し、それを差し出す。

 

「ほら、ボタン」

「え、いらないですけど」

 

思わず反射で即答してしまった。空気が重い。

いや、だっていらないよ。五条のボタンとか。

 

「あ”ぁ”? 卒業式のお約束だろうが!」

「それ第二ボタンです。五条さんの制服、元々ひとつしかボタンついてません!」

「ひとつしかないデザインがデフォなんだから、仕方ねーだろうが!

むしろ貴重だろ、黙って受け取れよ。憧れの先輩のだぞ!」

「……憧れの先輩?誰が?貴重?あぁ、呪の特級呪物的な意味で?」

 

最近穏やかになっていた五条の口調が、昔のものに戻っている。

あまりにも、ありえないことを言うので、失言したと気づいたのは──

五条の大きな手で目を覆われてからだった。

 

「いだだだ!! 失言でした!! 五条さんのボタンを特級呪物は言いすぎました!!!」

「お前のその失言グセ、なんとかしろ」

 

たっぷりねっちりとアイアンクローをされたあと、ようやく解放される。

 

「いだだだ、相変わらずゴリラの握力。五条さんちょっと力加減してください!」

 

真面目に少し痛かったので、唇を尖らせて五条を睨みつけると──

 

「それ、やめない?」

 

妙に拗ねたような表情で、私を見下ろしていた。

意味がわからず首をかしげる。

チッっと舌打ち。少しは丸くなったかと思ったけど、やっぱりガラが悪い。

 

「その『五条さん』って呼び方。なんか、他人みたいじゃん?」

 

なるほど。そういうことか。

 

「あぁ、だってもう、五条さんは社会人ですし。

私はしがない補助監督候補なので、流石に気やすい態度は──」

 

「僕、そういうの嫌い」

 

「と、言われましても……職場で“先輩”呼びは流石に」

 

「少なくとも、潔乃はまだ卒業してないじゃん。いいでしょ、それくらい」

 

「じゃ、私が卒業するまでは、五条先輩と呼ばせてもらいますね」

 

妥協点を伝えると、五条は不服そうにしながらも反論してこない。

一定の納得感があったのだろう。

 

面白くなさそうにしながらも、私の手を掴んで上向きにする。

 

「?」

 

首を傾げる私を尻目に、優しい手つきで先ほどのボタンをそっと置き、

その大きな手で、私の手ごと包み込むようにして握らせた。

 

「ま、これは受け取っててよ。女の後輩、お前しかいないし。

こういうのはイベントごとだからさ」

 

──あぁ、五条は高専まで学校に通ったことがなかったから、

こういうイベントに憧れてたのか。

 

後輩が私しかいなくて、すみませんね……

 

「そこまで言うなら、ありがたくいただきます。──特級呪物」

 

「おい!」

 

「実際、ご利益多少はありそうじゃないですか?

特級術師が毎日身にまとってた私物ですし」

 

金メッキされたボタンを、廊下のガラス越しに差し込む太陽にかざすと、キラリと光った。

五条の眉がピクリと動き、ニヤリとした表情になる。

 

「たしかに。僕の呪いがこもってるかもね? いいのか悪いのか知らないけど」

「ちょっと、それ聞くとやっぱりいらない」

「クーリングオフはできないよ」

「五条先輩に呪われたら、人生終わりじゃないですか」

 

ボタンを返そうとするも、五条がヒラヒラと軽やかに逃げ回る。

せめてポケットに突っ込もうとすると、背中に回られ、後ろから子供を持ち上げるようにして抱え上げられた。

 

「ちょっと、やめてくださいって!」

「おとなしく貰っとけって」

「いや!ちょっ高い!怖い怖い!!」

 

軽々と私を持ち上げて、ゲラゲラ笑う五条。

あ、大人になったって言ったの撤回。まだクソガキだわ!

私を揶揄うことに容赦がない。

けれど、腰に回った腕は思ったより優しくて、それでいて力強い。

暴れて変な落ち方をしないように、ちゃんと気を遣ってくれているのがわかる。

 

……いや、そもそも子供じみたことやんなよ。

 

内心でツッコミながら、私も負けじと五条の腕の中で身を捩り、

振り返って彼の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱す。

 

「おい、やったな」

 

軽く睨まれたけど表情が全然怖くないから、もう笑いを堪えきれず吹き出した。

お互い軽口を叩き合いながら、笑い声が校舎の廊下に響く。

 

家入が「いい加減にご飯行きたいんだけど?」と五条を呼びに来るまで──

私たちは、わちゃわちゃと言い合いを続けていたのだった。

 

 


 

 

夜の、五条と家入の追い出しパーティーは盛大に行われた。

 

この私が! この私がだよ? 苦手なケーキを作ったんだ。

五条用の甘ったるい《シャンティ・フレーズ》。つまり──いちごのショートケーキ。

 

ちょっとオサレに言ってるのは、参考にしたレシピがフランス菓子の店のもので、このタイトルだったから。

私が厨二病をこじらせてるわけじゃないよ?

 

寮や高専で作ると五条に即バレて胃袋に消えるので、忙しい中、昨日わざわざ実家に帰って焼いておいたのだ。

昨日の任務の合間に補助監督に送ってもらって、実家でケーキを焼く私。

……優しくない?

 

お菓子は作りは嫌い。苦手なんじゃなくて、めんどくさい。

1gでも分量が狂うと失敗するとか、そんなのは前世の薬剤研究の仕事のときだけでいい。

要するに面倒だからやらないだけで、得意分野ではあるんだよ、お菓子作りって。

 

料理は科学だ。料理は物理だ。

量、温度、湿度をきっちり守れば、うまくいく。

つまり、私が焼いたケーキは、もちろん大成功の出来だった。

 

焼きたて30分以内のやつに、それに合わせた生クリームとフルーツを乗っけるのが一番好きなんだけど、

高専でやったら五条に即バレする。

そして次の瞬間には彼の胃袋の中だ。

それにバレたら意味がない。一応サプライズだ。

 

シロップを塗って一晩寝かせたしっとりのスポンジケーキ。

──まぁ、悪くないんじゃなかろうか。

 

ちなみに、甘いものが苦手な家入用にチーズクッキーと胡椒クッキーを大量に用意した。

濃厚なチェダーチーズの香り、そしてブラックペッパーが香り高い胡椒のクッキー。

これも昨日のうちに焼いておいた。

 

私ってば本当に優しい……くない?

可愛い後輩じゃない?

 

これらを大量に抱えて帰り、クッキーは高専のキッチンで袋詰め。

スポンジは用意しておいた生クリームと季節のフルーツで仕上げる。

 

この時期はちょうど苺の旬。

ショートケーキのいちごは、甘いより酸っぱいほうがうまいんだよ。

 

立ち入り禁止にした高専のキッチンで、綺麗に盛り付け──

焼きは完璧だけど、デコレーションはちょっと苦手。

多少不格好になったけど許してほしい。味は美味しいから。

 

七海と私で、食堂の片隅にケーキと料理を配置していく。

料理は七海が作ったり、普段からご飯を作ってくれる食堂の職員にお願いしたりして用意してもらった。

 

準備が整った19時すぎ、夜蛾が五条と硝子を呼びに行った。

 

──ケーキを見た瞬間の五条の顔は、最高だったね。

本当は嬉しくてしょうがないくせに、スカした顔で言うんだ。

 

「ケーキのかたち、不格好じゃね?」

 

照れ隠しとわかってても腹立つな?

私が「もう食べなくていいです」とキレたのはお約束。

わざわざ五条用に、別添えの“甘めの生クリーム”まで用意してやったというのに。

 

私がそっぽを向くと、慌てて謝り倒してきて──

その様子に、そこにいた全員が呆れた顔をしていた。

最終的に逆ギレされてアイアンクローされ、ケーキを無理やり食べられた。

クソゴリラ!糖尿病悪化して頭禿げて不能になっちまえ!と呪詛を飛ばすのもお約束。

 

家入も、私が作ったチーズクッキーを嬉しそうに食べてくれていた。

「これ、こっそり持ち帰って部屋で酒のあてにしていい?」

と聞かれたので、「どうぞどうぞ」と即答。

 

……うん、作った甲斐あったかも。

七海が作ったピザも評判良かったし、食堂の人が作ってくれたオードブルも最高だった。

いい追い出しパーティーだったんじゃないだろうか。

 

ま、五条も家入も、生徒寮から職員寮に移動するだけで、生活はあまり変わらないみたいだけどね。

 

たくさん飲み食いして、笑って、話して──それから部屋に戻る。

 

シャワーを浴びていつものダルダルセット。

首元寄れた中学時代のジャージの上下、ヘアバンドがわりのタオル姿でだらっとくつろぐ。

来月には高専3年になるのに、まだ中学時代のジャージが入るのかって?

うるさいな。

高専きて運動が激しくなったり、激務なので、むしろ痩せてウエストも胸も細くなったわ!

五条からも『鶏ガラ』と馬鹿にされてる女としての色気のなさ。泣きたい。

悲しい現実から目を逸らすと、ふと昼間にもらった五条のボタンが目に入った。

そういえば帰ってきてから、テーブルの上に放置したんだっけ。

……どするかね、これ。いや、貰っても使いどころがないというか、使い道がないというか。

 

替えのボタンとして使う? いや、特級呪物すぎて怖い。

 

手に取りボタンを眺めながら、ぼんやりそう考えて、デスクの上にあるインテリアの宝石──

と見せかけた、結界用の呪力宝石を置いている小皿の上に、そっと乗せた。

 

うん。赤青緑と華やかな色合いの中に、シックな黒と金メッキのボタン。

意外と合うわ。

 

ここに置いておこう。

今月くらいまでは、五条がこの部屋に出入りする回数が多いはずだから。

しばらく、そのまま飾っておこう。

 

高専の教師として働く予定の五条も、さすがに来月以降はこの部屋への出入りを控えるだろう。

宝石の確認はどこか別の部屋でやった方がいいかもな。

──淫行教師と噂になってしまうからね。

 

五条が出入りしなくなったそのタイミングで、ボタンは特級呪物として焼却処分にしようかな。

そんなことを考えていると、玄関のドアが開く音がした。

ノックなしで私の部屋に出入りするのは五条しかいない。

「お邪魔するよー。お、いい感じに飾ったね」

 

コーラとポテチを手に、恒例の如く入り浸りに来たらしい五条が、

デスクの上のそれを見て、嬉しそうに笑った。

 

「一応、貰い物なので、飾っときましたよ」

「一応は余計だよ潔乃」

 

いつもの定位置に座った五条から、コーラを受け取る。

キンキンに冷えてるコーラのペットボトル。事前に買って部屋に置いてたのかな?

そのキャップを捻りながら尋ねる。

 

「何かありました?」

「硝子とは昼間にサシでご飯食べたでしょ、七海とは来週任務一緒だから、そこでご飯食べるつもり。

潔乃とは飯食うのは補助監督で一緒に行く機会多いっしょ?だから、遊びに来た」

 

なるほど。

二人でしっとりと思い出話でもしたいのかな──と思ったけど、

五条は勝手に私の部屋のゲーム機をセットし始める。

 

……ゲーム?なんで?

 

そう思っていたら、その手にあるのは“桃鉄”。

おい待て、99年?二人で? と、思わず嫌な顔をしてしまう。

 

「ほら、潔乃から」

「……99年って、何時間私の部屋に入り浸る気ですか?」

「え?勝負がつくまでだけど。来週の七海の任務までには終わるっしょ」

「は?マジっすか。40時間くらいかかりますよね!!いやですよそんなの!

せっかくの春休み五条先輩との桃鉄で潰れちゃうじゃないですか!」

「いいから早くしろ」

 

手をワキワキと動かして私の顔面の前でちらつかせる五条。

ちくしょう。ちょっとしたことで大人の仮面が剥がれて、荒っぽい五条が顔を出しやがる。

ため息をつきながら、コントローラーを受け取る。

何日かかることやら。

 

しかも五条は、ゲームに負けると本気で熱くなるタイプだ。

どうやって宥めすかすかと考えて憂鬱になった。

 

深々とため息をもう一度ついて、ゲーム内でダイスを振った。

 

五条も卒業するとなると、学生だからという理由で免除されていた任務が、これからは降りかかるようになるだろう。

五条家の当主も正式に継ぐらしい。

特級術師、五条家当主、そして高専教師。3つの仕事をこなすことになる。

某トリプルフェイスも真っ青な忙しさだろう。

そうすれば、こうして気楽に私の部屋に来る暇も、当然なくなる。

 

最後だ、徹底的に付き合ってやるか──

 

そう思いながら、キングボンビーを容赦なく五条になすりつけて、高笑いした。

五条の悲鳴が気持ちいい。ザマァ見ろ。

 

私の春休みを潰すんだ、徹底的にやってやる。

ゲームの腕なら私のほうが上なんだぞ。にわかゲーマーなんかに負けるか。

 

「おい!少しは先輩を立てろよ」

「ゲームに弱い方が悪いんですよ!ざまぁ!」

 

五条に肩を掴まれ、ブンブン振られながらもケラケラ笑う。

 

──んだけど、この時の私は知らなかった。

 

まさか高専を卒業して“教師”、”五条家当主”になった五条が、

それでもこの部屋に入り浸るなんて。

忙しいプライベートの時間を縫って、私の部屋でくつろぐようになるなんて。

 

そして、出入りしてるにも関わらず、淫行教師の噂はまったく立たず、

 

“五条に逆らえない可哀想な後輩”

”五条の下僕()

”五条と高専で板挟みの哀れな補助監督”

 

として名を馳せていくことになるとは──

この時の私は、全く予想していなかった。

 

 


 

 

主人公

 

五条の卒業式で、いらない特級呪物をもらった。

後輩の女じゃなくて、付き合ってる女や、同級生にあげても良かったんですよ?と後日五条に話したら、

「硝子に渡したら速攻燃やされてただろうから、お前でいいの」と言われながらデコピンされた。解せぬ。

とりあえず、高専時代はデスクの上に放置。

卒業後は趣味部屋のクローゼットの中に放置、すっかり忘れて、本編最終話「転生者、原作から解放される?(終)」で思い出した。そんなことは、一生言えない主人公。

そのあとは、五条が主人公と同棲始めるとき、部屋のものを移動させたときに持ってこられている。

あれ?特級呪物?逃げられないな?ってなってる。

 

なお、主人公は五条がフロムゲーハマってくれないかなーと、期待してる

そうしたらマルチで初心者狩りで殺してやるのにとか思ってる鬼。

煽りは煽られた相手にやり返すタイプ。初心者や善良プレイヤーにはやらないよ?

だって、末長くこの世界に沼ってもらって、一緒にプレイして欲しいからね。

五条にも優しくしてるのに、やってくれなくてつまらない。

 

 

五条悟

 

卒業式にイベントごととして、気まぐれであげた。

気まぐれであげたけど、きちんと主人公は大事にしているようなので、満足してた。

※デスクの上にある時は、主人公の目につくので綺麗に磨いてたのでピカピカだった。

同棲を開始する前、主人公の荷物を勝手に家に運んでる時、学ランのボタンとガラケーが入ってる箱を見つけて、複雑な気分だった。

死亡偽装して逃げた時、アイツは、本当に全部捨てていったんだなと。

なので、後日これをネタにちくちく主人公をいじめる。

僕との思い出、僕の心を置いていったのー?ひどいー

捨てちゃダメだよ。もういっそこれでアクセでも作れば?

 

なお、数年後に五条は主人公が、裸のキャラでクラブ持って走り回り、マルチで進入して撲殺しては、首切るジェスチャーで煽り散らかし、ファンメ(罵倒メッセージ)が届いて、高笑いしてるのを見て、ドン引きした。

絶対に主人公とこのゲームやらないと心に誓った。

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