【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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伊地知ポジション成り変わった主人公が、原作沿い(?)で頑張ろうとするネタ。
オリジナル設定てんこ盛り。
の番外編。

・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・今回モブキャラの主張が普段より激しいです
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです
・転生者、原作開始を確認する の作中、原作開始直前の頃のお話。


番外編:転生者、合コンに参加する

中学時代の友人から、合コンの誘いの電話が来た。

彼女とは付き合いが長く、私が酒カスなことも、彼女も実は見えるタイプなので、ちょっと特殊な職業についていることも知っている。

ここ数年、”窓”に誘ってるのに、『あんたみたいな社畜人生嫌』ってさ。チッ!

まあ、数少ない私の本性諸々を知ってて、飲みに誘ってくれる最高な友人だ。

 

「へー、そうなんだ」と気のない相槌を打ちながら、話を聞き流す。

 

一般人と呪術界の人の相性は、すこぶる悪い。

結婚する気もない私にとって、適当に遊べる男がいてもいいかと思うことはたまにあるが──基本ノーサンキューだ。

 

「行かなーい。男と関わるのは仕事か、セックスの時だけでいい」

「あんた処女でしょ」

「実は経験豊富なビッチなんですー」

 

処女がなに言ってんだって? 前世の豊富な経験があるんだよ。

男遊びは、まあ、今世では厳しいセコムがいるせいでできてないけど。

結婚も、前世の旦那がいるならともかく、今世はいないし。積極的になれない。

 

「妄想乙。男日照りこじらせちゃって……夢の世界から戻っておいで」

「あ”ぁ”ん?」

「ガラ悪いわよ、潔乃。

せっかく男が好きそうな清楚な美人なんだから、そういうのやめなさい」

 

美人ではないし、普通におとなしい格好をしてるだけなんだよな。

結果、上品で清楚──というか、ストイックで色気がないスーツ姿や髪型になってるだけだ。

 

「とにかくパス。合コンの結果は今度酒の飲みながら聞くわ」

 

そもそも今私は、爪にトップコートを塗るのに忙しいのだ。

ネイルなんかはできないけど、爪先は清潔で綺麗にしていたい。

書類仕事が多いせいか、紙で擦れたりして、保護してないと割れちゃったりするんだよね。

ふーっと息を吹きかける。早く乾かないかな。

電話の向こうの友人は、“ニヤニヤ”という形容詞がピタリとくる声色で言った。

 

「へー、いいの? 店は〇〇だけど!」

 

その瞬間、思わず雄叫びをあげ、立ち上がった。

 

「マジで!? って、あ!!」

 

トップコートのボトルが倒れ、慌てて拭き取りながらも思い出す。

 

一見様お断り、完全予約制、しかも予約は十年前に締め切られている──

あの、全国の銘酒と極上のアテが食べられるという、伝説の店〇〇!?

 

行きます行きます、行かせてください! なんとしてでも予定空けます!

友人に土下座する勢いで参加を表明したのは当然だろう。

もつべきものはやっぱ、本性を知ってる友人だね!

 

幸い、今は伏黒恵が入学して、虎杖悠仁・釘崎野薔薇が入学するまでの原作の空白期間だ。

今なら原作気にせず飲みに行ける!!

 

問題は、私の監視要員をどうするかだ。

そう、監視要員。私の夜遊びに関してうるさい“セコム”がついている。

 

セコム1:意外とキレやすい七海。

私が一人で飲み歩くと苦言を呈してくる。というか勝手に、高専関係者以外との飲みは禁止だと宣言してきている。

行きつけでナンパ男を酔い潰したのが不味かった。

まあ、無視して飲んでるけど。私が酒のことで話を聞くわけがない。

酒だけは譲れない。

それを七海も分かっているのか、飲みに行ったことがバレると怒るけど、

ガス抜きに飲みに結構誘ってくるナイスガイ。

お人よしだよね。

でも、七海とばかり飲みたいわけじゃないので正直邪魔。

私は酒が飲めるチャンスがあったら、その飲みチャンスを逃したくない。

世界中の酒が私を待ってるんだ。

 

セコム2:最強な五条。

こいつが厄介だ。七海ほど露骨に嫌な顔はしない。

お酒も、無茶な飲み方をしなければ……と、ある程度は黙認してくれている。

けど、外で飲んでいると“偶然を装って”絡んでくるのが増えた。

 

バーで一人で飲んでる時はいい。

問題は、複数人で飲んでいる時に乗り込まれるパターンだ。

先日、中学時代の同級生と飲んでいる時に、偶然を装って声をかけられた時は最悪だった。

 

五条の顔面偏差値に女たちは黄色い悲鳴をあげ、恋の狩人(ハンター)となり、

男たちは五条の顔面偏差値や威圧感に意気消沈。

それらに興味がない数人の友人とビールを流し込みながら、

調子に乗ってヘラヘラしている五条を睨みつけた。

 

その後がまた最悪。

女の同級生からは「紹介しろ」、男の同級生からは「あんな男連れてくるな」など、LINEが止まらなくなった。

面倒になって、仲のいい友人──五条が来ても一緒に飲んでいた数人以外は、全カットしたのを覚えてる。

 

ちくしょう。

飲み会の回数が減るじゃないか。

 

それにしても、ストーカーか? いやいや、ストーカー扱いはストーカーに失礼か。

ストーカーには、歪んでるとはいえ愛がある。

五条? アレはただの寂しんぼの嫌がらせだ。

なんにせよ邪魔だ。

 

せっかくの日本酒厳選飲み放題の店、知られたら確実に乗り込まれる。

下戸をあの場に混ぜるなんてとんでもない。絶対却下だ。

 

どうやってこのセコムを撒くか──私はにやりと口角を上げた。

 

私は高専で任務のスケジュールを、ある程度“調整できる”立場にある。

……後は、わかるな?

 

窓からの情報網を駆使し、重くて遠くて、できれば面倒くさい任務を厳選。

五条と七海を、それぞれ地方へ──行ってらっしゃーい! だ。

 

ちなみに行き先は、五条が北海道。七海が沖縄。

完璧な配置である。北と南に分断。

どちらも交通インフラは整っているが、戻ってくるのに時間がかかる。

まず、私が合コンの最中に戻ってこれまい。

 

あとは準備を整え、今朝、二人を同時に羽田空港へ送り出した。

私のスケジュール管理、天才じゃない? と本気で思った。

 

そして午後。

有給を入れ、お気に入りの“気合いが入りすぎてない”綺麗めカジュアルなワンピースに袖を通す。

 

なんで珍しくワンピかって?

 

鏡に向かって、ゆらゆらとワンピを揺らしながら自問してみる。

 

そりゃあ、少食な私でも──こんな貴重な店では、全メニュー制覇したいからだよ!

お腹まわりに余裕のある服、最高。

ワンピースに合わせ、ヌーブラでバストアップ。

 

遊びに行く時にパッドやヌーブラでサイズアップすると、友人には「胸のサイズ違うww」と草生やされるが、

今回は合コンだから黙っててくれるだろう。

合コンでなくても黙っててほしい。あの巨乳族。

 

普段より念入りにメイクする。

今年の春の新色のリップ。色に惚れて買ったけど、まだ使ってなかった。

ブラシで唇に乗せると、パッと華やかになった。

うん、普段より華やかで良い色。

私だって、盛ればなんとか見れる。

普通の顔でもお化粧でなんとかなるんだ!

久しぶりに華やかな顔をしてる自分を見て、気分が上がる。

やぼったい伊地知(兄さん)メガネを外して、さて、いざ出陣だ。

 

合コンは、最高だった。

 

ガッツリ気合を入れて、盛りに盛った女たち。

それに鼻の下を伸ばして食いつく男ども。

そして──もつ鍋と日本酒に夢中な私と友人。

 

友人のお眼鏡にかなう男がいなかった様子。この面食いめ。

 

全員が満たされていた。

そう、完璧なWin-Win構図。

 

女たちはキャッキャとトークを広げ、男たちはそれにニヤけた笑顔で応じ、

私はといえば、箸を止めることなくつまみを味わい、次の日本酒の銘柄を注文していた。

 

このお酒、単価的にこのグラスの量で2000円くらいするじゃん。贅沢……

 

最高すぎる。

 

グラスを傾けながら、心の中でしみじみと呟く。

 

……うん、平和。

呪霊もいなければ、変な介入者もいない。

それなりにイケた男たちからの下心の混じった視線をもらい──全くもって応える気は無いんだけど、

それでも女性として魅力的とも思われるのは嬉しい。

女としての自己肯定感が上がる。

高専だと全くそういうのと無縁なんでね。

うん、仕事も、日常生活も、私に興味がない五条に侵食されてるし。

周りは無駄にイケメンと美女に囲まれて、私みたいな華がないのは埋もれるばかりだ。

……はぁ、と内心でため息。

こんな夜、もうちょっとほしいよね。人生の潤い的に。

 

さて、そろそろ合コンもお開き──そんなタイミングで、店の主人が顔を出してきた。

単価がまあまあ高い店だけあって、最後まで気配りが行き届いてるなと感心したのも束の間。

 

……店の主人に視線を向けた瞬間、私の表情はチベットスナギツネ化した。

 

「……は?」

 

鬼のように蠅頭が纏わりついてんだけど。

背筋をぞわりと冷たいものが這う。

 

隣の友人が引き攣った顔で私を見て、ワンピースの裾を小さく引っ張ってきた。

あー見えるもんね怖いよね。

大丈夫大丈夫と、友人の腕をポンポンと叩いて宥めてやる。

 

──はい、現実に戻りました。

心の中で盛大にため息をつきながら、私は箸を置いた。

こんなに蠅頭が湧くなんて、絶対にやばい。

 

視界の端で、日本酒のグラスが小さく揺れた。

あーあ、せっかくの“一般人の女としての夜”が台無しだ。

 

怯える友人を宥めながらスマホを取り出し、高専への連絡をとり始めた。

 

 


 

 

「ふーん。人気店の店主に対する嫉妬やら恨みで湧いた呪霊、ね」

 

五条の執務室で、私の先日の居酒屋の件の報告をしていた。

報告書をぱらりとめくりながら、五条は興味なさそうに言った。

そしてそのまま、書類をポイっと自分のデスクに放る。

 

「で、その店に偶然居合わせた潔乃が──呪霊を払ったと」

 

原作の釘崎曰く“高い椅子”、たぶんバルセロナチェアにゆったりと腰かけ、

下から私を見上げている。

アイマスクで目は見えないけど……いや、見なくてもわかる。

あのジットリした視線を、私は知っている。

 

「宝石を使用して払いました。等級としては3級でしたので、表向きの私でも対処可能なレベルです。

なので、宝石を使ったことは報告書には記載していません」

 

その視線を意図的に無視。

彼の座る椅子脇に立ち、自分用の報告書のコピーを見ながら私は淡々と説明を続ける。

 

「店に入った時点では呪霊の反応はなく、発生は突発的でした。

店主にまとわりついていた蠅頭の数の異常さから、等級が上がる危険性を判断し、例外的に私が祓いました」

 

「ふーん、へー、ほー」

 

「……なんですか、その反応」

 

「いやぁ、すごいねぇ。“偶然”居合わせたんだねぇ。この店って有名店だよねぇ」

 

「へーそうなんですね。誘われて行っただけなので知りませんでした」

 

「すごく有名な店だよ。僕でもそう簡単に予約取れないレベルの」

 

「へ、へぇー通りで通な日本酒いっぱいあると思いました」

 

「そんな店に偶然、潔乃が、ねぇ? ほんと怖いねぇ」

 

口の端をゆるく持ち上げながら、五条が指先でデスクをトントンと叩く。

 

私は無言でデスクの上の報告書をまとめ抱えながら、心の中で思う。

こっわ。こっわ!!なにこの圧。

え?なんで、飲みに行っただけで、呪霊に対するときのような圧かけてくんの?

 

「報告は以上となります。

次の任務同行がありますので、失礼します」

 

できる限り平静を装って頭を下げ、踵を返す。

背中に刺さるような沈黙。

足音を立て歩き、距離が一歩、二歩と遠ざかるたびに、それが少しずつ軽くなっていく。

 

あと数歩でドア、というところで、背後から柔らかな声。

 

「……潔乃」

 

呼ばれた瞬間、反射的に肩がピクリと動いた。

振り返るかどうか、ほんの一瞬だけ迷う。

 

「まだ話は終わってないよ」

 

静かに、でも有無を言わせない声音。

その一言で、空気の温度が数度下がった気がした。

 

「この店に──なんでいたか、教えてくれる?」

 

ゆっくりとした問いかけ。

怒ってはいない。けれど、逃げ道を完全に塞がれている。

 

終わった……。

意図的に五条が出張中に飲みに行ったの、バレてる。

これが“合コン”ってバレたら、なにを言われるか……

 

頭の中で警報ベルが鳴り響いている。

私はぎこちなく振り返り、できる限り自然を装って口を開く。

 

「え、友人に誘われて飲みに行ってたんですよ」

 

「へぇ〜」

五条が、あくまで穏やかに相槌を打つ。

 

「気合いが入ったワンピース着てたって聞いてるけど?」

 

「私だってワンピースくらい着ますって!」

 

「普段より派手にメイクして、胸盛って、メガネもかけずに出かけたって──硝子から聞いてるけど?」

 

「…………」

 

沈黙。

息をするのもためらうこの空気。

 

……家入は、なんでそういう報告するかな!!!

普通言わないでしょ!!!!

 

「私だってオシャレくらいします!」

 

「ふぅん」

五条は片肘をつき、軽く首を傾げる。

声のトーンはあくまで穏やかで、でもそのアイマスクの奥が笑っていない。

 

「んで、男はできた?」

 

「……は?」

 

「いやほら、合コンでしょ? “偶然”参加したやつ」

 

「っ……」

 

完全に詰み。

アイマスク越しでも、視線を合わせたくないやつ。

私は報告書を抱えたまま、ぎこちなく笑い、視線を泳がせる。

 

「……日本酒が最高に美味しかったです」

 

「答えになってないけど?」

 

「無茶な飲み方してないです」

 

「うん、そうだねぇ」

五条がゆるく頷く。その声は、いつも通り穏やかで──だからこそ怖い。

 

「冷静に行動して、判断して、ちゃんと呪霊も払えてる。

……だから、本当に“適度に”飲んでたんだろうね?」

 

「そうです」

 

「で、話戻すけど男できた?合コンでしょ?」

 

「ッ……」

 

呼吸が一瞬止まる。

……これ、もう逃げ道ないやつだ。

 

「日本酒と鍋が目的なのに、なんで男作らなきゃいけないんですか!!!」

 

勢いで声が少し裏返る。

五条の口元が、ゆるく持ち上がった。

 

「ふーん」

 

あの「ふーん」は、絶対に何か知ってる時のやつ。

そして案の定、次の一撃が静かに落ちてきた。

 

「酒飲みたさに、合コンに参加と。

──僕と七海を、わざわざ出張で遠方に追いやって?」

 

「……っ!」

 

心臓がキュッと鳴る。

音にならない悲鳴が喉の奥で詰まった。

 

「そ、それはっ……あの、偶然というか、その……」

 

「偶然って、ほんと怖いねぇ」

 

あの“穏やかな声”で、またそれを言われた。

部屋の空気が、見えない圧力でぎゅっと縮む。

 

──完全に終わった。

 

「次、任務同行するんでしょ? 時間はいいの?」

 

五条にそう言われて、ハッとする。

 

「あ、すみません。失礼します」

 

腕時計で時間を確かめ、本当にまずいと悟る。

慌てて報告書を抱え直し、ドアノブに手をかけた、その瞬間。

 

「今日、夜──潔乃の部屋行くから」

 

背後から、いつも通りの柔らかい声。

 

「首、洗って待ってろよ?」

 

一転してドスの聞いた声で宣言され、全身の血の気が引いた。

 

「……あ、あははは。はぃ………」

 

乾いた笑いを搾り出しながら、私はそっとドアを開けた。

そして、閉まりかけた扉の隙間からもう一度聞こえた、あの声。

 

「きちんと説明してもらわないとねぇ。七海もいるから」

 

──背筋が凍った。

 

私はほぼ逃げるように廊下へ飛び出した。

心臓はバクバク、顔は引きつり、足取りだけは全力で平静を装う。

 

やばい……絶対、今日死ぬ……終わった。

 

すれ違う高専関係者たちは私の様子を見て、また五条に無理難題を言われたと思ってるんだろう。

可哀想なものを見る視線が突き刺さる。

ちくしょう、私は酒が飲みたかっただけなのに!

 

そんなタイミングで、スマホが震えた。

画面には、合コンの主催・友人の名前。

件名は「次回日本酒第二弾」──無邪気すぎる。

 

無言で返信を打ち込む。

 

過保護なセコムにバレました。

しばらく合コンどころか、飲みに行けそうにありません。

 

 


 

 

夜。

狭いシングルベッドの中。

僕の腕の中で、すやすや眠る潔乃の寝顔を見つめる。

 

つい二時間ほど前まで、七海と一緒に今回の件の説教をしていた。

……僕も最初は真面目に説教してたんだけどね。流石にムカついたし?

僕を遠方に追いやってまで飲みに行きたいの?って。

 

ま、でも七海の方が本気で怒っててさ。

可愛い後輩にだまくらかされて、出張に行かされたのが地雷だったみたいで。

 

潔乃が気を遣って、僕と七海を正反対の出張先にしてくれたと思ってたみたい。

いや、七海。失礼だよ、それ僕に。どんだけ僕と出張行きたくないのさ。

 

沖縄土産を片手に、マジギレの七海。

……いやぁ、七海のマジギレ、久々に見たけどウケた。

 

ネチネチネチ、もう身内、父親とか、兄貴か?ってくらいの説教。

潔乃も最初はおとなしく聞いてたけど、途中から逆ギレしてさ。

 

『酒くらい好きに飲ませてください!』

 

って言い切った瞬間、七海のこめかみに青筋が浮かんだ。

潔乃の顔が「あ、やっちまった」ってなったの見て、

僕、笑い堪えるの本当に必死だったからね。

 

そのあと七海の説教はさらに長引いて、

正座がつらくなってきた潔乃の足がぷるぷる震え出したから、僕はその足の裏をつんつく突いて遊んでた。

 

「しょうがないよねぇ」

って嫌味っぽく言いながら。

 

僕と七海を出張で遠方に飛ばしてまで、飲みに行きたかったんだもんね?

飲むなら、僕も七海も付き合うのにね? 硝子だってね?

心優しい先輩たちが、うわばみの潔乃にちゃんと付き合うって言ってるのに──

 

足をつんつく突きながら、いじめてやったら半泣きの顔してた。

うん、案外いい顔するね。正直、そそるよ潔乃。言わないけど。

 

それにしても、こいつときたら、ほんとにもう。

ここまでされても、絶対に「飲みに行かない」とは言わない頑固さ。

これには七海も呆れてた。

 

……まぁ、こいつが外部との繋がりを持ちたがるのは、わからなくもない。

潔乃は一般家庭出身で、術師として動く時はイカれてて最高なんだけど、

それ以外は本当に真人間。常識人だ。

 

ごく普通の感性を持って、この呪いの坩堝 (るつぼ)の中で生きている。

そんな潔乃が外に飲みに行くのは──

きっと、“一般社会との繋がり”を、どこかで残していたいからなんだろう。

 

だから僕や七海や硝子と飲んでも、意味がないのかもしれない。

同じ世界の人間同士の酒なんて、楽しくなかったり、救いにならないんだろうな。

 

七海が帰った後も不貞腐れてた。

紅芋タルトを食べようとしてた僕の腕を引っ張って、ベッドに押し倒してきたのはウケた。

そのまま抱きついて、今に至る。

たぶん、紅芋タルトを食べさせない嫌がらせだと思うんだけど……面白すぎだよね。

 

穏やかな寝息を立てる潔乃の頬を、そっと撫でる。

それに反応したのか──

 

「……ん……五条さん……なに……?」

 

寝ぼけて僕の名を呼びながら、自ら手に頬を擦り寄せてくる。

そしてそのまま、再び眠りに落ちていった。

 

あんだけ説教されてたのに、ほんと無防備だよね。

ま、僕相手だからいいけどさ。

もう一度、柔らかくてもっちりした頬を撫でながら、小さく笑いが溢れる。

 

「……別に、いいじゃん」

 

お互いの吐息がかかるほど至近距離まで顔を寄せ、潔乃の顔を覗き込む。

派手さはないけど整った顔。目を閉じていると、余計に際立つ。

小さく笑って、僕は囁いた。

 

「別に、呪術界の繋がりだけで──

オマエはもう、こちら側の人間だろ?」

 

頬をもう一度撫で、頭を抱き寄せて髪に顔を埋める。

ほんの少し硬めの髪質。毛先に強く癖が出て困ると潔乃が嘆く、くせっ毛に指を絡め、弄ぶ。

ふわっとしたシャンプーの香りと、潔乃の甘い匂いが混じる。

 

この瞬間が、僕は好きだ。

いい匂いだし、抱き心地もいいし、何より落ち着く。

──あぁ、今日もよく眠れそう。

 

そう思ったところで、ふと気づく。

 

「……合コンで男できてたら、抱き枕できなくなるのか」

 

この僕だって、恋人のいる人間を抱き枕にするのは、流石に駄目なことくらい分かってる。

今こうしているのは、お互いフリーだからだ。

腕の中の潔乃を確かめるように、もう一度抱きしめ直す。

 

僕より低めだけど暖かい体温。

一般女性としては背が高いけど、術師の女としては華奢で柔らかい体。

 

これ、気持ちいいんだけどな。他の男にやるの、もったいない。

正直、面白くないけど……その時は、ま、しょうがないか。

 

そっと、こめかみに鼻先を擦り付けながら考える。

 

潔乃が男を連れてきたら、祝福してやろう。

 

──まぁ、身辺調査くらいはするけど。

 

カスだったり、どうしようもない男なら、適当に排除すればいい。

可愛い後輩の潔乃が、不幸になるのは見過ごせないし。

その時はこうして抱きしめて、慰めながら添い寝してやろう。うん。

 

潔乃の泣き顔なんて見たことないけど、泣いてるかもしれないな。

うん、案外可愛いかもしれない。

その時が、ちょっと楽しみになってきた。

 

それくらいは、許されるよね?

僕の、可愛い潔乃だもんね。

 

腕の中にいる潔乃を見下ろして、額にキスを落とし、僕も目を閉じた。

 

 

 


 

 

主人公

 

お酒大好き、飲み会大好き。

基本、飲みの誘いは断らない飲みモチが高い酒カス。

そのため、ナンパ男を撃退して(転生者、テキーラショットを楽しむ参照)で、七海からは

高専関係者(五条、七海、家入、夜蛾)がいない飲み会を勝手に禁止されているが、もちろん守らない。

でもうるさいので、同じく邪魔な五条と二人まとめて地方に追いやって合コンに参加した。

ら、バレた。

たっぷり説教をされたが酒を飲みに行かないとは絶対に言わない、酒カスの鏡。

なお、七海のお土産は泡盛の瓶入り古酒と紅芋タルトと、ソーキそば。

七海が帰った後、勝手に紅芋タルトを食べようとしている五条にムカついたので、腕引っ張ってベッドに押し倒してそのまま抱き枕にして寝た。

紅芋タルトを上げないための嫌がらせだけど、これはこれでラッキーと思ってる五条に気がついてない。

七海のお土産は、翌週に、七海と主人公と五条で楽しくあける。

家入は呼ばない。今回の件で主人公は家入に怒ってるので。

 

 

五条悟

 

主人公の酒カスっぷりに呆れてるけど、無茶な飲み方をしない限り黙認。

今回は、流石に面白くないので説教しようと思ったが、七海の方がマジギレしてたので嫌がらせで

痺れた足を突くだけにした。

その後、不貞腐れた潔乃にベッドに連れ込まれて抱き枕にされた。

僕、紅芋タルト食べたかったんだけど。まぁいいか眠かったしと、いつもように抱き枕を楽しんだ。

なお、主人公に男ができたら身辺調査すると言ってたけど、身辺調査が白でも理由つけて別れさせる。

そんな自分に「まだ」気付いてない。

思いっきり主人公に執着してるけど自覚なし。

なお、七海のお土産会では紅芋タルトを堪能した。これ美味いね。また買ってきて七海。

家入が参加してないことに、あー僕に情報垂れ込んだの硝子だしね。とノータッチ。

 

 

七海建人

 

一人出張は旅行気分で好き。

沖縄に一人で出張。五条さんは北海道!伊地知さんありがとうございます。

と思ってたら、実は伊地知の策略だと知ってマジギレした。

ネチネチと嫌味ったらしく説教を1時間ほどしたが、どんだけ説教しても酒に関しては全くいうこと聞かない主人公に呆れてる。

次の週末主人公から、詫びということで七海のお土産を食べる会が開催されて、瓶の泡盛を堪能した。

家入がいなくて、主人公怒ってるんだなと察した。

 

 

家入硝子

 

この頃、重病患者続きで酒を飲めてない時に、主人公ががっつりオシャレして出かけていくのを見て

合コンでこいつ酒飲む気だ!と察して五条に悪戯がてらちくった。

そしたら、呪霊騒ぎもあってより大事になった。

主人公にはチクった意図もバレてて、七海のお土産会に呼ばれず泡盛飲み損ねて、ヤベっとなった。

後日主人公に謝ったら、主人公はきちんと硝子の分の泡盛を残してて、その日の夜は二人で女子会。

やっぱ持つべきものは女友達よ。五条なんかにチクってごめん!

次からはチクらないから!とあっさり買収された。

 

 

友人

 

主人公の酒カスでゲーマーで、荒らしい本性を知っている数少ない人。

同じく酒カス。実は見える側。

呪力は少ないので術師にはなれないが、窓はいけるレベル。

主人公から、窓になろうよと誘われているが、主人公が本気じゃないのはわかってるので笑ってスルー。

この数ヶ月後に、主人公からハロウィンは地方か海外へ行け。

と真顔で言われて、その真顔っぷりに大人しく従ったため、渋谷と死滅回遊は回避する。

その後、主人公と連絡が取れなくなって(主人公が意図的に連絡をたった。自分と付き合い続けるのは一般人には危険なため)心配してるが、今後まったく連絡も取れないし、一生会うことはなかった。

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