高専側ではなく、夏油側についていたらif
ひたっすらに重苦しい話なので、苦手な人は注意
・伊地知ポジション成り代わり(伊地知の双子の妹)ものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです
「悟が来る前に、手短に話すね。
近々、面白いことをするんだけど、君、こっち側に来る気はない?」
その言葉を聞いた瞬間、は? 何を馬鹿なことを言ってるんだろうと思いかけたが、言葉が詰まった。
その代わり、心の中で「これはチャンスなのでは?」ともう一人の自分が囁く。
この先、原作が地獄に落ちる最大の要因は、夏油傑の死体が悪用されることだ。
それを未然に防ぐチャンスがあるかもしれない。
趣味部屋で何度も一人で考えた。
今後の方針を洗い出す中で、最初から考えなかった選択肢があることに気づく。
あまりにも、人の心がない手段を取るから。
あまりにも、私の心が痛むから。
あまりにも、原作から逸脱するから。
そして、私が心の底から満足できないだろうから。
急に黙り込んだ私を、夏油は訝しげに見ている。
呼吸を一つ整え、私は覚悟を決める。
ただ、それだけのことだ。
「その話、詳しく聞かせてもらえますか?」
仕事用スマホの、鬼のような着信。
それをぼんやりと眺める。
カフェにいるのでマナーモードにしておいてよかった。
震えて留守電に切り替わり、数秒の静寂を置いて、また震え出す。
その繰り返し。
着信相手は、五条。
今さらになって震え出した指先で、通話ボタンを押す。
「――っ、おい何が――!」
スマホ越しでも焦っているのが分かる五条の声。
「申し訳ありません。スマホを操作中に一般の方とぶつかり、
揉めてしまい、スマホを壊されてしまいました。」
私の返事を聞いた五条の声が、硬かったものから一気に柔らかくなる。
「素人相手に、何やってんの? 潔乃、あとでマジビンタな」
「えぇ!!ちょっと」
軽口を叩きながら、電話の目的を適当にでっち上げる。
元々、後で伝えようと思っていたことだから、違和感はないはずだ。
ついでに2、3件仕事の話をした後、通話を切る。
今更、これでよかったのかと考える。
だが、もう賽は投げられた。
真希と乙骨の小学校の任務で特級過呪怨霊・折本里香が完全顕現したため、後始末に追われた。
正直、繁忙期前で助かった。
疲れた体を引きずり寮の部屋に戻ると、勝手に入り込んだ五条がストックのチョコレートを貪っていた。
またチクチク上層部に言われたのだろう、不機嫌な顔を隠さない。
私の方が不機嫌になりたいんだけど、と思いつつミルクコーヒーを作る。
そのマグを差し出してやれば、五条はソファにもたれたまま片手で受け取り、小さく笑った。
ちょろいな。
ハピナ商店街の件で夏油傑が絡んでいることがわかった。
私の帳の上から二重に帳を下ろしていたらしい。
正直処分を覚悟したが、五条に庇われた。
上層部も同じ認識だったらしく、査問等もなかったのは助かった。
この繁忙期に拘束されるのは勘弁なので、業務に集中できるのは正直助かる。
しかし、私1人が抜けると仕事が滞りそうと、今更ながらに気がつく。
せっかくなので、私がやってる仕事をマニュアル化を始めた。
同時にフローチャートも作り、誰でもできる補助監督、誰でもできる高専運営。
別の補助監督や、五条が私の作成資料を見て、すごく嫌な顔をしていたのはなぜだろう?
その後も日常は続く。
補助監督として術師を送る。
特に今年の1年は五条お気に入りの乙骨憂太もいる。生徒を送り出す回数が多い。
やはり他の補助監督よりは私に回したいらしく、同行の数が多い。
生徒を死地に送り出すのは、いつになっても慣れない。
全員に宝石を渡すわけにもいかないし、そもそも根本的に数が足りない。
私にもっと呪力があったらと思うが、それは無い物ねだりだ。
人間は配られたカードで勝負するしかないのはわかってる。
夏油傑の動向を調査しているようだが、高専側はまだ何もつかめていないようだ。
まぁ、そりゃそうだろうね。
マニュアルも完成した。うん、これでもうやることはない。
そんなこんなで日常が過ぎ、11月になったある日。
夏油傑による百鬼夜行の宣言がされた。
高専の正面ロータリーで堂々と宣言する夏油。
準一級以上の術師が集まる中、私も慌てて駆け寄って、その宣言をその場で聞く。
「来たる12月24日‼︎日没と同時に‼︎」
「我々は百鬼夜行を行う‼︎」
「場所は呪いの坩堝、東京・新宿!!」
「呪術の聖地、京都‼︎」
「各地に千の呪いを放つ。下す命令はもちろん”鏖殺”だ」
「地獄絵図を描きたくなければ、死力を尽くして止めにこい」
「思う存分、呪い合おうじゃないか」
五条と夏油が「このまま行かせるとでも?」「可愛い生徒が私の間合いだよ」
などと原作で見た通りの会話をしている。
夜蛾が私がいることに気づき、危ないから下がれと言うが、それを無視して歩き出す。
歩きながらネクタイを引き抜き、高専の補助監督に付与されているドッグタグを地面に落とす。
ワックスでストレートにしていた髪に指を通し、軽く崩す。本来は私は癖っ毛だ。
集まった呪術師、生徒が驚いたように私を見ている視線を感じる。
「...潔乃?」
その視線を背に、呆然と立ち尽くしている五条の隣をぬける。
「行こうか、潔乃」
「はい」
最後に伊達メガネを投げ捨て、夏油の側に立った。
美々子と菜々子が嬉しそうに、私の腕を引っ張る。
ラルウがお疲れ様。とウィンクをして私の肩を叩く。
「...っ潔乃!!!」
五条が叫ぶのを無視し、美々子と菜々子に促されるまま移動呪霊の中へ。
「それでは皆さん。戦場で」
高専の人たちの方に視線を向けないまま、私は夏油らと共に立ち去った。
「いや、えげつないね。君高専に何してきたの?」
「夏油さんたちの活動の履歴を消して、私の情報を消して、
あと重要そうな情報引っこ抜いてその形跡消して、バックドア作ってきただけですけど」
「君は、本職はハッカーなのかい?」
不正アクセスしているPCのカメラ越しに、大騒ぎになっている高専の様子を見ながら会話を続ける。
画面越しに、何人もの術師や補助監督たちが走り回り、怒号が時折聞こえてくる。
私の名前を叫びながら泣いている新人の補助監督がいるのが聞こえた。うん、申し訳ないけどね。
「夏油さんは猿と言いますけどね。現代技術こそ呪術界には刺さるんですよ。
セキュリティも甘々、おかげで情報も抜き放題。嫌いでも利用すりゃいいんですよ」
キーボードを叩き、カメラを切り替える。
今度映ったのは、百鬼夜行の作戦会議室のようだ。
原作だと、そこで進行していたのは私だったな、と懐かしさを感じる。
私がいないこと以外は原作通りに終わった会議室から、先ほどのカメラに切り替えると、
ますます混乱している様子が映し出される。
「一応、業務マニュアルとか残してきたので、誰でもやれる仕事のはずなんですけどね」
「離反者の残したマニュアルは使わない気がするよ」
夏油の言葉に私は笑みを浮かべたあと、少し唇を尖らせた。
「仕事が属人化しすぎなんですよ。私が抜けただけでこんなに混乱するなんて」
「君は、自分の価値をわかってないよ」
「私の代わりはいくらでもいますよ」
綾波のセリフみたいだとふと思い、ちょっと気取ってる自分が恥ずかしくなって思わず笑ってしまう。
笑いながら、こちらのPCの画面を閉じた。
百鬼夜行は予定通り新宿、京都に分散。そして高専に夏油が乗り込む形で決行なった。
一応私は高専1本にしては?と進言はしたが、却下されて逆にホッとした。
これで原作通り。おおよそ想定通りの行動が取れる。
私は夏油と行動する。5歳から誕生日に貰い続けた切り札を持って。
原作とは異なり夏油ではなく、私が帳を下ろす。五条から定期的にもらった宝石を利用した強力な帳。
パンダと狗巻棘の介入をなるべく遅らせる。
出会った真希と夏油の戦闘は強制キャンセル。
私が介入して睡眠効果のある宝石の呪力で眠らせた。
数時間はぐっすりスヤスヤだ。
女の子は傷つけちゃいけないんだよ。
「猿にまで優しすぎないかい」
「私の目の前で、乙骨以外の高専生は殺さないって
「まぁ、そうだけどね」
呑気に話してる場合じゃなかった。
思わず天を見上げる。もう帳が破られた!
私の様子に事態を察したらしい夏油から尋ねられる。
「距離は?」
「侵入経路から、ここまで5分ってところかと」
「無視するべきか、片付けておくべきか迷うね」
あぁ、あいつらここまで最短で来るんだよな。
と思考した瞬間にパンダが飛び込んできた。
「ほんと、殺さないでくださいよ?」
それだけ声をかけて私は夏油から離れる。
パンダがこちらに視線を一瞬流すが、私自身雑魚なので放置される。
狗巻が呪言を使うはずだから、防御の効果のある宝石を握りしめる。
万が一私が食らったら一発アウトだからね。
原作通りに夏油が呪言をモロに食らっているが、私は巻き込まれなかった。
いや、巻き込まなかったのだろう。優しい子だ。
「伊地知!降参しろ!」
「…じゃけ!」
ふぅ、とため息。ごめんね
パンダくん狗巻くん
「宝石の呪力使った風か、強力だね。
君、術師でもやって行けたんじゃない?」
私の宝石の風攻撃により、壁に叩きつけられたパンダと狗巻を見て、感心した声を出す。
「コスパ悪すぎなんです。
実際それを五条さんに指摘されて、補助監督に転向したんですよ」
「ふーん、見る目ないね悟。
やり方はいくらでもあるだろうにね」
壁に叩きつけられても、こちらに反撃の姿勢を見せるパンダと狗巻。
その気概を見てご機嫌な夏油。
殺すなよ。と、つぶやき視線を逸らした。
「私は今‼︎猛烈に感動している‼︎」
あっさりとパンダと狗巻をのした夏油。
原作通りの感動に浸ってるので、それを放置しパンダと狗巻の容体を確認する。
大丈夫そうだけど、狗巻には念のため回復効果のある宝石を握らせる。
パンダはごめん。呪骸の直し方がわからないから、夜蛾に直してもらって。
そうこうしてるうちに、乙骨憂太が現れ激昂した。
雑魚は巻き込まれる前に退散。任せたよ夏油。
少し離れた位置から夏油と乙骨の戦いを見つめる。
いや、特撮かよ。
人間同士がこんな闘いとか、本当におっかないわ。
そんなことを考えながら、大義と純愛がぶつかり、激しい轟音が響くのを静かに見守った
重傷の夏油を支えて、一緒に歩く。
「君は先に逃げた方がいい。」
「縛りを忘れたんですか? ここで逃げても意味ないの、知ってるでしょう?」
そんなやりとりをしながら、原作とは違う話をしていたら、五条が現れた。
私も夏油も戦闘の意思はない。
肩をすくめて、
「……私は見ないから、2人で話してください」
「潔乃!」
「逃げないです。そこに居ますので」
五条に指をさして、すぐ側の塀を示し、背中を向ける。
2人から角度的に見えない位置に移動し、塀にもたれた。
これで、最後は2人で話してほしい。
タバコを取り出して、一服。
最高に美味い。
ほぼ私の狙い通りの結果に、くつくつと笑いがこぼれる。
「何笑ってんだよ。」
2本目を吸い始めたところで、五条が壁から顔を覗かせた。どうやら終わったらしい。
タバコを咥えたまま、夏油の元へ向かう。
「…お前タバコ吸うのな。」
五条の言葉には返事を返さない。
しゃがんで、夏油のまだ暖かい頬に触れた。
「お疲れ様です、夏油先輩」
そっと、夏油の頬を撫で続ける私に、五条が呟く。
「……なぁ、なんでだ?」
五条と話すつもりはない。
目線を合わせることなく、静かに立ち上がる。
咥えていたタバコを、無造作に地面に落とす。
タバコが地面に触れた瞬間、空気が一変し、私と夏油を包み込む結界が発動する。
五条が慌ててその結界に手を触れるが、
バチッと、鋭い音を立てて弾き返される。
「っ! 僕だけを弾く結界…おい!!」
効果を六眼で把握したのだろう。
激昂して叫ぶ五条を、またも黙殺する。
さあ、約束を果たしてもらうよ、夏油。
「なるほどねぇ。無謀なこと考えますね」
ターミナル駅の駅中カフェにて出会った夏油から、本当にあっさり百鬼夜行の話を聞いてしまった。
こんなところで話すべき内容ではない。と今更ながらに思う。
「ここまで話したからには、もう君逃げられないよ?」
カウンターに肘をつき、私を面白いように見てる夏油。
しみじみ胡散臭い教祖様だなぁ。
「逃げませんよ。協力します。
ただし、条件があります。彼方が死んだらその死体をください」
「は?」
こんなアホ面晒した夏油なんて初めて見た気がする。
「バカみたいな顔してますよ。
病死でも事故死でも、五条悟に殺されようとも…
夏油さんの死体の処理を私に任せてくれるなら、私はあなた方につきます」
あまりにも驚いた表情をしてる夏油にイラっとする。
きいてます?と言ったふうに夏油の目の前でひらひらと手を振る。
「君、そんなイカれた人だったっけ?」
心底引いたような表情を見せる夏油にさらにイラっとした。
何百人も一般人を殺してるお前より人間性まだあるわ。
「忘れてませんか?私も呪術師を目指してたんですよ?」
その言葉にフッと笑い、そうだねとつぶやく夏油。
「それでいいよ。細かいことも今のうちに決めてしまおうか」
「そうですね。あなたの家族がうるさそうなので、この件は絶対納得させてくださいね」
……………これがターミナル駅の駅中カフェで交わされた、あの日の会話だ。
「この結界は…
呪力を流して強化した宝石を粉末化したのをタバコに混ぜて作成したもの
タバコを媒介として発動し、五条悟とその呪力術式のみを弾く。
この結界を発動できるのは伊地知潔乃のみである」
「術式の開示…」
五条が忌々しげに舌打ちする。
「効果時間はタバコが終わるまでの4分。
さっきから吸ってたから、あと3分ってところかな。
まぁ、それだけあれば十分だ。」
最後の宝石を取り出し、呪力を流して地面に落とすと、
地面を青い炎が伝い、夏油の体に触れて激しく燃え上がる。
「っ!!何やってんだ!やめろ!!」
目を見開いた五条が慌てて結界を再度殴りつける、結界が嫌な音を立てて軋んだ。
これだから筋力&呪力ゴリラは…
縛って対五条強化してる結界を自分のスペックだけで、破壊しかけるのやめてくれ。
自分のスペックの低さにため息が出る。
夏油の死体はまだ燃え切ってない。やっぱこうしなきゃダメか。
「この結界は、伊地知潔乃の命と引き換えに、更に強化される。」
もともと、この戦いの後に死ぬつもりだったから、多少早くなるくらいで問題はない。
スニーカーで夏油を燃やしている炎を踏みつけると、引火して私の足元から炎が上がってきた。
呪力で作られた炎なので、痛みはない。
ただ、自分が壊されていくのがわかるだけ。
「何を考えてるんだ!!!やめろ!!やめてくれ、潔乃!!!」
六眼でそれを正確に捉えてるのだろう。五条が悲鳴のような声を上げた。
あんたのそんな声、初めて聞いたよ。気分悪いよね、ごめんね。
そうだ、燃える前にこれを渡しておかないと、漆黒の小箱を取り出し、五条に向かって投げる。
反射的に受け取って、ひゅっと五条が息を飲む。
何を手渡されたのか、分かったのだろう。
「たっぷり呪力込めておきましたから。使い所間違えないでくださいね。」
私の顔まで青い炎が登ってきた。視界が五条のそれとは違う青に染まる。
もう五条の顔もろくに見えないし、五条の声も聞こえない。
それでいい。
「最後に、特級呪物・両面宿儺の指の動きに気をつけて。
あと額に横一線の縫い傷跡がある人間に会ったら、あんたの敵。その場でそいつの脳を破壊して…」
淡々と、注意すべきことだけ伝える。
今までごめんも、ありがとうも、五条に呪いの言葉は残さない。
私のことなんてどうでもいいから、
体が傾き地面に崩れ落ちる。
痛みも何も感じない。
モニターの電源を落とすように、プッツンと私の意識が途切れた。
主人公
手段を選ばず、人の心も無くして、自分の命も駒にして
最悪の原作を避けようとした末路。
五条を含めた高専の人たちのことが好きすぎた。
そして自分の評価が低すぎた。
所詮自分は異物だから、居なくても問題ないでしょうと。
11年しこたま側にいて甘やかした五条を、無責任にほっぽり出していなくなった。
最初は死にたくない一心でこの世界に飛び込んだが、
ふとある日一度死んで転生してるから次があるんじゃね?と気づいてしまった。
悪い意味で開き直った。
みんなに合わせる顔がないので、さっさと北へ行った。
何回転生しても、2度と彼らと会うつもりはない。
五条悟
ifルート1番の被害者。
親友を殺し、後輩…相棒は目の前で焼身自殺された。
2人とも、爪の先、髪の毛の一本すら残らず全部燃えてしまった。
主人公を11年間ずっと側に置いて、可愛がってきた。
逆に主人公に許され、甘やかされていた。
黒い小箱の中のスターブルーサファイアは、主人公の11年分の呪力でたっぷり満たされていた。
親友とは空港ロビーで会えたが、後輩はいなかった。
何回転生しても、相棒と出会えない。
夏油傑
ifルートの元凶の1人。
たまたま見かけたので、突発的に声をかけた。
五条への嫌がらせのつもりだったけど、予想外に釣れてしまった。
来てくれたことはとても嬉しいので、全力で囲い込んだ。
悟ごめんね。
空港で主人公と会い、軽く話をするが、さっさと北へ行ってしまったのを残念そうに見送った。
何回転生しても、共犯者と出会えない。
夜に布団に入ってぼんやりしてたら、ふとifルートを思い出して一気に書き上げたやつ。
連載中に渋谷事変周りを書いていて、ギャグが書きたいとぼやいてたのに、気がついたら原作よりエグい話が書き上がっていた。
本編完了しましたが、番外編後日談などどれが読みたいですか?
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本編終了後の後日談
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本編時間中の日常話
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if系(√分岐、原作通り五条死亡など)
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R-18 の下ネタギャグ
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全部