【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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伊地知ポジション成り変わった主人公が、原作沿いで頑張ろうとするネタ。
オリジナル設定てんこ盛り。

転生者、命を賭ける
の新宿決戦直前からの分岐の別パターン。

・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです
・作者の考えた「この作品の五条にとって最高の不幸」をテーマに書いたものなので、苦手な方はご注意ください。


if それは、とても残酷な夢だった

死後の待合室。なんで空港なんだろうな?

あの世TVとやらの画面に目をやりながら、僕は気だるげに欠伸を噛み殺した。

傑や灰原が隣にいるから退屈はしない──はずなんだけど、なんか違う。

 

「……あ、そうか。潔乃、いないからか」

 

あいつがそばにいると、なんだって楽しかった。

プライベートでは遠慮なくからかえるし、反応もいちいち面白い。

仕事の面でも完璧で、僕の意図を先回りして理解してくれる。

……ああいうのを“相棒”って呼ぶんだろうな。

抜けてるところはあっても、それすらも愛嬌。

 

ふっと笑って──その瞬間、胸の奥がチクリとした。

 

「あ、僕……潔乃のこと、好きだったんだ」

 

しんとした空気。

次の瞬間、傑と灰原が同時に噴き出した。

 

「え、今更?」

「今頃気づいたんですか!?」

 

煩い。

眉をひそめて舌打ちする。

 

「マジで気づかなかったんだから、しょうがないだろ」

 

傑がニヤニヤして肩を竦め、灰原は呆れ半分でため息をついている。

ま、でもいいでしょ。

 

「そのうち死んだらここ来るでしょ。その時に口説くからいいわ」

 

軽口みたいに言いながら、自分でもわかっていた。

──その「そのうち」が、案外遠いかもしれないってことくらい。

でも、大丈夫だって思ってた。

だって潔乃はずっと僕のそばにいたし、ここ1年くらいはずっと添い寝してた。

細っこいけど柔らかくて、僕よりちょっと体温低めだけど暖かい身体を抱きしめてずっと寝てたんだ。

好きでもない男とそんなことしないでしょ? 余裕、余裕って。

 

──だから、あの世TVの向こうで潔乃が、僕のじゃない男と笑い合っている姿を見た時は、愕然とした。

次第に二人の距離が近くなり、恋人になり、夫婦になり、子供が生まれた。

その様子を僕はただ、モニターの前で呆然と見ていることしかできなかった。

 

最初は「今さらかよ」とからかってきていた傑や灰原も、テレビに潔乃が映ると、いつのまにか口をつぐんでいた。

潔乃が幸せに生きて年老いていくのを、ずっと見ていた。

 

しばらく経って、七海が来て無言で僕の肩を叩き、硝子が来て僕の尻を蹴飛ばした。

潔乃は意外なことに長生きで、人生を謳歌して、大往生と言われるほどの年月が経ってから亡くなった。

 

「……最後に挨拶だけしてくる」

 

僕に付き合って待っててくれてた面々にポツリと伝える。

もう僕の失恋ムードに慣れきってて、みんな「おう、振られてこい」などと勝手なことを言いやがる。くそ。

 

それでも歩き出す足は、不思議と軽かった。

──だって、ようやく潔乃に会えるから。

 

空港アナウンスを頼りに潔乃を探す。居た。

髪の毛を金髪に染めて、耳にピアスが開いてる。新宿で戦った頃の姿の君。

いや正確にはその数年後か? 髪の毛が少し伸びてるしメイクの仕方が変わってる。でも僕の潔乃に変わりはない。

 

声をかけようとして、カツンっと足先が何かに当たる。

 

「あ? なんだこれ」

 

目の前に透明のガラスのようなものがあった。握り拳でコンコンと叩く。

僕の六眼は空港に来た時点で機能しなくなっている。正直よくわからないな。

とりあえず、気にしてられない。ガラスの向こうに潔乃がいるんだ。ガラスを叩いて潔乃に声をかける。

 

「潔乃!!」

 

大きな声をかけているのに、ガラスも叩いているのに、潔乃は気づかない。おかしい。

潔乃には僕の姿も声も届いていない。

 

仕方ない。呪力を込めて思いっきりガラスを殴る。

最初からこうすればよかった。

 

「は? ……嘘だろ」

 

ガラスには傷ひとつついていない。再度蹴りを入れたりしてみるが、全く変わらない。

こんな行動をしているのに、潔乃は全く気づかない。

 

唐突に僕は気づく。これは僕と潔乃の世界を分つ壁。

──僕たちの世界は、もう交わらない。

 

「潔乃!!」

 

慌てて再度、ガラスを叩いて声をかけるが、潔乃は気づかない。

先に死んでいた彼女の夫と、熱い抱擁を交わし、幸せそうに口づけをしている。

 

「おい、ピアス宝石がおかしいぞ」

「あれ? あ、ほんとだ。宝石が砕けちゃった」

「ずっとつけてたからじゃないか?」

「昔、貰った宝石を使って作ったんです。最後に残ってたのをピアスにしたんですけど、流石に何十年も経てば壊れますね」

「ふーん。役目を終えたってことじゃないか? 危ないから捨ててこいよ」

「もったいないけど、そうします」

 

潔乃は僕の目の前でピアスを燃えないゴミに落とし、夫と並んで歩き出す。

彼女の横顔は穏やかで、幸せそのものだった。

 

僕の声に気づかないまま。

僕の存在に触れることもなく。

 

──宝石は砕け、役目を終えた。

それが、僕と潔乃の縁の終わりを告げるようで。

 

拳を握りしめガラスを叩きつけながら、その現実を受け入れるしかなかった。

 

 


 

 

「五条さん、起きてください! 五条さん!」

 

焦ったような声と、体を揺さぶられる感覚に僕は目を覚ました。

 

「……あ?」

 

目を開けると、心配そうな顔をした潔乃が僕を覗き込んでいる。

 

「すごい魘されてましたよ? 大丈夫ですか? やっぱり今日は自分のベッドで寝た方が……」

 

ああ、そうだ。明日は宿儺との決戦の日だった。

今日くらいは広いベッドで休んだ方がいい──そう潔乃に言われたのに、結局いつものように彼女のベッドに潜り込んで、眠っていたんだった。

 

夢の余韻に胸がざわつく。

けれど目の前にいる彼女の体温に触れて、少しだけホッとし、僕は小さく息を吐いた。

 

「……あーあ。ほんと、寝苦しい夢見させやがって」

 

額に手を当てて苦笑しながら、隣にいる彼女を抱き寄せる。

離したくない。今はまだ、ここにいるから。何故か、ふとそう思った。

 

「どんな夢見てたんですか?」

 

潔乃がおとなしく腕の中に収まりながらも、トレーナーの袖で僕の額や頬の汗を優しく拭ってくれる。

それを受け入れながら考える……

 

「なんだっけ? ひどい悪夢だったんだけど……」

 

潔乃に聞かれて思い出そうとするが、すでに夢の記憶は朧げで、靄がかかったようだ。

非常に不快だったこと以外は思い出せない。

 

「あー、夢ってすぐ忘れちゃいますもんね……」

 

と、納得する潔乃。

 

「五条さんも人の子なんですね。緊張してたんですよ」

「僕のことなんだと思ってんの?」

「いたいいたいやめてごめんなさい!」

 

軽くアイアンクローをかけてやれば、いつものように潔乃がやめてとキャーキャー騒ぐ。

たいして力入れてないんだから痛くないはずなのに、このノリに付き合ってくれる潔乃がありがたい。

アイアンクローから解放して潔乃をゆるく抱きしめなおす。

 

「ね、潔乃。明日、宿儺倒した後だけどさ」

「なんですか?」

 

潔乃の髪に指を絡める。やっぱり金髪にしてから少し傷んでいるな、と思う。

戦いが終わって落ち着いたら、トリートメントかヘアオイルでいいのを買ってやろう。

そんなことを考えながら、僕はぽつりと呟いた。

 

「ちょっと、付き合ってよ。話したいことあるからさ」

「いいですけど? 今じゃダメなんですか?」

「別に大したことじゃないから、戦い終わってからでいいよ」

「それならいいですけど……??」

 

小首をかしげる潔乃の仕草を見て、胸がほんの少し締めつけられる。

生きて帰れるかどうかも分からないのに、当たり前みたいにこの約束を受け入れる──やっぱり、こいつのメンタルは強い。

 

「ほら、寝るよ。まだ時間あるし」

 

後頭部に手を添えて首筋へ導き、潔乃を抱き込む。

髪に顔を埋めると、シャンプーと潔乃の甘い香りが混じりあって鼻腔をくすぐり、胸のざわめきがようやく静まっていく。

 

おとなしく僕の腕の中に収まった潔乃は、収まりのいい場所を探してるのか、もぞもぞと動いて首筋に頬を擦り寄せてきた。

まるで猫みたいな仕草に、思わず喉の奥から笑いが漏れる。

 

「……何笑ってるんですか?」

「何でもないよ。ほら、本当に寝るよ。おやすみ、潔乃」

「はい。おやすみなさい、五条さん」

 

──唐突に理解した。

僕は潔乃が好きだ。

 

だから、明日は死ねない。必ず帰ってこないと……。

僕がいなくなった後、潔乃が他の男と幸せになるなんて、虫唾が走る。

ずっとずっと僕と一緒にいて、結婚して、子供も産んでもらって、喧嘩して、笑って、

人生の辛い時も、幸せな時も、共に過ごして歳をとっていく。

 

僕が潔乃を幸せにするんだ。

 

そう決めた。

 

その権利は、絶対に僕が手に入れる。誰にも譲らない。

 

そう堅く心に誓いながら、僕は瞼を閉じた。

 

 


 

 

五条悟

今回、メインで主人公。

死んでから自覚したけど、遅かった。

主人公は他の男にサクっと奪われて、縁が切れてもう世界が繋がることはないルート。

本編終了後に話した、五条が自覚が遅かったルートの亜種に近いです。

まぁ、あまりにも可哀想なので、夢オチにしました。

が、正確には夢オチではなく、他の世界のそういうルートを辿った五条にリンクしてそれを見ていた形。

つまり本当に、この不幸な五条はどこかの世界線にいる。

六眼の因果で見たというような解釈でお願いします。

 

ちなみにこの五条は本気で油断もしない(悪夢を見たせいで自分が死んだ後、を無意識に覚えてる。夢自体は忘れてるけど)ので、本編よりも安定して宿儺に勝ちます。

最終的に宿儺を殺し尽くして、天使と虎杖で分離させて大勝利。

死にかけてもいないから、空港にも行ってないよルート。

羂索も自分でボコる。夏油の弔い自分でやれてよかったね。

で、血まみれズタズタボロボロの状態で帰ってきて、真っ先に主人公のところへ行って、抱きしめて

「結婚するよ!」

って言って大混乱を巻き起こすのが確定しています。お幸せに。

 

 

主人公(潔乃)

五条が死んだ後、それなりに凹んだが立ち直って、人生幸せに暮らしましたとさ。

旦那とは歳の差があるがラブラブだった。

空港では五条に気づかず、旦那と仲良く転生していった。

ピアスの宝石は、もちろん五条が呪力流す用にくれたもの。

大切に使ってたけど、最後の1個はピアスにしてずっとつけてた。

守護の効果がある宝石だから、多分数十年と主人公を守り続けて、最後に壊れた。

 

 

旦那

空港で抱き合ったりキスしたりするタイプじゃないと思うんだけど、前世の旦那が外人だった主人公にだいぶ絆された。

この人はこの人で主人公にふり回されて苦労したけど、幸せだった様子。

悪いな、五条。死んだ方が悪い。

 




Xの鍵アカで「あなたの考える最悪の不幸せは?」選手権ひとり開催して、その時の五条の不幸(私の作品での)をテーマに一本考えて楽しかった。
XでUPして「旦那は誰でしょう?1番に正解書いた人のリクエスト受け付けるよ。R-18以外で」と書いたら、2分で正解が出て爆笑して、リクエストネタも書きました。
そちらも、リク主さんから許可もらってるので、そのうちこちらにもUPします。

本編完了しましたが、番外編後日談などどれが読みたいですか?

  • 本編終了後の後日談
  • 本編時間中の日常話
  • if系(√分岐、原作通り五条死亡など)
  • R-18 の下ネタギャグ
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