【本編完結】とある転生者の役割交代   作:kotedan50

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地獄の合間の日常回。
ギャグ要素強め。

・伊地知ポジション成り代わりものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです


転生者、酔っ払いの面倒を見る

高専を卒業し、本格的に補助監督として働き始めて、もう数年が経つ。

ある程度覚悟してたけど、予想以上に呪術界はブラックだった。

闇より黒い帳よりも暗かったわ!

 

呪術界は基本、24時間365日体制だ。呪術師もそうだし、補助監督もそうなる。

補助監督は警察官と同じ日勤、当直、非番、公休、これをバランスよく組み合わせ回しているが、これがまた非常に疲れる。

根本的に人数も足りないし、残念ながら呪術師と同じで離職率が高い。

学生時代から補助監督をしていたせいか、いつの間にかその中では古参。マジで離職率高すぎ。笑えない。

気がついたら補助監督関連業務ばかりではなく、高専の運営管理する仕事も増えていた。

 

過去に優秀すぎる先輩たちは大変だね。と他人事のように思ったが、

伊地知潔高の双子の妹なだけあって、私も事務作業や裏方系は才能がある側だったらしい。

あの頃の能天気な自分、ぶん殴ってやりたい。

伊達眼鏡を外し、目の下に棲みついた隈をみてため息をつく。20代前半のお肌じゃない。

お高い美容化粧水でも買うべきか?いや、多分それすら面倒がってやらないな…

 

ちなみに、伊地知さん(兄さん)は海外の大学に留学し、今は某有名外資企業で働いている。

やっぱあの人優秀なのよ。勝ち組人生で羨ましい。

正月に実家へ帰ったとき、死んだ目で「日本は呪霊的に物騒だから海外移住しなよ」と勧めたのが功を奏したのか、両親も来年には兄の元へ立つ予定。

私も高専なんて辞めて一緒にと誘われたけど、30手前くらいまでは日本でお金稼いでからと誤魔化した。

少なくとも新宿が終わるまでは辞める気はない。

2018年の12月24日の戦いが終わるまでは、私は伊地知さん(兄さん)の代わりとして原作を支える。

 


 

朝6時過ぎ。

寝起き・素っぴん・ロングTシャツだけ・のだらしない格好。そのまま胡座をくみ、スマホ2台と手帳を同時に開き、今日のスケジュールを確認する。

基本はスマホのカレンダーに登録してあるが、出先で電波など繋がらない時もあるので、結局手帳を手放せない。

朝イチで2年生の任務に補助監督として同行。それが終わるのが11時予。

一度高専に戻るのは、正直効率が悪い。学生たちを別の補助監督へ引き継いだ後、区役所に申請書類提出へ行ってあがろう。

別の業務スマホを取り出し、学生たちのピックアップについて、他の助監督とLINEで調整。

今日は定時に上がって、久しぶり(3ヶ月ぶり)に趣味部屋にでも行こう。

新しく買ったMacの初期設定もしたいし、戯れに楽器でも弾きたい。

この楽しみのためだけに私は生きている。

 

……はずだった。

 

内心舌打ちをしながらハンドルを握る。

区役所に寄った後、直帰で趣味部屋に向かうつもりだったのが悪かった。

出張帰りの五条から、直接プライベートスマホに「東京駅に迎えに来て」と連絡が来たのだ。

高専に電話しろ。私のプライベートスマホに連絡してくんな。

 

「もう今日は業務終了でして、これから別の用事が……」

そう返した私に、五条は平然と言ってのけた。

 

「え?それって、特級の僕の迎えより重要なこと?」

 

 

……知ってた。こうなるって

 

 

「潔乃、なんか言った?」

「……何も言ってません」

 

後ろ座席から、ぐいっと長い足が助手席のシートに投げ出される。

言葉遣いはマシになったけど、態度は相変わらず最悪だよ五条。

ていうか足を人の顔の近くに置くな。

 

「いやさー、助かったよね? 近くに潔乃がいて、ピックアップしてもらえてさー」

 

舌打ちを飲み込みながら、私は無言でハンドルを切った。

高専まで戻ってから、趣味部屋まで戻るのは流石に疲れる。

Macの初期設定も楽器も、今日はもう諦めるしかない。

お腹すいたな。久しぶりに趣味部屋近くにある、二郎系ラーメンでも食べようと思ってたのに。

翌日絶対に胃もたれで後悔するけど、食べたくてしょうがなかったのに。

そんなことを考えてたら、私の薄い腹からキュルキュルと腹の虫が鳴って、車内に異様に響いた。

 

 

「す、すみません!」

 

流石にこれは恥ずかしい。素直に謝る。食いしん坊かよ!

五条が目を見開いた後、ゲラゲラ笑い出す。

今回は笑われても仕方ないので、ムッとしながらも耐える。

 

「予定があるって、もしかしてご飯食べに行こうとしてた?」

 

笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を拭いながら、五条が聞いてくる。

当たらずとも遠からずなのが腹立つ。

 

「はい、ちょっと……何食べようかと考えてました」

 

気まずさを隠すように曖昧に返すと、五条がすぐさま食いついてくる。

 

「じゃあさ、今日はもともと潔乃の部屋に行くつもりだったし、美味いもん買って、部屋で食べよ?ね?」

 

満面の笑みで、もう決定事項ね? という感じで話してくる。

決まってないからね。

 

「私が仕事部屋に帰る予定だったと言ったら?」

 

視線だけ後部座席に投げると、五条は一瞬だけ“へぇ”って顔をして、すぐにふざけた笑みに戻った。

 

「ダメでしょ。明日休みなんだし。

潔乃が仕事部屋行ったら、どうせまた朝まで何かやってんでしょ?」

 

う。鋭い。今日は趣味部屋で徹夜するつもりでした。とか言えない。

というか、なんで私の勤務シフト知ってんの?

 

「はい決定ー今ケータリング頼んだから、この店寄って」

 

ポチポチとスマホを操作してLINEで送信したらしい。

深々とため息をつき、路肩に車を止め、LINEで店を確かめた。

 

 


 

 

五条がアホな量のケータリングを買ったせいで、大荷物を抱えて高専に戻る羽目になった。

私の職員寮の部屋に五条が定期的に入り浸ってるのは高専内で知らない人はおらず、

かといってそういう関係でなく、ただの暴君と下僕ということも知られており、

すれ違う人たちから、ひたすら同情の視線を受けるのが辛い。

今日もご愁傷様です、みたいな目、ほんと嫌なのよ。

 

部屋の鍵を開け、中に入り、テーブルの上に買ってきたケータリングとドリンクを置く。

やたらと豪華な前菜プレート、謎のアジアン惣菜、バスクチーズケーキが3種。

……誰がこんなに食べるんだよ。

 

「流石にこの量は2人で食べるのはちょっと、家入さんでも呼びますか?」

「硝子はもう呼んである。酒持って30分もしたらくるってさ」

と、当然のように言いながら五条はソファに倒れ込む。お前の部屋か?

 

「それなら、自室でシャワーとか浴びてきてください。私も入ってしまうので」

「えー、やだ。めんどくさい。ここで待つ」

「五条さんも年齢的に、そろそろ加齢臭出てくる自覚持った方がいいですよ」

「あぁ?」

 

ちょっと調子乗ったら高専時代のガラの悪い顔が出てきた。

絡まれる前にそそくさとタオルを手に取り、逃げるようにバスルームへ。

流石の五条も、風呂場までは追ってこない。

 

シャワーを浴びて、顔を拭いて、ふぅと一息つく。

ドアを開けてリビングに戻ると、

五条の姿がない。

 

「……?」

 

そのまま5分ほど経った頃、

バスタオルを首にかけ、髪が生乾きのままの五条がふらっと戻ってきた。

....あ、加齢臭気にしてたんだ。ごめんね。

そんな視線を向けてたら、頭をバシッと叩かれた。理不尽!!!

 

 


 

 

ノックの後、ドアが開く音。

この職員寮、プライバシーの概念がどこかに置いてきぼりなのは今に始まったことじゃない。

 

「よっ。あんたら、風呂あがり...?」

 

玄関で一瞬止まった家入が、こっちを見てニヤリ。

 

「2人して風呂上がり……事後?」

「違います」

「ちげーよ」

 

声が重なる。間髪入れず、同じテンションで。

家入は楽しそうに笑いながら手に提げた酒瓶をテーブルに置いた。

日本酒、ワイン、謎のクラフトビール。ちゃんぽん前提ですね。最高。

 

「だろうな……で、ケータリングは?」

「こちらです。五条さんが買いすぎました」

 

ソファに座る家入。五条もその隣にぺたんと座る。

私はテーブル越しに向かい合う位置で座る。

 

「……で? 今日の集まりの名目は?」

「五条さんの思いつきの突発です」

「……あー、わかった。運がなかったな」

即答だった。しかもめっちゃ納得した顔してる。

 

「僕が悪い感じになってるけど?」

「事実じゃないか」

五条が口を挟むと、家入と軽いやり取りを始めた。

私はもう会話を降りて、ケータリングのカバーを外し、自分のビールを摂る。

目をつけていた唐揚げにそっと箸を伸ばす。

 

自分のビールを手に取り、

カシュッとプルタブを開けたところで、口を開く。

 

「とりあえず乾杯しませんか? お腹空きました」

 

「乾杯」

 

家入がビール缶を掲げ、五条も炭酸ジュースを手に取りながら、

「じゃ、ブラックな日常に乾杯〜〜!」

「そんなコールやめてください」

 

そう言いながらも、いつもの宅飲みが始まった。

 

 


 

 

私と家入は酒飲み枠に入る。酒はあればあるほどいい。

アルコール度数は高ければいい、飲み会は酒を飲んでなんぼでしょ。

女2人が猛スピードでカパカパ開けていく。それを五条が引いた顔で見ている。

 

「お前らって見た目と違ってだいぶ強いよね」

「お前は見た目と違って下戸だな」

 

家入先輩にバッサリ切られ不満そうな五条。

原作の伊地知は普通にお酒は飲めるみたいだったけど、ここまで強いんだろうか?

ちなみに伊地知さん (兄さん)の方は、私と同じペースを守ればいつまでも飲めるタイプだ。

 

「うちは家系でしょうね。父も母も兄も結構いける口です」

 

家入が持ってきたウィスキーでコークハイを作りながら答える。

 

「あ、僕にもコーラちょうだい」

 

五条にそう言われ、グラスに氷を入れコーラを注ぐ。

そのタイミングで五条のスマホがなり、ワンコールで五条が出る。

そのまま部屋を出て行ったので、仕事関連か五条家関連か。どちらにしろろくな話じゃなさそう。

 

「仕事の電話はワンコールで出るのに、なんでプライベートだとあの人無視するんですかね?」

「そりゃーそいつらが舐められてるからでしょ」

「やっぱりそうですよねー」

 

完全に乾いたテンションで即答されたので、思わず笑ってしまった。

そんな時、扉がバンと開き、イライラをまとった五条が戻ってくる。

 

「...めんどくせぇ」

 

文句を垂れながら、無言で自分の席に戻る。

そして、そのまま私のグラスに手を伸ばし

 

ぐいっ。

 

「「あ」」

 

私と家入の声が完全に重なった。

五条が口をつけた瞬間、私のコークハイが1/3ほど消えた。

 

「ん、なんかこれ、酒の味が…」

顔が即、真っ赤になる五条。

視線がうつろで、明らかに様子がおかしい。

 

「五条さんそれ私のコークハイ。とりあえず水飲んでください」

 

「…………コークハイ」

 

小声で、何かを確かめるように呟く。

あ、これダメなやつだ。

電源の落ちかけた機械みたいに、返事が不安定。

気づけば家入、手早くケータリングや飲み散らかしたグラスをまとめ始めている。

 

「え、逃げる気じゃ……」

「酔った五条は、後が大変なの知ってるから。あとは、よろしく」

 

サッとゴミ袋とともに立ち上がり、ドアを閉めていった。

 

……嘘でしょ。

ほんとに置いてった。

目の前では、ソファにもたれた五条が、ぼーっと宙を見つめている。

とりあえず水を差し出すと、素直に受け取りごくごく飲んだ。

 

「あー五条さん。部屋戻って寝ましょうか?」

そう声をかけると、五条は数秒遅れて反応した。

 

「.......いや、ここで寝る」

 

フラっと立ち上がり、ぐにゃぐにゃな足取りでベッドの方へ。

そのまま、バタン。

私のシングルベッドが今、五条の体重でミシッと言った!!!やめて壊れる!

 

「いやいやいやいや、お部屋2つ隣だからね?ほら、ほら、立ってください。ね?」

 

肩を掴んで、ゆさゆさと揺する。

が、完全に泥酔モードで、動く気配がない。

 

「……ふとん、やわらかい……」

「やめて!無邪気な顔でくつろがないで!」

 

マジで動かない。

完全に呪力の制御ができなくなるほど、酔ってるわけじゃなさそうだけど、

理性のスイッチは完全にOFFだなこれ。

 

ため息をついて、しばらく沈黙。

そのまま五条は、すやすやと目を閉じている。

 

はぁ、と追加でため息を一つ。

 

明日怒ればいいし、罰としてなんかやらせよう

 

そう思いながら、五条の顔に手を伸ばす。

サングラスをそっと外して、ベッドボードの上へ。

引き出しからタオルケットを取り出して、そっとかける。

 

私は席に戻り、PCを起動する。

仕事なんてできる状態じゃないけど、ネットサーフィンでもしつつ、

とりあえず五条が急に吐いたりしないかだけ確認するつもりで。

 

結局徹夜じゃん

 

そう思って、ひとり苦笑した。

 

 

 

 

 

主人公

 

ブラックな職場に絶望。

降ってくる仕事量に絶望。

原作終了までの辛抱だと頑張ってる。

久々の趣味部屋いきを潰されておこ。

 

宅飲みは高頻度で開催。

家入とサシで飲んでると、拗ねた五条が乗り込んでくるパターン。

今回の件で、絶対に五条のいる飲み会には参加しない!と心に決める。

参加させられるけど。

 

なお五条が起きたあと、シーツとブランケットを速攻で洗濯し、ベッドはファブった。

 

五条悟

 

主人公のプライベート時間を無意識に潰した人。

なんか普段より機嫌悪いな?美味いもんでも奢ってやるかの思考で宅飲みに

そして宅飲みで潰れた。

 

僕悪くなくない?コーラの側にコークハイ置いてるのが悪いんじゃん?

の発言により、主人公から、もうお前とは飲まんと怒られてしまう。

えー飲もうよー僕はソフドリだけど

 

ところで、潔乃なんでそんなファブってるの?ねえ!!

 

 

家入硝子

 

めんどくさいことを全部押し付けて逃げた。

主人公と飲むのは楽しい。

同じスピードで酒を酌み交わせる飲み友達は貴重。

 




酒が飲みたい。

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