終始重め。ギャグ要素ほぼないので苦手な方は注意
・伊地知ポジション成り代わりものです
・オリキャラ出ます
・激しい捏造、妄想含みます
・ネタまみれです
高専に見覚えのある学生が増えてきた。
去年は、秤金次、星綺羅羅、今年は禪院真希に狗巻棘にパンダ。
そして今日は、五条が乙骨憂太を連れてきた。
本格的に呪術廻戦の原作時空の始まりだ。正確には前日譚だけど、
五条から乙骨の編入や、制服発注について連絡が来るだろう。今のうちにある程度用意しておく。
呪術廻戦0の時間帯は、原作の
どう頑張っても、夏油の百鬼夜行を止める手段はないし、彼が死ぬのを止められるわけでもない。
死体の処理を五条に私が言っても無駄だろう。家入が言っても無駄だったのだから。
今後原作が地獄に落ちていく要因の一つなんだけど、これは私にはもうどうしようもない。
伊地知潔乃は傍観者になり、原作の伊地知潔高の行動を遂行する。
ターミナル駅の駅ナカカフェ。
メールの返信を長文でスマホで打つのが面倒になり入った、1日中混雑しているカフェ。
カウンター席を確保し、メールを打ち終えてコーヒーを飲み、そろそろ退席しようとしたところだった。
隣の席に、和装の男性が座ってきた。
「こちら、失礼しても?」
その声に、身体が固まる。
ありえない声に、ヒュッと喉が鳴った。
ゆっくりと視線を横に向ける。——ただの和装じゃない。
これは、袈裟だ。
「久しぶりだね、伊地知。少し痩せた?」
薄い笑みを浮かべた、夏油傑がそこにいた。
「っ……!」
「そんなに怯えなくてもいい。
……ただ、逃げればこの場所にいる猿たちが、ほんの少し騒がしくなるだけさ」
呆然と夏油を見つめたあと、反射的に「逃げよう!」と脳内に警報が鳴った瞬間、ピシャリと刺される。
浮かせた腰は、そのままストンとカウンターの椅子に落ちた。
気持ちを落ち着けるために、コーヒーカップを手に取り、一口飲む。
……が、手の震えは止まらない。
ソーサーにカップを戻すとき、カタカタと音が鳴った。
こんなの、聞いてない。
こんなの、原作にない。
なんで――夏油傑が、私に接触を?
口元と眼鏡を覆うように、思わず手をあてる。
……ああ、これ。五条に「動揺したときの癖」って言われたっけ。
こんなこと、今考えるべきじゃないのに。
動揺のあまり、思考がまとまらない。
細く息を吐き、呼吸を整える。
「……特級呪詛師・夏油傑が、一介の補助監督に何のご用でしょうか?」
真っ直ぐ夏油を見つめ、はっきりと問いかける。
語尾で声がかすかに震えるのは、もう勘弁してほしい。
「流石は、悟のお気に入りと言ったところか。
メンタルの立て直しが早いね」
「お褒めに与り、光栄です」
夏油を見つめながら応じつつ、いつでも撤退できるように、PCを自然な仕草でカバンへ収める。
その流れで、視線を逸らさずに手探りでプライベートスマホを掴み、指紋認証でロックを解除する。
——最後の着信は、五条だったはず。
通話履歴から、五条の名前をタップした
……が、カバンの中にスッと伸びてきた手が、それを遮った。
スマホはあっさりと奪われ、私の手から消える。
「あっ!」
「ダメだよ。今日は君に、話をしに来たのだから」
そう告げる夏油は、まるで旧友に挨拶するかのような、穏やかな微笑みを浮かべていた。
私のスマホから、五条の声が聞こえる。
「潔乃?あれ? 聞こえてない?」
何の感情も見せず、夏油はスマホを握りしめる。
——バキッ。
音が響いた。
画面が砕け、私のスマホはあっけなく沈黙した。
「悟が来る前に、手短に話すね。
近々、面白いことをするんだけど、君、こっち側に来る気はない?」
文鎮化したスマホを私に渡しながら、いっそ爽やかな口調で言う。
「は?」
うっかり声が素になった。自分でも抑えられなかった。
けれど、夏油はまるで気にしていないように続ける。
「君は、術師じゃなくなった。けれど、完全な非術師というわけでもない」
カップに口をつけ、ゆっくりとひと口。
「悟のところには硝子も七海もいるしね」
その動作のすべてが、わざとらしいほどに穏やかで、底知れない。
「私としては、可愛い後輩の君が、こちら側に来てくれたら、嬉しいんだけど?」
「お断りします。私は、高専側の人間です」
一拍の静寂。
夏油の微笑が、ほんのわずかに深まった。
「……残念だ。けれど、少し意外だったよ。
君は、もう少し曖昧に笑って誤魔化すタイプかと思っていたんだけどね。
その方が、いくらでも付け込む余地があった。こちらとしては、やりやすかったのにな」
恐ろしいことを、あくまで穏やかに言い放ち夏油は、すっと立ち上がった。
「お邪魔したね。あぁ、そうだ。最後にひとつ」
ほんの一瞬、学生時代の“夏油先輩”のような表情を見せる。
「お守りと、バレッタ。
それから、クレープと、いちごミルク飴」
......息が止まる。
「ありがとう」
そう言い残し、トレイを持って去っていく夏油を、
私は、呆然と見送った。
何分、何十分経っただろうか。
しばらく呆然としたまま座り込んでいた私を、正気に引き戻したのは....
仕事用スマホの、鬼のような着信だった。
カフェにいるのでマナーモードにしておいてよかった。
震えて留守電に切り替わり、数秒の静寂を置いて、また震え出す。
その繰り返し。
着信相手は、五条。
今さらになって震え出した指先で、通話ボタンを押す。
「――っ、おい何が――!」
何かを強く言っている。
けれど、その声を無視して、私は一言だけ告げた。
「夏油傑と接触しました」
あの後は、もちろん大騒ぎになった。
すっ飛んできた五条にいろいろ聞かれたが、こっちはもうキャパオーバー気味。
たぶん、曖昧な返事しか返せてなかったと思う。
高専に戻った私は、そのまま拘束・一時監禁コース。
総監部の取り調べを、たっぷりコッテリ受ける羽目になった。
「夏油の接触理由は?」「なぜ君なのか?」「どこで?」「どのように?」
……知らないものは、知らない。
「後輩とはいえ、一介の補助監督に接触してきたのは、五条悟に対する嫌がらせでは?」
「呪詛師にならないか?と勧誘を受けました」
そんな内容を、延々、何度も、飽きるほど繰り返した。
その際、私の背後関係も徹底的に洗われ、
最悪なことに趣味部屋がバレた。
徹底的に家宅捜索された。
でも中身はというと、ゲームに漫画、アニメ、小説、音楽CD、グッズ棚。
そして英文で書かれたドラゴンボールと思われる二次創作。
呪術要素、ゼロ。むしろ「呪術から逃げたい」欲望が詰まった空間。
あまりにも呪術と全く関係ないと判断され、お咎めなしで済んだ。
まぁ、唯一つっこまれるとしたら“架空名義”の登録書類くらいだけど、
正直、呪術界では日常茶飯事の範囲。
で、これは私の推測だけど――
多分、上層部と接触してる羂索がお笑いオタクだったから、そういったのに理解があってなんとなくスルーされた気がしてならない。
人の心あったんか羂索。
そしてドラゴンゴールの二次創作。
あれは──原作知識を思い出した直後に、「記憶が薄れないうちに」と書き記した、当時の私にとっては極めて重要なノートだった。
まぁ、転生特典なのか異常なほどの記憶力があったので、重要性は下がったけど、書いてあるものを見ながら考えを整理する時によく使う。
それにしても、内容があまりにもヤバすぎる
百鬼夜行、乙骨憂太、虎杖悠仁、両面宿儺、五条封印、死滅回游――全部、書いてある。
だからこそ、誰かに見られてもただの趣味として誤魔化せるように、いろいろ施した。
まず、登場キャラをドラゴンボールのキャラに全入れ替え。
五条=悟空、夏油=クリリン、盤星教=レッドリボン軍……そんな感じでごまかして。
戦闘描写も間に適当に挟み込んだ。
さらに極めつけに、読みづらさMAXの汚い英文で殴り書いた。
文法は正しいが、医者の描くカルテのように本人以外ほぼ判別できない文字。
その結果――原作の全記録は、超低クオリティのドラゴンボール二次創作に見えるようになった。
意図的にそうした。
……そして実際、それは成功した。
総監部の査読班も、「くだらない趣味の産物」としか見なかった。
記録としても残らなかったようだ。
でも私の羞恥心は、文字通り死んだ。ドラゴンボールの二次創作者だ。いっそ殺せ。
正直夏油にあった時よりメンタルが削れたかもしれない。
監禁からは10日で解放された。
シャワーはかろうじて許されていたが、着替えはなかった。
10日間、ずっと同じ服。流石にこれはきつい。
このまま仕事に出るわけにもいかず、一度、寮の部屋に戻ることにした。
部屋のシャワーで汗を流し、さっと別のスーツに着替える。
鏡を見ると、目の下にくっきりとした隈。
連日連夜の取り調べで、体重がさらに落ちた気がする。
出された食事も、ほとんど合わず——ほぼ食べれなかった。
青白く、こけた顔。
せめて少しでもごまかすように、いつもより濃いめに化粧をして、
返却されたスマホの電源を入れた。
……通知音が一斉に鳴る。
業務関連の連絡に加え、心配のメッセージも多数届いていた。
まずは一括送信で、関係各所に復帰したメッセージを打つ。
未読の中から、緊急度の高いタスクから順に処理を始める。
高専関連の運営系は、かなり滞っていた。月次処理の時期も迫っている。早く着手しないと。
同行業務の方は、まだギリギリ繁忙期前。私抜きでもどうにか回っていたようだ。
確認程度で済ませよう。
「……まずは、夜蛾学長に復帰の挨拶を」
スマホを片手に各所へ連絡を取りつつ、寮の自室のドアを開けたその瞬間。
トンッ
黒い壁にぶつかった。
いや、壁じゃない。
黒い服の男が、私の前に立っていた。
「......潔乃。ちょっと、いい?」
……五条悟。
その声に、顔を上げる。
表情が――なかった。
怒りでも心配でもなく、ただの無。
けれど、それが一番怖い。
ああ、最優先タスクが入ってしまった。
そのまま私の部屋に戻る。
ひとまずいつものようにミルクコーヒーを入れようとすると、
「いらない」
背後から、五条の声。
短くて、はっきりとした拒絶。
振り返ると、もう彼は座っていた。
いつもの指定位置の座布団の上。
テーブルに肘をつき、顎を乗せて、ただじっと私を見上げているのだろう。
包帯が巻かれているせいで、五条の表情がまったく読めない。
けれど、圧だけは確実に伝わってくる。
なんか……ものすごく居心地が悪い。
こっちが悪いのか?
いや、でも私は何も――いや、あるっちゃあるけど、いや……。
考えても仕方ない。私は私の定位置に座る。
膝を揃えて、背筋を正して、深呼吸して、恐る恐る声をかけた。
「……あ、あの、五条さん?」
その瞬間、五条の声が落ちる。
「報告。最初から最後まで。何があったか」
簡潔で、容赦がない。
「……内容は、査問で報告したの同じ内容になりますが」
小さく返す。
けれど、五条は動かない。むしろ、さらに静かになる。
「潔乃の口から、直接話して」
あ、はい!あこれ五条キレてるわ。
背中に冷たい汗が流れるのを感じながら、私は説明を始めた。
長文のメールを返す必要があり、スマホからは面倒でターミナル駅の中にあるカフェに入ったこと
メールを打ち終わったタイミングで、夏油傑が隣の席に座ってきたこと
逃げようとしたが、周りの客を人質に取るような発言を取られ逃げられなかったこと
隠れてスマホで五条に連絡しようとしたら、あっさりバレてプライベートスマホを破棄されたこと。
その後、呪詛師に誘われて断ったこと。
最後に、離反直後に東京駅であった時に、夏油と子供達に持っていたクレープと飴、お守りとバレッタを渡したことのお礼を言われたこと。
全部話し終えたが、五条は沈黙したままだった。
しばらくして、ぽつりと——
「お守りと、バレッタって何?」
声のトーンは変わらない。
でも、そこに込められた意味は、痛いほどに重かった。
ああ、引っかかったんだ、そこ。
私は、少し唇を噛んでから、答える。
「……昔。みんなに、宝石を仕込んだお守りを配っていたこと、覚えてます?」
問いかけるように言うと、五条の口があぁと言うふうに動いた。思い出したのだろう。
「たまたま、夏油先輩....夏油傑に、渡せていなかった分がひとつ、残ってたんです。
それを、その……東京駅で会ったときに、渡しました」
「……そして、保護されてた子が、双子の女の子だったので。
小さな宝石が仕込まれたバレッタを持ってていたので、それも一緒に」
「それ前回報告してなかったよな?」
瞬間、背筋がピンと張る。
胃が、冷えるように沈んだ。
「……っ、はい。申し訳、ありません」
口が、勝手に動いた。
出てきたのは謝罪。それ以外、選べなかった。
「小さな宝石だっためすぐ効果が切れるとは分かっていました。上層部に私の力がバレるリスクの方を取って黙ってました」
「俺になぜ黙ってた?潔乃」
声のトーンは変わらない。
でも、一人称が俺になってる。その一言で、彼の怒りの昂りが痛いほど伝わってくる。
私は、顔を上げられないまま答える。
「……あの後、総監部の取り調べで、お互い話す機会がありませんでした。
それに、五条先輩、じゃない五条さん……だいぶ、参ってたように見えたので……話しづらくて」
言いながら、自分でだいぶ混乱してると思う。
昔の口調に戻ってる五条につられて、思わず昔の呼び名で呼んでしまった。
ああ、言葉を選んでる。でも、嘘じゃない。
話してる気持ちは、本当に本心だ。
五条が、自分の頭をガシガシと掻きむしった。
「……っ、クソ」
ぼそっと舌打ちが落ちる。
「傑が、お前に接触してきたのはな。
あいつは、気づいたんだよ。お前の宝石に」
心臓が、一瞬止まった気がした。
「だから、お前に接触してきた」
その現実を、容赦なく突きつけられる。
「今後、そういう軽はずみな行動は、やめろ。
呪力を込めた宝石を誰かに渡すときは、必ず、俺に言え」
「それからもう1つだけ確認したいことがある
隠し部屋あるみたいけど、どういうこと?」
五条はゆっくりとした動きでスマホを取り出した。
その画面を一瞥して、低く、静かに呟いた。
「……総監部の聴取資料、見て驚いたよね」
スマホに映された私の聴取時の資料をこちらに見せつけてくる。
「俺が知らない部屋、持ってるんだーって」
いつもの飄々とした声なんだけど、それが逆に怖い。
「呪術界がどんなとこか、オマエが一番わかってるだろ。
一歩間違えりゃ潰される、利用される、囲われる。
その中で、好きなように動けてたのは.....」
目元に包帯が巻かれていても、そこにある視線は痛いほど刺さってくる。
「俺が後ろにいたからだ」
バシッ、とテーブルに手を置く音が響く。
「誰がなんと言おうと実際、オマエは俺の庇護下にある。それを、考えて行動しろ」
五条が深々とため息をつき。包帯越しにこちらに視線を向けたのがわかった。
「傑、他に何か言ってたか?」
あえて「夏油」じゃない名前で呼ぶその声音に、
苦味のようなものが混じっていた。
私は、ほんの少しだけ間を置いてから、
なるべく夏油の口調を思い出すようにして答える。
「――『これから、面白いことを起こす』と」
口にして、自分でも少しだけ息が詰まる。
あの声。あの笑み。
高専時代と変わっていないのに、全く別の人だった。
その言葉を聞いた五条は、
苛立ちを押し込めきれなかったのか、またも、大きな舌打ちをした。
けれどその直後、ふっと深く息をつき、
まるで切り替えるように、静かに言葉を落とした。
「特級呪詛師に偶然遭遇した。
その対処としては、100点だ。」
「状況判断も、冷静さも。
それに——すぐに僕に連絡しようとしたのも、な。
結果、バレて破壊されてたけど……おかげで、お前の異常自体にすぐ気づけた」
そこまで言って、五条はやっと、
ほんの少しだけ微笑んだ。
「……無事に帰ってきてくれて、良かったよ」
その口調は、もう高専時代の荒いものではなく、今の五条悟のものだった。
その変化に気づいた瞬間、
やっと、緊張していた肩の力が抜けた。
五条が息を吐きながら、背後のソファーの足にもたれる。
肩の力が抜けててるのがわかる。
安堵した様子をみて、本当に心配をかけてしまったことがわかる。
「しかし、ひどい顔だね。化粧濃いよ」
「セクハラで訴えますよ」
「えー、事実だし」
いつも通りの軽口に戻ったのが、少しだけ嬉しかった。
気づかれないように小さく息を吐くと、五条は背後のソファに背を預け、ぐったりしたまま手を伸ばしてくる。
「潔乃、やっぱミルクコーヒーちょうだい」
「はいはい。それ飲んだら仕事戻ってくださいね。私も忙しいので」
「わかってるよー、ちゃんと戻る戻る。……あ、今夜さ、潔乃の隠し部屋行こうよ!」
「絶対に嫌です」
即答すると、五条は不満そうに眉を跳ね上げた。
「行くよ! これ決定だからね」
「勝手に決定しないでください...」
呆れながらも足は自然に台所へ向かっていた。
慣れた手つきで温めたミルクにコーヒーを落とし、くるくるとかき混ぜる。
マグを差し出すと、五条はソファにもたれたまま片手で受け取り、小さく笑った。
私が取り調べを受けている間に、真希と乙骨の小学校の任務は終わっていたらしい。
事後処理で忙しいタイミングで責任者的ポジションの私が不在ですみません。
そのまま繁忙期に入り、ハピナ商店街で夏油傑の出現があった。
また私が事情聴取されてかけたが、繁忙期だったため見送られた。正直ラッキーだった。
前回相当仕事が滞ったらしくて、学生を含む呪術師、普段はおとなしい補助監督から相当な声が上がったらしい。
原作の伊地知潔高の再現を目指していた身としては、
その姿勢が評価されていたようで——心から嬉しいです。
ただ、私1人が抜けるとここまで仕事が滞るのは問題なので、私がやってる仕事をマニュアル化を始めた。
同時にフローチャートも作り、誰でもできる補助監督、誰でもできる高専運営。
別の補助監督や、五条が私の作成資料を見て、すごく嫌な顔をしていたのはなぜだろう?
その後も日常は続く。
補助監督として術師を送る。
特に今年の1年は五条お気に入りの乙骨憂太もいる。生徒を送り出す回数が多い。
やはり他の補助監督よりは私に回したいらしく、同行の数が多い。
生徒を死地に送り出すのは、いつになっても慣れない。
全員に宝石を渡すわけにもいかず、五条との約束もあるが、そもそも根本的に数が足りない。
私にもっと呪力があったらと思うが、それは無い物ねだりだ。
人間は配られたカードで勝負するしかないのはわかってる
そんなこんなで日常が過ぎ、11月にあったある日。
夏油傑による百鬼夜行の宣言がされた。
百鬼夜行に向けた対応作戦会議。
私は、原作通り冷静に、進行役を務める。
「夏油傑。呪霊操術を操る特級呪詛師です」
「主従契約のない自然発生した呪いなどを取り込み、操ります」
「設立した宗教団体を呼び水に、信者から呪いを集めていたようです」
「元々所持していた呪いもあるはずですし、“数2000”というのもハッタリではないかもしれません」
資料をめくる指先は震えない。
感情は、声に乗せない。表情にも出さない。
あれはもう、「夏油先輩」ではない。
......呪詛師に堕ちた、ただの愚か者だ。
そう、心の中で何度も言い聞かせる。
たしかにクズだった。人を見下してる部分もあった。
でも、悪い人ではなかった。いや、いい人だった。
くだらないことで笑ってくれたし、優しいところもあった。
いや、本当に優しくて、いい人だったんだ。
……けれど、私はあなたに対して、何もできない。
だからどうか、原作通りに死んでください。
呪霊が溢れる混乱の新宿で、私は補助監督として現場を動かしていた。
術師や同僚の遺体が道端に転がる光景からは目を逸らし、呼吸を整えて指示を出す。
泣き叫びたいのは山々だけど、それはあとでやる。
こんなに人が死ぬなんて。
わかっていた。わかっていたはずなのに。
……甘く見てた。
空を裂くような轟音が響いた。
五条とミゲルの戦いがビルの屋上で展開されている。
もはや特撮の世界。ビルのひとつふたつ壊れるのは、もはや日常。
余波を避けるために別通りに抜けたその先で、私は異様な光景を目にする。
数人の補助監督がアーケードの入り口の看板に吊るされている。
その足元に、制服姿の双子の高校生。
……見覚えのある、バレッタ。
警戒を強めながら、口を開く。
「君たち、歳は?」
「15」
「まだ子供じゃないですか。今なら、まだ引き返せます。
善悪の区別もついていないでしょう」
「カッチーン、あんたがそんなこと言うんだ?クレープのお姉さん」
「ちょっと残念。バレッタのお姉さん」
えっ。
——え、セリフ、原作と違わない? ここ、もっと淡々としたやり取りだったはずなんだけど……?
想定外の展開に、思わず眉を顰めた。
私の知る流れとズレている。これは、まずい。
「美々子、ゲロムカつく!躾が必要だよね?」
「攫う?菜々子」
躾?攫う、って今言った?
明らかに不穏な単語が飛び出してきた。
無意識に、ポケットの中の宝石を握りしめる。
そこに原作通りにミゲルが吹っ飛んできてくれて助かった。
いや、目の良い五条が私の状況に気づいてサポートしてくれたのかもしれない。
呪霊を圧倒的な力で吹き飛ばす五条。
五条が1番強いのは1人の時だ。
特に今の五条はキレていてやばい。私は隙を見て早々にその場を離脱した。
百鬼夜行は原作通り夏油傑を五条悟が殺し終結した。
夏油一派は全員逃げおおせたのも原作通り。
百鬼夜行が終わったからと言ってそれで全てが解決したわけではない。
呪術師、呪詛師たちが去ったあとの新宿や京都を、誰が片づけるのか。
高専。補助監督。つまり私たち事後処理班だ。
新宿区、京都市、東京都、日本政府との調整。
死傷者数、建物被害、交通麻痺、メディア封鎖、住民対応。
呪霊の映像が出回らないよう、情報統制も必須。
控えめに言って過去一の地獄だった。
泊まり込みどころか、眠るまもなく3徹、4徹。
やっと高専の寮に帰れたのは、年を明けて元日の朝だった。
流石に体が重い。アラサーになって体力が落ちてる自覚はある。
寮の部屋に戻りなんとかシャワーを浴びて、出てきたところで玄関の扉が開いた。
「五条さん。今日疲れててちょっと対応する余裕ないです」
頭も回らないが、私の部屋に勝手に入ってくる人間なんて、五条しかいない。
家入は最低限ノックする。他の人たちは私の返事まで待つ。
視線を向けると、包帯がなく、素顔を晒した五条がいた。
……ああ、そういえば、久しぶりに見たな。
それにしても、ひどい隈。
五条がここまで顔に疲労を出してるのは、正直珍しい。
「五条さんも、寝た方がいいですよ」
気力を振り絞って、ヘラっと笑ってみせたあと、
私はもう、五条の存在を気にする余裕もなく、濡れた髪のままベッドに倒れ込んだ。
あー……疲れた。
このまま、布団と一体化したい。
「ぐぇ!」
突然体にかかる重み。反射的にカエルみたいな声が出た。
「……もうちょっと奥詰めろ」
「なんでさ」
不満を口にしつつ振り返ると、五条がそのまま私の上に倒れ込んでいた。
シングルベッドに、無理やり2人。狭いにもほどがある。
しかも片方は190センチオーバー。
ベットがミシッと嫌な音を立てる。勘弁してくれとぼんやり思う。
五条が私のメガネを外してベッドボードに置く。
そのまま、五条の腕が私の背中に回される。
私をかき抱くようにして、ぎゅっと抱きしめてくる。
……でも、それに性的な気配はない。
ただ、子供が縋るような抱擁。
かすかに震える五条の身体見て小さくため息。
こちらからも、そっと抱きしめ返し、ポンポンと母親が子供するように背中を叩く。
……五条の呼吸が、少しずつ落ち着いていくのがわかる。
震えも、やがて、静かに収まった。
私の腕の中で、ようやく彼が深く息を吐いたのを感じた瞬間
眠気が、どっと押し寄せてきた。
私より体温が高い、五条の体が暖かくて、気持よくて湯たんぽのようだ。
私たちは、ただただ疲れ切っていた。
頭も、身体も、もう何も動かしたくない。
あくびを一つして、私も眠りについた。
主人公
百鬼夜行の後処理で疲れ切っていた。
抱き枕が暖かくて心地よくてよく寝れた。
目が覚めた後はいつも通り。
実は包容力が高い。
これ以降、五条が部屋に来て泊まっていく時に、抱き枕にされて困る。
五条悟
夏油を殺したことで、原作通り病んで疲れていた。
抱き枕が柔らかくて心地よくてよく寝れた。
目が覚めた後はいつも通り。
これ以降、主人公の部屋に来て、勝手に泊まっていくときは主人公抱き枕にして寝る。
夏油傑
原作通り死んだ。
空港のロビーに何故かある現世テレビから、灰原と2人で、この様子を見て爆笑してる。
あいつらがこっちに来たらネタになるね。
ちなみに夏油自身も灰原に厨二病と爆笑されていたことを彼は知らない。
本編完了しましたが、番外編後日談などどれが読みたいですか?
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本編終了後の後日談
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本編時間中の日常話
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if系(√分岐、原作通り五条死亡など)
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R-18 の下ネタギャグ
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全部