楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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第10話「テイアン」

週明け。

 

 

楽は朝の時間、女性陣と会う度に謝罪を受けていた。

 

 

皆、今回は楽の記憶がしっかり残っている上に、直前の集のセリフ(酔ったら理性が弱まる旨)を聞いていたため、尋常でない程動揺していた。

 

 

<ケース①千棘>

 

「あの・・・もやし・・・あ、楽・・・その・・・この間のは・・・ね・・・その・・・」

 

「(言い直しやがった・・・)ん?」

 

「あの・・・別に・・・普段から私があんたにキスしたがってるみたいになってたけど・・・あれは・・・その・・・ごめんなさーーーい!!!」

 

ばきっっっ

 

顔を赤らめつつも照れ隠しの鉄拳が楽に飛ぶ。

 

「ごはっ!?なんで殴られたの!!?」

 

不憫である。

 

<ケース②鶫>

 

「い、一条楽・・・先日は・・・その・・・申し訳無かった・・・」

 

「あ、鶫は普通に謝ってくれるんだな」

 

頬をさすりながら応える答える楽。

 

「二度も酔った挙句・・・おまえに迫って・・・その、き、キスをしようとして・・・一体私はあの後何をしようと・・・」

 

急に自分の世界に入り始める鶫。

 

「・・・おーい、鶫さーん・・・?」

 

「か、仮に、もし、あのままキスしてしまっていたら、きっとあのまま3人がかりでおまえの服を脱がせて・・・」

 

「あの~・・・鶫さーん・・・」

 

「・・・(妄想中)」

 

ぼしゅっっっ

 

「ぬあーーーーー!!!」

 

ばきばきっっっ

 

顔から湯気が噴き出した後、千棘同様楽を殴り飛ばす鶫。

 

「だからなんでー!!??」

 

不憫にも程がある。

 

<ケース③小野寺>

 

楽を前にするも、前の2人と違い俯くどころか目線があらゆる方向に泳いでいる。

 

「ああああのね一条くん、この間のことなんだけどね・・・わ、私・・・その・・・い、一条くんの、ぱ、ぱ、ぱ・・・」

 

小野寺の慌て具合と赤面顔を見て、つられて赤くなる楽。

 

「い、いや、小野寺、わざわざ言わなくてもいいんだぞ・・・?」

 

「ぱ、ぱ、パンツを脱がせようとしてごめんなさーーーい!!!」

 

まさかの大声で叫んでの逃走。

 

ひそひそ・・・ひそひそ・・・

 

「え、なに、小野寺、楽のパンツを・・・?」

 

「っていうか桐崎ちゃんと鶫ちゃんに殴り飛ばされてたよね・・・何しでかしたのかしら・・・?」

 

「うわ、一条のやつ、どこまで節操ないんだよ・・・」

 

周りからの軽蔑の念が楽に対して一心に注がれる。

 

「小野寺・・・一番きついよその攻撃は・・・」

 

楽、漢泣き。

 

 

 

<ケース④橘>

 

「橘は・・・あれは・・・やばかったな・・・どきどきしすぎて死ぬかと思った・・・」

 

そんな風に思い返していると、橘が教室に入ってきた。

 

橘は楽を見るやいなや

 

ぼんっっっ

 

目を見るだけで爆発した。

 

「お、おい、橘・・・?」

 

楽が心配して近付くと

 

「あわわわわらっくん、違うけん、いや違いませんけど、いやこの間のことば覚えてるんよね・・・そ、その件に関しましては私非常に不埒なことをしてしまったと思いますあわわ・・・あの・・・その・・・」

 

混乱しすぎていつもの口調と方言がごちゃまぜになっている。

 

「(これはこれでかわいいな・・・いやそれは置いておいて)いや、別に大丈夫だぞ?」

 

楽が橘の肩に手を置く。

 

びくんっ

 

「ひんっ!」

 

顔を赤らめ、飛び上がる橘。

 

「はひ、あ・・・ご、ごめんなさいーーー!!!」

 

真っ赤になったまま、教室を出て行ってしまった。

 

「あ、お、おい、橘!?」

 

ひそひそ・・・ひそひそ・・・

 

「・・・おーい橘ー!」

 

教室の空気感に耐えかねたこともあり、楽は橘を追って教室を出た。

 

「ら、らっくん、お願いやけん、こっちば来んといて~!!」

 

「待ってくれ橘ーー!!」

 

全力で逃げる橘を、楽は必死で追う。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

体育館まで走ってきた橘。

 

 

楽は数十秒遅れて追い付いた。

 

 

「はあ・・・はあ・・・ったく、いつもならこんな速く走れねえだろうに・・・」

 

 

息を切らせながら橘に話しかける楽。

 

 

「はっ・・・はっ・・・ら、楽様・・・先程は取り乱してしまい申し訳ありません・・・。

 

あの・・・先日は・・・すごく不埒でいやらしいことをしてしまい・・・本当に申し訳ありませんでした・・・。

 

あ、あれが私が本当にしたいことだったのかと思うと・・・その、あまりにも恥ずかしくて・・・

 

 

 

ようやく気持ちを話せる状態になった橘。

 

 

楽はそれを聞くと

 

 

「そんなに気にしてたのか。あのときのことは、別に、というか、全然いやだなんて思ってねえよ」

 

 

「え・・・そ、そうなのですか・・・?」

 

 

「ああ。むしろ、その、俺も興奮(おっと)いや、どきどきが止まらなくて、よくわかんねえけど、すげえ心地良かった・・」

 

 

「ほ、本当ですか・・・?」

 

 

「ああ。だから、何にも気にすん」

 

 

楽が言葉を言い終えないうちに、橘が抱き付いてきた。

 

 

「良かったですー!!

 

わ、私、色んな段階を飛ばして楽様に迫ってしまったと思って、もし嫌われたらどうしようかと思って・・・怖くて・・・不安で不安で・・・」

 

 

楽を抱きしめる橘の身体は、小さく震えていた。

 

 

「・・・そうだったのか。ごめんな、こんなことなら、もっと早めに気にしてないってこと言えばよかったな。」

 

 

「いえ・・・いいんです・・・ありがとうございます・・・」

 

 

橘の頭にぽんぽんと手を置きながら、

 

 

「・・・おまえのこと、嫌いになんてならねえよ。」

 

 

そう言い、そっと橘の頭をなでる楽。

 

 

「う、うえ、うえええええ・・・」

 

 

楽の胸元で子供のように泣く橘。

 

 

「・・・今までずーっと、俺に積極的にアプローチしてくれてたけど、本当はずっと不安だったのかな・・・。

 

・・・そっか・・・。」

 

 

橘が泣き止むまで、二人はそのまま抱き合っていた。

 

 

 

数分後。

 

 

ようやく落ち着いた橘が喋り出した。

 

 

「・・・ふう・・・やっと落ち着いてきました・・・楽様、ありがとうございます。

 

今だから言えるんですが・・・あのときすごく興奮していたのをはっきり覚えていて・・・今こうやって楽様に抱きしめて頂いているとあのときの感覚を思い出すのです・・・」

 

 

橘の言葉に顔を赤らめる楽。橘をずっと抱きしめている今のこの状態が急に恥ずかしくなり、慌てて手を放す。

 

 

「お、おまえ・・・急にそんなこと言うなよ・・・恥ずかしくなるだろ・・・?」

 

 

「うふふ・・・照れる楽様もかわいいですわ・・・♪」

 

 

「・・・おまえなあ・・・」

 

 

そう言って橘を見ると、にこっ、と小悪魔な笑みを浮かべていた。

 

 

「(・・・ああもうかわいいなあ・・・!)

 

 

・・・そろそろ戻るか。HRが始まるしな。」

 

 

「はい♪」

 

 

二人は教室に小走りで教室に向かって行った。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

昼休み。

 

 

楽は集と屋上で話していた。

 

 

「万里花ちゃんとはもう大丈夫なのかー?」

 

 

「ああ、なんとか落ち着いてくれたよ。」

 

 

「しっかし、朝のリアクションを見る限りでは・・・万里花ちゃん、おまえによっぽどのことをしでかしてたんだろうね~♪」

 

 

「・・・」

 

 

顔を背ける楽。後ろから見ても顔が赤くなっているのが分かる。

 

 

「そ、そういうおまえこそ、宮本と良い雰囲気になってたじゃねえか!しかも途中で帰ってるし!あの後どうなったんだよ?」

 

 

話をそらそうと、集とるりのことについて聞き返す楽。

 

 

「ああ、そのこと?あの後はな、おまえが橘さんにいやらし~く抱きしめられてるときにるりちゃんを外に連れ出したんだよ。」

 

 

「見てたのかよおまえ!!?・・・まあいいや。

 

・・・ん、連れ出した?」

 

 

「そうそう、るりちゃんは湯気が出ちゃってからしばーらくだんまりになっちゃったし、周りは淫乱なかわいい女の子だらけだろ?目の前のるりちゃんに集中したい!って思ってね~」

 

 

「淫乱て・・・。で、その後はどうしたんだ?」

 

 

「ああ、ふつ~に話してただけだよ。近所の公園のベンチに座ってね。

 

まあ俺の気持ちも『好きだーーー今すぐ付き合ってほしい!』って段階でもないしね。

 

・・・説明面倒だから回想入れるわ~」

 

 

「急に!?」

 

 

 

 

 

<以下、回想。>

 

公園のベンチにて。

 

 

「いや~勢いで抜け出しちゃったね~」

 

 

「・・・あなたが無理やり連れてきたんでしょ・・・?まったく・・・」

 

 

「え~、るりちゃんは拒否しようと思えば出来たよね?それでも付いてきてくれたんだから嬉しいな~♪」

 

 

「ううううるさい!まったく・・・なんで私はこんな男に・・・あっ」

 

 

口がすべったと思いとっさに手で口を覆うるり。

 

 

「おや?こんな男に・・・な~に?」

 

 

ここぞとばかりに集が煽る。

 

 

「ううううるさーい!!」

 

 

ばきばきばきっっぼこっっ

 

 

集を袋叩きにするるり。

 

 

「うごほっ・・・想像以上の攻撃・・・がふっ」

 

 

息も絶え絶えな集。

 

 

「・・・それで・・・?なんでわざわざ抜け出してきたの?」

 

 

「またまた~聞かなくてもわかってるくせに~♪おっと拳を振りかざすのはやめてー!

 

・・・二人きりで話したいなと思って、さ。」

 

 

鬼の顔で拳を振りかざしたるりの顔が一転、真っ赤になる。

 

 

「な、な、な、なんでそんな・・・急に・・・」

 

 

動揺を隠せないるり。

 

 

「んー?るりちゃんかわいいな、もっとるりちゃんと話したいな、もっと一緒に居たいな、って思ったからだよ♪」

 

 

軽快な口調で笑みも浮かべているが、るりの目を真っ直ぐ真剣に見詰めている集。

 

 

「・・・」

 

 

「・・・」

 

 

「・・・」

 

 

集の言葉の後、しばらく何も話さなくなる二人。

 

 

「(・・・ど、ど、どうしたらいいのよ・・・!?こんな状況体験したことないから、どう言葉を返していいか・・・)」

 

 

るりがそんなことを思っていると、

 

 

ぱんっっっ

 

 

「!?」

 

 

集が急に自分の太ももを勢いよく叩いて音を上げた。

 

 

「まっ!いきなりこんな風に言われても困るよね!困ってうろたえるるりちゃんを見たくなってこんなどストレートなことを言ってみたんだ~ごめんね~♪」

 

 

「・・・あなたってヤツは・・・!!」

 

 

るりが再び拳を振り上げると、集が即座にるりの腕を掴んで下ろし、両手を掴んだ。

 

「と!言う訳で!今度デートに行かない?」

 

 

突然のデートの誘い。

 

 

「は、はあ!?なんで私があなたなんかと・・・!」

 

 

「・・・だめ・・・かな?」

 

 

少し困ったような顔で優しく微笑む集。

 

 

それを見てるりはたじろぎ、悩んだ末に

 

 

「う・・・うう・・・わ、わかったわよ・・・行けばいいんでしょ・・・!?」

 

 

渋々デートの誘いを受けるるり。

 

 

「やったーありがと!」

 

 

がばっっ

 

 

「!?調子に乗るなー!!!」

 

 

どかっばきっっぼこぼこっっっ

 

 

るりに抱き付こうとするも、あえなく返り討ちに遭う集。

 

 

「げふっ・・・でも、約束は取り付けたからね・・・。

 

来週の土曜日、空いてる?」

 

 

「・・・え、ええ・・・」

 

 

「じゃあその日に決定ー!♪デートプラン練ったらまた伝えるね!いや~楽しみだな~♪」

 

 

「わ、わかったわよ・・・。

 

(・・・で、デートって・・・何を着て行けばいいのかしら・・・小咲に相談しようかな・・・)」

 

 

<回想終了>

 

 

 

 

 

「・・・ってな感じ♪」

 

 

「お、おう・・・。

 

(思いの外がっつりな回想だった・・・)」

 

 

「でさ、提案なんだけど」

 

 

「ん?」

 

 

 

 

「そのデート、おまえと橘さん、俺とるりちゃんの4人でダブルデートにしない?」

 

 

 

 

「・・・?・・・うおえ!!?なんで急に!?」

 

 

動揺して噴き出す楽。

 

 

「別に急でもないよー。おまえだってそろそろ自分の気持ちに決着をつけたいだろ?

 

このデートで決めろなんては言わない。でもこのデートを通して少しは気持ちに進展があるかもしれないだろ?」

 

 

「そ、それはそうだけど・・・いやでも・・・」

 

 

「いきなり二人で行っても、おまえも万里花ちゃんも照れっ照れになってろくなデートにならないだろ?

 

こっちはこっちで、いきなり二人きりだとるりちゃんまともに会話出来なくなりそうだし、お互いお得な訳さ!」

 

 

「う・・・確かに・・・」

 

 

「それにお互い慣れて来て良い雰囲気になったら、別行動にすれば問題なし!さあお兄さん、どうですか!?」

 

 

「なんでそんなセールスみたいに!?

 

・・・良いかもしれねえな・・・よし、やってみよう!」

 

 

「よっしゃ決まりだー!なんか楽しくなってきた!

 

じゃあおまえは万里花ちゃんを誘ってくれよ」

 

 

「わかった」

 

 

二人の会話が一段落すると、ちょうど橘が屋上にやって来た。

 

 

「楽様~!ここにいらしたのですね!よろしかったらお茶でも・・・」

 

 

「あ、っと。ちょっとその前にいいか?

 

橘、今度の土曜日良かったら俺と・・・」

 

 

「行きますわ♡」

 

 

「デートに・・・早いな!?」

 

 

食い気味で答えられツッコミが遅れる楽。

 

 

「楽様とのデートとあらば、例え冠婚葬祭の用事が入っていようと全てキャンセル致します!!」

 

 

「いや、それは・・・行ってあげて・・・。

 

あ、そうだ、それでそのデートなんだけど、その・・・ダブルデートにしてみないか?」

 

 

「ほえ?ダブル・・・?」

 

 

「その、集と宮本の二人となんだけど・・・」

 

 

ここに来てようやく楽の隣にいる集に気付く橘。

 

 

「・・・?・・・??・・・???」

 

 

「(『・・・なんでこの人と・・・???』っていう橘の声が聞こえる~・・・!!)い、いや、これはな?こうこうこう言う訳で・・・」

 

 

先程集に言われたことを橘に伝える楽。

 

 

「むむむ・・・なるほど・・・そういった理由ならば仕方ありませんわね・・・

 

楽様も、ダブルデートなら私と遊びに行ってくださる訳ですし・・・」

 

 

「あ、いや・・・」

 

 

「?」

 

 

「・・・その・・・俺は別に、橘と二人でも良いなって思うけど・・・」

 

 

ぼんっっっ

 

 

「!?橘!?」

 

 

楽の言葉に、橘が爆発する。

 

 

「うう・・・ま、舞子さんの言うことにも一理ありますわね・・・今回はダブルデートと言う、ことで・・・そ、それにしても先程の楽様・・・た、たまらん・・・はふんっ」

 

 

「橘ー!?なんで!?」

 

 

赤面したまま倒れる橘。何故か表情は幸せそうであった。

 

 

 

 

 

ちなみに、この後集とるりの間でも似たようなやりとりをすることになる。

 

 

 

 

続く。

 

 




集&るりのことも書こうと思っていたら思い付きました。元々考えていたデートの展開に加えた形になります。さてさてどういう風に書いて行こうか・・・。


一話一話がどんどん長くなってます(笑)次のデートのくだりは2~3話に分けようかなと!

今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!
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