楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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ダブルデート編も後半戦です。


第13話「ソレゾレ」

次のアトラクションを決めようと歩く4人。

すると、お化け屋敷が目に入った。

「おー、お化け屋敷!るりちゃん案外こういうのは」

「大丈夫よ」

「あ、はい…」

「橘は大丈夫か?」

橘の目が怪しく光る。

「(再びのチャーンス…!!今日はチャンスが転がりに転がってますわねふふふ…)ら、楽様と二人でなら大丈夫かと…」

「そんなに都合が良いものなの!?」

受付の方を見る集。

「あー、これはどっちにしろ2人1組みたいだね!じゃあ楽と万里花ちゃん、俺とるりちゃんのペアで行こうか♪」

「しょうがないわね…」

「はい!!」

「いつもの橘だな…」

「うふふ♪」

そんな会話をしながら、楽と橘、集とるりのペアでお化け屋敷に入って行った。

 

先に入ったのは楽と橘ペア。

どうやら和風のお化け屋敷のようだ。井戸がうす暗く映し出されたり、ぼろぼろの提灯がぶら下がっていたりと中々の雰囲気である。

「おおっと…結構怖そうだな。…橘…手、繋ぐか?」

「!なんと楽様から言って頂けるなんて…!ぜひともお願いしますわ!!」

「お、おい橘、これは腕組みだろ!」

「良いじゃありませんか~♪」

楽の提案を飛び越えて、しっかりと腕を組む橘。

「まったく、おまえってヤツは…」

文句を言っている風でも、実際は全く嫌がっていない楽。

しかし橘は敢えて畳み掛ける。

「…楽様、こんなにしょっちゅう抱き付いてくる女は、お嫌いですか…?」

橘が目を潤ませて聞いてくる。

わざと大げさにしていると分かっていても、楽は動揺する。

「…ばか、嫌いな訳ねえだろ…?」

「…うふ♪嫌いでないのでしたら…なんですの?」

「…!…おまえ、遊んでるな…?」

「そんなことありませんよー!聞いてみたくなったのです♪」

「まったく…。」

「(…俺ばっかり顔を赤くさせられるのはなんか悔しいな…なんとか反撃出来ないか…?」

楽はそんなことを考えていた。

 

数分後。

ある程度進んだところで、橘の様子がおかしいことに気付く楽。

「お、おい橘、どうした…?」

「い、いえ、あの…初めは楽様とくっつけるという喜びで浮かれていたので平気だったのですが、段々と怖くなって来まして…」

そう言う橘の腕は、ふるふると震えている。

「そうか、じゃあもうちょっとしっかり掴まってていいぞ」

「あ、ありがとうございます、楽さ」

かしゃーんっっ

「ひあああああ!!?」

橘が楽にお礼を言いかけたところで、橘の目の前に突如としてどくろが天井からぶら下がって来た。

「わわわわわらっくん、こがん所もう居れんばい!ううう~~~…。」

あまりの怖さに方言が出る橘。

「だーいじょうぶだって!落ち着けよ。あっ」

何かを閃いた楽。

「(反撃はしたいけど、イタズラに怖がらせたくはねえしな…よーし、試しに…)」

「あんまり怖いなら、落ち着くように…こうするか?」

「えっ?きゃっ…!」

楽は言葉を言い終えると、橘を優しく抱きしめた。

楽の胸元に顔を埋めた橘は、突然の楽の抱擁に動揺している。

「ら、楽様、なにを…?」

「ん?だからおまえが落ち着くようにって!ダメか?」

「い、いえ、そんなことは、ないの…ですが…」

橘は先程までとは違った意味で慌てていた。

「おまえ…さっき怖がりすぎて方言出てたぞ?ああいうとき、おまえの素が見れてすげーかわいいなって思う。お化け屋敷の中でこんなこと言うもんじゃねえかもしれねえけどな。」

そう言って優しく微笑む楽。

「(…よーし!お返しとしてはばっちりじゃねえか!?さーて橘はどんな反応を…)」

「…あれ、橘?」

楽の言葉の後、俯いて一向に顔を上げない橘。

「…おーい、橘さーん?」

よく見ると、暗い中でも分かるほど真っ赤になっている。

「…き、急にそがん事言われたら困るばい…。…楽様の意地悪…」

「意地悪って程じゃ、あ…?」

楽が言葉を言い終わらないうちに、楽を抱きしめ返す橘。

いつもの抱擁とは違い、甘えるような抱き付き方だった。

「…!(…やばい、これ、幸せだ…)」

楽の攻めに対する橘からのカウンターに驚くも、しばしその余韻に浸る楽。

「(…ああ、あちこちで不気味な音が聞こえたり、横の日本人形がじっとこっちを見たりさえしてなきゃあ後30分くらいはこのまま居れるのにな…つってもここはお化け屋敷なんだから無理な話か…)」

惜しみつつも、楽が口を開いた。

「…そろそろ、行けるか?」

「…はい♪」

今度は手を繋ぐだけになったが、橘はずっとにこにことしている。

「(…なんだよその笑顔…ああもうかわいいなあ…)」

笑顔にやられて、腕を組んでいるときよりも妙に緊張してしまう楽。

「…なんでそんなににこにこしてるんだ?」

 

「え?うふふ…私、なんだか…前より楽様の事が好きになってるなーと思いまして♪」

 

「!!?」

ぼしゅうううっっっ

不意のマリーの告白、それもより強力な告白をされ、顔から盛大に湯気を噴き出す楽。

「そ、そ、そうか…」

「あら?楽様、手が熱いですわよ?大丈夫ですか?」

「おまえな…分かって言ってんだろ!良いから行くぞ!」

「ふふ♪はい♪」

こうして二人はまた歩き始めた。

 

一方その頃。10分程度の時間差で出発した集とるり。

「いやーどんな仕掛けがあるのやらー♪」

「…私もあなたもそんなに怖がるタイプじゃないでしょう?多分つまらない道中になるわよ」

「そんなこと言わなくてもー…」

あまり喋ることもなく順調に進んで行く二人。

るりは時折集の顔を見ながら、ずっと考えていた。

「(…こうして二人きりになると、ますますどうして良いか分からないわ…。デートにはふさわしくない言葉を何度も言っちゃってるし…。ここは一度…)」

今日のデートのこれまでのことを反省して、るりは集に謝ることにした。

「あの、舞子君」

「んや?なにー?」

飛び出して来るお化けの人形を避けながら集が答える。

「…その、せっかく誘ってくれたのに、今までまともに取り合わないような発言や行動ばかりしてごめんなさい…反省しているわ。」

「…なーにー?そんなこと気にしてたの?ぜーんぜん気にしなくていいのにー♪」

集の明るい返しに困るるり。

「そんなこと言っても…私あなたにひどいことばかりしてたでしょ…本当に良いの…?」

ぷにっ

「!?」

るりの言葉を聞くと、集はるりの頬を指でつついた。

「まーったく!るりちゃんは真面目なんだからー♪俺はるりちゃんと居たくて今日のデートに誘ったんだよ?るりちゃんがそばに居てくれるだけで楽しいの!あんまり難しいこと考えずに行こうよ♪」

集の言葉を聞いて、肩の荷が下りたのか、ふっと優しい笑みを浮かべるるり。

「…そういうもんなのかしらね…わかったわ、ありがとう」

「ほーら!るりちゃん笑うとすごいかわいいんだから!もっと笑って笑って!」

「こら、調子に乗らないの…」

「ん?俺は本気でるりちゃんの笑った顔をもっと見たいって思ってるんだよ?」

「…!」

集が優しく笑みを浮かべながら、るりの目を真っ直ぐに見つめる。

「(…私舞子君のこの目に弱いのよね…なんでかしら…)」

照れを隠し切れず、何か別の話題を探するり。

「そ、そうだ、以前舞子君、告白されたときに『今もキョーコ先生のことを忘れられずにいる』って言ってたじゃない。今こうやって私のことを誘ってくれてるけど、今はその辺の気持ちはどうなのよ…?」

ふと、ずっと気にしていた話を切り出した。

「ああ、そのこと?そうだなー…完全に忘れてたと言ったらウソになるかな。でも、よく聞くでしょ?前の恋を忘れるには、新しい恋をするしかないって。」

「…そういうものなのかしら?」

「…そうそう、だから、今はこの気持ちを確かめ中♪」

「…この気持ち…って…」

「…!」

赤面するるり。

「ふふ♪…今日は、るりりゃんの色んな顔が見れるかなー楽しみだなーって思いながら来たんだよ!」

「そ、そう…。」

明確に、付き合ってほしいと言われている訳ではない。

でも、自分に対して一定以上の好意を持ってくれていることは確か。

この状況に、るりはどうしたら良いか分からなくなっていた。

「…るりちゃんも、今日のデートやこれから一緒に過ごす時間の中で、俺のこと見ててほしいな。そうして、もしお互いに『あ、良いかも』って改めて思ったときは…」

「…思ったときは?」

「…んふふ~♪…キスでもしよっか?」

「…はあ!!?バカ言ってんじゃ…ない、わよ…」

いつもなら容赦なく殴り飛ばすところだが、るりは照れて黙り込んでしまった。

「…お、これは脈ありと捉えてよろしいですかな?やっほーーー楽しみだなー!」

そう言って駆け出す集。

「ち、ち、調子に乗るなーーー!!!」

集を追いかけ走り出するり。

ここがお化け屋敷ということを完全に無視した二人の会話と猛ダッシュに、仕掛け人のスタッフはただただ切なげな表情を浮かべていた。

 

 

ちなみに。

千棘・鶫・小野寺もお化け屋敷に来たものの、3人揃ってびびりにびびっていた。

「…鶫、こういうの大丈夫だっけ…?」

「…絶対に無理です…。小野寺様は…?」

「…多分、気絶しちゃうと思う。千棘ちゃんは…?」

「…暗くて狭い場所は本当に無理…。」

「「「………」」」

「…出口で待とっか…」

「そうですね…」

「うん…」

入る前にギブアップして終了した。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

 

 




お読み頂きありがとうございます。
年末年始を利用して初挑戦してひたすら書いているのですが、既に大学の卒業論文を軽々と超える字数にびっくりしています。マリーへの愛故です、はい()

休みが明けますので、ここからは大体週2程度の投稿になるかと思います。

まだ完全には決まってないのですが、ここからもういくらかエピソードを挟んで最終回を書いたら、その後は番外編として単体エピソードや最終回後のエピソード(エロス込み込み)を思い付くままに書いて行きたいと思います!

皆さんによるUA数や感想が本当に励みになっております。

新年もどうぞよろしくお願い致します(^^)!!
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