楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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デート編、ラストです。


第14話「ヨビカタ」

両ペアともお化け屋敷から出てきた。

「おーっす、これでどっちも終わりかー…ずっとそうしてたの?」

「「…!」」

楽と橘は、気付くとずっと手を繋いでいた。無意識だったため、集の言葉に急に恥ずかしくなり手を放す二人。

「…あ、もったいないことしちゃいましたわ…!」

「まあまあ、繋ごうと思えばいつでも繋げるんだし♪」

「お、おまえなあ…。」

「じゃ、次行ってみよ~!」

 

4人がしばらく歩いていると、ジェットコースターを見付けた。

「…はい、確認とりまーす。俺は割と平気。るりちゃんは?」

「多分大丈夫よ」

「俺は…頑張れば…かな?橘は…さすがにきつくないか?」

「………。………!………行きます!!」

「そんな覚悟決めなくていいんだぞ!?」

「いえ、楽様との思い出を増やす機会を1つとて逃したくないのです!」

「…つくづくすげえやつだなおまえは…。」

「じゃ、乗ってみようか!」

「「「おー!」」」

 

コースターに乗り込む4人。徐々に坂を登って行く。

「はわわわ怖いですわ怖いですわ怖いですわ~!!しかしこれも楽様と過ごす時間のため…!!皆さんに怖がっているのがばれないように、がんばるのよ万里花!!えいえいおー!!」

「橘!それ多分心の声だよな!?全部漏れてるぞ!」

「あ…動揺しすぎてつい…」

がたんっ

「「あっ」」

 

~~~動いてます~~~

集とるり。

「ひゃっほーい♪」

「おーーーー」

 

~~~動いてます~~~

楽と橘。

「なああああああ!!!」

「ーーー!!!(声にならない)」

 

~~~動いてます~~~

集とるり。

「中々楽しいねえるりちゃーん!」

「そう…ね…(風圧でまともに喋れない)」

 

~~~動いてます~~~

楽と橘

「「…(チーン)」」

 

ゴール。

「いやあ楽しかったねーるりちゃん!もう一回乗ってみない?」

「まあ、別にいいわよ。お二人さんは…無理そうね」

「うぷ…。あ、ああ、やめとくわ…。特に橘…が…?橘ー!?」

倒れ込んで、もはや地面と一体化している橘。

「身体中の臓器の位置がしっちゃかめっちゃかになったような感覚ですわ…ああ…」

「!?なにそれ怖い!…そうだ、向こうで休もう!」

「オッケー、じゃあ楽は万里花ちゃんを休ませてあげて!俺はるりちゃんともう一回乗るってことで♪」

「ああ!」

こうして、二組は別行動となった。

 

橘を休ませるため、楽は橘をベンチまで連れて行き、飲み物を買って来ていた。

「…ありがとうございます、楽様…やっと楽になってきましたわ。」

「よかった…。」

「…今まで楽様と過ごす時間ばかり考えてきたのですけれど、こうやって皆さんと遊ぶのも…少しは楽しいんですのね。」

「!そう思ってくれたのなら嬉しいよ。」

「でも…そろそろ二人きりで過ごしたくなって来ましたわ♪楽様、今のうちに行きましょう♪」

橘は立ち上がると、楽の手を引いて駆け出した。

「お、おい橘!…まあ、時間的にも割とちょうど良さそうだし、集には後で連絡すればいいか…」

橘の誘いに応じた楽。そのまま走り出した。

 

小走りの二人が辿り着いたのは、観覧車だった。

「今まで刺激が強い場所が多かったので、こちらでゆっくりお話しましょ♪」

「!あ、ああ…いいけど…」

楽は前回のデートのことを思い出し、恥ずかしさが込み上げていた。

「…ふふ♪行きましょうか♪」

そんな楽の様子を楽しむかのように、橘は楽の手を引き観覧車へ乗り込んだ。

 

観覧車の中で、二人は初めは今日のデートを振り返りつつ他愛もない話をしていた。

だが、5分もすると自然と二人の口数が減り、代わりに何とも言えない空気になっていた。

「(…うう…だめだ、前のことを思い出しちまって、どきどきが止まらねえ…!どうしたもんか…。)」

「楽様」

「ん?」

少しだけ、いつもと様子が違う橘にどきっとした楽の返事は、普段に比べ少しばかり上ずっていた。

「そちらに座ってよろしいですか…?」

「…!い、いいけど…」

「…♪」

橘はにこやかに微笑んで、楽の隣へと移動する。

そして、何も言わぬままそっと楽に肩を寄せた。

「(…うおおマジか…お、俺の心臓の音が聞こえちまうんじゃねえか…!?)」

互いの心音が聞こえそうな程の密着度に、楽は動揺し切っていた。

ふと、橘が口を開いた。

「…最近、楽様とお近付きになれている気がして嬉しいです♪」

「お、おう…」

「楽様、お聞きしたいことがあるのです…よろしいですか?」

「…え?」

橘の、何か核心に迫るような切り出し方に、先程までとは違う緊張が走る楽。

「…楽様、今、桐崎さんのことは本当はどう思われているんですか?そして私のことは…どう思われて…います、か?」

平静を装っているが、橘の肩は緊張で震えている。

楽は考えていた。

「(…橘がこんなに真剣に聞いてくるなんて…。ちゃんと答えなきゃいけねえよな…。千棘との恋人関係のこと、もう橘に言った方がいいかもしれねえ…。それにもう一つ、小野寺が好きだってことも言った方がいいのか…?

…いや、待て、俺は今も小野寺のことが好きなのか…?たしかに今だって会う度に良い子だな、かわいいなっては思うけど…

でも…今は気付いたら橘のことばかり考えてる気がする…

…俺はきっと、橘のことが…。…でも、まだ…。

…今の気持ちを、正直に話そう。)」

ずっと考え込んでいる楽に、橘が不安を募らせる。

「楽…様…?」

意を決して楽が橘の方へ振り向き、両肩を掴んだ。

「きゃっ…?」

「橘、聞いてくれ。」

「は、はい…。」

「まず一つ、ずっと隠してたことがある。俺と千棘は、本当は恋人関係じゃないんだ。組織間の抗争を防ぐため、俺らは偽の恋人関係をずっと続けてきたんだ。…あいつのことは、もちろん友達としてはすげえ良いヤツだと思ってるけど、恋愛の意味での好きっていう感情は無いんだ。」

「…!…だからでしたのね、今までずっと疑問に思っていたのです。仲は良くても、恋人には見えない違和感がたくさんありましたから…」

「…やっぱり、ある程度は気付いてたか…。」

「はい…」

「それと、もう一つあるんだ。」

びくっ

楽の言葉に反応して、橘の肩が一瞬動いた。

「な…なんでしょう…?」

聞きたいような聞きたくないような、どこか怯えた表情をしていた。

「俺は千棘とそんな関係だったけど、俺自身は、中学のときからずっと小野寺のことが好きだった。それは今もだ。」

「…っ」

橘の表情が凍り付いた。今まで楽からただの一度も、誰かのことが好きと言う言葉を聞いたことが無い橘にとって、その言葉はあまりにも、あまりにも重かった。

「そ、そうです…か…。」

必死で言葉を紡ぐが、頬を自然と涙が伝っていた。

「あ、ち、ちがうんだ橘!!」

楽は慌てて叫んだ。

「ふえ…?」

呆けたような疑問の声を上げる橘。

「今も小野寺のことが好き…のはずだった。でも最近、橘とどんどん近付いて行くにつれて、段々と橘のことばかり考えるようになってきたんだ。少し前までは多少ときめくようなことがあっても、『俺には小野寺が~!!』なんて考えていたのに、だ。そりゃあ今だって小野寺を見る度に、ああ良い子だな、かわいいなっては思うけど…」

「ふ、ふえ…」

小野寺のことを言ったことにより、橘は再び泣きそうになる。

「あ、ああごめん…!出来るだけ正直に言おうと思ってな。ごめんよ。

…で、そんな風に思いはするけど、今は…橘、おまえと居るときの方が、安らいで、穏やかな気持ちになって、もっと一緒に過ごしたいなって思うようになってきてるんだ。」

「ほ、本当、ですか…?」

「ああ。…でも、今までの気持ちに整理をつけるのにはまだ時間がかかりそうなんだ。…だから…もう少し、もう少しだけ、待っててくれるか?」

「…はい。…そう言って頂けるだけで…私、嬉しいです、楽様…。」

今度は嬉し涙をぽろぽろと流す橘。

「…優柔不断でごめんな。答えはもう少し…待っててくれ。」

「…はい。」

橘はこくっ、と頷いた。

 

その後少しの間寄り添っていた二人。橘が話し出した。

「…そうですわ、楽様、一つだけ、そのときまで待ち切れないお願い事があるのですが聞いて頂けますか…?」

「ん?なんだろう?」

「今のように完全に二人きりのときだけでいいです。私のことを『万里花』と呼んで頂きたいのです」

それは橘が10年ぶりに再会して間もなくの頃、楽にリクエストしたものの軽く流された呼び名だった。

「あ、その呼び名…。そうだな、今なら…。分かった、呼ぶよ。」

「…!!ありがとうございます楽様!!で、では早速…」

橘はキラキラとした目で楽を見詰めている。

「う…。…ま、万里花。」

「はふうん」

へなへなっ

「!?うおいたち…万里花!?」

倒れ込む万里花を受け止める楽。

「す、すみません、あまりに嬉しくて、つい…。」

「そ、そりゃ良かった…。…あ。じゃあ、俺からも良いか?」

「?なんでしょう?なんなりと♪」

「同じく二人きりのときだけ、『らっくん』って呼んでくれねえか?万里花が方言を喋るときだけこの呼び名になるけど、万里花が言うとすげえかわいくて好きなんだ。」

「ふあ…!…う、うう…恥ずかしいですわ…でも、楽様が喜んでくださるのならば…そうお呼びします!」

「じ、じゃあ早速…」

楽が期待の目を万里花に向ける。

「…ら、らっくん♪」

「!!うおあああ…!!」

ごろごろごろっっっ

「!?楽さ…らっくん!?」

狭い室内でどうやっているのか、悶えて転げ回る楽を見て慌てる万里花。

「す、すまねえ…思い付きでお願いしたんだけど、いざ呼んでもらったらあまりにかわいくてつい…」

「…!」

楽の言葉を聞いて赤くなる万里花。

「そ、それなら良かった…です…」

お互い照れてしまい俯く。

そしてお互い同時に顔を上げると、ぷっと吹き出して、幸せそうに笑った。

 

 

「あ、もうじき下に着いてしまいますわ…。最後に一つだけ、よろしいですか?」

「ん?」

万里花はそう言うと、楽の顔にすっと手を伸ばした。

「…素面でするのは初めてですけど…少しでもいやだったら言ってくださいまし…」

「!?」

万里花は突然楽の両頬に口付けをし、そのまま首にも口付けをして、更に舌を這わせ始めた。

以前、竜が持って来た日本酒により泥酔した際に万里花が楽にした行為だった。

「ま、万里花…なんで急に…うあ…く…」

楽の言葉も気にせず、舌でちろちろと首筋を舐め回す。

なんとか止めようと懸命に万里花を見るが、万里花の目付きは、明らかに「女」の目になっていた。

「ふふ…♪らっくんたら…かわいい♪」

万里花はそう言うと、今度は左手を楽の股間へと伸ばし、膨張した楽のものをさわさわと触る。

「あ…すごい、大きい…んん…」

首にキスをし、更に左手は艶めかしく蠢く。

突然の快感に悶える楽は、途中から完全に身を反らせていた。

「はう…ん…らっくんも、味わってくださいまし…♪」

そう言うと万里花の右手は楽の左手を掴み、自らの胸へと誘った。

むにっ

「…!!」

はっきりと伝わる、万里花の胸の感触。

「んっ…。右手も…触っていいんですよ?どうぞお好きなように…」

とろんとした目つきで万里花が誘う。

「(…なん…だこれ…頭が…くらくらする…すげえ良い匂いがする…表情もエロすぎて…う…あ…)」

意識が朦朧としてきた楽は、本能の赴くままにもう片方の手を万里花の胸に伸ばす。

そして、両手で同時に万里花の胸を揉みしだいた。

「ひいんっ!ひぐっ…あっ…あう…ふあ…あうう…」

楽の予想外の攻めに、際限なく甘い声を上げる橘。

「…あうっ!らっくん、そこは…!」

楽は膝を万里花の股間に押し当てていた。

お互いがお互いを攻める状況になり、狭い室内に甘い声と匂いが充満する。

「(あう…ちょっとだけのつもりが…らっくんの理性を飛ばしてしまいましたわ…どうしましょう…)」

万里花がそう思ったそのとき、

がたんっ

「「…あっ…」」

観覧車が下に着いた。

幸い係員がほんの少し距離を置いた場所に居たため、行為を見られずに済んだ。

「「…お、お邪魔しましたー!」」

そう言って二人は、逃げるように観覧車を降りた。

たったったったっ…

しばらく走り、ようやく落ち着いたところで楽が切り出す。

「…はあ、はあ。ま、万里花…途中から理性が飛んでたわ…すまねえ。…でも、なんで急にあんなことを…?」

「…ふう。…今日のデートが終わるのが寂しくなっちゃいまして、どうせなら最後に、らっくんが帰ってからも私のことで頭がいっぱいになるようにしちゃおう!って思いまして♪」

笑顔で答える万里花。

「…方法はもっと色々あっただろう…」

「あら、らっくんも楽しんでいたのではないですか?」

そう言うと、万里花はかすかに舌をちろちろと出してみせた。

たったそれだけの行為で、楽は先程の興奮を思い出し、ズボンで押さえている部分に痛みを感じた。

「うう…おまえ…そんなエロかったのかよ…」

「うふふ…らっくんもお年頃ですから♪こういう私も需要がありますでしょ?♪」

「(…もちろん!なんて言えねえ…)」

「…今、『もちろん!』と思いましたでしょ…?♪」

「な、なんでわか…あ、いや…」

いとも簡単に心の中を見透かされ、恥ずかしくなる楽。

万里花は言葉を続ける。

「…観覧車、もう一周しても…よかったんですよ?」

「…!」

だんっっ

「あん…っ」

万里花のその言葉に、楽は思わず万里花を壁に押し付けた。明らかに息を荒げている。

「…はぁ…はぁ…。…!すまねえ…大丈夫か?」

我に返り、万里花に押し付けていた手を離す楽。

「…うふふ…大丈夫ですよ♪ちょっといたずらが過ぎちゃいましたね。ごめんなさい♪お詫びに…」

万里花はそう言うと、楽の右頬に優しく口付けをした。

「…今のは、とどめだろ…」

いよいよ楽の理性が利かなくなったそのとき。

「おーい楽ー!万里花ちゃーん!」

「…あ、集…か。」

集とるりが駆け寄って来た。

「途中でいなくなったからまあ二人で居るんだろうとは思ったけど、帰りどうするかも決めてないんだから連絡くらいよこせよなー!…邪魔したようで悪かったな♪」

楽と万里花の表情から色々と事情を察した集は、意地悪く微笑んだ。

「…このやろう。でも連絡しなかったのは俺が悪いよな。すまねえ。」

「いいっていいって♪それじゃあ帰る?それとももう一度別れてここから…♪」

「帰りましょうか」

「あ、はい…」

るりに一蹴される集の提案。

「そうだな、帰るか。」

こうして4人は長い一日を終え、帰路に着いた。

 

一方、千棘・鶫・小野寺たちがどうしていたかと言うと…

楽と万里花が観覧車に乗ったのを発見し、一緒に乗っても様子が分からないと判断して、鶫が双眼鏡で二人の様子をずっと監視していた。

「鶫ー、どう?何か変わった様子はある?」

「今のところは…ないですね」

「声が聞こえないとね…」

ここで、万里花が楽に寄り添う所を目撃する鶫。

「!!んあ!!?」

「「ど、どうしたの!?」」

「い、いえ、なんでも…。」

動揺のあまり報告が出来なくなる。

そして追い打ちをかけるように、万里花が楽に愛撫を始めた所を目撃する。

「ほああああ!!?」

「ちょっ、鶫、さっきからどうしたのよ!?」

「ななななんでもないですなんでもないですひあああああ!!」

顔を真っ赤にして大パニックに陥っている鶫。

「鶫さんのこの慌てよう…まさか…!?」

小野寺のむっつりセンサーが反応し、すかさず鶫が持っている双眼鏡を奪い取る。

「!!あ、小野寺様、見てはいけま…!」

鶫が言い終える前に、小野寺が現場を目撃する。

ぼしゅうううっっっ

「いい…な…」

「小野寺様ー!!?」

短い言葉を残して、顔から湯気を噴き出しながら小野寺は撃沈した。

「ええい何が起きてるのよ!?私に…も…」

今度は千棘を双眼鏡を手に取り現場を目撃する。

「な、な、な、あのエロもやし…なにしてんのよ…なんて顔してんのよ…」

他の二人とはまた別の所に目が行った千棘。

しかし結局顔を真っ赤にして倒れ込んでしまった。

「お二人ともー!!帰りはどうすればいいのだ…」

途方に暮れる鶫だった。

 

夜。

楽は部屋で寝そべりながら考えていた。

「これだけのことをしていながら、まだ付き合っていないという状況…どうなんだ俺…いや、ただのクズ野郎だろ…。早く言葉にしねえと…。」

自らにツッコミを入れていた。

「ああ、しかし今日の万里花はかわいか…いけね、思い出したらまた…。」

 

 

 

続く。

 

 

 

 




ダブルデートにして、しかも3人が尾行するという風呂敷を広げるにも程があることをしたところ、べらぼうに長くなりました…楽しかったから良しとします。

楽の煮え切らないけど一応ちゃんと現時点での気持ちを伝えるんだけどその割に性欲に流されるという人間らしい感じになりました。

マリーのエロいところは…書きたかったんです、ひたすらに…。

この後は多少日が空くかと思います!

それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!
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