楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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鶫。第39話「オミミニ」

楽と万里花の二人のデートを、千棘・小野寺・鶫・るり・集の5人で尾行しているという状況。

 

 

「つ、次はさ、あの公園でちょっとのんびりしていかないか?」

「そ、そそ、そうですわね!そうしましょう!」

先程の余韻が残っているためか、二人はどこか浮ついた雰囲気である。

 

公園に着くと、二人はベンチに腰掛けた。

「ふう、落ち着くなあ…って、うおお!?」

いつの間にか、万里花が楽の腕にしっかり抱き付いていた。

正確には、楽が腰を下ろすのと同時進行で器用に抱き付いていたのだが。

「(どこで桐崎さんたち(誰がいるかまでは正確には把握していない)が見ているか分かりませんし…こんな目立ちやすいところだったら、なるべく分かりやすくイチャついてしまいましょう…)」

そんな風に考えていた。

「あら、だめですか?♪」

「だ、だめなんかじゃ…全然、ねえけどよ…なんで学校でのノリみたいになってんだ?」

「うふふ…そうしたいからですよ♪」

遠くの茂みから、小火の如く燃え上がるものが見える。

双眼鏡で覗いていた、千棘が発火したことによるものであった。

「(あそこで覗いているのかしらね…)…本当なら、四六時中でもらっくんの身体に絡み付いていたいのですけれど…♪」

「…!!」

そう言って、万里花は胸をより押し当てて、妖しい笑みを浮かべた。

そして。

 

「…あ♪」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…テント…」

「言うな言うな!!」

恥ずかしがりながら万里花の言葉を止める楽。顔は真っ赤になっていた。

「…ったく…正直過ぎる俺の身体が恥ずかしいよ…あ」

楽がぼそっ、と呟いたことに対し、万里花は目をきらきらさせて反応する。

「え、え、え?♪もう一度言ってくださいまし♪」

「わーわーわー!なんでもないでーす!」

必死の抵抗をする楽であった。

しかしこの後、結局何故か3回ほど言わされ、最後2回は録音・録画されると言う謎のプレイを強いられた。

 

「…ふう。そういや、喉が渇いたな」

少し暑い日であった。時間がお昼時と言うこともあり、外を歩く人は皆涼しい格好をしたり、日傘を差したりしている。

「そうですね…あ、私、ここに来るまでの道に自販機があるのを見かけましたわ。なのでそちらに行ってきますね♪」

「あ、そうか。わりいな。」

「いえいえ♪」

そう言うと、万里花は自販機へと向かった。

 

「…さっきのはやばかったな。…やっと鎮まってきた…」

楽がそんな風に考えていると、声が聞こえた。

 

「お、おや!?い、い、い、一条楽ではないか!どうしたんだこんなところで!あは、あはは!」

「うえ!?つ、鶫…?」

不自然さばりばりの登場である。

「…鶫さん、桐崎さんを越える下手っぷりね…」

「…鶫…」

遠くで呆れる面々。

「ど、どうしたんだよ、そんなめかし込んで…」

「あ、ま、まあちょっとな!あはは!」

楽は戸惑っていた。

鶫の格好は、飼育係のエサを買いに行ったときに初めて見た格好であった。

千棘の協力で化粧もばっちりしている。

実際のところ、楽は鶫の姿に見惚れていた。

「(…めっちゃかわいいな…は!いかんいかん、俺には万里花が…!!)」

楽がそんな風に考えていると、鶫が切り出した。

 

「な、なあ、一条楽…」

「うお、ど、どうした?」

鶫は楽の隣に座った。

「せっかく会えたのだから、その…これから、どこかに出かけてみないか?」

顔を赤らめて言う、鶫からのお誘い。

「(うおおおやばいやばいめっちゃかわいい…!!千棘と言い、今日はなんなんだ一体ー!?)」

一瞬、ものすごい勢いで葛藤する楽。

しかし。やはり、それでも。

「…ごめんな、今日は、万里花と来てるんだ。」

正直に、伝えた。

「…そ、そそそ、そうか、そうなんだな!仕方ない…な…」

「(…ううっ、ま、負けない!つ、爪痕を残すぞ…み、耳に軽く、く、口を付けて『…だめか?』って言う、軽く口を付けて『…だめか?』って言う…!!)」

すごい攻め方を考えていた。

 

そして。

「…っ」

「!?ちょ、つぐみ…?」

「…んっ」

楽の左側の耳に、口付けをした。

「…だめ、か…?」

潤んだ瞳で楽に問いかける。

「(うわーーーやばい!!!鶫、どうしたってんだーーー!!?)」

楽の混乱は最高潮に達する。

「(も、もうひと押しくらい…!)…っ」

「!?ま、待て、鶫、待てって…」

今度は耳の中を舐め回し始めた。

鶫の手はいつの間にか、楽の右側に回して動けなくしている。

「(…あれ、これ…ちょっと、楽しいかも…もっとしたい…)」

鶫の中で、意図していたものとは違う感情が湧き上がる。

くちゅっ…にちゅっ…ぴちゃぴちゃっ…

休日の昼下がりの公園ではまず聞くことがないであろう音が聞こえてくる。

「ま、待って、くれ、鶫…」

「(…あ、一条楽のこの顔、かわいい…♡)…んはっ、なあ、楽、だめか…?んっ…んちゅっ…本当に、だめか…?楽…楽…んんっ…んっ」

完全にスイッチが入ってしまっていた。

いつの間にか、楽の呼び名を変えている。

耳元で色っぽい声で何度も自分の名を呼ばれ、耳の中を舐め回される。

音が、脳に直接響き渡るような感覚に苛まれていた。

「(やばいやばいやばい…けど…!!)…ごめんな?」

そう言うと、鶫の肩を掴み、優しく離した。

「…あ…」

ふと我に返り、一気に赤くなる鶫。

「あ、これは、その…うあ…」

以前と違い、酔ってすらいない。言い訳のしようもなく、鶫は慌てふためいていた。

そんな鶫のテンパりを察したのか、楽が優しく言葉をかける。

「…事情はよくわかんねえけど…今日のおまえ、ものすげえかわいいよ。…また、今度な。」

そう言ってにこっ、笑う楽。

「…は、はい…」

先程とまではまた違う意味で、ぽーっ、と赤くなった。

 

と、そこへ。

「おやおや…今度は鶫さんですか…」

「「!!」」

万里花が手に飲み物を持って、笑顔で、しかし背後には禍々しいオーラを漂わせながら、ゆっくり歩いてきた。

楽自身はしっかり断ってはいたのだが、傍から見るとラブラブなカップルにしか見えていなかった。

「ま、万里花!これは…」

「らっくん、あなたは大丈夫です。流れはなんとなく察しがついています。それよりも…鶫さん…?」

「ひいいい…!!」

万里花の首がぐりん、と鶫の方を見た。

口角は上がっているが、目が全く笑っていない。

鶫はと言うと…携帯バイブの如く震えていた。

 

そして。

「では…参りましょうか♪」

「ひいあっ!?」

万里花はがしっ、と鶫の腕を掴んだ。

「お、おい、万里花…?」

「らっくん、ちょーっと、15分だけ、お時間頂けますか?♪この人にはきつーいお灸を据えないといけないようですから…」

「あ…あ…あ…」

万里花はそのまま、鶫を人目につかない茂みの中へ引きずるように連れて行った。

「…つ、鶫…大丈夫かな…」

茂みからは、時折くぐもった声で、悲鳴に似た甘い声が聞こえた。

 

 

万里花が戻ってきた。一人である。

「あれ、つ、鶫は?」

「帰られましたよ♪」

楽は内心、『ウソだーーー!!!』と思っていたが、怖くて聞けなかった。

「…それで、らっくん、今度はどこに口付けされたんですの?」

ぶぼばっっっ

万里花の鋭すぎる追及に吹き出す楽。

「…な、何でもお見通しって訳か…」

「何となく、あちらの戦略が読めましたから。」

平然と言ってのける。

「すげえな…。…耳です…。」

「…むう…やらしさが増しましたわね…」

何やら考え込んでいる様子の万里花。

 

「…よし。らっくん、こちらへどうぞ♪」

そう言うと、万里花は自分の太ももをぽんぽんと叩いた。

「…マジか」

保健室以来、二度目の、膝枕。

しかし今度は、ミニスカである。

しかも、先程の鶫への行動から考えれば、何かしらやってくることは確実である。

「…何かされても、恥ずかしさはあっても嬉しいばっかりだから良いか!…あ」

「…心の声のつもりでしたの?」

ばっちり本音を漏らした楽であった。

「…はい。…頂きます。」

謎の挨拶をして、膝枕に臨む。

 

「…いかがですか?」

「…俺、このまま死んでもいい…」

極楽浄土にいるかのような表情をしている。

万里花は優しく、楽の頭を撫でていた。

「うふふ♪…このくらいでそんなことを言っていたら、身がもちませんよ…?」

「え…うお!?」

万里花はそう言うと、仰向けになっていた楽の顔を自分の方に向けた。

「ま、万里花…?」

「…」

「!」

何も言わず、楽の耳をさわさわと触り始める。

初めは周りをなぞるようにして触っていたが、徐々に耳の穴へ指を入れ始める。

「(…少し、湿っているわね…)…ここ、ですのね?」

「!…あ、ああ…」

万里花に全てを悟られ、正直に伝える楽。

「…んっ」

「!!」

楽の言葉を聞くと、万里花は楽の耳にゆっくり舌を入れた。

顔の正面に胸が当たり、耳には舌を入れられる。

確かに、身がもちそうにない。

「…んっ…ふっ…んんっ…気持ち…いいですか…?」

色っぽい息遣いに紛れて、甘い声が聞こえてくる。

「あ、ああ…。(…気が気じゃねえ…やべえぞ、これ…!!)」

楽は内心、どきどきで心臓が爆発しそうだった。

 

「~♪」

「うお!?お、おい万里花…!!」

今度は、するりと楽の股間へ手を伸ばし、片手で器用にベルトを外しズボンを緩めると、ズボン、そしてパンツの中へと手を突っ込んだ。

保健室のときと同様のやり方だった。

「うふふ…抵抗すると、道行く人に見られてしまいますよ…?♪」

そう言うと、小悪魔のような笑みを浮かべた。

「(ああもうなんでこんなにかわいいんだおまえは…!)ば、ばか、こんな風にされたら、俺本当にやばい…」

「えー?何がやばいんですの?♪…教えてくださいまし♪」

耳元に再び口を近付け、舌でつつきながら囁く。

潜り込ませている手の動きは、どんどん激しくなっている。

「や、やめ、で、出る、本当に、出る…!」

「一度出して楽になりますか?♪着替えならすぐに持ってこさせますから…♪」

そう言うと、しごきの速度を更に上げた。

「うわ…ば、ばか、も、もう…!!」

楽は小さな痙攣を始めた。

 

と、ここで。万里花は手の動きを止めた。

「…?なん…で…」

楽は物欲しそうな目で万里花を見つめた。

「あん…もう、そんな顔で見られた私…♪ごめんなさい、つい興奮しすぎてやりすぎちゃいました♪一度らっくんのアレの匂いを嗅いじゃったら…もう、今日はデートどころじゃなくなってしまいます…。だから…今日の夜までとっておきますね♪」

そう言って、楽から顔を離した。

「…なんつう生殺しだ…」

何とも言えない、もどかしそうな表情を浮かべる楽。

「うふふ♪…夜は、お返しにたーくさんいじめてくださいね?どんなに激しくても良いですから…どうぞ、なんなりと♪」

そう言って、にこっ、と微笑んだ。

その表情を見て、楽は背中にぞくぞくとしたものが走るのを感じた。

「…わかった。たっぷりな…」

そんな会話をして、その後30分程普通の膝枕を続けると、二人は次の場所へ移動した。

 

 

ちなみに。

鶫が連れ去られるのを目撃した4人は、彼女を探しに来ていた。

「ったく万里花のやつ、まさか鶫を連れ去るなんて…。一応今日のメンバー全員に発信機を付けておいて良かったわ」

何気にすごいことを口走る千棘。

「…まあ鶫さんも、急にタガが外れたように乱れてびっくりしたわ。さすがつぐむっつりさんね」

「ちょ、ちょっと、るりちゃん!?」

そんなことを言っていると、集が急に立ち止まった。

「…?舞子君、どうしたの?」

「…俺、ここら辺で残っといた方が良い気がするなー。」

「…そうね、そんな気がするわ。」

「「…?」」

るりと集のやりとりを見て、訳が分からないという顔をする千棘と小野寺。

しかしこの直後、このやりとりの意味をすぐ理解することになる。

 

「あ、居たわ!おーい!つぐ…み…」

千棘が声を失う。

「え、千棘ちゃん、どうしたの…の…」

小野寺も声を失った。

「…わー、橘さん、えげつないことするわね…」

るりも動揺を隠せなかった。

 

鶫はあられもない格好で放置されていた。

「鶫、大丈夫!?」

千棘が急いで鶫を解放する。

「はあ…はあ…お、お嬢、宮本様、小野寺様…あ、ありがとうございます…」

顔を真っ赤にしたまま、鶫は礼を言った。

「…るりちゃん、さっき舞子君を残したのは、こういうことになってるのを見越してたから?」

「そうね。程度は分からないけれど、こういう感じのことをされていてもおかしくなさそうだなって。ほら、鶫さんの場合、2回くらい薬云々でやらかしちゃってるでしょ?だから、橘さんに抵抗出来なそうだったしね。」

「な、なるほど…。…あれ?」

るりの言葉を聞いた後、小野寺はあることに気付く。

「?どうしました小野寺様?私の顔に何か付いていますか…?」

「…えーと、なんだろう、鶫さん、なんだかすごく…嬉しそう…?」

「!!!」

小野寺からのまさかの指摘に、顔から火が出る程真っ赤になる鶫。

「あ…あわわ…私はなんてことを…」

したことと、されたことの両方を思い出して、その後しばらく真っ赤になりっぱなしになる鶫であった。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 




女同士の戦争、勃発です。

マリーが鶫にしたことについての記述は、後日談として後で書こうと思います。ここでは書けない内容になりました()

最初はただラブラブな感じのデートにしようと思ってたんですが、『スクラム』のくだりの後だと、ただの邪魔では物足りないなーと思って…気付いたらこんな事態に。真昼間です、一応。


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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