ある日の帰り道。
今日は万里花の家に行くことにした楽は、万里花と帰り道を共にしていた。
上機嫌に鼻歌を歌いながら、楽と腕を組んで歩く。
「…ふんふ~ん…♪」
さらっと軽く歌っているにも関わらず、声が良く通る。
心地良い響き方をしていて、楽はそんな彼女の様子を、穏やかな笑みで見守りながら楽しんでいた。
「…鼻歌なのに、うめえな…」
ふと、歌声を褒めてみた。
「!ありがとうございます♪それはもう、らっくんの為に鍛えた歌声ですから♪今度カラオケにでも行きましょうか♪」
「お、いいね」
「うふふー♪では、デートコースが一つ決まりましたね!♪あ、らっくんの好きな音楽は演歌と言うことでよろしいですか?」
「ん?あ、ああ」
「よーし、では、その道を極めてから行きますね!」
万里花の目が、めらめらと燃えている。
「い、いや、カラオケなんだからもうちょっと気楽でいいぞ!?」
「あら、そうですか…では、じっくり特訓しておきますね♪それでカラオケで一通り楽しんだ後は…そのままお部屋でしちゃいますか♪」
ぶぼばっっ
派手に吹き出した。
「んなぁっ!?ば、ばか、何言ってんだ…!」
「あら、楽しいと思いませんか?らっくんが歌いながら、私が咥える。歌い切るのが先か、出させるのが先か…いかがです?♪」
「お、おまえな…発想が…卑猥すぎて…」
鼻血をぱたぱたと出す楽。それもそうだろう。
「えへへー♪…楽しみにしてますね?」
万里花はそう言うと、上目遣いで楽を見つめた。
「…かわいすぎるので、押し倒していいですか」
「きゃー♪もうじき家に着きますから、そちらでどうぞ♪」
万里花は嬉しそうに、楽の正面から抱き付いた。
「あ。」
その後、しばらく歩いていると、万里花が何かを思い出して立ち止まった。
「?どうした?」
「普段あんまり外ではめることが出来ないので…今、はめちゃいますね♪」
「あ…」
万里花が左手薬指にはめたのは、告白の際に楽にその場ではめてもらった指輪であった。
例え千棘たちに二人の関係を明かしたところで、校内でのニセコイ関係は続けなければならない。
まして、万里花である。
他の女性が指輪をはめても、まだ何とかなったかもしれないが、万里花がはめているとあっては、皆の疑惑が真っ先に楽に向くことは明白であった。
万里花のことだから、一度楽から許しを得ようものなら、例え校則でどう言われようとはめたままにするに違いない。
そうなっては、尋常ではない混乱を、まず避けられない。
そんな訳で、普段は二人きりのときにしか指輪をはめていなかった。
「えへへー♪…これを眺めているだけで、私、ずーっと頑張れる気がするんです♪」
左手を天にかざして見上げながら、楽しそうに語る万里花。
そんな万里花を見て、彼女のことがたまらなく愛おしく思える楽。
「ふわっ!?」
「…喜んでくれて、嬉しいよ」
そう言って楽が、万里花を後ろからぎゅっと抱きしめる。
万里花はこう言う、楽からの不意打ちに弱い。
「ら、ららら、らっくん…?」
あっと言う間に、耳まで真っ赤になった。
「…でも、無理はしないでくれよ?俺のこと、いっぱい頼って、いっぱい甘えてくれ…」
きゅっ、と、抱きしめる力を強める楽。
優しい抱きしめ方であった。
「はうっ!!」
ずきゅーーーーーーんっ
万里花は、楽の言葉でものの見事に撃ち抜かれた。
「ま、万里花?どうした?」
「は、はわわ、らっくんんん…はい、いっぱい頼ります、いっぱい甘えますぅ…」
ぷしゅううううっ…
「万里花ー!?」
顔から蒸気が噴き出すと、万里花は顔を真っ赤にしたまま、こてん、と気を失った。
外は夕暮れ時。秋の気配が少しずつ近付いているのを感じさせる、涼しい風が吹いていた。
続く。
指輪及び万里花の歌声のくだりを書きたかったのです。
本当に、サラッと書けました。前話の5分の1以下の文量でしたw
こういうちょっとしたいちゃつきをもっと書いて行きたいです。
今後もまだまだ色々あります。ゆっくり進めて行きたいと思います。
ToLOVEるの小説も書き始めました。R-18の方で【ToLOVEる ピーチ&オレンジ】と言うタイトルで載せています。モモと美柑をメインに書こうと思っています。
そちらも、宜しければ是非ご覧ください(^^)
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!