書きたい小説ができてきて久しぶりに完全自筆でやってんだけど……やっぱ情景が足りない気がして悲しみを覚える
肉付けに関してはAIに頼った方がいいのかねぇ?それはそれで悲しいからあんまりやりたかねぇんだが
マニラ首都圏にある最高級ホテルの特設会場。
眩いスポットライトが照らし出すステージには、『サグラダ・メディカル』の清廉なロゴが大きく掲げられていた。
「皆様、本日は我々の『奇跡』を直接お見せするために集まっていただきました」
仕立ての良いスーツに身を包んだリカルドが、マイクを片手に滑らかな笑みを浮かべている。
裏社会の金庫番が見せる堂々としたスピーチに、招待された各国の医療関係者や投資家、メディアのカメラマンたちは熱心に耳を傾けていた。
ステージの中央へ、白い流線型の義手を装着した男が歩み出る。
彼がテーブルの上に置かれた生卵へ手を伸ばすと、会場に静かな緊張が走った。無骨なモーター駆動の義手では、どうやっても卵の殻を割ってしまうからだ。
だが、義手の指先は表面に触れるとピタリと止まり、羽毛でも扱うかのような優しさで卵を持ち上げてみせた。
「おおっ……!」
「信じられない。事前のプログラミングではなく、本人の生体信号だけであの繊細なフォースフィードバックを実現しているのか」
会場からどよめきと大きな拍手が巻き起こる。
続いて、華奢な女性スタッフが作業用軽量外骨格を装着し、百キロの鉄骨を片手で軽々と持ち上げてみせた。さらに背後のスクリーンには、視覚補助ARバイザーのデモ映像や、深い外傷を数秒で塞ぐ自動止血フォームの実用例が次々と映し出される。
どれもこれも、現在の技術水準を十年は飛び越えたオーパーツだ。
それでいて、デザインは徹底して丸みを帯び、白を基調とした無害な医療器具として見事にパッケージングされている。
スラムの巨大ラボ。
その特等席で、備え付けのモニター越しに発表会の様子を眺めていた。
「大盛況だね。リカルドさんも、すっかり表の顔が板についてきた」
ストローで甘いトロピカルジュースを啜りながら、ご機嫌な声が出る。
画面の向こうで飛び交うフラッシュの光と、称賛の嵐。誰もあの美しい義手や外骨格が、スラムの路地裏でジャンキーたちの肉体をドロドロに腐り落としている危険なサイバーウェアの『残りカス』だとは気づいていない。
手元のタブレットでは、発表会のライブ配信を観ているネットの反応が滝のように流れていた。
『いやこれ義手のエディター画面、完全に攻殻じゃん!』
『止血フォームの使い方がバイオの回復アイテムなんよ』
『サグラダ・メディカルのデザイナー、絶対こっち側の人間だろ』
一部のSFオタクやゲーマーたちが、画面の向こうでデザインの露骨な既視感に狂喜乱舞している。
機能をごまかすための外装デザインを考えるのが面倒だったから、前世の記憶にあるゲームやアニメの意匠を適当に拝借しただけだ。彼らが「オマージュだ」と騒げば騒ぐほど、商品への熱狂はネットを通じて勝手に拡散していく。
「気づくやつは気づくか。まあいい、面白いから」
クスクスと笑いながら、タブレットの画面をスワイプする。
世界中が熱狂する奇跡の医療技術。その根っこがどんな猛毒に繋がっているのか、彼らが知る日は永遠に来ない。
社会的な名声と、莫大な合法資金が雪崩れ込んでくるルートは、これで開通した。
「さて。稼いだ表の金で、裏の兵器開発をさらに加速させようか。……恩人たちへのプレゼントの用意も急がないとね」
モニターの中で鳴り止まない拍手をBGMに、次の設計図を開いた。