術式【適応】   作:雨曝し

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四人目の一年生

 

 

 

 原宿の通りで勇義達は屯していた。

 虎杖がコンビニで買ったアイスを食べ始める。

 

 虎杖はアイスを食べながら素朴な疑問を口にした。

 

「一年がたった四人て少な過ぎねえ?」

「じゃあお前、今まで呪いが見えるなんて奴会ったことあるか?」

「……ねえな」

「それだけ少数派(マイノリティ)なんだよ。呪術師は」

 

 伏黒の答えに虎杖は満足したようだった。

 そして別の疑問を溢す。

 

「っていうか俺が四人目って言ってなかった?」

「入学は随分前に決まってたらしいぞ。こういう学校だしな。何かしら事情があんだろ」

 

 疑問が解消したところで五条がやって来る。

 手にはコンビニの袋を下げている。

 

「お待たせー。おっ制服間に合ったんだね」

「おう。ピッタシ。でも伏黒と禪院とは微妙に違うんだな。パーカーついてるし」

「制服は希望があれば色々弄って貰えるからね」

「え。俺そんは希望出してなぇけど」

「そりゃ僕が勝手にカスタム頼んだもん」

「………」

 

 五条の勝手な行いに虎杖は沈黙する。

 しかし案外気に入った様子を見せる。

 そこに伏黒が警告を発する。

 

「気を付けろ。五条先生こういうところあるぞ」

「まあ、良いんだけど。それより禪院のはどうなってんの?ずっと気になってたんだよな」

「翼が外に出るように背中側を開けてんの。しまうと窮屈だからさ」

「そっか。当たり前みたいに翼生えてることには何も言わないでおくね」

「それより、何で原宿集合なんですか?」

「本人がここが良いって」

「アレ食いたい!!ポップコーン!!」

 

 虎杖はポップコーンを売っている店に走っていく。

 その後ろ姿を見送り、勇義は周囲へ視線を向けた。

 

「で、どこにいんの?」

「アレじゃねえか?」

 

 伏黒が指差した方向にはスカウトを捕まえて自分を売り込む高専の制服を着た女子がいた。

 スカウトは何とか逃れようとしているが、女子生徒は離そうとしない。

 買い物を終えた虎杖が帰って来てその光景に苦言を呈す。

 

「俺達、今からアレに話し掛けんの?ちょっと恥ずかしいなぁ」

「オメエもだよ」

 

 伏黒が虎杖の陽気な姿に苦い顔をする。

 虎杖は2018の形の眼鏡を掛け、両手にはポップコーンとクレープを持っていた。

 そんなカオスを無視して五条が女子生徒に声を掛ける。

 

 女子生徒が荷物をコインロッカーに入れたところで改めて勇義達と顔を合わせる。

 

「そんじゃ、改めて」

「釘崎野薔薇。喜べ男子。紅一点よ」

「俺、虎杖悠二。仙台から」

「伏黒恵」

「俺は禪院勇義。京都から来た」

 

 釘崎は勇義達を品定めする。

 特に翼を持つ勇義を注意して見る。

 そして勇義の整った優しい顔立ちを確認して満足気に頷いた。

 

「合格ね」

「何がだよ」

「まあ可愛いから良いんじゃない?」

 

 勇義は釘崎に対して甘い言葉を口にする。

 それらを無視して伏黒が五条に質問する。

 

「これからどっか行くんですか?」

「フッフッフッ。折角一年が四人揃ったんだ。しかもその内二人はおのぼりさんと来てる。行くでしょ。東京観光」

「え゛」

 

 五条の言葉に伏黒は微妙な反応を示し、勇義は何かを察し、虎杖と釘崎は顔を明るくする。

 そしてテンションの上がった二人は五条に迫って要望を口にする。

 

「TDL!TDL行きたい!」

「バッカTDLは千葉だろ!!中華街にしよ先生!!」

「中華街だって横浜だろ!!」

「横浜は東京だろ!!」

「静まれ。それでは行き先を発表します」

 

 五条の一言で二人はサッと膝をついた。

 五条は溜めを作って行き先を発表する。

 

「六本木」

 

 虎杖と釘崎は顔を見合わせて喜んだ。

 勇義は何が起きるのか察しているので哀れな者達を見る視線をむけたのだった。

 

 

 

 

「いるね。呪い」

「嘘吐きー!!六本木ですらねー!!」

「地方民を弄びやがって!!」

 

 期待していた二人は廃ビルの前で絶望する。

 それを哀れに思った勇義は五条を軽く叩いた。

 無下限による障壁は通用しない。

 何故なら既に勇義は無下限への適応を終えているから。

 

 勇義は五条と出会った日に無下限に触れている。

 その時に適応を始めていたのだ。

 順転の蒼も反転の赫も無効化されている。

 唯一適応を終えていないのは五条の切り札である虚式茈と領域展開無量空処だけである。

 つまり現状唯一五条に対抗できる存在であるということだ。

 

 叩かれた五条はそれを意に介さずに任務の説明を始める。

 途中で虎杖の知識のなさに疑問を抱いた釘崎に虎杖が呪術師になった経緯を説明するなどがあった。

 

「君達がどこまでできるか知りたい。ま、実地試験みたいなものだね。野薔薇、悠仁。二人で建物内の呪いを祓って来てくれ」

「あれ、でも呪いは呪いでしか祓えないんだろ?俺呪術なんて使えねえよ?」

「君はもう半分呪いみたいなもんだから体には呪力が流れているよ。でも、ま、呪力の制御(コントロール)は一朝一夕じゃいかないから、これを使いな」

「おぉ」

 

 五条は虎杖に呪具を渡す。

 それを見て勇義も思うところがあったのか考え込む。

 

「あーそれから宿儺は出しちゃ駄目だよ。アレを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど、近くの人間も巻き込まれる」

 

 警告を受けた虎杖は釘崎に続いてビルのシャッターを開けて中に入る。

 勇義達はお留守番だ。

 

「やっぱ俺も行きますよ」

「無理しないの。病み上がりなんだから」

「でも虎杖は要監視でしょ」

「まあね。でも、今回試されてるのは野薔薇の方だよ」

「地方からやって来て都会の知性が高い呪いを相手にできるかって話ね」

「そう。今回は野薔薇のイカれ具合を確かめる」

 

 勇義はそれだけ言って興味を失ったのかPSPを取り出してゲームを始める。

 五条達は気にせずに話を続けるのだった。

 

 暫く経って任務を終えた二人が子供を連れてビルから出て来る。

 五条は子供を送り届ける為にその場を離れる。

 勇義は釘崎に質問する。

 

「都会の呪いはどうだった?」

「狡猾ね。迂闊な真似はできないわ」

「地方と都会とじゃ呪いのレベルが違う。人が集まる程呪いは強く、賢くなるから。うっかり殺されないように気を付けてね」

 

 そうして会話していると子供を送り届けた五条が帰って来る。

 

「お疲れサマンサー!子供は送り届けたよ。今度こそ飯行こうか」

「ビフテキ!」

「シースー!」

 

 虎杖と釘崎の意見が割れる。

 二人は軽く睨み合った後、ジャンケンを始めた。

 勝利したのは釘崎だ。

 

「寿司かー。銀座のいつものとこでいっか」

「ザギン!フー!」

「俺回転寿司が良い」

「あ゛?」

 

 虎杖の言葉に釘崎がキレる。

 伏黒も釘崎の意見に同意する。

 

「カップ焼きそばと焼きそばが別物のように回転寿司も別物なんだよ!」

 

 虎杖の必死の説得の甲斐あって皆でりっぱ寿司に行くことになった。

 勇義も地味に初めての回転寿司である。

 

 

 

 

「おぉ!ほんとに新幹線で来た!」

 

 運ばれて来た寿司を見て勇義がそう口にする。

 そして自分の分のマグロに醤油を付けて食べる。

 

 釘崎達も思い思いに注文した品を食べている。

 釘崎は寿司の味に感動している。

 

「チェーン店でも美味いのね」

「そりゃそうよ。値段の割に美味いから親しまれてんの」

 

 勇義の言葉に釘崎は納得したようだった。

 銘々が自由に注文し、食べ進めていく。

 

「お!ラーメンもある」

「食べるねー。勇義って意外と大食いだよね」

「まあ軽く常人の三倍は食べるね」

「どこに入っていってんのよ」

 

 そんな会話をしながら皆が満腹になるまで食べる。

 出会ってから数時間で早くも打ち解けつつあるのだった。

 

 

 





・オリ主
常人の三倍は食べる。
制服の背中側は翼の部分だけ開いている。
無下限に適応済み。

・釘崎
オリ主の顔面評価は高い。
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