術式【適応】   作:雨曝し

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短めです。
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東堂葵

 

 

 

 交流会へ向けた特訓をしていたある日。

 勇義達は真希に言われて自販機へと飲み物を買いに来ていた。

 釘崎が設置されている自販機の少なさに不満を露わにする。

 

「自販機もうちょい増やしてくんないかしら」

「無理だろ。入れる業者も限られてるしな」

「呪術の秘匿なんてせずに公にすれば良いのに」

「そうすりゃ非術師の恐怖がより強くなるだろ。強力な呪霊も生まれ易くなる」

「呪霊の情報を限定すれば済む話じゃん。例えば東京にしか現れないとか嘘吐いて恐怖を集中させれば良い」

 

 勇義の案に伏黒が深く考え込む。

 確かにそうすれば呪霊の発生は東京のみに抑えられる。

 しかし呪霊の数や強さが増すことに変わりはない。

 相応のメリットとデメリットが生まれる。

 

 勇義は考え込む伏黒を置いて先に戻ろうとする。

 そして道の先に生徒が二人立っているのを見て足を止める。

 

「おっ?真依ちゃん?」

「久しぶり、勇義」

 

 片方は大柄な体躯の男子生徒。もう片方は勇義の親戚である禪院真依だ。

 真依は勇義に柔らかい笑みを向ける。

 伏黒が疑問を口にした。

 

「なんで東京いるんですか禪院先輩」

「あっ、やっぱり?雰囲気近いわよね。姉妹?」

「嫌だなぁ伏黒君。それじゃあ真希と区別が付かないわ。真依って呼んで」

「コイツらが乙骨と三年の代打…ね」

「勇義に会いたくて付いて来ちゃった。同級生が死んだんでしょ?」

「あぁ。根明の良い奴だったよ」

「どうでも良い話をするな。俺はただコイツらが乙骨の代わり足り得るのか。それが知りたい」

 

 男子生徒は話を遮って語り出す。

 勇義と伏黒に視線を向けて質問する。

 

「伏黒と勇義とか言ったか。どんな女がタイプだ。返答次第では今ここで半殺しにして乙骨…最低でも三年は交流会に引っ張り出す。因みに俺は身長(タッパ)と尻がデカい女がタイプです」

「なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか?」

「そうよ。ムッツリにはハードル高いわよ」

「お前は黙ってろ。ただでさえ意味分かんねえ状況が余計ややこしくなる」

「京都三年東堂葵。自己紹介終わり、これでお友達だな。さぁ早く答えろ。男でも良いぞ」

 

 東堂は性癖にはその人物の全てが反映されると考えている。

 そして何より退屈な男が大嫌いだ。

 最後の交流会に参加するという二人の性癖を確認して品定めしているのだ。

 

 勇義がサラッと答える。

 

「俺は笑顔が可愛い子が好きだな。笑顔が一番可愛いじゃん?」

「悪くない答えだ。それで伏黒は?」

「別に好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」

 

 東堂は伏黒の答えに涙を流す。

 呪力が昂り、不気味な雰囲気を醸し出す。

 東堂は心底残念そうに言葉を紡いだ。

 

「退屈だよ。伏黒」

 

 勇義は伏黒の前に出る。

 東堂がラリアットを繰り出した。

 互いの呪力が衝突し、弾ける。

 

 地面が罅割れ、勇義の足が深く沈む。

 

「いきなり何すんだ」

「言っただろう。退屈なら半殺しにすると」

「俺はセーフだったじゃん!」

「お前は及第点だ。これから確かめる」

「この…頭パイナップルめ!」

 

 勇義は蹴りを放つ。

 呪力でガードした東堂は、それでもなお遥か後方に吹き飛んだ。

 

「そんなに言うならボコボコにしてやるよ」

「あーぁ…勇義もやる気出しちゃった」

 

 真依は呆れた顔でそう口にした。

 勇義は東堂の元へと駆けて行く。

 その速度は凄まじく、伏黒達の目では視認すらできなかった。

 何とか反応した東堂は構えを取る。

 

(呪力のガードが意味を為さない程の呪力出力…下手に受けるのは不味い)

 

 東堂は両手を合わせ、勇義が接近したタイミングで拍手する。

 東堂の術式不義遊戯が発動し、両者の位置が入れ替わる。

 一瞬生まれた隙を突いて東堂が勇義の顔面に右ストレートを入れる。

 顔面を殴られた勇義は東堂を真っ直ぐ見据えた。

 

(術式は位置の入れ替え…発動条件は拍手か。術式対象は人間?否、呪力を対象に捉えてると仮定。慣れれば脅威ではない)

 

 東堂の術式はシンプル故に強力である。

 躱すことも不可能。常に入れ替わることを意識しなければならず、厄介極まりない。

 それでもその程度では勇義には通用しない。

 

 勇義は更に加速して東堂へと接近する。

 そして胴体に正拳を繰り出した。

 足からの加速を乗せた一撃は深く突き刺さる。

 

(そもそも認識できない速度で速攻を仕掛ける…!)

 

 そのまま東堂に向けて猛攻を仕掛ける。

 東堂は防御することすら許されず、一方的に殴られる。

 その時だった。

 

「動くな」

 

 狗巻が突如として現れ、二人に呪言を使用する。

 勇義は不自然な体勢で動きを止める。

 

「狗巻先輩…パンダ先輩も」

「なんで交流会まで待てないかね」

「仕掛けて来たのは東堂です。俺悪くない」

「だからってボコすなよ。東堂がやられてる姿なんて初めて見たわ」

 

 パンダは勇義に呆れた視線を向ける。

 勇義は若干の不服そうだ。

 

「……久しぶりだな。パンダ」

「帰った帰った。大きい声出すぞ。いや〜んって」

「まあ、良いだろう。退屈はしないようだしな。乙骨に伝えとけ。お前も出ろ、と」

「俺、パンダ。人間の言葉分からない」

 

 パンダは東堂の面倒な頼みを断る。

 東堂は何も言わずに去って行った。

 

 勇義が口を開く。

 

「真希ちゃんは?」

「伏黒と釘崎のところに向かったよ。まあ、真依なら大丈夫だろ」

「でも真依ちゃん性格悪いからなぁ。喧嘩してないと良いけど」

 

 勇義は心配を口にする。

 パンダは余程のことがない限り大丈夫だと口にする。

 

 そうして勇義は伏黒達の元へ向かうのだった。

 

 

 

 

 数日後。勇義は真希と共に新宿の映画館に来ていた。

 チケットを購入して席に並んで座る。

 

 映画の内容はアメリカのマフィアと一般人の少女との恋愛である。

 勇義はふと画面から顔を逸らして真希の顔を見る。

 真希は映画の内容の面白さに笑みを溢していた。

 

(可愛いなぁ…来て良かった)

 

 勇義はその笑みを見て満足気な顔を浮かべた。

 勇義にとって映画よりも、それで見られる真希の笑みが目的だった。

 

 勇義は視線を真希から画面に戻して映画に集中するのだった。

 

 

 





・オリ主
厄介な術式相手にはゴリ押しするタイプ。
真希が好き。
真希の笑顔が見れて大変満足。

・真希
オリ主の映画鑑賞に付き合うくらきには好感度が高い。
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