術式【適応】   作:雨曝し

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京都姉妹校交流会

 

 

 

 遂に交流会当日を迎えた。

 釘崎は集合場所にスーツケースを持って来る。

 そして他の皆が手ぶらなのを見て疑問を口にした。

 

「なっ、なんで皆手ぶらなのー!?」

「お前こそ何だその荷物は?」

「何って…これから京都でしょ?京都()姉妹校と交流会…」

「京都()姉妹校()交流会だ。東京で」

「嘘でしょ〜!!」

 

 釘崎は項垂れてしまった。

 真希や伏黒は最近抱いていた釘崎への違和感が氷解する。

 

「どうりで最近会話が噛み合わない訳だ」

「ですね」

「去年勝った方の学校でやんだよ」

「勝ってんじゃねえーよ!!馬鹿!!」

「去年俺らは出てねえよ。人数合わせで憂太が出たんだ」

「里香の解呪前だったからな。圧勝だったらしいぞ。京都だったから見てねーけど」

「許さんぞ乙骨憂太ー!!会ったことねーけどよぉ!!」

 

 釘崎はショックの余り地面に膝を突いて慟哭する。

 真希は階段を登る足音を敏感に察知した。

 

「おい。来たぜ」

「あら、お出迎え?気色悪い」

「五月蝿え。早く菓子折り寄越せ。八ツ橋、くずきり、そばぼうろ」

「しゃけ」

「腹減ってんのか?」

 

 釘崎達の催促に東堂が呟く。

 京都高の西宮は「怖…」と一言漏らした。

 メカ丸が口を開く。

 

「乙骨がいないのは良いとして、一年が三人はハンデが過ぎないか?」

「呪術師に歳は関係ないよ。特に勇義君。彼は禪院家の柄筆頭だ。甘く見ない方が良い。現時点で東堂より確実に強い」

「それなんて化け物…」

 

 加茂の言葉に西宮が肩を抱いた。

 そこでもう一人階段を上がって来る人物がいた。

 顔に傷があり巫女服のような服を着た女性、京都高引率の庵歌姫である。

 

「で、あの馬鹿は?」

「悟は遅刻だ」

(バカ)が時間通りに来る訳ねーだろ」

「誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ」

「おまたー!!」

 

 五条が東京校の背後から突然姿を現す。

 箱を押して歩いて来た五条は箱の上に乗っていた謎の人形を京都高の生徒に渡す。

 

「はい。お土産。京都の皆にはとある部族のお守りを。歌姫のはないよ」

「いらねぇよ!!」

「そして東京都の皆にはこちら!!」

「ハイテンションな大人って不気味ね」

 

 五条が箱を開けると中から人が出て来た。

 

「故人の虎杖悠仁君でぇーっす!!」

「はい!!おっぱっぴー!!」

「えぇ…」

 

 一年生達は生きていた虎杖を見て微妙な顔をする。

 その反応に虎杖が驚く。

 勇義が虎杖の脇腹をつつく。

 

「何か言うことあるでしょ」

「黙っててすみませんでした…生きてること…」

 

 そうして虎杖が合流したのだった。

 

 

 

 

 東京高の面々は高専の建物の一つに集まり、ミーティングをしていた。

 虎杖は遺影の縁を持たされてそこに顔を嵌めていた。

 

「あのぉ〜これは…見方によってはとてもハードなイジメなのでは…」

「五月蝿え。暫くそうしてろ」

 

 怒る釘崎をパンダと狗巻が宥める。

 虎杖が狗巻の語彙に疑問を溢す。

 その疑問に伏黒が答えた。

 

「他人の術式をペラペラと…」

「良いんだよ。棘の術式はそういう次元じゃねーから。それで言えば勇義もそうだな」

「そう言えば私、勇義の術式知らないわ。そもそも持ってたんだ?」

「あぁ。俺の術式は適応。あらゆる事象に適応する」

「超強えじゃん!!」

「とは言っても適応には時間が必要だし、初見殺しで火力の高い技受けると普通に死ぬ。だから素の肉体強度が高くないといけない」

「ふーん…弱点もちゃんとあるんだな」

 

 虎杖は納得したのかそれ以上の追求をしない。

 真希が虎杖に向かって口を開いた。

 

「んなことより、悠仁。屠坐魔返せよ。悟に借りたろ」

「………五条先生が……持ってるよ……」

「チッ。あのバカ目隠し」

「で、どうするよ。団体戦形式は予想通りとしてメンバーが増えちまった。作戦変更か?」

「そりゃ悠仁次第だろ何ができるんだ?」

「殴る。蹴る」

「そういうの間に合ってんだよな」

 

 パンダがどうしたものかと溜め息を吐く。

 勇義が作戦を口にした。

 

「東堂を虎杖に任せるのが良いんじゃないかな?その方が俺もフリーで動ける」

「悠仁なら勝てるって見込みか?」

「多分ね。悠仁は見たところ前よりレベルアップしてる。格闘センスも良い。東堂と相性も良さそうだし。適任でしょ」

「じゃあ東堂は悠仁に任せる。だが、別に勝たなくて良い。できるだけ粘って時間を潰せ」

「でも先輩。やるからには勝つよ。俺」

 

 虎杖の発言に真希が笑みを浮かべる。

 作戦は決まった。

 後は実践するだけである。

 

 全員がスタート地点に向かう。

 和気藹々と歩いていく。

 伏黒が虎杖のメンタルを心配したり、真希の為に各々がやる気を出したりといったやり取りをしながらスタート地点の門の前に立つ。

 虎杖が代表して宣言する。

 

「そんじゃまぁ、勝つぞ!!」

「なに仕切ってんだよ」

 

 虎杖が真希に蹴られる。

 そして開始の合図がされる。

 全員が一斉に飛び出した。

 

「ボス呪霊どの辺にいるかな?」

「放たれたのは両校の中間地点だろうけど、まぁじっとはしてないわな」

「例のタイミングで索敵に長けたパンダ班と恵班に分かれる。後は頼んだぞ悠仁」

「押忍!!」

 

 前方に低級の蜘蛛型呪霊が現れる。

 それを祓おうとした真希を伏黒が止める。

 呪霊の横から木を薙ぎ倒して東堂が現れる。

 

「いよぉーし!!全員いるな!!纏めて掛かって来い!!」

 

 虎杖が東堂の元へ駆けて行って顔面に膝蹴りを当てる。

 真希が号令を出した。

 

「散れ!」

 

 その声に合わせてパンダ班と恵班に分かれる。

 勇義は恵班だ。

 森を駆け抜けながら恵が口を開く。

 

「東堂一人でしたね」

「悠仁にして正解だったな」

「後は俺達の働きに掛かってる。気張って行こう」

 

 暫く森を進むと恵が立ち止まって疑問を溢した。

 

「変です。京都高の奴等が纏まって移動してる」

二級呪霊(ターゲット)がそっちにいるってことか?」

「いや、二級なら余程狡猾でない限り玉犬が気付きます。京都高、虎杖殺すつもりじゃないですか?」

「……有り得るな。戻るぞ恵、勇義」

「流石に友達死んだら交流会も何もないもんな」

 

 三人で道を引き返して虎杖の元へと向かう。

 そして退いていく京都高に対して奇襲を仕掛ける。

 真希と伏黒は加茂を、勇義は三輪を襲う。

 勇義と三輪は加茂から離れて戦闘する。

 

 勇義が三輪に問い掛ける。

 

「君らさぁ、虎杖殺す気でしょ?」

「……虎杖君のことはごめんなさい。言い訳にはなりますが、私は皆とは違う。でもだからと言って、交流会の勝ちを譲る気もありません」

「交流会で活躍して昇級でも狙ってんの?何で?」

「貧乏です!弟も二人!」

「良い子だなぁ…だからって手加減しないけど」

「問題ないです!!そういうつもりで言った訳ではないので!!」

 

 三輪が刀を鞘に納めて居合の構えを取る。

 

「シン・陰流の簡易領域か。最速の技だっけ?」

「博識ですね」

「幼い頃からその辺の知識は叩き込まれてるからね。でも君じゃあ、俺の相手にはならないかな」

 

 勇義は恐れることなく簡易領域に足を踏み入れた。

 三輪の肉体が自動で居合を放つ。

 それを勇義は見て避けた。

 

 そしてできた隙を逃さず三輪の腹に拳を突き入れる。

 

「ぐっ…!」

「死なない程度に抑えなきゃだから、死ぬ程痛いけど動けはするでしょ?ほら次」

 

 三輪は何とか立ち上がって刀を振るう。

 しかし勇義は敢えてそれを受ける。

 刀は勇義の呪力に触れると弾かれる。

 

「なっ…!」

「これが俺の術式、【適応】の効果。俺の呪力に刀身が触れると弾くようになってるの。だから斬撃も刺突も意味を為さない」

「そんな…!」

「俺と戦った時点で詰みな訳。相性最悪だね。でもま、昇格したいんでしょ?なら俺が君の実力を見てあげる」

 

 三輪は勇義の言葉の意図が分からず困惑する。

 

「…?」

「俺は一級術師だよ?二級に推薦するくらい訳ないさ」

「良いんですか?敵なのに」

「同じ呪術師でしょ。仲良くしよ?」

(良い人だ…!東堂先輩と違って優しそうだし、私にもチャンスをくれる!会敵したのが勇義さんで良かった…!)

 

 三輪は内心で勇義に感謝して、再び刀を構える。

 勇義はそれを見て嬉しそうに笑った。

 

「弾かれるとは言え、太刀筋とか、呪力の込め方とか色々見てあげられるからガンガン来な」

「はい!行きます!」

 

 三輪は突貫して刀を振る。

 勇義はその動きを観察する。

 何度も刀が弾かれ、その度に三輪が体勢を立て直して突撃する。

 勇義がアドバイスを口にする。

 

「動きが単調だね。呪力の込め方も雑だ。もっとフェイントを入れて体を動かしな。呪力を込める時はちゃんとどこまで刀身があってどこまで呪力を張り巡らせるのか考えるんだ。ただ呪力を垂れ流すだけじゃ意味がない」

「はい!」

 

 三輪は受けたアドバイスを噛み砕いて動きを変える。

 呪力を込める時の意識もより繊細に行う。

 が変化した動きを見て勇義は満足気に頷いた。

 

「うん。良いね。飲み込みが早い。才能あるよ」

「ありがとう、ございます…!」

 

 三輪は捉えどころのない動きで刀を躱す勇義に何とか喰らい付く。

 勇義は三輪の才能の開花を楽しむのだった。

 

 

 





・オリ主
纏っている呪力は斬撃や刺突を弾き、打撃を受け流す。
三輪を鍛えるのを楽しんでいる。

・三輪霞
オリ主の指導を受けてグングン実力が伸びている。
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