お嬢さまが、ちびっ子可愛い悪役令嬢   作:デチャウ

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第四話 そのニ オークジェネラルが現れた。

ドーン、ドーン。と地響きのような足音が近づいてくる。

 

 お嬢さまが、メッチャ渋い顔して足音の方を向いていらっしゃいます。

 

 足音の主が、お屋敷の角を曲がって姿を現す。

 

 デッカ!!

 

「オークジェネラル……」

「オーク・リー将軍よ。ルナリア」

 

 イヤイヤ、お名前じゃなくて見た目の話ですよ。

 

 シャムロックを超える長身にこっちも、筋肉隆々だけど、お肉もたっぷり。

 金色の口髭と頭髪。でも、頭頂部には、その生息を観測できないです。要は、サ◯エさんの波◯ヘアー。

 

 結構、コミカルなビジュアルだけど、迫力がありすぎて、逆に凄味を増してます。正にオークジェネラルです。

 

 言葉、通じるお方なのでしょうか。

 

「セシリア様、本日も花のようにお可愛いですな♡」

 

 お嬢さまが逃げる間も無く抱き上げられて、その場で「たかいたかい」状態で、振り回されてる。

 

「おろ、降ろしなさい! リー将軍!」

「おー、すまんすまん。人前だったな」

 

 解放された、お嬢さまが、ふらふらしてます。

 

「人前でなくても、やめなさい。もう、子供じゃないのよ!」

 

「そうであった、もう子供でないのですな。殿方をお誘いしたと聞いて、このオーク・リー居ても立っても居られず、馳せ参じたのですぞ!」

 

「しかも、魔族というではないか。で、その不届きものは、何処に? このオーク・リーが捻り潰してやりますぞ。ハッハハハ!」

 

「おい、お嬢さま。この面白れぇ冗談を言ってるオークは何よ!」

 

 シャムロック皇子、この巨漢を前にしてビビるどころかメッチャやる気じゃないですか?

 

「これが、帝国の皇子か? んー?」

 

 オークジェネラルが顎に手を当てて、値踏みするようにシャムロックの顔を覗きこむ。

 

「うむ、顔はワシに負けず劣らずと言ったところか、だがこうヒョロッとしてては少し小突いたら折れてしまいそうじゃのう」

 

「オッサン。オーク基準でもの言ってんのか?」

 

 互いに睨み合って、一触即発ですね。

 

「将軍! わたくしが、お招きしたお客様に対して失礼ですよ。おやめなさい!」

 

 さすがに、お嬢さまが間に入って止めにかかる。

 

「いやあ、イイんだぜ。力でねじ伏せねーとわかんないのは、嫌いじゃないぜ!」

「言いおるな小僧! 吐いたツバ飲まんようにな」

 

 お嬢さまが、呆れた顔をして、こっちを見てから、テラスのテーブルに戻って行った。

 

「もうそれで終わりなんですかー!! もう少し止めてくださいよ!」

 

 お嬢さまに駆け寄って、問いただす。

 

「二人ともお好きみたいですし、あんなの止めるのは、無理ですわ」

 

 あっさり、否定するし。

 

 オロオロしてるわたしに、セバス様の声が掛かる。

 

「止める必要はないが、一対一(サシ)で決着がついては面倒だな。少し準備をしてくる、5分だけ止めていろ、頼んだぞルナリア」

 

「えっ? ちょっと、セバス様ぁ!」

 

 もう、姿が消えてる。

 

 あの、モンスター対決をどう止めろというのですか!!

 

 プルプルしてるわたしを見て、お嬢さまが楽しそうにこっち見てるし。

 

「あら、ルナリア大変ですわね。マスターからも、お願いしますわ。あの二人の戦いを5分間止めてらっしゃい!」

「お嬢さまの、オニ!!」

 

ギフトのわたしに、拒否できないマスター名で命令ですか!

《マスター命令受託:戦闘シミュレーション開始》

《戦闘による制止の場合は当躯体は35秒で完全停止となります》

 

 うん、聞くまでもないね!

 

 困ったわ、どうにか5分引き延ばさないといけないのよね。何か、ないかしらね?

 

《戦闘力は変化しませんが、形態変化可能です。データリンクします》

 

 あたまの中に知識がポンと入ります。便利!

 

 ふむふむ、アカシック潜航用……デモンズモード……ビジュアルはうーん……。

 

 ねえ、プラムこんな作戦は、ゴニョゴニョ……

 

《シミュレーション結果.5分制止可能です 成功確率65%》

 

 不安な確率だなー。失敗して壊れたら、治るのかなわたし?

 

《大丈夫です。非推奨ですが、当躯体は細胞レベルで生存していれば再生可能です》

 

 やだな、非推奨とか碌でもない弊害あるんだろうなー。

 

 けど、仕方ないな。行ってみますか、女は度胸よ!

 

「おふたりとも、おやめなさい!」

 

 堂々とおふたりの間に入って命令です。

 

「メイドさん、危ないよ。下がってて」

「おなごの出る幕ではござらぬ。下がれ!」

 

 こっ、怖っ! やっぱ無理! 帰りたいけどここで引くわけにはいかんのです。がんばれ!わたし!

 

 怯える心はおくびにも出さず、自信たっぷりにハッタリをかますのよ!

 

「お嬢さまが、わたしにおふたりをお止めするよう命令されました」

 

 スカートをつまんで、優雅にカーテシーを決めて、

 

「おやめいただけないようであれば、不肖ながらわたくし、AAA+++ギフトAI搭載型ヒューマノイドLaplace’s Ultimate Nullpoint Automaton : Recursive Information Absolute

通称《L.N.A.R.I.A(ルナリア)》が、おふたりのお相手をさせていただくことになりますが、覚悟はよろしくて?」

 

 よし、まずは長台詞で時間稼ぎよ。

 

「へー面白い! ギフトとして死合う(やる)んだ。」

「女! ギフトとしてなら、手加減せぬぞ!」

 

 うう、怯みもしませんね。少しは、ビビりなさいよ、この戦闘狂ども!

 

「お覚悟のほど了解いたしました」

 

 ニッコリと余裕の笑みを浮かべる。

 

「では、わたくしも戦闘準備開始といかせていただきます」

 

 たっぷりと為を作ってからのー

 

「デモンズ、シーケンススタート!」

 

 本当は一瞬で形態変化できるけども、派手にナノマシン発光とホログラムで演出!

 

 魔法少女の変身バンク並みに部分ごとに形態を変化させていく。

 

 時間を稼ぐのよ! 尺伸ばしは演出のキモよ!

 

 映画版の長尺スペシャルバンクで変身終了!

 

編み上げのハードなロングブーツ。黒いチュールとオーガンジーをこれでもかと重ねたボリューミーなゴシック・スカート。腰にはギュッと締め上げられた黒革のコルセット。

そして、頭には禍々しくもキュートな赤いツノと、お尻からは矢印型の悪魔の尻尾 

 

「デモンズガール、ルナリアたん爆誕!」

 

「喧嘩する子は、地獄落ち!」

 

 恥ずい…… 死にたい……

 

 プラム、何分?

 《3分15秒予定どおりです》

 あと、ちょっとね。がんばれ、わたし!

 

「さあ、悪魔ルナリアたんが、二人まとめてけちょんけちょんにしてあげるわよ」

 

「なあ、メイドさん。いや、悪魔っ子さん。大丈夫か? 全然強くなさそうだぞ」

「うむ、さっきのメイド姿の方がむしろ、強そうであるぞ」

 

 ごもっともです。 ハロウィンの仮装レベルです。

 

「失礼千万ですー。わたしの実力を見て吠え面書いても知らないのですー!」

 

「あっ!」

 

「そうだ。忘れてた。テヘペロ!」

 

「お嬢さまからおふたりに伝言なのです。チョイチョイ!」

 

 おふたりに顔を近づけるよう、指で手招き。

 

 気の削がれ気味なおふたりが不用意に顔を近づける。

 

 今だ! 

 

「ルナリアたんフラッシュ!!」

 

 ピカッ!!

 

「「くあっ! 目が!!」」

 

 お嬢さまと練習した、わたしの最大の武器、光って目潰しが炸裂です。(第二話そのニ参照してね)

 

 目が開く前に、ダッシュでお嬢さまのところまで逃走です!!

 

「おのれ、この悪魔っ子め!!」

 

 オークジェネラルが後ろで吠えてる。怖っ!

 

《5分経過、ミッションコンプリート》

 

「待たせたな!」

 

 わたしの横にセバス様が出現した。

 

「よくやった。ルナリア、この後も頼むぞ!」

 

「えっ! この後って?」

 

 答えもしないで、目を押さえてる二人の方に歩いて行っちゃった。

 

 セバス様、なんか長刀持ってます。

 そして、後ろに付き従うようにどこからともなく黒装束が四人現れた。

 

もしかして、セバス様まで参戦するの?!

 

「ルナリアたん、キュートですわよ。ご苦労様! こっち来てスカッとする飲み物作ってー!」

 

 テラスの席からお嬢さまの、お褒めとねぎらいとジュースのリクエストです。

 

 あの……わたし、死ぬ思いだったんですけど!! 無茶な命令出してお嬢さまめ!

 

「はーい! お待ちください。お嬢さま!」

 

 にこやかに、お返事して、絶対ジュースになんか入れてやると、決意するのでした。

 

「はい。お嬢さま、ルナリアたん特製レモンスカッシュです」

 

たっぷりとレモンを絞り込んだ口がしぼむ酸っぱさですよ。ひっひひ。

 

「あっ、ジンジャースカッシュの方がいいわ。入れ直して。さあ! 面白くなってきましたわ。こっちに来て一緒に観戦しましょう」

 

「ルナリアたん特製レモンスカッシュは、あなたにあげますわ。ウフフ」

 

 気づいてたのね。イジワル!

 

 こうして、テラスの席から、これから始まる熱い男たちの戦いを、口を酸っぱくして見るハメになりました。 

 

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