お嬢さまが、ちびっ子可愛い悪役令嬢   作:デチャウ

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第五話 その六 ギフトお披露目会①

シャムロックからの依頼のグリモワール奪取は無事成功。

 

 打ち上げじゃないけどもお嬢さまとシャムロックのふたりで夕食中です。

 

 場所は、王都にあるアーネスト家のセーフハウスです。セーフハウスですからそれ以上のことは内緒ですよ

 

 まずは、シャムロックのグラスにリンゴ酒を注ぎ、続いてお嬢さまのグラスに注いで、おふたりでグラスを合わせて乾杯ですね。

 

 そうそう、この世界はあんまり水が良くないので子供でも、お酒を飲料水がわりに飲みますよ。もっとも、アルコールはかなり薄い発泡酒ですけどね。

 

「無事に目的のグリモワールが見つかって良かったですわ」

「おう、ミッションコンプリートだ。今回は、さすがにお嬢さまに感謝だ。オレひとりじゃ間違いなく詰んでたよ」

 

 そんな、会話から始まりましたが、軽装とはいえ、公爵令嬢と帝国の皇子です。中身は別にして、見た目だけはどちらも超が付く美形ですからね、絵になります。

 

 悪巧みしかしないですけどね。

 

「なんか、バカにされた気がするわ」

「俺も何か負の感情を向けられた気がする」

 

 勘がいいですわね。おふたりからの視線が痛い。

 

「前菜でございます」

 

 目を合わせないようにして、優雅に給仕です。

 

 

「無事では済まないような課題をぶつけてくるなんて、あなたのところの第一王子派は流石にやりすぎではないかしら?」

 

「まあ、今回の「大老の義」も親父殿やスプリガンが居ない時に兄貴側の親派が決めた事だから、多分そういうコトだろうな」

 

 嵌められて殺されかけたのに、割と簡単に言っちゃいますね。

 

「とにかく、わたくししのゴートマンを嵌めようなんて、倍返しでも済まさないわ。ギャフンと言わせる計画を立てるから帝国に戻るのは、少しお待ちなさい」

 

「おう、お嬢さまらしい、辛辣なの頼むぜ。ハハハ」

「何が、わたくしらしいのかわかりませんわ? フフ」

 

 おふたりとも狡猾そうな笑みを浮かべて悪役ぽいですよ。

 

「そちらは、ほぼ解決として、次はギフトお披露目会ですわね。期待してますわよ」

「それな! バッチリ召喚獣やってやるから、期待してくれ!」

 

 そうです、冬休みに入る前に、期末試験の一環でギフトの披露会があるのです。

 

 戦闘系のギフトは勝ち上がり形式での試合です。負けず嫌いのお嬢さまは、優勝以外眼中にないですよね。

 

 学年ごとだから、クエルク様やアル王子と当たらないのは、幸いですけどそれでも高位貴族の子息が多いのですから、楽観はできません。

 

 まあ、シャムロックの強さなら戦闘自体には不安はないんですけども、問題はわたしです。

 

「問題あるとすれば、ルナリアあなたですわね」

 

 メインディッシュの皿を給仕してるところで名前を呼ばれて手が止まる。

 

「ですよねー。お嬢さま、わたし戦闘とか無理ですよ」

 

 そうなんです。ギフトの能力での戦闘なので、ギフトだけが戦うわけではないんですよね。

 

 火を吹く魔剣のギフトや光の矢を放つ弓のギフト、特殊武器や特殊能力をマスターに付与するタイプの方が圧倒的にメインなのです。

 

 要は、わたしもお嬢さまも戦闘参加者なのです。

 

 わたしとお嬢さまが特殊能力を使えない無能を誤魔化す今回の作戦。

 

 わたしがお嬢さまのギフトなのは、知れ渡ってるのでわたしがギフトの能力で眷族としてゴートマンを召喚するふりをして、お嬢さまがゴートマンに騎乗して戦う。

 

これが作戦のシナリオ。

 

 ちょっと考えればわかりますよね。この作戦のウィークポイント……

 

 * *

 

「イヤー!!」

 

 追尾する光の矢をギリギリで躱してなんとか避けた。地面に刺さった光の矢が爆発!

 

 地面が抉れてる。

 

「きゃん!」

 

 ヤバイです、ヤバイのです。

 

 作戦のウィークポイントすなわち弱点(ルナリア)が集中砲火です。

 

 ギフトお披露目会、三回戦目にして、『弱点がウロウロしてる』セシリアチームピンチです……

 

 初戦、学園の円形闘技場に颯爽と登場したお嬢さまとわたし。

 

 その場でツノとシッポの悪魔モードにチェンジして皆の視線を集めてからの、お名乗りアピールタイム。

 

「セシリア様の最高級(AAA+++)ギフト、ルナリアでございます。本日は、ふう……わたくしが直接お相手するべきギフトはお見受けできませぬね」

 

 ウソは、言ってませんよ。相手して勝てそうなギフトなんて一体もいないもの!

 

「たわいもない(わたしが)。代わりに我が眷族がお相手いたしますわ」

 

「出よ! ゴートマン!」

 

「メェェ!!」

 

 わたしの前に、褐色の大山羊『ゴートマン』が出現する。

 

 試合開始のゴングが鳴る。

 

 お嬢さまが、サッとゴートマンの背に飛び乗る。

 

 ゴートマンの背には前後にツノが対で生えている。

 

 お嬢さまが「ハンドルと背もたれみたいで乗りやすそう」と言ってたとおりに、様になってます。

 

 お嬢さまを乗せた途端にゴートマンが相手選手に突進!

 相手選手は、ラージシールドの防御系ギフト持ちでしたが、防御もへったくれもなくゴートマンの圧倒的なパワーで試合場どころか倍も弾き飛ばされてリングアウトで試合終了。

 

 続く2回戦は、肉体強化のスピード特化型のギフト相手ですが、ゴートマンが巨躯にもかかわらず上回るスピードを披露して圧勝。

 

 そして、現在三回戦。

 

 対戦相手の皆様もどう考えてもゴートマンに正面から勝て無いと悟り、召喚元の弱点(ルナリア)狙いに切り替えてきました。

 

 しかも、潜伏スキル持ちの斥候(スカウト)タイプ。

 

 潜伏してヒョイと出て弓矢飛ばしてまた潜伏。

 

 徹底してわたし狙い!

 

 頭にあるツノ(第六感感知装置)のおかげで相手の位置はわかるのでなんとか躱せてるけども、ジリ貧でございます。というか、タスケテ……

 

「相手の位置を知らせなさい!」

 

 お嬢さまから指示が飛ぶ。

 

「おおー! その手が、あったわね。」

(プラム、ホログラム投射よ!)

《敵潜伏位置に、マーキング投射します》

 

 相手が隠れてる頭の位置に赤く大きくホログラムが投射される。

 

『ココ→』

 

 相手が潜伏したまま、行動を開始する。

 貼り着いていく、『ココ→』

 

 見守る人々の憐れみを含んだ眼差しを受けながら、わたしに弓を射ろうと姿を現す。

 

「メェェ!」

 

 ドガン!という音と共にゴートマンに突撃されて、リングアウトです。

 

 なんとか、勝てました。生き延びました。

 

 その後も、猫に追われるネズミの気分で追いかけ回されながらも、なんとか窮鼠猫をカミカミです。

 

 かろうじて勝ち上がり、ついに決勝戦です。

 

 相手は、通称『西の公爵家』と呼ばれるお嬢さまと同じ公爵令嬢。

 

 余談ですが、王国には、三大公爵家が有り我がアーネスト家が北で、あと東もいます。王都から南は海なので、南は無しです。

 

 ちなみに、東の公爵令嬢も、お嬢さまと同い年で学園にいます。こちらは可愛い女の子が大好きな真正の百合を患った残念なご令嬢です。

 

 お嬢さまの派閥に所属して、お嬢さまを熱い視線で舐め回すのを日課にされてます。

 

 西の公爵令嬢が、決勝戦の前にお嬢さまに近づいてきました。

 

 お嬢さまと違ってこちらは、年齢以上に発育の良い方です。自慢げにプルンプルンと揺れてます。

 

「セシリア様、準決勝も素晴らしい試合でしたわ。ずいぶんとお強い山羊さんをお連れなのですわね」

 

「山羊さん? ゴートマンですわよ」

「えっ?」

「聞こえなかったのですか、()()()()()ですわ。最強無敵の戦えゴートマンです。はい、言ってみて!」

 

「ご……ゴートまん……」

「そうですわ。よくできました。で、わたくしの山羊さんになにか用ですの?」

 

 いい笑顔で聞き返す。

 

「なっ!?」

 

 お嬢さま、相変わらず人を怒らせるの好きですよね。

 

 西の公爵令嬢様、苦虫をダースで噛み潰したような顔でこめかみピクピク、胸がプルンプルンですよ。

 

「もう、いいですわ! せっかく準優勝のお祝いに来て上げましたのに!」

「あら、やっぱりケンカ売りに来てましたのね。やる前から勝った気ですの?」

 

こちらの公爵令嬢様、ずいぶんとお嬢さまに突っ掛かりますね。お嬢さまが、なぜかわたしをチラ見してから。

 

「えーと、あーそうでしたわね。確か、アルスト殿下にずいぶん御執心でしたものね」

 

「なっ!」

 

 西の公爵令嬢が、顔を赤らめる。

 

「そういえば、王子殿下も見に来てましたわよね。ルナリア、アルスト王子にご挨拶をなさい」

 

「かしこまりです」

 

えーと、あそこですね。

 

「おーい! アル王子ー!」

 

 貴賓席のアル王子に大きく手を振る。

 

「頑張って!」

 

 王子殿下のくせに、わざわざ大きな声で声援してくださる。

 

「ごめんなさい、あなたの思い人が、わたくしのギフトごときに夢中になってまして、フフン」

 

「キー! いい度胸ですわ! どんなに頑張ってもわたしのギフト『ガネーシャ』には、かないませんことを、思い知るがいいわ!」

 

 西の公爵令嬢が、自信たっぷりのご様子でお嬢さまに胸をプルンと張る。

 

 それ、もう胸が邪魔で、ちびっ子のお嬢さま見えてませんよね。やたらと主張するオッパイ令嬢さんめ。

 

 オッパイ令嬢がお嬢さまからプルンと振り返って今度はわたしに近寄ってきた。

 

「あなたは、特別にわたしの銃で壊して差し上げますわ。殿下の前で無残にバラバラにしてあげるわ」

 

 一方的に言い放って、ぷるんと揺らしながら立ち去った。

 

 また、わたしが狙われるのですね。今度は、アル王子のせいだ。

 

 貴賓席のアル王子を睨みつける。

 

 視線に気づいて、なんか口パクしてる。

 

《解析します。「僕は、透香のカタチの方が好みだよ」です》

「アル王子まで、オッパイ令嬢のプルンプルンが気になってたのね」

 

 お嬢さまが、近づいてきた。

 

 怒ってるかなと思ったら割と機嫌が良さげです。

 

「向こうから来てくれて挑発にいく手間が省けましたわ。これで勝ちましたわね」

 

 お嬢さまが、自信たっぷりに勝利宣言です。

 

「あとは、ルナリア派手にかましてあのプルンプルンの目を引いておいてね」

 

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