お嬢さまが、ちびっ子可愛い悪役令嬢   作:デチャウ

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第六話 その四 修行を始めましょう。

「お茶じゃないですか、懐かしい。お菓子は、お団子だー!」

 

 畳にお茶にお団子とか、お祖父様の家を思い出すわ。この世界でもどこか遠くにはそんな国があるのね。

 なんて、ノスタルジックに浸りながらメイドとして飲み物準備中です。

 

 さて、お嬢さまはというと、あちらでマリー様と本題に入っています。

 

 お団子つまみ食いしちゃおっと!

 

「皇子様、お父様の皇帝陛下はお元気ですの?」

「お元気って、呪いをかけた魔女さんがそれ言うか? 呪いは今もバッチリだぞ。蛮勇暴虎と呼ばれた皇帝が今や深謀遠慮の哲人王だぜ」

 

「あら、良かったわね。多少過剰に治療したけどもあのままなら、一、二年で、血が血管を破ってさようならしてたわよ」

 

「マジか?」

「嘘つかないわよ。わたしは、神に仕える聖女だもの」

 

 うわー。マリー様がいうと胡散臭いですね。

 

「痛っ!」

 

 なんか、飛ばされた。マリーさまなんか指で弾いたような手をしてる。

《圧縮された空気です》

 

「なんか、悪口言われた気がするわね。あと、お団子を一人で食べ尽くす気かしら」

 

 しまった! ついパクパク食べてました。

 

「今、お持ちしまーす♡ 痛っ!」

 

 また飛ばされました。

 

 お嬢さまが、「やれやれ」って呆れ顔です。

 

「それで、お母様お聞きしたいのは、こちらの『継続治療魔法のキャンセル』効果の魔導書(グリモワール)で、皇帝に掛けた『過剰治療』はきちんと消すことができるのですか?」

 

 お嬢さまが、禁書庫でゲットしたグリモワールを取り出し見せる。

 

 マリー様がなんの躊躇いもなくそれを開く。大丈夫なんですか? ヘッチャラぽいです。

 

「消えるわよ」

 

 お嬢さまとシャムロックが顔を見合わせて「やったー」て笑顔です。

 

「皇帝を亡き者にしたいんなら、お勧めの方法よ」

 

 お嬢さまとシャムロックがマリー様に「なんでー?」って顔を向ける。

 

「元々、皇帝は血管が破れて死んじゃうくらい血の巡りが強くなる病なのよ。抑えている、魔法が切れれば一気にバーンよ」

 

 マリー様が指を開いて爆発を手真似する。

 

「もし、そこまでわかっていてこの試練をゴートマンに課したんなら第一王子側には、相当厄介なのががいるわね。憎たらしいですわ」

 

「お母様、では皇帝の病気を直すことはできないのですか?」

「直せるわよ。でも治癒魔法じゃ無理よ」

 

へー。魔法っていうか、ナノマシンで治療できない病気なんてあるの?

 

《人の死の定義によります。オリジナルの肉体を生とするなら限界はあります》

 

確かにそうだよね。なら全身機械とかにすればいいんだろうけど、それで人間と言えるかよね。

 

《そのとおりです。対極ならば透香がいい例です。記憶も心もバックアップされて、肉体は何度でも再生可能、人と言えるかは不明ですが永遠の命です》

 

ああ、わたし人を超えた存在になったのね。メイドだけど。

 

「皇帝の病気は残念ながら完治は難しいのよ。でもね、健康な生活を心がければ長生きはできるわよ」

 

 わたしの永遠の命は別にして話は高血圧治療の健康相談になってきましたね。

 

「だけどね、セシリアちゃん。おかあさんのもう一つの力、先祖代々と累々と積み上げてきた人体破壊の奥義は別よ」

 

「失礼します。お茶です」

 

 みなさまの前にお茶とお団子を並べていきます。

 

「なんか苦いなこれ。おっ! でもこの菓子となら合うな。うまいな」

「あら、ほんとですわ。口の中の甘さがリセットされますわね」

 

「ねえ、おかあさん今とっても大事なお話ししてるのよー!」

 

 お嬢さまが口をモゴモゴしながら手でOKサインを出して聞いてるアピールです。

 

「痛っ!」

 

 また指弾で空気飛ばしてきた! タイミングが悪いみたいな顔して指弾で指弾しないでください。

 

「とにかく、おかあさんの一族に伝わる奥義を極めれば人の体の血の流れなんて自由自在よ、頭中ボコボコに膨らませて「アババババ!!」なんて断末魔響かせるのもお茶の子さいさいよ」

 

「モグモグ。つまりお母さまの暗殺拳なら血流を弱くして、モグモグ、皇帝を救うことも可能ということですわね。モグモグ」

「口にものを入れて喋らないの、はしたない! でもその通りよ」

 

 お嬢さまが、お茶に口をつけ、ゴクンと飲み込む。

 

「母様、わたくしと一緒に魔族帝国に行って皇帝を治療してくださいな」

「無理よ、セシリアちゃん。おかあさんは幽閉中なのよ。ここを離れることはできないのよ」

 

 マリー様、この後に及んで幽閉とか持ち出すの?如何にも面倒って顔に出てますよ。

 

「ひっ!」

 

 わたしの眼球の直前に鋭角の竹の先端が見えます。指の間に挟んだ竹串です。視界いっぱい戦闘モードです。

 

 相変わらずギフトに対しては容赦なく()りにくる一族です。

 

「わたしが壊れます。やめてください」

 

「チッ! やるわね」

 

 マリー様に舌打ちまでされましたよ!

 

「とにかく、おかあさんはここを離れたくないので、皇帝の治療はセシリアちゃんあなたがやりなさい」

 

 お嬢さまが、逃げ出そうと靴を履きに行ってます。

 

 マリー様が、ヒュンと横に現れたと思ったらお嬢さまの首の後ろを、トンと指で点く。

 

 お嬢さまが固まって動けなくなる。アゴに手をかけられて強制的に顔を自分の方に向けさせる。

 

「何、逃げてるのセシリアちゃん。大丈夫よ基本は出来てるんだから三日もおかあさんと修行すればバッチリよ。ねっ!」

 

 お嬢さまが、怯えてポロポロ泣いてます。『修行』の壮絶さが(おもんぱか)れますね。合掌です。

 

「ヨシ、じゃあセシリアちゃんはおかあさんと修行するとして、皇子様は三日も暇よね。そうね、うちのシスター四天王、七天聖、十二神将、百八武衆とかいるから全員に稽古つけて上げててね」

 

 シャムロックが、珍しく嫌な汗流してます。

 

「いや、俺は天下取るんだからこんなことでビビってらんねーんだ。ウォッシャ! やってやんぜ!」

 

 自分のほっぺを、パーン!と叩いて吠えた。

 

「セシリアちゃん、いい男見つけたわね」

 

 マリー様、お嬢さまは自分のことで手いっぱいですよ。

 

 あっ! こっち見た。やだな何押し付けられるんでしょ。

 

「メイドは……そうね。掃除でもしてなさい」

 

 えらく雑な扱いでした……

 

「ルナリア、ルナリア!」

 

 お嬢さまが、呼んでらっしゃる。

 

「はいはい、なんでしょう哀れなお嬢さま?」

 

 手を噛もうとしないでください。

 

「もう、ルナリア、あなた魔導書は作れますわよね」

「はい、制約はありますけど作成可能です」

 

 ルナリアはギフトなのでマスターに聞かれると嘘はつけないのです。

 

「耳を貸しなさい」

「優しくしてくださいね」

 

 耳たぶ噛まないで!

 

「もう、ふざけないで。いいこと……」

 

 ゴニョゴニョと作成したい魔導書の内容が告げられる。

 (プラム、作成可能?)

《他者に外的損傷を与える訳ではないので作成可能です》

「うけたまわりです」

 

「よし、話もついたし修行、修行!」

「イヤー!!」

 

 お嬢さまがマリー様に小脇に抱えられて連れていかれました。

 

「お嬢さまー、がんばってねー!」

 

 手を合わせながらお見送りです。

 

「シスター共、魔族の皇子と遊んでやりな。負けたらあんたらも再修業だからね。気合い入れなよ!」

 

 部屋の外でマリー様の声が聞こえる

 

「「「「「「「御意!!」」」」」」」

 

 覚悟を決めたシスター達の野太い声が響く。

 

「ウォッシャ!! やってやんぜ!」

 

 シャムロックが上半身脱ぎ捨ててパンプアップして部屋を出てってた。

 

 さてと、お茶とお団子でも食べてわたしも頑張りますか。

 

 お団子美味しい!

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