てんてーのおしごと!   作:神近 舞

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投稿が遅れて大変申し訳ございません!
リアルの事情で忙しかったもので…(言い訳)。
お察しの通り、ストック等はございません。
それでは第2譜、どうぞ。


第2譜 小学5年生プロ棋士

 

 〔一〕

 

 僕のデビュー戦は5月に行われる、第79期棋帝(きてい)戦一次予選1回戦となった。棋帝戦、それは将棋界史上初の1日制タイトル戦であり、「名人」が七冠制覇を成し遂げる直前までは年2回開催だったタイトル戦である。そのためか、期数が名人戦よりも多かったり、初タイトルが棋帝である棋士が沢山存在したりと、棋帝はタイトルの登竜門扱いを受けている。一次予選1回戦、対局相手は山岡九段。かつてはA級に在籍したこともあるほどのベテラン棋士であり、還暦を迎えているにも関わらず、順位戦C級1組、竜王戦4組に在籍している。

 

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 戦型は相矢倉で進んだ。先手の山岡九段が矢倉明示をしたため、僕もそれに乗っかることにした。しばらく膠着状態が続いたが、山岡九段が先に仕掛けてきた。銀交換を迫る場面に追い込み、僕は銀交換を受諾。その後、飛車角を活かした攻めを受けるもこちらの防御が堅かったためか無理攻めになってしまったようで、王手ラッシュの回避後に山岡九段が投了。無事に1勝を挙げた。

 

 僕の順位戦は第66期のC級2組編入から開始する。順位戦(名人戦)、棋界最高峰のタイトルの一つ、名人をかけた争い。冷酷なまでの階級社会であり、名人挑戦にはC級2組、C級1組、B級2組、B級1組、A級を勝ち抜いてようやくその舞台に立てるため、最短でも5年かかる。僕の開始順位はC級2組44位。昇級には10局全勝が事実上のノルマとなる。順位戦の持ち時間は1日制タイトル戦よりも長い6時間。長時間の対局が苦ではない僕でも辟易してしまう長さである。

 

「負けました…」

「ありがとうございました」

 

 今回の対局相手は僕と同期の新四段、城ヶ崎(じょうがさき)四段。本対局がデビュー戦だったようで、緊張していたのか悪手の連発であったため、それを咎める形で勝利。できれば今度は本気の彼と戦いたいものだ。時刻は午後10時を回っており、先に対局が終わっていた師匠と共に帰宅することになった。

 

「結理、将棋楽しいか?」

「はい。色んな人がいて、色んな将棋がある。興味深いです」

「…そうか」

 

 その後、師匠から何か言われることは無かったが、僕の手を握る師匠の力が強くなったのを感じた。6月終了時点で4局4勝。まだまだ先は長い。

 

 

 

 

 

 〔二〕

 

 7月に入り、第1回毎朝(まいあさ)杯将棋オープン戦が開催される。毎朝杯、それは前身となる「毎朝オープン選手権」という準タイトル戦を発展させた一般棋戦である。タイトル戦とは異なり早指しの棋戦であるが、僕は早指しも苦手では無い。今回の一次予選1回戦はアマチュアの方との対局であったが、その相手がかつて僕がアマチュア名人戦の決勝トーナメント1回戦で戦った人であったのは衝撃であった。僕はプロ四段として、彼は毎朝アマ名人として臨んだ今局だったが、危なげ無く僕の勝利で終わった。

 

「…ったく、可愛げの無い将棋だなぁ、お前」

「将棋に可愛げは要りません。むしろ、そんなことをする方が失礼でしょう?」

「はっ!それはそうだ」

 

 彼らしい豪快な将棋は、指していてとても気持ちが良い。他の棋士とは違い、思いの外感想戦が進んだ。

 

 第56期玉座(ぎょくざ)戦が始まった。玉座戦、それは将棋界の中で最も若いタイトル戦であり、1日制タイトル戦の中では唯一、持ち時間が5時間となっている棋戦である。現在は「名人」が10期以上連覇しており、「名誉前玉座」とギャグで名乗っている棋士もいる位の「名人」のお膝元と言える棋戦である。例に漏れず僕は一次予選からの開始だったが、今局は特に面白味の無い将棋となってしまった。何故かって?僕が終始リードしっぱなしの将棋だったからである。

 

「ここで桂を使うことも考えたのですが、桂で行くとこうなって…」

「……」

 

 対局相手は終始無言。僕が一方的に解説するだけの感想戦となってしまった。

 

 第49期帝位(ていい)戦が始まった。帝位戦、それは2日制タイトル戦の1つで、紅白2つのリーグから挑戦者の座を掴み取る2人を選出するシステムの棋戦である。面白いのが、挑戦者決定リーグのシード者以外は全員予選からスタートであることだ。その結果、予選からA級棋士と当たれるチャンスのある棋戦なのである。予選1回戦の相手は山刀伐(なたぎり)六段。「名人」唯一の研究パートナーであり、事前研究に余念が無い棋士として知られている。居飛車振り飛車問わず様々な戦法を使うことから、ついた異名は「両刀使い」である。

 

「ふふっ、君との対局を心待ちにしていたんだ。楽しみだねぇ」

「僕も気になっていましたよ。どこまで僕のことを理解できますかね?」

「ふふふっ!」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 僕の先手で進む。戦型は山刀伐六段の四間飛車に対して、僕の居飛車穴熊で対抗する形となった。ちなみに使用している穴熊はいわゆる「松尾流穴熊」である。僕の松尾流穴熊が成立後、攻撃準備が整う前に山刀伐六段が攻撃開始。右辺が丈夫では無かったが、被害を最小限に抑えることができた。穴熊への攻撃を開始するも、全ての攻め駒を最小限の戦力で駆逐。これ以上の攻撃の手段が無いと判断し、山刀伐六段は投了した。

 

「その穴熊堅いし攻略し辛いわよねぇ。待ちすぎたのがいけなかったのかな?」

「普段、僕が穴熊するときはこの形じゃないですからね。自身への研究に余念が無い相手に対しては、研究ハメか棋力の暴力かの二択に限ります」

「棋力の暴力に頼らなかったってことは、君はぼくのことを相応の実力者だと思ってくれたってことかい?」

「油断ならない相手だとは理解していましたので」

「ふぅん…そうかい。『名人』がウズウズしていたよ。『天宮君と熱い対局がしたい』ってね」

「…!そうですか…」

「『名人』以外にも間宮(まみや)竜王や生石(おいし)盤王、月光(つきみつ)九段、神代九段、碓氷(うすい)八段、於鬼頭(おきと)七段…。君に注目している棋士は沢山いるのさ」

 

 正直震え上がる思いだった。今挙がった名前は、現在の将棋界のトップと言っても過言ではない。そんな雲の上のような方々から注目されている———これほど名誉なことがあるか!…勝ちたい。もっともっと勝たなければ…!9月終了時点で16局16勝。ここで躓く訳にはいかない…。

 

 

 

 

 

 〔三〕

 

 10月に入り、第16期星雲(せいうん)戦が始まった。星雲戦、それは、囲碁将棋衛星放送という衛星放送局から放映されるテレビ棋戦(一般棋戦)である。特徴的なのは本戦がブロック戦となっており、順位戦の順位が低い棋士は初戦から、A級棋士やタイトルホルダーは最終戦から登場という仕組みになっている。予選勝者の僕は順位戦最下位といっても過言では無いため、1回戦からの登場である。決勝トーナメントに登場するためには本戦優勝か本戦最多連勝のどちらかを達成しなければならない。今回は危なげなく2連勝した。

 

 棋帝戦や毎朝杯では二次予選が始まっている。順位戦でも上位の棋士が相手となるので、段々と余裕が無くなってくる。薄氷の上の勝利と言えるモノも増えてきた。そして気付けば最多連勝記録である28連勝を更新していた。意識していなかったためか、しどろもどろな返答になってしまったのは良い思い出だ。そんな棋帝戦と毎朝杯では苦戦しつつも、なんとか二次予選を通過し、棋帝戦は最終予選に、毎朝杯は本戦トーナメントに進出した。そして、勝てば挑戦者決定リーグに進出できる帝位戦予選決勝。対局相手は月光九段であった。「十七世名人」資格者であり、タイトル獲得通算27期の実力者。「光速の寄せ」の異名で知られる彼は終盤が非常に特徴的である。目の持病により失明状態になるも、順位戦はA級、竜王戦は1組をキープしているトップ棋士である。

 

「清滝さんが君を弟子にすると聞いたときは驚いたよ。君の実力を見せてほしいな」

「恐悦至極の極みです」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 僕の先手で始まる。戦型は月光九段による一手損角換わりで進行する。僕は腰掛け銀で対策し、角換わり腰掛け銀の様相を呈するカタチになる。先に攻めたのは僕だった。

 

「これなら…こう!」

「…ほう」

 

 銀桂を連携させてわずかな月光陣の隙間を縫うカタチで攻撃。月光九段も応戦するも、一度生まれた綻びをどうにかすることは叶わず陣形が崩壊。最後は僕が月光玉の17手詰めを見つけ、月光九段が投了。A級棋士に初勝利した瞬間であり、自分の自信に大きく繋がった対局だった。

 

 毎朝杯の本戦トーナメントが始まった。このトーナメントを勝ち抜けば、初代毎朝杯の称号を獲得できる。1回戦の相手は生石盤王。「振り飛車党総帥」「捌きの巨匠(マエストロ)」の異名を持つ振り飛車のスペシャリストだ。

 

「よぉ、小学生プロ。お前、面白い将棋を指すじゃねぇか」

「僕は居飛車も振り飛車も何でも気持ち良く指したいので」

「そうか。だったら俺の振り飛車を受けてみろ」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 僕の先手となった。戦型は生石盤王のゴキゲン中飛車となったため、僕は相振り飛車として三間飛車にした。生石盤王の左穴熊に対して僕は左美濃の様相を呈するカタチとなり、持久戦模様になった。先に仕掛けてきたのは生石盤王で、僕の陣形から金銀をどんどん剥がしていったが、最後の一線を守り切ることに成功し、入玉に成功。打つ手無しと判断し生石盤王は投了。2回戦進出を決めた。

 

「この展開…どこから読んでやがった」

「終盤に入る直前で入玉の可能性を考えていました。40分の内の15分を使ったのはそのためです」

「成る程な…お前とのタイトル戦が楽しみだぜ」

「まだ遠い話ですよ…」

 

 午後になり2回戦(毎朝杯の本戦トーナメントは同じ日に午前と午後の2回対局がある)、対局相手は間宮竜王。生石世代に代表される棋士の1人であり、今期の竜王防衛により「永世竜王」資格まであと1期と、永世竜王資格獲得に王手をかけている。

 

「君は確か、天宮くんだったか。君の活躍は聞いているよ。一度お手合わせ願いたかったんだよね」

「身に余る光栄です」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 間宮竜王の先手となった。戦型は角換わりとなり、僕は腰掛け銀、間宮竜王は棒銀で対抗するカタチになった。先に仕掛けたのは間宮竜王であり、棒銀の圧倒的な破壊力で攻めてくるも、紙一重で自玉を回避させる。こちらが攻める番になり、徐々に間宮玉を追い詰めていく。その後、15手詰めを発見し、間宮竜王が投了。準決勝進出が決定した。

 

「良いとこまでいったと思ったんだけどね…。この手順だったらどうなってたかな?」

「この手順だと、こう行って、こう行って…」

 

 感想戦は思いの外弾んだ。

 

 第21期竜王戦が始まった。竜王戦、それは名人位と共に別格とされる竜王位を争うタイトル戦。1組から6組までのトーナメントに全棋士が振り分けられ、成績優秀者が挑戦者決定トーナメントに進出できる。順位戦(名人戦)と大きく異なるのは、初参戦であっても竜王に挑める可能性があるところだろう。初参加の僕は当然6組スタートであり、6組から挑戦者決定トーナメントに参戦出来るのは優勝者1名だけだ。今回はアマ竜王の方との対局だったが危なげなく勝利した。

 

 棋帝戦最終予選が始まった。最終予選は2勝勝ち抜き制の各リーグ4人、4リーグでの構成となる。2勝すれば挑戦者決定トーナメントに進出、2敗すれば最終予選で脱落となる。最終予選2回戦は1回戦勝者同士と敗者同士の対局、3回戦は2回戦時点で1勝1敗の2名による対局となる。僕と同じリーグにいるのは、間宮竜王、神代九段、於鬼頭七段の3人である。1回戦の僕の対局相手は神代九段であった。彼は「名人」とタイトルを争う関係にあり、「名人」より先に永世名人資格(十八世名人資格)を獲得した強豪棋士だ。

 

「神代九段、本日はよろしくお願いします」

「…ええ」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 神代九段の先手で始まった。戦型は横歩取りで進んだ。神代九段から横歩取りを仕掛けてきたため、角交換の後に相横歩取りで挑むことにした。そこから飛車交換を行い、力戦に持ち込む展開になった。しかし、僕が致命的なミスをしてしまい、そこを神代九段に猛追されてしまう。懸命に粘るも、薄い自陣を食い潰すのには十分すぎる攻撃力を打破する余裕は無く———

 

「負けました」

「…ありがとうございました」

 

 プロデビュー以来36連勝。個人的にも大健闘だったと思う。いつか連勝は途絶えるものであるし、簡単に負けるつもりは無かったが、A級棋士を相手にここまで戦えて本当に良かった。

 

「ここでこう指してたら、どういう展開にするつもりでしたか?」

「…そこはね」

 

 悔しい。この思いをバネに、僕は成長する。2007年終了時点で37局36勝1敗。これからも僕は戦い続ける。1局でも多く勝つために…。

 

 

 

 

 

 〔四〕

 

 年が明けて2008年1月。第58期玉将(ぎょくしょう)戦が始まった。玉将戦、それは名人戦、竜王戦の前身となる九段(くだん)戦・十段(じゅうだん)戦の次に歴史のあるタイトル戦である。玉将戦の挑戦者決定リーグは帝位戦とは異なり1つしかないため、残留することさえ困難であると言われている。一次予選からではあるが難なく1勝した。

 

 玉座戦でも二次予選に進出している。厳しい相手が多くなったが、戦法や対局相手の研究を徹底することでなんとかなってはいる。しかし、最近は理事会が僕を便利道具のように酷使しようとする動きが見られるのを痛感する…。僕はまだ小学5年生だというのに…。

 

 第34期盤王戦が始まった。盤王戦、それは1日制タイトル戦の1つであり、番勝負含め全ての対局で持ち時間が4時間の棋戦である。特徴的なのは、挑戦者決定トーナメントベスト4の扱いであり、準決勝からは2敗失格制となり、敗者復活戦が存在することにある。又、挑戦者決定戦は変則二番勝負で決まる点も面白い。予選2回戦の対局相手は引退目前の大棋士であり、古風ながら面白い将棋を指す方だった。楽しい将棋が指せて爽快だった(僕の勝ち)。

 

 順位戦C級2組9回戦。現在8勝0敗が僕のみ。7勝1敗が2人続くカタチになっている。仮に僕がこの対局で勝利したら、最終戦の勝敗に関わらずC級1組への昇級が確定する。肝心の対局相手は加悦奥(かやおく)七段。同郷京都の棋士であり、ベテランである。加悦奥七段による居飛車穴熊に対して僕の向かい飛車で展開された本局だったが、加悦奥七段の攻撃をやり過ごした僕が猛攻撃を仕掛けて加悦奥七段が投了。順位戦C級1組昇級が決定し、2月5日を以て僕は五段に昇段した。

 

 そこから4日後、毎朝杯本戦トーナメントの準決勝が始まった。僕の準決勝の相手は神代九段であった。リベンジマッチとなる今回の対局では、相掛かりの展開となったが、先に僕が仕掛けるカタチになった。そこから猛追の果てに詰め切り神代九段が投了。決勝進出が決まった。

 

 毎朝杯本戦トーナメント決勝の組み合わせは「名人」VS天宮五段()

 

「ここまで来たんだね。楽しみにしていたよ」

「僕もです…この機会が訪れることを待っていました」

「それでは対局を始めてください」

『お願いします』

 

 「名人」の先手となった。戦型は角換わりとなった。互いに腰掛け銀に展開し、持久戦模様になる。先に仕掛けてきたのは「名人」であった。

 

「……」

「……っ」

 

 中央の制圧にかかった「名人」は、徐々に自分のペースに持ち込もうとするが、主導権を握らせないために攻防一体の一手を放つ。手番が僕に渡り、逆に僕が攻勢に移る展開になる。「名人」も応戦するが、防御陣を食い破り、17手詰めを見つけた末に「名人」が投了。僕、天宮 結理五段が第1回毎朝杯将棋オープン戦優勝者になり、全棋士参加一般棋戦優勝に伴い、2月9日を以て僕は六段に昇段した。五段であった期間はわずか4日間であった。

 

「今日は楽しい将棋をありがとう。次はタイトル戦で」

「…!僕が挑むまで頂点で待っててください。必ずそちらに辿り着いてみせますから!」

 

 感想戦の途中、「名人」から激励された。…タイトル戦の舞台に立ってみせる。2月初頭の時点で47局46勝1敗。着実に勝利を積み重ね続けよう。

 

 

 

 

 

 〔五〕

 

 玉座戦では二次予選が終わり、挑戦者決定トーナメントに進出した。帝位戦では挑戦者決定リーグ白組に配属され、まずは1勝を挙げた。

 

 2月の暮れに、第58回公共放送杯が始まった。公共放送杯、それは日本公共放送というテレビ放送局から放映されるテレビ棋戦(一般棋戦)である。純粋なトーナメント形式であり、特徴的なのは持ち時間の形式である。短い持ち時間+考慮時間1分が10回というシステムになっており、秒読みは30秒である。ひとまず予選を突破しない限りテレビ放映される本戦トーナメントに進出出来ないため、しっかりと取り組んだ結果3勝して予選を通過した。

 

 棋帝戦最終予選3回戦。僕は1回戦で神代九段に負け、2回戦で間宮竜王に勝った。3回戦の対局相手は於鬼頭七段であった。対局は結局負けてしまったが、面白い将棋になったのは良い収穫だったと言える。僕の今回の棋帝戦の成績は最終予選敗退で終わった。

 

 公共放送杯本戦トーナメントの1回戦が始まった。1回戦第1局が僕が登場する対局のようで、解説には師匠が登場する予定らしい。対局相手は昨年新人王となった棋士であった。僕は一切考慮時間を使うことなく勝利してしまい、対局相手が絶望の表情を浮かべていたのは印象に新しい。

 

 第39期新鋭(しんえい)戦が始まった。新鋭戦、それは新人棋戦であり、六段以下の新人の中で強い棋士を決める棋戦である。優勝して新人王となった棋士は、タイトルホルダーとの記念対局が行えるのが魅力的である。2回戦の対局相手は奨励会三段の(今年4月に四段昇段が決まっている)方であったが、中々の強敵であった。振り飛車のテクニシャンであり、生石盤王を尊敬しているとのことだった。

 

 現段階(2008年4月1日)の僕の成績は以下の通りである。

 

竜王戦:ランキング戦6組4回戦進出

順位戦:C級2組全勝によりC級1組昇級

帝位戦:挑戦者決定リーグ白組2勝0敗

玉座戦:挑戦者決定トーナメント進出

盤王戦:予選4回戦進出

玉将戦:一次予選3回戦進出

棋帝戦:最終予選敗退

毎朝杯:優勝

星雲戦:本戦ブロック戦8回戦進出

公共杯:本戦トーナメント2回戦進出

新鋭戦:本戦トーナメント3回戦進出

 

 僕の2007年度の対局成績は62局60勝2敗(勝率0.968)であった。これによって、最多連勝(36連勝)と共に最多勝率も歴代記録を更新し、将棋界に新たな1ページを刻んだ。

 

 新年度を迎え、小学6年生に———六段になった僕。目指すはタイトルの座だ。




棋帝戦のモデルとされている棋聖戦では、第80期までは一次予選→二次予選→最終予選→挑戦者決定トーナメント→棋聖戦五番勝負となっていたそうです。
そのため、拙作でもそれを踏襲するカタチで結理に戦わせることになりました。
やりすぎとも言われるであろうこの成績に関しては、某先生みたいなフィクションの如き現実の人間がいるので多少は盛った方が現実離れを実感出来ると思い、この成績にしました。
異論は認めます(過剰な自覚有)。
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