所持デッキが敵役すぎて勘違いが止まらない   作:ライトニングのスーパーAI破壊ウイルス

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長くなってしまったので分けました。
前半は昨日更新分です。
前話のデュエル内容書き直しについては時間を見つけて変更します。


主人公に会うZE!!後編

 

「俺を鍛えてくれないか?融合のみならずリンク召喚まで操るその実力を見込んで頼みたい。俺は…仲間を守れるようにもっと強くなる必要がある。頼む」

 

俺の目の前で丁寧に頭を下げる赤と金の髪をした青年。

そして頭を下げられているのは俺。何の冗談だこれは。

 

「えーっと……。頭を上げてくれないかな?俺は君が思ってるほど強いデュエリストじゃないんだ。俺が強いのは単にデッキがまともに成り立ってるからであって特段優秀だからとかじゃなくてね……」

 

あわあわと拒絶するように手を前に出して腕を振るが、全く気にも留まる様子もなく話を続けてくる。

 

「最適なカードと巡り合う能力もまたデュエリストの資質の一つだ。謙遜しないでくれ。直接戦った俺が君に教えを乞いたいと感じたんだ。それに幼馴染からストア・ブレーカーを倒したインフェルノイド使いの話を聞いていてね。その事についてお礼も言いたかったんだ」

 

「………」

 

困ったな……。俺は人に教えられるほど遊戯王が上手くないんだ。

ましてや彼は星宮 遊志(ほしみや ゆうし)という『遊』の名を継ぐ者の可能性……つまりこのアニメ遊戯王的世界の主人公である可能性もあるのだ。そんな主人公的な人物にデュエルを教えるって分不相応にも程があるぞ。

しかもあのストア・ブレーカーに襲われてた店の関係者だったのかよ。世界は狭いな。

 

「と、とにかく……一度場を離れようか。ここじゃ後続の人に迷惑になるし」

 

「ああ、頼む」

 

そういうことで星宮くんを伴ってデュエルスペースから適当な近くの喫茶店に移動。お互いにコーヒーを注文して席に座る。

どうしよう…とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着こう。これがブルーアイズマウンテンかぁ……。味が分からん。

 

「教えを乞いたい……って言われてもさぁ。何を知りたいの?別に基本的なルールとかならもう分かってるだろうし、小技のテクニックとかはデッキによって違うから俺が教えても意味ないよ?俺は『ジャックナイツ』のデッキに詳しい訳じゃないし……」

 

「そうだな……。俺には勝ちたい相手…いや、どうしても勝たなければならない相手がいるんだ。少し長くなるが時系列順に話させてくれ」

 

そう言って星宮くんはコーヒーカップを持ち上げて一口飲む。

そしてホッと溜息を吐いて心を落ち着けると話し始めた。

 

「俺はとある事件でセキュリティと縁があってな。その縁もあってセキュリティからの依頼を受けて彼らの仕事を手伝うことも多かった。だが最近は怪しいカードを発見したんだ」

 

「怪しいカード?」

 

「ああ。それは一見すると普通のカードに見える。だがその実態は持ち主の闇を増幅させて操る恐ろしい代物だったんだ。俺はオカルトに詳しくないので何ともいえないが、幼馴染曰く『汚染された精霊が憑いている』だそうだ。このカードのことを安直だが『闇のカード』と呼称することにした」

 

なるほど、闇のカードというやつか。

そういえばクレアさんも精霊のカードについて説明をしてくれたな。精霊のカードの中には持ち主に取り憑いて操るカードがあると。実際、アニメ遊戯王のGXではユベルがマルタンやヨハンに取り憑いて操っていた。つまりそういう類か。

 

「最近、そう言ったカードに操られて暴走するデュエリストが後を経たない。俺はカードの出所を探る調査の末、闇のカードをばら撒いている人物に行き当たった」

 

「おお、黒幕に行き着いたなら解決じゃないか」

 

だがその言葉に星宮くんは首を振って否定する。

 

「だがそう簡単には行かなかった。俺はソイツとデュエルして……引き分けてしまった。そして相打ちになった隙を突かれて逃げられてしまったんだ」

 

「あー……やっぱり強かったんですか?」

 

「今までで戦った誰よりも強かった。そしてまだ闇のカードは各地のデュエリストにばら撒かれてしまっている。俺があそこで相打ちにならなければ…ちゃんと勝利できていれば…」

 

彼の口調に後悔が滲む。

自分がそこで勝てていれば今頃被害者は出ていなかったのに。もっと犠牲者を減らせたはずだったのに。

そんな痛切な気持ちが痛いほど伝わってくる。

気が付けば俺は彼に同情してしまっていた。言ってしまえば他人事でしかないけれども、自分の失態で事態が悪化してしまうことの辛さは俺もよく分かる。生きていれば人間誰しも経験することだ。

 

だからこそ尚更分からない。

 

「じゃあ俺が協力できることなんてなくないか……?」

 

「だが俺はデュエルを通してアイツ以上の実力者を見つけた。それが貴方だ。単純に考えても俺に勝てる貴方ならアイツにも勝てるはずだと思う。俺に、貴方と同じだけ強くなる方法を教えて欲しい」

 

そういう論理思考か!

俺>星宮くん=黒幕の図式が彼の中で成り立っているから、俺が黒幕に勝てる存在だと思ってる!

いやいや違うんだよ。俺は偶然事故らずにデュエルできてる事に加えてこの世界に存在しないカードを使ってるから、初見殺しもあってある程度戦えてるわけで……。

 

だが自分の失態で事態を悪化させてしまった彼に同情しちゃったのも事実。そしてその彼が失態を取り戻そうと頑張ろうとしてることも感じる。

なら、師匠ポジは荷が重いけれど俺ができる限りなら手伝おう。

 

「分かった。俺ができる限りは手伝おう。でもあまり期待しないで欲しいし、想定外に大した事なくてもガッカリしないでね?」

 

「助かる!」

 

パッと顔を輝かせると仏頂面が目立った彼には珍しく笑顔を見せる。

そんなに喜ばれたならこちらとしても頑張らなきゃダメだな。半端な仕事はできない。

 

「それで強くなりたいならデッキを見せて欲しい。あと君が戦った黒幕についても教えて欲しい。どんなデッキを使っていたのかとか、どんな戦法を使ってきたのかとか……」

 

「デッキをか…。いや、わかった。これが俺のデッキだ」

 

そう言ってデッキをカードケースから取り出して机の上に置く。

許可をとってからそのデッキを手に取りその中身を覗いて内容を確認する。

 

なるほど……。どうやらこのデッキは『ジャックナイツ』を各種一種類ずつに『A・O・J』と『ジェネクス』と『星遺物』、あとは『壊獣』のようなカードや何体かのモンスターが混ざり合ったハイランダーデッキのようだ。『影星軌道兵器ハイドランダー』もいるじゃん。

 

なるほど……。万丈目サンダータイプかぁ……。

俺わかんねえよ。AOJジャックナイツジェネクスハイランダーなんていうデッキへのアドバイス……。しかもEXデッキには『ゴヨウ』や『サイコ』シンクロモンスターや融合モンスターが入ってるんだ。あ、でも『リペア・ジェネクス・コントローラー』は入ってないみたいだ。

 

まるで動かし方が分からんぞ!実際俺とデュエルした時はジャックナイツばかり使ってたからAOJとジェネクスをどう噛み合わせていくのか分からないし。そもそも属性モンスターとコントローラーでシンクロするジェネクスと、光属性ばかりのジャックナイツや闇属性の多いAOJじゃ相性が悪い気がする。

 

「う、うーん……?独自色強くてわかんね……。あ、そうだ仮想敵!君と相打ちになったデュエリストはどんなデッキとどんなデッキを使って来たんです?」

 

「ああ、奴は恐ろしいデッキとタクティクスの使い手だった…」

 

星宮くんは目を閉じて当時を思い出すかのように呟く。

 

「あの…『インヴェルズ』の使い手は……」

 

「『インヴェルズ』だと……!?」

 

『インヴェルズ』

それはアドバンス召喚を主軸とするカード群。『インヴェルズ』モンスターを素材に召喚する事で強力な効果を発揮できるとの触れ込みだったのだが、イマイチその性能は評価されていない。

というのも、下級『インヴェルズ』モンスターの特殊召喚効果では2体のリリース要因を用意することは難しいという苦しみを抱えていたからだ。中には3体リリースを要求する者もいる。

あとついでに魔法罠が弱い。モンスターに関しては出せれば強力なモンスターがいるので悪くないと思えるが、魔法罠はどうも使い勝手が良くなさそうに思える。

競合相手として『帝』が強すぎたのも弱いと言われている原因の一つとなる。

 

だが、その虫や捕食をイメージしたイラストに惚れたことで使い続けているという愛好家もいるようだ。実際『インヴェルズ・グレズ』は俺もかっこいいと思う。

 

しかしそれはインフレが進んだ元の世界の話。

この世界はあの闇鍋パックが原因でデュエルのスピードが以前の世界と比べてかなり遅い。1ターンキルや先行制圧が横行する環境ではないのだ。

この環境においては多少の遅さは十分カバーできる範囲にあり、テーマカードが揃っているのなら『インヴェルズ・ガザス』や『インヴェルズ・グレス』と言った強力なカードもあるのでパワー自体も十分にあると考えられる。

 

「奴は『連撃の帝王』を使い俺のターンに『インヴェルズ』の上級モンスターを召喚して俺のターンに全体破壊を行い妨害を行ってきた。さらに『真帝王領域』でEXデッキを封じ、『進撃の帝王』の力で破壊耐性を得ていた」

 

「成る程…『インヴェルズ・ギラファ』や『インヴェルズ・ガザス』、『インヴェルズ・モース』などの上級モンスターを相手ターンに出す事で召喚の難易度を下げつつ、全体破壊による相手の妨害も行ったわけか……。舐めてたわ『インヴェルズ』。実際やられたらそれなりに強そうだなこれ。帝王サポートカードを使えば強化できるってことだな。『真帝王領域』を使ってくるのなら相手はEXゼロのデッキ…『インヴェルズ・オリジン』はなしか」

 

「なぜその事を………」

 

星宮くんが困惑を露わにした顔で呟いた言葉は耳に入らず、俺の頭の中で対策が練られていく。アドバンス召喚を封じるカードは何枚かあるがいくらなんでもピンポイントメタすぎる。もっと汎用的なカードの方が良いだろう。

となると他の手段。帝王サポートの動きを封じるカードがあればいい。帝王サポートカードで厄介なのは『汎神の帝王』と効果を無効にしてくる『帝王の溶撃』、EX封じの『真帝王領域』、効果破壊耐性を与える『進撃の帝王』と相手ターンの召喚を可能にする『連撃の帝王』などか。

 

ならば……っ!とストレージで買ったカードを漁ってテーブルの上に引き摺り出す。

 

「『インヴェルズ』は強力な効果を持っているが、それほどまでに強力な動きを取れたのは『帝王』サポートカードがあったからだ。君がやるべき事は、『帝王』カードをサーチすることも、ドローすることも可能な『汎神の帝王』を止めること。そしてアドバンス召喚を主体とする以上、相手の手札は確実に枯渇する。ましてや『インヴェルズ・グレズ』は『インヴェルズ』を含めた3体のリリースを要求する。そうなると相手は必ずリソース確保のためにドロー系の魔法を使ってくる」

 

そこまで言い切ると買った袋からカードを取り出して星宮くんの方へ差し出す。

 

「これは『灰流うらら』。そしてこちらが『聖王の粉砕』。詳しくはカード効果を読んでほしいが、どちらも手札から発動し、デッキからカードを手札に加える効果などを無効にする力がある。『聖王の粉砕』は炎・水・闇属性のモンスター効果が使えなくなるからデッキに本当に入れるのか考える必要性が出てくるが、これを使えば相手のリソース供給を止めることができると思うから一応渡しておく。さらに『マルチャミー・プルリア』なら召喚にも対応するから手札を補充して壊された盤面を取り戻すこともできると思う」

 

「話を聞く限り相手の起点は『帝王』魔法・罠カードにあると考えられる。となるとそれを破壊してしまうのが1番だ。だから『ハーピィの羽根箒』や『サイクロン』のような魔法・罠の除去ができるカードをもっと増やした方が良いと思う。永続が多いみたいだからこっちの『幽鬼うさぎ』もアリだ。手札消費が荒くなりデッキの圧迫感が増すのが難点だがそこら辺はうまくデッキを調整するしかない」

 

そう言いながら彼の目の前にカードを紹介しながら並べていく。

元々これらは俺がこの世界でデッキを組むためにストレージを漁って入手してきた物。どうせ1枚10円ちょっとだし差し上げても悔いはない。他の店にも売ってるだろうしね。

あと、『インヴェルズ』は総じて守備力が0なので『悪夢再び』で回収されてしまう。これも厄介な点だろう。『屋敷わらし』もあると嬉しいか?

 

「……と、俺ができるのはこれくらいだけど…。実際デッキに入れるカードとかそういうのは自分で考えるしかないよ。特にそのAOJジャックナイツジェネクスハイランダーは使える人が限られている特別なデッキだ。俺は動かし方やデッキの組み方を教えることはできない。だから俺にできる事は対策になりそうなカードを紹介するだけで……」

 

そこまで言ってポリポリと頭を掻く。

こんな風に案を色々と考えてみたが、もしズレた事を言っていてらどうしようか。それ以前に勝手にカード押し付けてきて迷惑と思われていたなら……。

 

「カードまで用意してくれたのか?………本当に感謝する」

 

が、それは杞憂に終わった。

星宮くんは感動したように目を見開くと深々と頭を下げる。

 

「やめてください。俺は本当に大した事してないんで……。今やったアドバイスも無意味に終わるかもしれない。対策札も全く通用せずに事故要因にしかならないかもしれない。俺が余計な事を言ったせいで今度は負けてしまうかもしれない」

 

「だがそれでも、こんな見ず知らずの上に勝手に教えを乞うた俺を邪険に扱わず真剣に向き合ってくれた。俺は『貴方』を……信じたいと思う」

 

「そう…かな…?ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」

 

フッと時計を見るとそろそろ良い時間だ。これ以上ここにいるとウィンちゃんとの待ち合わせの時間に遅れてしまう。

 

俺は星宮くんに別れを告げると自分の代金だけ支払ってその場から離れる。たぶん星宮くんはこの世界における主人公なんだと思う。俺はおそらく1話限定ゲストのモブかな?それでも俺のアドバイスで彼が宿敵のインヴェルズ使いに勝てたら嬉しいし、勝てる事を願っている。

 

「そういえばティエラ教団の精霊のカードを集める…ってやつもこの闇のカード回収的な話なのかな?」

 

クレアさんもウィンちゃんも良い人だったし、ティエラ教団ってカルト宗教みたいに感じたけど実際のところは単なる慈善団体なのかもしれないな。闇のカードを回収して人々を守る教団。成る程悪くない。是非とも主人公の星宮くん共々頑張って欲しいところである。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆

 

「………」

 

星宮は今さっき立ち去っていった青年の後ろ姿を見ながら思案する。

彼は一体何者なのか……と。

 

「彼は『インヴェルズ』について知りすぎていた」

 

そう、先程の青年は『インヴェルズ』について知りすぎていた。

「『インヴェルズ』の上級モンスター」としか言わなかったのにも関わらず、彼は『インヴェルズ・グレズ』や『インヴェルズ・ガザス』などと正式名称を当てていた。実際、星宮が交戦した『ギガス』と名乗ったデュエリストは『ギラファ』『ガザス』『グレズ』などの上級モンスターを繰り出していた。

 

そして同時にこうも言っていた。

 

『俺様が操る『インヴェルズ』は特別なカードだ。こいつらが元々居た精霊界で封印を解き、直接カード化し俺様のシモベとした』

 

その言葉を信じるのであれば、あの『インヴェルズ』カード群の情報は普通では手に入ることのない情報。

にも関わらず、普通のカードと変わらない知識かのように彼は情報を披露していた。

 

これは明らかに怪しい。もうめちゃくちゃ怪しい。

例えるなら、バトルシティでいきなり一般人の知るはずのない『ラーの翼神龍』の効果を知っているデュエリストが現れたら誰だって不審に思う。下手しなくとも、グールズの首領であるマリク扱いされる。奴をデュエルで拘束せよ!

 

「それに『インフェルノイド』というカード……。セラが言っていた『嫌な気配のするカード』の使い手が彼か」

 

光石(こうせき)セラ』は星宮の幼馴染であり、この街のカードショップを営んでいる彼女の祖父の手伝いをしている。この間、ストア・ブレーカーのターゲットにされていた可哀想な娘だ。

その時にインフェルノイドというカードを使うデュエリストに助けられたということは星宮も聞かされていた。まさかデュエルしてみるまで彼がそのデュエリストだとは思いもよらなかったが。

 

セラは精霊を知覚し操ることのできる能力を持った女性だ。

 

「俺には精霊の知覚はできない。だが彼とデュエルした事で分かった事がある。彼はギガスのような悪人ではない。デュエルをすればデュエルを通してその人となりが分かる」

 

これはデュエル心理学という学問でも実証されている事であり、科学的根拠を持って証明された心理現象である。これにより、デュエルを用いて裁判の判決を下す『裁判デュエル』などという物もあるが、今回は関係ないので置いておく。

 

「セラの見立てが誤った事はない。俺は彼女の言う精霊を知覚できないがセラの事は信頼している。彼女が『嫌な気配がする』と言ったなら事実なのだろう。同時に俺の感じた『悪い奴ではない』という感覚も間違ってないはずだ」

 

そう言いながら星宮は彼から受け取ったカードをパラパラと確認する。

 

『灰流うらら』『屋敷わらし』『マルチャミー・プルリア』『幽鬼うさぎ』『増殖するG』……。

 

どれも低レベル低攻撃力でアタッカーとして不十分であったり、イマイチ評価されていないカードであったりとショップのストレージに並んでいるカードばかりだ。

 

だが星宮は役に立たないクズカードを渡されたとは思っていない。元々『ブレインコントローラー』のような低レベルモンスターであっても偏見なく効果を読み使用する男であったし、何より有用性を説きながら渡してくれたおかげで使い方が理解しやすい。

 

デュエルの内容だけではなく、こんな風に説明しながらカードを用意してくれた男を疑うつもりはなかった。

 

『嫌な気配をするカードを使う』

 

『悪い人間ではない』

 

この2つが両立する結論が1つある。

星宮はその結論に辿り着いた。その答えとはつまり……。

 

「『インフェルノイド』というカードが彼に取り憑き何か企んでいるのか?」

 

彼の幼馴染であるセラは精霊と言葉を交わすことがある。

それが彼にも可能だとするならば、この世界で存在しないカードである『インヴェルズ』の詳細な情報を知っていてもおかしくはない。『インフェルノイド』もまた同じような出自なのだろう。もしかしたら、『インフェルノイド』とギガスは協力関係にあるのかもしれない。どちらも『イン』から名前始まってるし、何かしら関係があるだろうと考えられる。この闇のカードをばら撒く事件に関与してる可能性すらある。

 

星宮は知っている。

かつて『魔轟神』の精霊に取り憑かれて暴走してしまった友人である『轟レイジ』のことを。

『ワーム』の脅威に立ち向かうべく『魔轟神』の力を解放し、その力に飲まれてしまいその体を乗っ取られてしまった人物のことを。

デュエルで倒し『魔轟神』から解放することに成功したが、その過程でデッキを取り上げようが、カードから物理的に隔離しようが、言葉を掛けようが一切通用しなかった。

実際、轟は自分が『魔轟神』に操られてることに気が付きデッキを捨てようとしたが、捨てられたカードは自力でそいつの元に戻ってきていた。

 

「解放する為にはデュエルで勝利するしかない。天馬の時と同じだ。途中で真実を伝えてしまえばその心の隙を突かれて完全に乗っ取られてしまう。つまり彼を『インフェルノイド』から解放する為には、デュエルで勝利するしかない。……強くならねばならない理由がまた増えたな」

 

こうして、この世界の主人公である星宮遊志とその仲間たちに勘違いが広まっていく。

 

御使くんは、『インフェルノイド』という闇のカードに体を乗っ取られつつあり、望まぬ悪事を働かせられている被害者であると。そしてもしかしたら、この闇のカードをばら撒く事件に関与しており、実行犯の1人である可能性が高いということも。

 

黒幕のギガスさんもインヴェルズも知らない仲間が生えてきてびっくりである。

なにそれ知らん……こわ。




御使くん
ストレージで買ったカードを大盤振る舞いでプレゼントしてしまった。
頼られたのが嬉しくてついやっちゃったが後で後悔した。
どうやらインフェルノイドに体を乗っ取られて闇のカードをばら撒いている実行犯の1人らしい。なにそれ知らん怖い。
異世界出身故にこの世界にあるカードとこの世界にないカードの区別が付かない。
お前一回データベースか何かで全種類のカード内容検索した方が良いぞ。

星宮 遊志
いっぱい手札誘発カード貰った。これらを全てピン刺しにしてハイランダーにするぞ!ドロー力を鍛えて適切な誘発をその場で引き込むんだ!
かつて『インヴェルズ』使いの黒幕と相打ちになった過去がある。
今に至るまでにこの世界に攻めてきた『ワーム』と『魔轟神』を倒している。
インフェルノイドに操られているんだな!必ず助けてやるからな……御使くん!!
なお酷い勘違いの模様。
教団がメイン敵になる時に「完全に乗っ取られてしまったんだな…!」と必ず助け出すぞムーブしてくるが御使くんからすればなんのこっちゃ分からない。

光石 セラ
某プラナの人と同じ名前だからややこしいが別人。ストア・ブレーカーに襲われてた店の孫娘ちゃん。精霊が見えるし意思疎通できるタイプのヒロイン。デュエルはそんなに強くない。
憑いている精霊は『ジェムナイト・ラズリー』。

ラズリー「『インフェルノイド』から邪悪な思念を感じます」

ギガス
『インヴェルズ』使いのデュエリスト。闇のカードをばら撒いていた黒幕にして2期のラスボス。正確にはラスボスではないが、ライトニングくらいの立ち位置と思ってくれたら良い。
かつて事故で精霊界に転移してしまった人間。そこでヴェルズの思念と出会い悪意を植え付けられてしまった。その際に封印された『インヴェルズ』たちを解放してカードに封印した。そしてその力を用いて人間世界に帰還し、ヴェルズの種を闇のカードを通じて撒き散らす事で世界支配を目論んでいる。
今は帝軸のインヴェルズに下級ヴェルズを少し混ぜた物(EXデッキ未解放)を使っているが、後半になると『ヴェルズ』と『インヴェルズ』の混成デッキ(EXデッキ解放)を使い始める。オピオン鬼つええ!!
この世界で神のカードのようなポジションにある氷結界の三龍を手中に納め、ヴェルズ化させる事を当面の目的としている。

轟 レイジ
『魔轟神』使いのデュエリスト。星宮のクラスメイトにして共に戦ってきた仲間。DDDの社長ではない。
元々は『魔轟神』ではなく『ジュラック』を使っていたが、『ワーム』との戦いの中闇堕ちして『魔轟神』にデッキを切り替えた。
『魔轟神』の力で無双するが、その代償に体を乗っ取られて1期のラスボスを務めた。
今はデュエルで倒された事で取り憑いていた『魔轟神レヴュアタン』と分離して正気に戻っている。正気に戻った後でも、メインで使っているデッキは『魔轟神』のまま。

倶利伽羅天童
妾は!?妾は星宮に与えられんのか!?他のカードは奴の元へ行ったのに!!
前話で紹介されてたのに妾はハブられたのじゃ!引越しの準備もしておったのに!
これでは妾の主人公の相棒枠になって隣で『くりくり〜(倶利伽羅の意味)』と鳴いてヒロインの座を手に入れる計画が潰えてしまうではないか!
許さぬ…絶対に許さぬぞ…斯くなる上は活躍の機会を得る為にデッキの中に潜り込んでやる……。
ラヴァゴ先輩、道を開けておくれ。

ラヴァゴ先輩「そういう悪霊ムーブ良くないよ」

可愛いし決まれば強いが意外と使いづらく腐る事も多い彼女は、果たして勝手にデッキの中に潜り込み活躍の機会を得ることができるのか?

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