憑依転生きよぽん 作:笑っちゃうよね〜たはー
エレン・イェーガー
ホワイトルームでの日々は辛い。
起床、味の薄い食事、朝から晩までカリキュラムを続ける日々、その繰り返し。
大学受験が可愛く思えるほどだ。
座学はまだ良い。
綾小路のスペックはいわゆる”学習の天才”であるため、スポンジのようにドンドン知識を吸収していってくれる。加えて前世ではそれなりに偏差値の高い大学に通っていたのもあってかそこそこの余裕を持って乗り切ることができた。試験では少し手を抜いて授業が進む速度も遅らせたしね。
けれど身体を動かすことに関しては別だ。特に武術系。
なんだよ警棒一本でナイフ持った戦闘のプロ相手に勝つことができなければ脱落って……頭イカれてんのか?
頬は切られるし胴体にナイフ刺されるしで本当に最悪だった。まあ勝ったんだけどね。普通に死にたくないし。それに最終的には常にボコボコにできるようになったので、ストレス発散のサンドバッグとしてはちょうど良かったのかもしれない……いや、人を傷付けるのは普通に心苦しかった。やっぱりコレが一番クソだと思う。
他にもカリキュラムの内容を上げればキリがないけど、最後に一つだけ。
VRで外の世界を擬似体験できるやつは面白かった。技術ってすげー!ってなったね。
本当にこれだけが唯一の娯楽みたいなもんだから、監督者から今日何をするか聞かされる時はいつもこれが来ることを祈っていたと思う。ガシャでいうSSR枠だ。
まあホワイトルームのことをまとめたら大体こんな感じかな。
綾小路清隆に憑依転生したと自覚してから四年、本当に地獄のような生活だった。
だがそれも今日で終わり。何故かって?ホワイトルームのことがバレちまったからさ!
なんでも国のお偉いさんに見つかったそうで、一度稼働を停止することになったんだとか。この隙に乗じて俺は逃げさせてもらうぜ!じゃあな。二度と帰ってこねえよドフカス施設!
「ヒャッハー!俺は自由だ!」
どこぞのモヒカンのような叫び声を上げているが今だけは許して欲しい。何せずっと不自由を強いられてきたのだ、これくらいはしゃいだっていいじゃないか。古事記にもそう書いてある。
「ま、とりあえず松雄さんが用意してくれた家に向かいますか」
松雄さん──綾小路パパの執事で、今回俺がホワイトルームを脱出するのを手引きしてくれた人。
綾小路パパの関係者とは思えないほどの善人だ。人の心しかないんか?
けれどそんな心優しき人を綾小路パパは自殺に追い込み、さらに全くの無関係である息子さんまでも自殺に追い込むのだ。なんたる極悪非道、人の心とかないんか?
俺は激怒した。必ずかの邪智暴虐の綾小路パパを裁かねばならないと決意した。
俺には政治がわからぬ。俺は綾小路清隆に憑依しただけの一般人である。故にこうした。
「今頃、鈴懸だっけ?その人に対して詰め寄ってるんだろうな」
俺がやったことは至って単純。どさくさに紛れてログを改竄し、鈴懸に全部なすりつけたのだ。
あの施設で学んだことは多岐に渡り、そういう犯罪行為に準ずる技術も叩き込まれる。
それがまさか自分に返ってくるとは思いもしないだろうな。笑っちゃうよね〜たはー!
「“因果応報”ってやつだ、悪く思わないでくれ鈴懸。元はと言えばお前から始まったんだ」
とは言っても、これはあくまで時間稼ぎにしかならない。どうせそのうち松雄さんは目を付けられるだろう。けれどその頃には一家揃って海外に逃げれるはずだ。
迷惑をかけて申し訳ないが、死ぬよりはマシだと割り切ってもらうしかない。
脱出してから三日後、様子を見にきてくれた松雄さんにそう話すと彼は笑って許してくれた。
本当にこの人はいい人だ。
あ、そういえば七瀬はどうなるんだろうか?高育に来るのか、それとも来ないのか……
どちらもあり得る……そんだけだ。
◆◆
漫画を読んだり、アニメを鑑賞したり、たまーに復習と筋トレをしたり……そんな風になんやかんや過ごして大体一年。待ちに待った受験シーズンがやってきた。
もちろん俺は高育に行く旨を松雄さんに伝え、書類を作成してもらっていざ受験会場へ。
さーて、久々に試験がんばるぞー!
そう気合いを入れて来たはいいものの。どうするか俺は今非常に迷っていた。
え?何に迷っているかって?それはだな……どのクラスで三年間過ごすか、だ。
どうせ俺は点数を自由に取ることができるのだ、ならば自分が過ごしたい三年間を思うままに過ごしたい。だがどのクラスも捨てがたいのだ、これが選ばれしものの苦悩……
おふざけは一旦ここまでにして、とりあえず各クラスにいる自分の好きなキャラと大雑把な雰囲気をまとめてみよう。
Aクラスはリトルガール坂柳と変人森下がいる、派閥で分かれる険悪クラス。
Bクラスは大天使ホナミエルとダウナー系ガール姫野がいる、仲良しこよしなほんわかクラス。
Cクラスはドラゴンボーイ龍園と大天使ヒヨリエルがいる、暴力が蔓延る不良クラス。
Dクラスはツンデレ代表堀北さんと爽やかイケメン平田がいる、どんちゃん騒ぎの不良品クラス。
他にも好きなキャラを挙げればキリがないが、どのクラスにも俺が前世で好きだったキャラがたくさんいるのだ。どこに行こうか迷ってしまうのは、もはや必然と言えるだろう。
そして悩みに悩み、迷った末に……俺はCクラスに行くことにした。
いやいや、自分から暴力振るわれに行くとかバカかよって?
その考えは甘い。甘すぎる。sweetだぜ読者諸君。
よくよく考えてみて欲しい。龍園は確かに暴力でクラスを支配したが、それは石崎達が自作自演で怪我を偽装した時や、無人島で他クラスに伊吹や金田が潜入する時といった必要に駆られた場合のみであることは判明している。ちょっとやり過ぎとは思うが……
逆にそれ以外のシチュエーションでは態度や口こそ悪いものの、逆を言えばそれだけである。
ここまで言えば分かるのではないだろうか……意外と龍園クラスは平和なのだ。
ドSロリから日常的に勝負を挑まれることもなければ、お茶柱ティーチャーから脅されることもない。Bクラスとは違い、基本的に特別試験には強いのでストレスが溜まることもあんまりない。
つまり特別試験でちょこっと知恵を出した後、ほどほどに頑張りながら自分の推しの一人である
”椎名ひより”と一緒に本を読んで楽しく過ごせるという訳だ。素晴らしい!素晴らしいよ!
ということで俺はCクラスに行っきまーす!スマンな原作。
開幕から崩壊しちまうけど許してくれ!
◆◆
高度育成高等学校──略して高育。世界で通用する人材の育成を目的に掲げる政府直営の高校で、
三年間外部との接触や連絡の禁止、寮生活を強制される代わりに学費無料、進学率・就職率脅威の100%という超エリートが集まる高校だ。
──尤も、パンフレットの内容だけを見ればの話ではあるが
その実態はA〜Dに分けられたクラスが、”希望の進路に100%応える”という特権を巡って争う策略渦巻くとんでもない学校である。怖い、怖すぎる。なんだこの学校。
そんな学校だとは露知らず、呑気に今年もたくさんの新入生達が新しい制服を身に纏いながら歩いていた。
「ここが高育か〜。テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるな〜」
そんな彼らと同じように歩みを進める茶髪の男子生徒にとって高育はまさに聖地のようなもの。
それに好きなキャラ達に会えるのだ、浮き足立つのも仕方がないだろう。
(さて、クラスを確認確認、と。まあ多分Cクラスだと思うけどね。五教科の平均点が大体70点くらいになるように調整したし、万が一もないでしょう)
そんな風にフラグを立てたのがいけなかったのか、はたまた世界の修正力というやつか。
「嘘、だろ……?」
彼の名前である”綾小路清隆”の名前が載っていたのはCクラスでもなければAやBでもなかった。
「────Dクラスかよ……」
Dクラス──原作では4月中に全てのクラスポイントを吐き出し、歴代最低値の0ポイントを記録した、最も”不良品”の烙印を押された史上最悪のクラス
──そこに所属することが確定してしまった。
計画とは違う別のクラスからのスタート。初日に推しと距離を縮める作戦が大きく破綻してしまった彼の顔は絶望に塗れて……
「ま、別にいっか」
いなかった。いや別にええんかい!
「堀北さんとか平田君とか、あと櫛田さんとかみーちゃんとかもいるしね〜。まあ、ほどほどに頑張ることにするか。ついでに綾小路ロールプレイもしよっと」
彼はよう実に於いて嫌いなキャラというものが基本的に存在しないようだ。なるほど、確かにそれならどのクラスに配属されても大丈夫そうである。
◆◆
高度育成高校データベース
氏名:綾小路清隆(中身は転生者)
学籍番号:S01T004651
部活:??
誕生日:10月20日
【評価】
学力:B -
知性:C+
判断力:C
身体能力:C
協調性:C
【面接官からのコメント】
学力は優秀だが、知性、判断力、身体能力、協調性が軒並み平均的であること、将来への展望性の低さなどからCクラスへの配属が望ましいと考えた。
しかし別途資料により、Dクラスへの配属とする。
私はよう実キャラのことはみんな好きだけど、特に椎名と森下と姫野と天沢が好きです
(天沢以外はなんとなく察してた人もいるだろうけど)
上記した四人はビジュが良すぎる。目の保養になりますわ…マジ好きすぎて滅
え、じゃあなんで上記した四人が居ないDクラスに配属したのかって?
…………そんなの私がオリジナル展開を作れないからに決まってるじゃないか!
グエッ…ごめんね、許してくれ憑依転生きよぽん。責めるなら私の執筆力の低さを責めてくれ…