偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
先週と違い今回は土曜日もスクールアイドルクラブ、そして入部体験も稼働している。
入部体験最初期組はいよいよ今日がフローチャート最後の日だ。
本当に覚悟が極っているなら別に入部届を出してくれても良かったのだけど、フローチャートに付き合ってくれているのかここまで新入部員はなんと0。0なんだよ。
「今日は部室をステージに見立てて装飾をします!」
スクールアイドルとは華やかそうに見えて総合職だ。
ステージパフォーマンスは当然のこととして、日々の基礎トレーニング、作詞作曲、振付、衣装製作、ライブ会場の確保とステージデザイン、活動の宣伝、ステージ設営。挙げたらキリがない。
本職のアイドルであれば分業するところの多くを自分達で賄っている。もちろん学校の他の部活に外注することもあるけれども自分達で手作りしていく過程に楽しさを感じている側面もある。
「ではご安全に」
ステージを彩る照明。それを調整するにしても危険はつきまとう。
脚立から落下すると頭部が振り子のように落ちるためちょっとした高さでも死亡事故に繋がるらしく、徒町はさやか先輩から入部して直ぐにヘルメットの大切さを教わった。
「脚立は跨がないでね」
スカートだから、というわけではなく、重心が安定しないとのことだ。
こういったちょっとした作業一つとっても、なんとなく思っていた作業イメージが実は推奨されないこういだったのだと教わった時は驚いたものだ。
「普段のステージだとあまり使わないけど、お呼ばれした時にはこんなものを持ってったりするよ」
背景のバックパネルは準備期間が長ければベニヤ板に自分達でデザインしたものを描いたりもするけれど、今回はジャバラ式のフレームにシートを張るものを採用する。
蓮ノ空のロゴが入ったシンプルなものだけど、ライブだけでなく交流イベントでブースを作る時なんかは一目で分かるため結構使い勝手がいいのだ。
「あとはポジションの❌印」
ステージ中央を0番として、感覚を開けて養生テープで目印を貼る。
部室だからそれ程数はいらないけれど、大きいステージともなると番号が20を越えることもある。
「これが今日の私達のステージ」
自分達でやるからこそよりその場所を特別に思える。
ステージでパフォーマンスするのはもちろん好きだが、徒町はこの準備段階の地道な作業もまた大好きだった。
「じゃあ今日までの成果をここで披露しようか」
ここまでの入部体験の総括。
新入生は戸惑いながらも高揚感に胸を高鳴らせている様子でステージにあがる。
Dream Believers、夢を感じ、トキメキ、動き出す、蓮ノ空の代名詞だ。