偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

112 / 113
7月21日(火)

 これにて106期蓮ノ空女学院一学期が終了となります。皆様ハメを外しすぎないようにいい夏をお過ごしください。と先生方からのお言葉を頂戴し無事に本日一学期の終業式が終わった。

 晴れて夏休み、ということでスクールアイドルクラブはテストで鈍った身体に喝を入れるべく基礎トレーニングに励んでいた。

 暑さもあるので場所を転々としつつ短時間全力、短時間休憩、という形で身体を動かすと丁度ライブで一曲交代するようなリズム感を身体が思い出してくる。

 

「それにしても1年生の成長がやっぱり目立つね」

 

 固定回数やるトレーニングとは別に最大回数を数える類のトレーニングは記録をずっと取り続けていた。

 練習の成果の見える化はモチベーションの向上にも繋がるし、停滞している場合その壁を突破するには何が効果的かと試行錯誤できる。小さな一手間だけど、それが案外バカにできないのだ。

 

「嘘、私が遅い?私がスロウリィ?」

 

 反復横跳びの回数でマイカちゃんに負けたセラスがアワアワと頭を抱えている。

 

「セラス先輩は集中力が足りないんですよ」 

 

「ゔっ」

 

「ちょっと調子が良いと気持ちまで調子に乗っちゃうというんですかね?そこで動きが乱れだすんですよ」

 

 久し振りにマイカちゃんのド正論破が炸裂しセラスは膝を折った。

 

「マイカちゃんの言う通りかな。基礎は誤魔化しがきかないし、自分の全力がどこに届いているのか測れないと成長以前に全力を出すことすら出来なくなるからね」

 

 欲を言えば極限にヘロヘロ状態で出す全力がどの程度かも測定したいところだけど、この猛暑でそれをやるとリアルにお花畑が見える可能性があるためサバイバルトレーニングはしない。

 そういえば埼玉で行われた第二回Bloom Garden Partyは盛況であった反面、やはり暑さばかりはどうにか出来なかったのかとアンケートに多数意見が寄せられたらしい。

 会場問題は関東を中心にかなり深刻らしく、有名な場所はもう先々まで使用なら予約が埋まっているらしい。屋内会場は当然として屋外の会場(空調設備が無いという意味)も丁度いい季節には予約が埋まっているらしく、その年その年で動く学生が主催のイベントでは場所選びの選択肢がそもそも無いに等しいのだ。

 寧ろあれだけの大きな場所をよく貸してくれたと思う。

 

「やはり越えられない壁、という役割が必要かなセラス?」

 

「煽るじゃん泉。越えるけど?ほらそこに構えな!」

 

 なんだか対面で反復横跳びしはじめるというシュールな絵面だけど、セラスには一人一人で測定するより対戦形式の方が合っている。

 本気の出し方一つとっても人それぞれだ。

 思えば私の先輩は何だかんだ泣き言言いながらも尻を蹴られながらの方がトレーニングに身が入っていたなと、ふと思い出した。

 

「どうしたんですか部長?」

 

「なんでもない。マイカちゃんはセルフコントロールが上手いね」

 

「そういう性分だからですかね」

 

 そういう真っ直ぐなところ。流石にすでに知っているけれど、この子について知っていることが一つずつ増えていくことが嬉しい。

 この調子なら来年はセラスがマイカちゃんの尻に敷かれていそうだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。