偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
週が明けたら長い旅が始まる。
ラブライブ!フェス開催に向けての直接交渉。
チケットのことを考えたら本当ならもう
詳細を発表しなければならないけれど出演者が決まってないのに詳細もなにもない。
日程と場所だけは決まっているので、出せる情報は発表している。
どこか一校でも出演者が決まりさえすれば少なくとも対バンイベントにはなる。蓮ノ空がラブライブ!優勝経験があるからだ。
とにかくラブライブ!フェスというコンセプト発表が出来るようになるだけで懸案事項が一つ減るのだ。
7月中には情報をお出ししたい。
「セラス。また根を詰めているのかい?」
「ここで詰めなくていつ詰めるのってね」
「違いない」
ノックとともに私の私室に入り込んだ泉は私の手元にお茶を置いてパソコンの画面を覗き込んだ。
泉が発案してくれた遠征費削減計画。それを含めて旅の計画を調整していたのだ。
幸いというべきか夏休みに入り、普段は学生という本分があるスクールアイドル達がこぞって動き出しているためイベントには事欠かない。中にはシャトルバスを用意してくれるイベントまである。
都市間の移動を刻んで行けばかなり節約できる上に蓮ノ空として遠征ライブの経験も積める。
今年のライブはまだホームでしか行っていないため、他所でのライブというものを後輩達はまだ知らない。スクールアイドルとして成長するためにも大きな経験になるだろう。
「後輩のため、か」
「何泉?今更自分が先輩だって気付いたみたいに」
「恥ずかしい話、まだ実感が湧いてなくてね。私はソロでやっているし、君を後輩という括りにするのはなんか違う気がするしね」
「私達がいるうちに借りは返すんだよ」
「律儀な人だね。でも同感だ」
私と泉、つまりEdel Noteはラブライブ!に大きな借りがある。
二年前、当時中学生だった私は本来ならば高校生の大会であるラブライブ!出場など叶うはずが無かった。だが、その無理を蓮ノ空の尽力で叶えた。勿論、その背景には当時のEdel Noteが所属する瑞河という学校が廃校決定しているという逆行がみんなの応援を呼んだ形になったのだが、当然そんな無理を通せば歪みが生まれる。
瑞河と蓮ノ空は私的理由でラブライブ!のルールを捻じ曲げた。それが端的な事実なのだ。
そして当時の瑞河は一度廃校し、Edel Noteは蓮ノ空に所属したため、その借りの大半を蓮ノ空が背負った形になっているのだ。
正直放っておいても時間が解決する問題でもあるのだ。私が卒業してしまえばその当時の直接的な関係者はいなくなるのだから。
だけど、そんな素直な性格ならそもそも瑞河の廃校阻止のためにラブライブ!優勝を目指したりしないのだ。
日和見主義は趣味じゃない。
ラブライブ!の名を冠する大きなイベントを成功させることで私は借りに対する禊とすると決めたのだ。
「蓮ノ空の一員として頼りにしてるよ、泉」
「私もさ」
Edel Noteは解散したけれど、仲間であることには変わらない。