偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
今日は北國花火がある。幸いにして天気も持ちそうで延期や中止はなさそうだ。
山にある蓮ノ空から花火が綺麗に見られれば便利だと思うけど、現実的には見えんこともない、くらいな見え方になるので、だいたい見る人はだいたい普通に花火会場まで足を運ぶ。
スクールアイドルクラブの面々で連れ立って山を下り、私の実家で着付けをした。
加賀繍工房を営む関係で私自身、着物を私服レベルでそれなりの数所持しているため、似合いそうなものを見繕ってレンタルしている。
この日は本当に私の趣味でクラブのみんなを好きに着せ替え人形に出来るので楽しくてしょうがない。
「こんな立派な物、本当にお借りしていいんでしょうか?もし汚したりしたら・・・」
「そんなに心配しなくても平気だよ。私の持ってるのは全部商品としてはお店に出せないものだったり、リメイク品だったりっていう、御下がりの御下がりだから」
実用に耐えるけど、市場としては価値が低い、というのかな。
勿論綺麗にずっと使っていきたいし大切に思っているけど、大事にしすぎて着ることが出来ないのでは本末転倒だ。
着飾ることで背筋を伸ばしたり、気持ちを高めたりと行動や気持ちを助けるための物であって、着ている人を萎縮させるものになって欲しい訳じゃない。
「ありがとうございます。こんな立派な物」
「そこは素直に、こんな綺麗な物って言ってもいいんだよ?」
相変わらずマイカちゃんはそういう事を言わない。けれども、慣れない物を身に着けているからか、どこかいつもより気持ちが浮ついているように見える。
緑系の色をベースカラーに選んだけれどこの子が着ると随分と華やかな印象になると内心驚いてる。
梢先輩なんかはパーソナルカラー診断をしたことがある、とか言っていたけど人それぞれ似合う色味というのもが与える印象の変化というものは結構大きいのだと実感する。
「マイカちゃんがお着物を着てる」
「今まで見たことなかったんすか?」
「無い無い。遊びに誘ってもいっつも同じ格好でさ。季節での変化はあったけど、基本ジョブズスタイル貫いてたから」
令沢さんの言い様に紫輪さんはうわぁ、と反応しつつ、なんとなくイメージつくなという表情をしていた。
「だって誰かと一緒に遊ぶとか、そういう事考えてなかったし、必要以上に外を出歩くつもり無かったから」
「マイカさんって・・・」
何があってそうなったのか?それをずっと気になっていた。けれども、マイカちゃんの根幹部分の話をこちらから聞いていいものかずっと迷っている。スクールアイドルクラブに入って、笑顔を取り戻したいと自分で一歩進んだマイカちゃんにはもう一歩自分から踏み出して欲しいからだ。
だから紫輪さんの発する言葉にみんな固唾を飲んでーーーーーー
「インドアなんすね」
「ゴホッ、オエッ」
「葵さん!?乙女らしからぬ咳込みしてるけど大丈夫!?」
「だ、大丈夫。まぁマイカちゃんはインドアでもなんだかんだ付き合ってくれるから安心して」
「それは葵がしつこかったからだよ」
なんて言うけれど、たぶん、今のマイカちゃんはしつこく誘わなくても付き合ってくれるのだろうなと、そう思う。そうじゃなければこうしてみんなでお着物を着てなんてこともしていないだろうから。
ちゅーとりえらいぶ行ってて更新遅くなりました。