偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
金沢から神戸まで高速バスと電車で約5〜6時間。朝出ると昼過ぎには到着する。
神戸、駅的には三ノ宮駅だが、そこから続く長い坂を登った先、洋館の立ち並ぶ北野異人館通りを行くと白塗りの格子状の校舎が特徴の学校が見えてくる。
年季の入った煉瓦造りの校門には椿滝桜女学院高等学校の名が刻まれている。
そう。スクールアイドルの始祖とも言われるあの椿滝桜女学院高等学校だ。
学科により大阪と神戸で校舎が変わるとのことだが、アポ取りの際に確認したところこちらを案内されたらしい。
山の、というか丘の上にある学校。それもかなり歴史のある学校ということで蓮ノ空生としてはシンパシーを感じざるを得ない。
「あの、もしかして蓮ノ空さんですか?」
「あ、その通りなのですが、もしかしてスクールアイドル部の方ですか?」
「そうです。先生方から話聞いてますのでご案内しますね」
校舎の前にはスクールアイドル部の子がお使いになっていたようで、すんなりと校舎の中に案内された。
歴史のあるというところで百生部長は興味深そうにキョロキョロと校舎内を観察しているし、本日の主役セラス先輩は緊張からかいつもより動きが硬い。
私はと言えば、百生部長同様、スクールアイドルの始まりの地(という説)に来たことで脳内のイマジナリーマイカちゃんに早口で解説をしている。いや、まぁ個々に来る前にバスの中で実際に散々話しをしているのだけども。
「こちらへどうぞ」
「り、理事長室?」
「どうしたのかなセラス?肩書を見て尻込みしているのかい?」
「何を言っているのかしら桂城さん?早く入るわよ」
「外行きの面構えしようとして失敗してるよセラスちゃん」
ちょっとした会議室とかに通されると思ったらまさかの理事長に通される事態にやや緊張が走るが、こちらの動揺を他所に案内してくれた子は理事長室をノックしていた。
「どうぞ」
「ではごゆっくり」
促された以上、入らない訳にはいかない。
セラス先輩を先頭に理事長室へと入ると、ちょっと強目に空調が入っていて暑さから解放される。
「いらっしゃい蓮ノ空のみんな。椿滝桜女学院高等学校理事長代理の椿ルリカです」
理事長、というにはかなり若く見えるゆるふわお嬢様をそのまま大人にしたみたいな女性、椿ルリカさんが歓迎してくれた。
「金沢から長い移動で疲れたでしょ?座って座って。あ、お茶菓子用意するね。こないだ貰ったのがまだ残ってるから。遠慮しないでね」
「あの、お気遣いなく」
「ううん。蓮ちゃんにはたっくさん話聞きたいと思ってたの。ラブライブ!優勝のこととかBloom Garden Partyのこととか。あ〜どれから聞こうかな。もうこの際、思いついたことは全部話していいからね。時間は一杯あるから!」
「ルリカちゃん、理事長代理っての忘れてない?それに蓮ノ空の子達固まっちゃってるよ?」
まるで大阪のおばちゃんみたいな怒涛の勢いでこちらの気勢を巻き込む椿ルリカさんを嗜めたのは白衣を来た迫力の無いウルフカットの女性だった。
「でもユズハちゃん。蓮ノ空だよ?せっかく来てくれたんだよ?色々聞きたいじゃん」
「用があって来てくれたんだから先ずは向こうの話を聞かなきゃでしょ?」
ユズハちゃん、と呼ばれた女性は苦笑いするとこちらに軽く謝った。
「ごめんね。ルリカちゃ、ルリカ理事長代理が暴走して」
「いや、なんというか」
「ねぇ」
先輩達も一堂苦笑いしていた。ルリカ理事長の勢いにはどこか身に覚えがあるものだった。
それを見ていた私は、何かを成す人ってのはこういう人が多いのかな、と感心していた。
スクールアイドルミュージカルの校舎についてはミュージカルとドラマそれぞれから設定をとっていますが校舎が大阪、神戸とあることについては捏造です。
今年も公演がありますので、まだ見ていない方は是非見てください。
個人的にドラマよりミュージカルで見た方が勢いで持っていかれます