偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
ラブライブ!フェス発表の反響を他所に私達はイベント主催側が用意していた長距離バスに乗り名古屋へと移動している。これは主催が次に名古屋でスクールアイドルイベントを開催することと、神戸のイベントにいたそれなりの数のスクールアイドルがそのまま名古屋でのイベントにも出演することから用意されていたものだ。
スケジュール感が本職のライブアイドルみたいにも思うけど、チェキ会などは無いためライブが終わった段階で自分たちの出番は終わる分、準備時間には余裕がある。
「なんだかあの頃とは違う忙しなさだね、セラス」
瑞河にいた頃、ラブライブ!優勝を目指して武者修行をしていた私はセラスに連れられて色々なスクールアイドルイベントに出場した。その時のイベントは順位を決める競技性の高いイベントが中心だった。
ただひたすら盛り上げるためのイベントには殆ど出なかったし、イベントも単発のものが多かった。
「引きずり回しているのが私ってのは変わらないね」
「そうでもないさ。君の発案だけど、部の総意なんだからね」
「そうだね・・・ありがと」
セラスは金沢出発前よりは幾らか肩の力が抜けたようだった。それもそうだろう。ようやく一校、参加が決まったのだから。
そして最初に決まったのが初代スクールアイドル(説)がある学校というのが大きい。
初代、ということは必然的に年齢的には最年長になる。その最年長が出ることにより後続のスクールアイドルは年齢を理由に断るというのが心理的に難しくなる。
別に無理強いするつもりも無いし、出るなら前向きに楽しんで欲しいけれども、ちょっとでも参加してもらえる可能性が高くなるのならこれくらいの小細工はする。今回のルートを発案したのは私なのだから。
「名古屋を経由して次は沼津だよ」
「ああ。沼津だ」
浦の星女学院スクールアイドルAqours、それは廃校から学校を救おうと足掻いたスクールアイドルだ。
私達が瑞河を救おうとしたモデルケースの一つ。大先輩だ。
「どんな人達なんだろうね」
「緊張してるのかい?」
「緊張、というかなんて言葉にしたらいいのかなって」
浦の星女学院、現在は静真高等学校に統合されている。つまりはそういうことだ。
「きっと喜んでくれるさ。君が浦の星女学院という名前で打診したことを」
「・・・だといいな」
学校は無くなっても消えないものがある。
ラブライブ!史に燦然と輝く頂にその名は刻まれている。
私達にはそれがちょっと眩しい。
瑞河派奇跡の復活を果たしたけれども、私達はラブライブ!優勝することは叶わなかったから。