偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

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8月1日(土) 条件付き

 小原さんが旧浦の星校舎に来たのは練習が一段落していったんお昼にしようと体育館を出た時だった。驚く事にAqoursメンバー9人全員での来訪で。

 なんだか洋画のワンシーンのように横一列に並んでいる姿に流石の私も声を漏らさずをえない。

 

「アルマゲドンですよ、先輩!」

 

「みおん後輩アルマゲドンは実は横一列じゃないんだよ」

 

 なんて他愛のない事を話しているものの、全員集合の迫力は圧すら感じさせるものだった。オーラ、というのはこういうものを言うのかもしれない。

 

「全員集めて来たからじっくりとお話、聞かせてね?」

 

「お昼まだでしょ?持ってきたからみんなで食べよ」

 

「アイスクリームもあるから溶けちゃう前にいったん冷蔵庫にしまおうね」

 

 Aqoursさんはそんな印象から反面、気安い感じで私達と共に校舎へと入る。

 

「旅館のお姉さんもAqoursさんだったんですね」

 

「ご贔屓にどうも。まぁ、今の私達がAqours名乗ってもいいのかちょっと自身ないんだけどね」

 

 お風呂、というか温泉を借りている旅館で働いているお姉さんが苦笑いしながらそう溢す。

 Aqoursの名前は代々今の時代まで受け継がれているとのことだから確かに卒業した後にその名前を名乗るのは違和感があるのかもしれない。

 

「懐かしいですわね」

 

「卒業以来ですか?」

 

「そうでもなくてね。毎年大掃除に来てるのよ」

 

「今年も集まろうって話してたずら」

 

「そしたら現役スクールアイドルから会いたい、なんて誘いがあったからみんなでその時に集まろうって話になったんだよね」

 

「浦の星女学院のAqoursさん、なーんて久し振りに呼ばれて嬉しかったの」

 

 気さくな様子で一緒に旧職員室に入り空調を入れると早速食事の準備に取り掛かる。Aqoursさんの持っていた袋の形状から察していたけど、その正体はなんとピザだった。それに飲み物を沢山買ってきてくれていた。

 冷蔵庫にしまうものは入れて、準備を整えるといよいよAqoursさんとの面談が始まる。とは言えピザを摘みながらと想像していたものとは随分と様子が違うけど。

 

「私達に用ってのは噂のラブライブ!フェス出演の依頼ってことでいいの?」

 

 私達の窓口になってくれたのは小原さんだったけど、実際リーダーは旅館のお姉さんこと高海千歌さんとのことで、最初に口を開いたのも高海さんだった。

 

「その通りです。何卒お力をお貸しいただければとお願いに参りました」

 

「そんな畏まられるほど偉くないんだけどなぁ」

 

「セラスちゃん。それに泉ちゃん」

 

「はい」

 

「瑞河の件、私達も他人事とは思えなくてね。だから今回出来る限り力を貸したいと思ってたんだけど・・・」

 

「ちょっとフルメンバーは厳しい、かも」

 

 なんでも11月は沼津でミュージカルイベントをするとのことで準備が一番忙しい時期らしい。

 ただ、つまりは参加自体はしてくれると言うことでセラス先輩はどうか知らないけど私は少しホッとした。全グループフルメンバーなんて流石に無理だろうとは最初から覚悟していた。

 

「その代わり、合宿のバックアップとかなんなら練習とかも力貸すから」

 

「練習見てもらえるんですか!」

 

「フィジカル担当果南、作曲担当梨子、メンタル担当千歌っちが見てくれるから」

 

「丸一日、とはいかないけどね」

 

「ラブライブ!優勝経験者の指導かぁ凄そう」

 

「今の子の方が凄いと思うよ。年々凄いスピードで総合力が上がってる」

 

 Aqoursさんの時も毎年のように実力がインフレしていたようでその勢いは流石に緩やかになったもののまだまだ止まっていないらしい。

 私達はその後もピザパーティーしながら告知についての許可やAqoursさんの現役時代の話、スクールアイドルと地域の関わりの話など沢山おしゃべりした。

 まるでおとぎ話のような、そんな響きで語られるお話に私は終始気持ちよく耳を傾けていた。

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